この記事では、映画『ナイロビの蜂』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ナイロビの蜂』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ナイロビの蜂』の作品情報
上映時間:128分
ジャンル:サスペンス
監督:フェルナンド・メイレレス
キャスト:レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ユベール・クンデ、ダニー・ヒューストン etc
映画『ナイロビの蜂』の登場人物(キャスト)
- ジャスティン(レイフ・ファインズ)
- イギリスの外交官。アフリカに赴任中、妻が強盗に襲撃され殺される。妻の死に疑問を感じたため、真相を解き明かそうとする。
- テッサ(レイチェル・ワイズ)
- 新聞記者で、ジャスティンの妻。アフリカで行われている新薬の人体実験にイギリスが関与していることに気付き、捜査をする。
- サンディ(ダニー・ヒューストン)
- ジャスティンの同僚。彼自身にも妻がいるが、テッサへの恋心を秘めている。
映画『ナイロビの蜂』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ナイロビの蜂』のあらすじ【起】
ケニアのイギリス大使館に襲撃されたと思しき軍用車両から白人女性と黒人男性の遺体が見つかったという報せがもたらされる。サンディはジャスティンに殺された女性は彼の妻であるテッサの可能性が高いと打ち明ける。ジャスティンは哀しみを堪えながら、サンディに連絡をくれたことを感謝する。
マスコミ向けの記者会見で、政府は記者から「国連による承認がない中、イギリスは誰の地図を基準にイラク侵攻を決定したのか」と問われる。超大国に従って、ベトナム戦争の二の舞を演じるのか。広報担当のジャスティンは、自分は代理で出席しているに過ぎないから返答する立場にないと言う。一人の女性記者がその答えに加熱してジャスティンに罵倒を浴びせる。他の記者は女性記者の罵声に呆れ返り、退席してしまった。残された女性記者は冷静さを取り戻し、自分の失態を嘆く。女性記者には何か個人的に戦争について思うところがあったのだろうと思ったジャスティンは、彼女に声をかけた。それがジャスティンとテッサの知り合うきっかけとなった。

映画『ナイロビの蜂』のあらすじ【承】
ジャスティンは安置所を訪れ、死体を確認することになった。泥や血に塗れ、焼き爛れていた死体には白い布がかけられていた。検死官が布を捲って死体の顔をジャスティンに見せる。その死体は間違いなくテッサのものだった。死体の傍らで、ジャスティンはテッサの思い出を振り返っていた。
アフリカ行きが決まったジャスティンの下にテッサが現れ、同行を申し出た。彼女と恋仲になっていたジャスティンは彼女の申し出を断ることができなかった。
アフリカ滞在中、テッサは子供を身ごもった。テッサの入浴中、二人の共用のコンピュータに一通のメールが届く。そのメールはテッサ宛てで、彼女の浮気を臭わすものだった。ジャスティンは彼女を信じたいと思いながらも、会話の中で探りを入れる。しかし、疑念の解消にはいたらなかった。
浮気相手と疑われるのは、医者のアーノルドだった。彼と共にスラム街の取材に向かいたいと言い出すテッサ。ジャスティンは妊娠を理由に危険なことは控えてくれと頼んだ。
映画『ナイロビの蜂』のあらすじ【転】
ジャスティンはテッサを連れて政府高官が集うパーティに出向いた。ジャスティンの妻になってもテッサの勝気な性格は変わらず、要人の不正や政策について追及しようとする。それを見たサンディは彼女が不穏の種になっているとジャスティンに警告する。
