この記事では、映画『愚行録』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『愚行録』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『愚行録』の作品情報
出典:Amazonプライムビデオ
製作年 | 2016年 |
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上映時間 | 120分 |
ジャンル | ミステリー ドラマ |
監督 | 石川慶 |
キャスト | 妻夫木聡 満島ひかり 小出恵介 臼田あさ美 |
製作国 | 日本 |
映画『愚行録』の登場人物(キャスト)
- 田中武志(妻夫木聡)
- 週刊誌の記者。一年前に起きた一家殺人事件を取材する。妹の光子が児童虐待で逮捕されてしまう。取材中、妹だとは知らずに光子の話をした証言者の宮村を殴り殺す。光子との間に秘密を抱えている。いつも暗く、声の小さい男。
- 田中光子(満島ひかり)
- 武志の男。幼児虐待で逮捕される。父親から性的虐待を受けていた過去がある。人生を変えるために入った大学で友希恵に出会い、人生を狂わされる。友希恵の幸せな姿を見て、田向家全員を殺す。容姿端麗。兄との間に秘密を持っている。
- 田向浩樹(小出恵介)
- 田向家の父。女の扱いが上手い。目的のためなら手段を選ばず、必要な道を選ぶことに躊躇しない男。光子に殺されてしまう。
- 宮村淳子(臼田あさ美)
- カフェのオーナー。友希恵の華々しさに、嫉妬心と憧れを抱いていた。武志の取材に協力し、武志の妹だと知らずに光子の話をする。その場で武志に殴り殺されてしまう。お洒落。
- 稲村恵美(市川由衣)
- 浩樹の大学時代のサークル仲間。浩樹の本当の姿を知っていると言って、武志に連絡をする。稲村の父親のコネを得るために近づいてきた浩樹と関係をもつ。今は田舎で主婦をしている。
- 田向友希恵(松本若菜)
- 浩樹の妻。容姿端麗で、誰からも愛される女。大学時代、その魅力を思う存分使って華やかな生活を送る。感じの良い女だが、ずる賢い部分がある。
- 橘美紗子(濱田マリ)
- 光子の弁護士。武志に頼まれて、光子の弁護士をする。武志と光子の母親に会い、そこで兄弟の秘密を知る。
映画『愚行録』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『愚行録』のあらすじ【起】
田中武志という男が、妹の光子との面会に訪れる。光子は、自分の子供を虐待して逮捕されていたのだ。
面会を終えた武志は、弁護士の橘と話をする。橘は、精神鑑定をして見てはどうかと提案する。
週刊誌の記者である武志は、一年前に起きた未解決事件について再捜査したいと上司に訴える。上司は、妹のことで苦労している武志を思い、無駄足に終わりそうなこの記事の取材に許可を出す。
この未解決事件とは、娘と夫婦三人で暮らしていた田向家の全員が殺害された事件だった。まず武志が向かったのは、空き家となった田向家の自宅。この事件のせいで、近所の人はみんな引っ越してしまった。
武志は、田向家の夫だった浩樹と同僚だった男と接触する。彼と浩樹は、学生時代からの付き合いでとても仲が良かった。彼は、浩樹と協力して女遊びもよくしていた。彼から聞く浩樹の人物像は、とても良い人間だった。店を出た後、彼は武志の前で泣き崩れる。そして、なんであんないい奴が殺されなければならないのかと嘆く。
映画『愚行録』のあらすじ【承】
精神鑑定を受ける光子。光子は、生まれ変わっても兄の武志だけは同じであって欲しいと話す。
武志は、田向家の妻の友希恵のことを知っている女に会いに向かう。宮村というその女は、カフェを経営するお洒落な女だった。
宮村は、友希恵と大学のキャンパスで出会う。友希恵は美人で感じが良く、周りの人はみんな友希恵のことを好きだった。そんな友希恵を、宮村は嫉妬と憧れの入り混じった感情で見ていた。そんなある日、友希恵が宮村に声をかける。友希恵が宮村を誘った合コンには、宮村の彼氏の尾形もいた。
尾形に会いに向かう武志。尾形は、友希恵とは別の話をする。友希恵は宮村に嫉妬していて、友希恵になりたがっていたと尾形は語る。
尾形が宮村と別れて友希恵に鞍替えした後、宮村は友希恵を訪れてビンタをする。友希恵も、宮村の頬を思い切り叩く。
宮村は、それでも友希恵のことは嫌いではなかったと話す。そして、友希恵ならば何処で誰に恨まれていようがおかしくないと友希恵は話す。
