映画『グリーン・デスティニー』の概要:清朝の時代。伝説の名剣グリーン・デスティニーを巡り、武術の達人たちが織りなすアクション巨編。第73回アカデミー賞で外国語映画賞など4部門を受賞。ワイヤー・アクションの演出が話題を呼んだ。
映画『グリーン・デスティニー』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:アクション、ラブストーリー
監督:アン・リー
キャスト:チョウ・ユンファ、ミシェル・ヨー、チャン・ツィイー、チャン・チェン etc
映画『グリーン・デスティニー』の登場人物(キャスト)
- リー・ムーバイ(チョウ・ユンファ)
- 高名な剣の達人。戦いに明け暮れる武林の世界に疑問を覚え、修行をやめて愛剣グリーン・デスティニーを手放す決意をする。シューリンとの静かな生活を望むが、名剣を巡る因縁が、彼を再び戦いの世界に呼び戻す。
- ユー・シューリン(ミシェル・ヨー)
- 武術の達人で、刀の使い手。父の跡を継ぎ、運送業を営む。恋人を殺した仇敵を、ムーバイと共に捜してきた。武術の師でもあるムーバイに心惹かれているが、かつての恋人を思い、自分の心に素直になれずにいる。
- イェン(チャン・ツィイー)
- ユイ長官の娘。親の政略結婚で嫁ごうとしていたが、貴族の生活に嫌気がさし、剣士になって冒険することを夢見ている。いたずら心でティエ氏の家からグリーン・デスティニーを盗み出したことが、流血の惨事を招く。
- ロー(チャン・チェン)
- 元盗賊の頭領。かつて西域に赴任していたユイ長官の行列を襲い、イェンと出会う。イェンと恋に落ち、盗賊をやめて長官に認めてもらえるような人物になることを誓う。親の決めた相手に嫁ぐイェンを奪おうとする。
- ジェイド・フォックス(チェン・ペイペイ)
- 表向きはイェンの教育係だが、ムーバイの師匠のほか、さまざまな人間を殺してきた謎の武芸者。ウーダン山から秘技書を盗み、イェンに武術を指導するが、イェンの技量が自分を上回ったことを知り、殺意を抱くようになる。
- ティエ氏(ラン・シャン)
- 亡くなったシューリンの父の旧友で、ムーバイとシューリンの庇護者。剣への造詣も深く、ムーバイが手放したグリーン・デスティニーを引き取るが、その剣が持つ恐ろしい力もよく知っている。
- ユイ長官(リー・ファーツォン)
- イェンの父。西域に赴任していたが、北京に戻り、宮廷警護長に就任する予定。政略結婚で、イェンを本人の意思とは関係なく、名門のゴウ家に嫁がせる。
- ツァイ(ワン・ターモン)
- 妻を殺したジェイド・フォックスを、娘と共に西域から追ってきた隠密捜査官。鉞(えつ)という武器でジェイド・フォックスと戦うが、逆にその武器で殺されてしまう。
映画『グリーン・デスティニー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『グリーン・デスティニー』のあらすじ【起】
運送業を営むユー・シューリンは、荷駄の護衛で北京に向かおうとしていた。そこへ、ムーダン山で修行をしていたはずのリー・ムーバイがやって来る。武林(武術の世界)で生きることの空しさを感じ、修行を打ち切ったのだという。
ムーバイは、剣の達人として広くその名を知られた武芸者であったが、愛剣グリーン・デスティニー(碧銘剣)をシューリンに託し、北京にいるティエ氏に献上してほしいと頼む。引退を決めた彼の唯一の心残りは、師匠を殺したジェイド・フォックスに仇討ちができずにいることであった。
北京でティエ氏に剣を渡したシューリンは、そこでユイ長官の娘イェンと出会う。父の決めた相手に嫁ぐ身の上や、剣士になる夢を語るイェン。シューリンは、そんな彼女に、結婚が女の幸せであることを説く。
その夜、ティエ氏の屋敷に黒装束の賊が忍び込み、グリーン・デスティニーを盗み出した。警備をしていたボーが賊を捕らえようとしたが、賊は見事な武術でボーを翻弄し、軽功の技を使って屋根伝いに逃亡した。