テッサの赤子は流産してしまった。失った子供の代わりを求めるように、テッサは同じ病院に入院していた十五歳の妊婦が生んだ赤子に自分の母乳を分け与えていた。アーノルドがジャスティンに流産の経緯を説明するためテッサの下を離れたとき、彼女はその場に居合わせたサンディに、自分が入院しているこの病院で、少女が殺された証拠を手に入れたと言う。それを渡すから準備が整ったら、行動を起こしてほしいとサンディに頼むテッサ。サンディはジャスティンの経歴に傷を付けることになると警告した。
テッサはケニアで行われている新薬の人体実験疑惑について調査していた。その被験者の提供に病院が関与しているのではないか。ケニアの人たちの生活に踏み込もうとするテッサを心配し、ジャスティンはアーノルドとの調査を辞めて欲しいと頼む。そんな彼にテッサは反発心を抱いた。
サンディはテッサの情報をイギリスに持ち帰ったが、本国からの返答はないと言った。深入りするなと警告してくるサンディに、テッサは自分の身体を好きにしていいから協力して欲しいと申し出る。サンディは取引に応じた。
映画『ナイロビの蜂』の結末・ラスト(ネタバレ)
テッサの死に関連して彼女の家に強盗が押し入った形跡があるという。警察の捜査の後、ジャスティンはテッサの部屋を捜索する。すると、ジャスティンは妻がサンディとも浮気していた痕跡を見つけてしまう。
ジャスティンは妻の葬儀の後、テッサの仕事仲間に彼女とアーノルドの関係を尋ねた。テッサの仕事仲間の話でアーノルドは無実だったことが発覚する。彼は同性愛者でテッサと恋愛関係に発展することは有り得なかったのだ。
ジャスティンは妻の遺した手掛かりを手に、ある村に向かった。そこでは医師団による村人の治療が行われていたが、危険性を患者に伝えずに新薬の使用を強要していた。ジャスティンがその現状を目の当たりにしたとき、地元警察がやってきて彼を拘束した。警察はジャスティンに賄賂を要求するが、そこにサンディが現れ、彼を助ける。サンディは自分たちが捜査を進めているから手を出すなとジャスティンに警告した。
尚も捜査を続けていると、ジャスティンは帰国を命じられ、旅券も奪われた。更に無期限の長期休暇を与えられ、新薬の人体実験に関する捜査からは手を引けと上司のバーナードから迫られる。
ジャスティンはテッサの従兄とその息子の協力を得て、捜査を続行した。パスワードで保護されていた妻のメールデータを覗き見る。捜査資料の中に混じって、夫婦の仲睦まじい一時を納めた映像データも残っていた。実家に還ったジャスティンは、テッサとの幸せな時間を思い返した。すると、今まで堪えていた悲しみが溢れ返り、彼は妻の死の報せ以来、初めて嗚咽した。
ジャスティンはテッサの従兄の協力を得て、イギリスを脱出する。妻の知人に会いにフランスを訪れたジャスティンは滞在していたホテルで何者かの襲撃を受ける。犯人はジャスティンに暴行を加えた後、これ以上踏み入れば妻の二の舞だと脅した。
脅しに屈することなく、ジャスティンはアフリカに向かった。サンディを問い質すと彼は新薬を研究している製薬会社とイギリスの癒着を打ち明けた。ジャスティンはサンディが妻を愛したことを非難しなかったが、テッサの信用を裏切ったことを罵った。
サンディの下を訪れた帰り、ジャスティンの下に新薬の実験責任者が現れる。妨害工作を疑ったジャスティンだが実験責任者の意図は違った。彼は社内の権力闘争に巻き込まれ、現職を追い出されようとしていた。自分が破滅するなら、経営陣も道連れにしたいと考えた実験責任者はジャスティンに新薬で死んだ者たちが埋葬された場所を教える。
外交官時代の仲間から暗殺者に狙われていると知らされたジャスティンは妻が襲撃された場所に向かった。
イギリスでジャスティンの葬儀が開かれた。自殺として報告された彼の死だが、追悼の場でテッサの従兄の口からジャスティンが集めた証拠が暴露される。国ぐるみによる不正と暗殺が公になり、教会は大騒ぎになった。
映画『ナイロビの蜂』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
