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映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』の概要:幼少期に育児放棄と虐待を受けていたタイジは、大人になり友人達との出会いを機に、母と向き合うことを決意する。タイジの母を憎む気持ちと、好かれたいという気持ちが切なくも少しだけ温かい。

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』の作品情報

母さんがどんなに僕を嫌いでも

製作年:2018年
上映時間:104分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:御法川修
キャスト:太賀、吉田羊、森崎ウィン、白石隼也 etc

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』の登場人物(キャスト)

タイジ(大人:太賀 / 少年期:小山春明)
夫婦仲が悪い家庭で育ち、太っているという理由で幼少期は更生施設に入れられる。辛いことがあっても明るく振る舞うが、大人になってからは辛い過去を隠すように、人と深く付き合わない。劇団でできた友人がきっかけで、少しずつ心が変化していく。
光子(吉田羊)
世間体を気にし、外面は良いが、気に食わないことがあると潰しにかかる。タイジに愛情を注がず、育児放棄してしまう。
キミツ(森崎ウィン)
劇団で出会った男。金持ちで嫌味な性格だが、不思議と少しずつ打ち解けていく。
婆ちゃん(木野花)
幼いタイジが虐待を受けていることを気にかけ、タイジに優しく接する。タイジが辛い環境の中で、道を外さずに生きてこれたのは婆ちゃんのお陰である。

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』のあらすじ【起】

小学生のタイジにとって、母の光子は美しく、世間からも人気の自慢の母親であった。しかし、家での光子は気性が荒く、夫婦喧嘩は毎日であった。タイジは太っていることが原因で、光子から疎まれ、暴言を浴びせられる毎日であった。そんなタイジを心配する近所の婆ちゃんは、外に出されて泣いているタイジに、本物の祖母のように優しく接していた。

ある日、光子はタイジを肥満更生施設に預けることを決める。そこは一般的に、育児放棄された子供たちが集まる施設であった。婆ちゃんは光子を咎め、タイジには母親の存在が必要だと諭すが、光子は聞く耳を持たなかった。婆ちゃんはタイジとの別れ際に、婆ちゃんの住所が書かれた手紙を渡した。タイジにとってはその手紙が大きな心の支えとなった。

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映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』のあらすじ【承】

タイジが1年間の施設生活を終えて帰宅すると、光子は夫と離婚していた。光子と姉とタイジは引っ越すことになる。新しい生活で、光子は今までよりも強くタイジに当たるようになった。光子はタイジを殴ることで、ストレスを紛らわせていた。

17歳になったタイジは母から受ける暴力で、精神科にかかる。学校から呼び出された光子は、タイジのせいで自分が恥をかいたとタイジを怒鳴りつける。タイジはもうやめよう、と光子を諭すが、光子の感情はエスカレートして、タイジに包丁を突き付ける。産まなければよかった、と叫ぶ光子に、今までの仕打ちを後悔させるまでは死なない、と言い返したタイジは、この日から1人で生きていくことを決める。

両親が離婚してから、タイジは大好きな婆ちゃんに会えずにいたが、18歳の時に居所を知り、会いに行く。婆ちゃんは病気で弱っていたが、タイジの顔を見ると笑顔だった。婆ちゃんはタイジのことを心から心配し、励ました。

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』のあらすじ【転】

会社の仕事や友人関係が少しずつ上手くいき始めたころ、タイジの元に突然光子から電話がかかってくる。光子が再婚した相手が死んでしまったため、タイジに葬式に来て欲しい、という内容だった。タイジは突然のことに戸惑うが、そのまま電話を切った。

趣味で劇団に入ったタイジは、知り合った仲間のキミツ、大将、カナと温泉旅行に行くことになる。タイジはそこで、幼少期の辛い経験を3人に打ち明ける。自分は欠陥だらけだと悲観的なタイジだが、3人はタイジの心を受け止めて、ありのまま接する。人と深く関わることを避けてきたタイジは、初めての温かい気持ちに感動して涙する。