騒ぎに気付いたシューリンは、先回りして賊に追い付き、格闘の末にこれを捕らえようとした。しかし、何者かが暗器を飛ばして賊を助けたため、取り逃がしてしまう。シューリンはこのとき、賊の正体はイェンではないかという疑いを持ち始めていた。
映画『グリーン・デスティニー』のあらすじ【承】
ムーバイの仇であるジェイド・フォックスとは女であり、表向きはイェンの家庭教師としてユイ長官の屋敷にいた。そのジェイド・フォックスに妻を殺された警官のツァイと娘が、西域から彼女を追って北京に来ていた。
ツァイの執拗な追跡に業を煮やしたジェイド・フォックスは、ある夜、ツァイ親子を呼び出し、殺そうとする。ジェイド・フォックスは強く、警官のツァイも歯が立たない。
そこへムーバイが助けに現れる。ムーバイはシューリンを迎えに北京に来ていたのだ。ムーバイがあと一歩のところでジェイド・フォックスを討ち果たそうとしたとき、グリーン・デスティニーを持った賊が、ムーバイの邪魔をした。ジェイド・フォックスはその賊を「弟子」と呼んだ。そしてツァイを殺し、弟子と共に逃げ去った。
賊の正体はイェンだった。イェンは、いたずらでグリーン・デスティニーを盗んだことで、殺人事件まで引き起こしてしまったことを悔いていた。そのためティエ氏の屋敷に再び忍び込み、剣を元の場所に返そうとする。そこにはムーバイが待ち構えていた。イェンの剣技に才能を感じていたムーバイは、自分の弟子になるようイェンを説得する。しかしイェンは、その誘いを断る。
屋敷に戻ったイェンは、警官を殺したジェイド・フォックスを追放しようとする。争う2人。だが、イェンの技はすでに師を上回っていた。実は、ジェイド・フォックスがムーダンから盗んだ秘技書を、イェンはこっそり読み解いていたのだ。激しい嫉妬にかられるジェイド・フォックス。だが、「まだ教えることはある」と言い残し、長官の家から去っていった。
映画『グリーン・デスティニー』のあらすじ【転】
イェンが結婚を間近に控えたある夜。イェンの部屋に、かつての恋人ローが忍び込んだ。
ローはかつて盗賊団を率いていたが、ある日、西域に赴任していたユイ長官の行列を襲い、金品を強奪した。そのときイェンは1人で盗賊団を追い、盗賊たちを相手に大暴れする。しかし、そんなイェンにローは乱暴な真似もせず、優しかった。いつしかイェンとローはわかり合い、愛し合うようになる。だが貴族の娘がいつまでも盗賊と暮らしている訳にはいかず、2人には別れの日が来た。
月日は流れ、再びイェンの前に姿を現したロー。イェンに嫁入りをやめさせようとするが、イェンはローを冷たく突き放す。
イェンが嫁ぐ日。輿入れの行列にローが乱入し、イェンの嫁入りを妨害した。そして、長官の家臣たちに捕らえられそうになるところを、ムーバイとシューリンに助けられる。ムーバイはローをムーダンに逃がすが、その後、イェンが嫁ぎ先のゴウ家を出て、行方をくらましたという知らせが入った。
数日後、北京から屋敷に戻ったシューリンを、イェンが訪ねてきた。イェンはシューリンを姉と慕っていた。しかし、シューリンがイェンにグリーン・デスティニーを返すよう迫ると、イェンは屋敷の者たちを蹴散らして逃げようとした。
仕方なくシューリンは刀を取り、イェンと戦う。技ではシューリンのほうが上だが、グリーン・デスティニーの力で、シューリンの手にする武器はことごとく真っ二つにされてしまう。
そこに戻ってきたムーバイがイェンに戦いを挑んだ。イェンは軽功を使って屋敷を飛び出し、竹林に逃げ込む。2人は竹林で剣を交えるが、グリーン・デスティニーを持っていても、イェンはムーバイには敵わなかった。
ムーバイは、イェンから剣を奪い、滝壺に投げ捨てる。剣を追って滝に飛び込んだイェンは、剣を掴んだところで息が尽きて溺れる。そこへジェイド・フォックスが現れ、イェンを滝壺から引き上げて逃げていった。
映画『グリーン・デスティニー』の結末・ラスト(ネタバレ)
ムーバイがジェイド・フォックスを隠れ家まで追って行くと、そこにはアヘンを吸わされて意識の混乱したイェンがいた。彼女を介抱するムーバイのところへ、シューリンとボーもやってきた。