映画『愚行録』のあらすじ【転】
編集部に、田向浩樹のことを一番知っているという女から電話がかかってくる。その電話を取った武志は、その女が住む田舎町へと向かう。
喫茶店でその女と落ち合った武志。その女は、稲村という名前の女で、大学時代に浩樹と同じサークルに所属していた。
浩樹は、稲村の父親から就職口を紹介してもらおうとして稲村に近づく。浩樹もそれを利用して、好きだった浩樹と付き合うようになる。しかし、浩樹は就職口を得るため、他の女にも手を出していた。
なぜそんなに浩樹にこだわるのかと武志は稲村に質問する。稲村は、数ある選択肢のうちから、手段を選ばずに一番良いものを選ぶ浩樹の姿が好きだったと言う。結局浩樹は誰の力も借りず、自分の実力で就職したのだ。
橘に呼び出された武志。橘は、二人の生い立ちを確認する。光子も、医者に過去の話をする。
武志と光子は、幼くして家を出た。現在、母親は再婚して暮らしている。父親は、その行方を誰も知らないでいた。光子がまだ小さかった頃、彼女は父親から性的虐待を受けていた。武志はそれに気づいていたが、何も言えないでいた。武志が高校生の頃、光子への性的暴力に耐えかねた武志は父親を殴る。そして、家を出たのだった。
橘は、光子の子供の父親を知っているかと武志に尋ねる。しかし、武志もそれだけは知らないのだと答える。
映画『愚行録』の結末・ラスト(ネタバレ)
武志に宮村から電話がかかってくる。宮村は、友希恵に人生を狂わされた人間を一人思い出したと武志に話す。そして、武志は宮村のもとへと向かう。
光子と友希恵が出会ったのは大学のキャンパスだった。光子は大学で人生を変えようとしていた。しかし、家柄や見た目が大事なことをそこで悟る。光子は、華やかな友希恵に憧れを抱いていた。
光子は、友希恵と仲良くなるにつれて男友達が増えていく。しかし、友希恵から紹介される男はみんな、光子の体が目的の男ばかりだった。顔の良い光子を、友希恵は利用したのだった。
宮村は、自分が田中光子だったら友希恵を殺すだろうと言う。そして、光子のようにはなりたくないとも言う。それを聞いた武志は、宮村を殴り殺す。
医者が電話で退室する。一人の部屋で、光子が告白を続けている。光子は、愛する人との子供がずっと欲しかった。しかし、その子供は一切笑ってくれない。そんなとき、友希恵を見かけた光子。友希恵は光子を無視する。友希恵をつけていくと、そこには家族三人で幸せに暮らす友希恵の姿があった。そして、光子は田向家に入って全員を殺したのだ。
橘は、武志と光子の母親を訪ねる。レイプによって生まれた子供だと思っていた橘に対して母親は、何か勘違いしていませんかと驚いた表情を見せる。
武志と光子が面会をしている。光子は武志に言う。「私は秘密が好きだ。私とお兄ちゃん二人だけの秘密」
映画『愚行録』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
物語が進むごとに、登場人物たちの表の顔と裏の顔が次々暴かれていく構成にゾクゾクしました。最終的に田中(妻夫木聡)が真犯人だったことが明かされ、背筋が凍りました。救いのないラストですが、人間の醜さをここまでリアルに描いた作品はそうないです。(20代 男性)
この映画は、ただのミステリーではないと思います。誰もが持っている醜い部分が浮き彫りにされ、観る側にも問いかけてきます。特にラスト、田中の狂気が明らかになるシーンは本当に恐ろしかった。満島ひかりの演技も圧巻で、絶望感をさらに増幅させていました。(30代 女性)
『愚行録』は静かに、しかし確実に観る者の心を蝕んでいく映画でした。完璧に見えた一家の裏側に潜む歪み、そして田中の内に秘めた狂気。終盤、田中の本性が明かされる時の空気の冷たさは忘れられません。人間の弱さと残酷さを徹底的に突きつける一本でした。(40代 男性)
観終わった後、ずっと心が重かったです。美しい仮面を被った登場人物たちの本性が次々と明かされる展開に戦慄しました。特に田中が妹を守るために選んだ「手段」があまりにも歪んでいて、ただの兄妹愛では片付けられない闇を感じました。見応えのある心理劇です。(20代 女性)
非常に完成度の高いサスペンスでした。誰もが「普通」を装っているけれど、内面は醜く、欲にまみれているという構成が秀逸です。ラスト、田中が語る言葉には狂気と哀しみが入り混じっていて、ゾッとしながらも同情してしまいました。俳優陣の演技も素晴らしかった。(50代 男性)
