映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の概要:TVシリーズ「機動戦士ガンダム」の主人公アムロ・レイと宿敵シャア・アズナブルの最後の闘いを描いた劇場版。出演は、古谷徹、池田秀一、鈴置洋孝。富野由悠季原作・監督。1988年製作アニメ。
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』 作品情報
- 製作年:1988年
- 上映時間:120分
- ジャンル:SF、アクション、ヒューマンドラマ
- 監督:富野由悠季
- キャスト:古谷徹、池田秀一、榊原良子、鈴置洋孝 etc
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のあらすじを紹介します。
宇宙世紀0093年。ネオ・ジオン軍の総帥シャア・アズナブル(池田秀一)は、環境破壊と旧体制の変わらない地球連邦軍に不満を募らせ、ついに宣戦布告します。まず、小惑星5thルナをチベットのラサに衝突させることに成功。裏では、地球連邦軍との停戦交渉に同意するが、取引で得た小惑星アクシズを地球に落下させる計画を進めるのです。
対する、アムロ・レイ(古谷徹)やブライト・ノア(鈴置洋孝)率いる連邦軍は、ロンド・ベル隊を結成。シャアの「地球寒冷地化作戦」に対抗します。
アムロは、ν(ニュー)ガンダムを得て、休暇中にロンデニオンへ。そこで、連邦政府参事官の娘クェス(川村万梨阿)とブライト・ノアの息子ハサウェイ(佐々木望)に会う。アムロに憧れるクェスだったが、アムロは相手にしない。
ところが、和平交渉を終えたシャアと出会い、クェスは何故かシャアに共鳴してしまう。そしてシャアの許へ去ってゆく。
アムロとシャアは、宇宙で再会。アムロは、νガンダムで、シャアは真紅のサザビーで闘い、激戦の末、シャアはアムロに敗れます。ブライト・ノアらロンド・ベル隊の活躍でなんとか小惑星アクシズの地球落下は食い止められるが、その破片が残ってしまう。アムロは、νガンダムに乗り、アクシズの破片を必死に押し返します。
これが功を奏し、アクシズの破片は地球圏を離れ、地球の危機は脱します。一方、シャアとアムロはそのまま姿を消してしまう。こうして、1年戦争から長きに渡ったネオ・ジオン戦争が終結したのだった。
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
人はいつか時間さえ支配できるさ・・ニュータイプ同士の最終決戦!
ついに安倍首相が強硬的に決めた安全保障法案が可決してしまった。別名、戦争法案。アメリカとの約束だからといって、強引に決めてしまっていいものなのだろうか?本作「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」もそんな1人の独裁的な人物シャア・アズナブルによって、地球が危機的状況になります。長年のライバル、アムロ・レイが地球を救うべく戦う戦争アニメ。
シャアとアムロは敵同士でありながら、ニュータイプという超感覚と高い戦闘能力を持っています。また同じ女性、ララアを愛した者として理解しあえる点も多い。ガンダムの永遠のテーマである、”人は分かりあえるのか”という問いに対して答えは出るでしょうか。ガンダム作品ならではの見どころとして、シャアとアムロが戦闘中に会話するシーンがあります。
アムロはνガンダムで、シャアは「赤い彗星」と恐れられた真紅のサザビーで宇宙空間を駆けます。人間ドラマとして、優れたガンダムですが、νガンダムやサザビーなどMS(モビルスーツ)の性能や戦闘シーンに心が躍ります。極右の象徴として描かれるネオ・ジオンの総帥シャア・アズナブルは、カリスマ性と人気を持つ人物。しかしその心は妹アルティシア(セイラ)でさえ、掴めない。
何故、人類を滅ぼそうとするのか理解できませんが、初めて観た時はシャアのカリスマ性に惹かれてしまいました。今、改めて再見すると”かっこ悪い人だな”と白けた気分になります。数年後に評価の変わる恐ろしい作品です。
なぜ、クェスはシャアに惹かれたのか?
「逆襲のシャア」の最も最大の謎が、”クェスがシャアに惹かれた理由”です。思春期にありがちな暴走でしょうか?いいえ。クェスがニュータイプであるが故に惹かれたのではないかと思います。その後、クェスはシャアに捨て駒として利用され、戦死するのです。
アムロは、そんなクェスに関わろうとはしませんでした。彼の中でララアを失った思いが深いからでしょう。これを戦場ではなく、”恋愛”として置き換えれば理解しやすいでしょう。共鳴したために起こった悲劇だったと考えています。
富野由悠季監督の魅力は、本当に存在してもおかしくない、でも少しおかしいキャラクターを描き出すことだ。
例えば、主要なキャラクターにシャアがいるのだが、彼が本当に情けない。見た目イケメンでカリスマ性にあふれているのだが、過去に主人公に殺された女性を指して「ララァ・スンはわたしの母になってくれるかも知れなかった女性だ」と言う。むき出しのマザーコンプレックス。しかも、それを主人公に対して言うのだからドン引きだ。富野監督は、どうかしちゃってるキャラクターを描くのがとてもうまいのだ。
ただのロボットアニメと敬遠するのはもったいない。この映画には、深い闇を抱えた男の最期が描かれている。(男性 30代)
最新作『閃光のハサウェイ』を鑑賞する前に復習するべき作品として挙げられる今作。戦闘だけでなく、男女の関係が描かれていることもあり、シリーズの中でも人気の作品です。
シャアとアムロの戦いはとにかく見応えがありますが、個人的にはシャアのキャラクターについて深く掘り下げられていて、彼の魅力が多く描かれていたように思います。この作品を見てシャアが好きになった方、魅力に気付いた方はとても多いのでは無いでしょうか。
エゴをぶつけ合うシャアとアムロに注目して、男って本当に…と思いながら見て欲しいです。(女性 30代)
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』 まとめ
シャアを象徴する真紅のサザビー。そのMS(モビルスーツ)に乗り込み、闘うシーンを観ていると、関ケ原の闘いで散った真田幸村の幻を見ているようです。いつの時代でも、独裁的な考えを持つ人は現れます。そのため、人が互いに理解し合えることは永遠に無理なのではないかと考えてしまいますが、希望はあります。
アニメを観て何か感じることが出来れば良いんです!イケメンでカリスマ性がある人物だととつい惹かれてしまう筆者ですが、改めて本作を再見すると以前とは違う見方もあるのだと気づきました。行き過ぎた思想や行動は怖い。そう思わせてくれるのが、深いドラマ性を持つガンダムの魅力です。ファースト・ガンダムファンにもぜひ、もう1度観てもらいたい。
みんなの感想・レビュー