突如、物陰から飛んできた無数の針が4人を襲う。さらにジェイド・フォックスが現れ、ムーバイに襲いかかった。ムーバイは、ジェイド・フォックスを剣で刺し殺して仇を討つ。しかし、毒針の1本がムーバイの首に刺さっていた。
針に塗られていたのは、心臓に作用して血液を逆流させる紫陰という猛毒だった。イェンは、その解毒法を知っている。シューリンは、イェンに急いで屋敷に行き、家の者に解毒法を教えて薬を調合するよう頼む。ムーバイに命を救われたイェンは、良心を取り戻し、シューリンの屋敷に走った。しかし、イェンが戻ったときには、ムーバイは息絶えていた。シューリンに「お前を愛していた」と言い残して・・・・・・。
それから数日後。ムーダンに連なる幾千もの階段を登るイェンの姿があった。険しい岩山の上に築かれた武術の聖地ムーダン。そこでイェンは、ローと再会した。2人が再び愛を確かめ合った翌朝、床にイェンの姿はなかった。
ローは、下界を見下ろす橋の上にたたずんでいるイェンを見つける。イェンはかつてローが話してくれた伝説を思い出していた。霊峰の山頂から飛び降りると、願いが叶うという伝説。そしてイェンは、ローに「祈って」と言い残し、橋の上から飛び降りた。
鳥のように空を舞うイェン。伝説によれば2人の願いは叶ったはずだが、イェンは果たしてどこへ行くのか。残されたローは、イェンの姿を、幸せとも哀しみとも似つかない表情で見つめていた。
映画『グリーン・デスティニー』の感想・評価・レビュー
名剣グリーン・デスティニーを巡る男女4人の物語。美しい…と思わず息を飲んでしまう映画。中国の景色、女優陣の美しさが際立っている。そして武術での戦闘シーンはカッコ良く、ワイヤーアクションはスピード感があり華麗で素晴らしい。チャン・ツィイーとミシェル・ヨーによる剣での女同士の決闘シーンは圧巻だ。また、砂漠でイェンとローが出会い、生活を共にする回想シーンはロマンティックで雄大な景色も見応えあり。作中の音楽も素晴らしく、何もかもが美しい映画だ。(女性 30代)
武侠小説『臥虎蔵龍』を原作に描かれ、多くの映画賞を受賞。第73回アカデミー賞でも10部門にノミネートされ4部門を受賞している伝説級の大作。
激しくもハラハラさせる武侠シーンに加え、熟年カップルと若いカップルの想念を描いている。ストーリー展開に無理はなく、当然そうなるよなと思える展開に意外性が加味され、非常に繊細かつ計画的で緻密な計算の上にストーリーが流れているように思う。更に作中に登場するいくつもの美しい景色とミシェル・ヨーの深みのある演技にチャン・ツィイーの可愛らしくもやんちゃな演技がまたいい。そこにきてチョウ・ユンファのどっしりとした安定感と渋みのある演技。受賞も頷ける非常に印象深い大作映画である。(女性 40代)
中国の映画なので最初は抵抗がありましたが、LUXのCMでお馴染みだった大好きなチャン・ツィーが出演しているので観てみました。観始めてすぐに中国らしい色彩の美しさに魅了されます。
いかにもワイヤーを使っていますというアクションシーンばかりで現実に引き戻されそうになりながらも、見ていてハラハラします。ストーリーも俳優たちの演技も深みがあり、しっかり作られているので、最新のCG技術でもう一度映画化して欲しいです。(女性 30代)
伝説の名剣「グリーン・デスティニー」を追い求める4人の男女の物語。作品のタイトルからファンタジーなストーリーを期待していましたが、ハードなアクション作品で良い意味で期待を裏切られました。
アクションシーンは、まるで堂本光一主演のミュージカル『SHOCK』を見ているかのような華麗なワイヤーアクションで、いかにもな感じが逆に味を出していたと思います。
中国映画らしい、色鮮やかな衣装や美しい女性陣はとても見応えがありました。(女性 30代)
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