序盤は淡々としたインタビュー形式でしたが、徐々に浮かび上がる登場人物たちの本性に引き込まれました。誰もが抱える「愚行」の積み重ねが、取り返しのつかない悲劇に繋がる過程がリアルで怖かったです。重いテーマですが、圧倒的な説得力で最後まで魅せる作品でした。(30代 女性)
冷たい映像美と抑制された演出が、この物語に完璧にマッチしていました。満島ひかり演じる妹の異常な純粋さと、それを守ろうとする田中の狂気が交差するラストは鳥肌もの。単なる犯人探しではなく、人間の弱さに迫る作品で、重いけど強烈に印象に残りました。(40代 女性)
観終わった後、しばらく何も考えられなかったです。人間の見たくない部分をこれでもかと暴き出してくる脚本が秀逸でした。田中の行動にはある意味「正義感」すら感じるけれど、それが最悪の結果を招いてしまう皮肉が胸に刺さりました。すごい映画でした。(10代 男性)
完璧な一家に潜む闇、そしてそれを冷静に暴いていく田中のインタビューが、徐々に狂気へと変わっていく過程が見事でした。最後に田中の正体が明かされたときの衝撃は凄まじいです。ミステリーとしても、人間ドラマとしても極上の一本だと断言できます。(30代 男性)
「誰にでも愚行がある」というテーマが胸に刺さりました。田中が犯した罪もまた、彼なりの「家族を守る」という歪んだ愛情の結果だと思うと、単純に悪とは言い切れない切なさがあります。満島ひかりの透明感ある演技も素晴らしく、物語に深みを与えていました。(50代 女性)
映画『愚行録』を見た人におすすめの映画5選
冷たい熱帯魚
この映画を一言で表すと?
表面上は平和な日常が、狂気と暴力に飲み込まれる衝撃のサスペンス。
どんな話?
小さな熱帯魚店を営む男が、巨大なペットショップのカリスマ店主に引き込まれ、次第に取り返しのつかない世界へと足を踏み入れていく物語。暴力と狂気の連鎖が、静かに、しかし確実に日常を侵食していきます。
ここがおすすめ!
善良そうに見える人間の内側に潜む残酷さを、これでもかと暴き出す描写は圧巻。『愚行録』で感じた「人間の怖さ」がさらに過激に表現されており、衝撃度満点のサスペンス映画を求める方におすすめです!
悪人
この映画を一言で表すと?
「善」と「悪」の境界を問う、胸に迫るヒューマンドラマ。
どんな話?
ひとつの殺人事件をきっかけに、加害者と被害者、そしてその周囲の人々の人生が大きく狂っていく様子を描いた作品。単純な犯人探しではなく、人間の弱さや孤独に深く切り込んだストーリーが展開されます。
ここがおすすめ!
犯人でさえも「一方的に悪」と断じきれない苦しさを描く本作は、『愚行録』で心をえぐられた方にぴったり。深い余韻を残す人間ドラマを堪能したい人に強くおすすめします。
怒り
この映画を一言で表すと?
「信じること」の重みを問う、壮絶な群像サスペンス。
どんな話?
未解決の殺人事件を巡り、各地に現れる「怪しい男たち」。彼らを信じるか、疑うか、周囲の人々の葛藤を描きながら、事件の真相へと迫っていきます。裏切りと信頼のテーマが胸に突き刺さります。
ここがおすすめ!
人間関係の脆さと、信じることの難しさを丁寧に描写。『愚行録』同様、登場人物たちの奥底に潜む闇を静かにあぶり出す構成が見事です。重厚なサスペンスが好きな方に強く推します!
容疑者Xの献身
この映画を一言で表すと?
一途すぎる愛が招いた、切なすぎる完全犯罪の物語。
どんな話?
天才数学者・石神が、密かに想いを寄せる女性を守るために犯した完全犯罪。その真実を、親友である天才物理学者・湯川が暴こうとするサスペンス。知性と感情が交錯するドラマです。
ここがおすすめ!
「愚行」という言葉では収まらない、悲しすぎる動機が胸に迫ります。『愚行録』のラストで感じたやるせなさや苦しさを、さらに繊細に味わいたい方にぜひ観てほしい一作です。
白ゆき姫殺人事件
この映画を一言で表すと?
噂と偏見が真実を歪める、現代社会を鋭くえぐるサスペンス。
どんな話?
美人OLが殺害され、同僚たちの証言をもとにマスコミが被害者像を作り上げていく。しかし次第に、語られる証言の歪みと、それぞれの思惑が明らかになり、真相は想像もつかない方向へ展開していきます。
ここがおすすめ!
人間の持つ「見たいものだけを見る」という本質を痛烈に描いています。『愚行録』のような「真実と嘘の狭間」に翻弄される物語が好きな方に、ぜひ観ていただきたい作品です!
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