後日、光子の再婚相手の葬式に行くことにしたタイジは、光子と再会する。光子は久しぶりに会うタイジに対し、親族が誰もいないと恥をかくところだったから助かった、と言い放った。タイジは帰り際に、自分のことを産まなければ良かったと言ったことを覚えているか、と光子に尋ねた。光子はタイジに、タイジがお腹の中にいる時にタイジの父が不倫した過去を告白し、本気で産む気が無かったことを伝えた。

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』の結末・ラスト(ネタバレ)

友人たちの言葉に励まされ、タイジは光子を変えるために、先ずは自分が変わろうと考えた。タイジは光子の妹に、光子の子供時代のことを尋ねた。光子は母子家庭で、厳しい母親から虐待を受けていたと聞かされたタイジは、翌朝光子の住む家に出向き、朝食を用意する。

それから毎日のように光子の家に通い、家事をしていたタイジは、掃除中に借金の督促状を見つけてしまう。借金は光子の再婚相手が作ったもので、タイジは自己破産を進めるが、光子はみっともないという理由で頑なに拒む。タイジと言い争っている途中で、光子は倒れて病院に運ばれる。目を覚ました光子は、これ以上構わないで欲しい、とタイジを病室から追い返す。

タイジは、負けるものかと、キミツと一緒に着ぐるみを着て、病院の駐車場で叫びながら踊り狂う。タイジは、病室から見下ろしている光子に向かって、みっともなくても良いじゃないか、頑張れ、と大声で叫ぶ。光子は退院し、タイジと帰宅する途中で初めてタイジにありがとう、と感謝を伝える。

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』の感想・評価・レビュー

光子のような母親を持ったタイジが、どうしてこんなにも他人に優しくて、最後まで母親を見捨てずに、愛していると言えるのか少し理解に苦しんだ。過去はどうあれ、今の自分を築くのは周りの環境が大きいように思えた。何時からでも変われるし、タイジの周りには寄り添ってくれる良い仲間がいて、それが救いであった。(MIHOシネマ編集部)


本作は、幼少期に育児放棄と虐待を受けたタイジが、大人になり劇団でできた友人との出会いをきっかけに母と向き合おうとする姿を描いたヒューマンドラマ作品。
辛い過去を抱えながらも周囲に優しく接し、良き理解者や友も持って、それだけでも立派なのに、毒母と向き合い愛をつかみ取ろうとする姿に涙が止まらなかった。
どんなにひどい扱いを受けても、子どもにとって母親という存在は特別なんだということを感じた。
友人の台詞「理解する力がある方が先に気付く」という言葉が印象的。(女性 20代)


小説家・漫画家・エッセイストでもある歌川たいじのコミックエッセイを原作に映画化された作品。原作のコミックエッセイでは悲惨な虐待のエピソードが重くならないよう、面白おかしく書かれていたが、文章だけ読むとかなり酷い体験が綴られている。
今作では主演を演技派若手俳優の太賀が演じ、母親役をこちらも難しい役を演じるのに適役である吉田羊が演じている。どちらも大変に難しい役だったと思うが、どちらも流石と言うべき素晴らしい演技だった。虐待をしてしまう母親は全てにおいて悪とされ、された側の子供にばかり焦点がいきがちだ。けれども、親がなぜそうせざるを得なかったかについては、あまり注目されない。する側も辛いのだということに気付けないことの方が多いかもしれない。どちらの辛さも理解できる考えさせられる作品だと思う。(女性 40代)


とても複雑で、理解が難しい作品でした。主人公のタイジは幼い頃から母に「好かれない」人生を送っていました。好かれないと言うより「嫌われている」と言った方が正しいのかも知れません。
子供の頃は「親」がいないと生きていけないので母に好かれようとするのは分かりますが、今作の凄いところは「大人」になってから母親との関係を修復しようとしたところです。自分一人でも生きていける環境にありながら、母の愛を信じたタイジの姿は何とも健気で切なかったです。(女性 30代)

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