正義感が人一倍強いテッサですが、そんな彼女の性格が好きです。真面目で情に厚い性格だからこそ、真剣に問題に向き合い、事件に巻き込まれてしまったのだと思います。テッサが行ったことはお節介かもしれませんが、人を助けたい気持ちが伝わってきて、この人良い人だなと感じてしまいます。夫・ジャスティンを愛していながら、他の男性に色仕掛けをしてしまったテッサですが、彼女を責める気にはなれません。一番可哀相だと感じたのは夫・ジャスティンで、彼はテッサを信じ、最終的に命を落としてしまいます。ラストで製薬会社の悪事が暴かれるので、それだけが救いです。(女性 20代)
女性らしさ、男性らしさがすごく表れている映画だと思って観ました。
社会の闇の渦の中、主人公達が命まで失くしてしまうような大きな話なのだけど、家庭という小さな社会に当てはめてしまった…
ジャスティンは優しい、その眼差しは心から優しくて、だけど臆病で、愛する人の不都合な真実を見ようとしない、その感じが私の思う男性らしくて。
ただジャスティンは、テッサが亡くなった後、彼女の見た真実を見ようと彼女の足跡を辿る、深い愛に心が震えました。
もちろん社会派サスペンスとしても見応えがある映画です。(女性 40代)
内容が少々難しく、かなり重いです。音楽がほとんど流れず、ドキュメンタリーのようなタッチなので深刻に感じます。しかも、容赦ないエンディングにしばらく落ち込んでしまいました。原作の小説を書いたジョン・ル・カレが随分昔、ある男から聞いた話が元になっているそうです。治験はしなければならないでしょう。しかし、人体実験をして誰かが犠牲になっていいはずがありません。ストーリーは非常に恐ろしいですが、アフリカの広大な大自然には癒されました。(女性 30代)
本作は、アフリカのナイロビを舞台に、大手製薬会社と治験会社との結託を描いた社会派サスペンス作品。
ナイロビが人体実験場と化し、10代に満たない子どもたちが副作用の犠牲になる姿は心が痛んだ。
また、英外交官のジャスティンと殺された妻ティッサの夫婦愛と絆の強さに感動し、同時に切なさを感じた。
そして、ドキュメンタリータッチなカメラワークは、不可解な死を遂げた妻の謎を解明する夫目線で描かれていて見応えがあり、アフリカの貧困問題や日常生活の様子も捉えられていて非常に考えさせられた。(女性 20代)
製薬会社の不正な人体実験を描きながらも夫婦愛も絡めている良質なサスペンス映画です。
テッサの描写が最初は雑と言うか、出会いの時点からあまり好きではなく「愛はあったのか?」と思っていました。謎解きのように彼女が死んだ後、これまでの軌跡を追っていくと、本当のテッサが浮かび上がってくる感じがする演出は素晴らしいです。そして、ビル・ナイの清々しいまでの悪役ぶりがすごいです。
最後はとても切ない終わり方で、アフリカの風景がただただ美しく感じます。(女性 30代)
国際的な陰謀と個人的な愛が交錯する物語に心を打たれました。特にテッサの死後、彼女の信念を引き継いで真相に迫っていくジャスティンの変化は感動的でした。最初は外交官として穏やかに暮らしていた彼が、彼女の死によって行動を起こす様子には、愛の深さと喪失の痛みがにじみ出ています。終盤の砂漠でのシーンは、彼の静かな決意と絶望が入り混じっていて、胸が締め付けられました。社会派映画としてもサスペンスとしても見応えがあり、非常に完成度の高い作品です。(40代 男性)
圧倒的な社会問題の重さと、愛の物語のバランスが絶妙でした。テッサの真っ直ぐな正義感と、それに戸惑いながらも次第に理解し共鳴していくジャスティンの姿が印象的です。製薬会社の闇に踏み込む展開は、現実世界ともリンクしていて、観ていて背筋が寒くなりました。特にラスト、ジャスティンもまた命を落とすことで、彼女と同じ道を選ぶ姿には、深い悲しみとともに希望のようなものも感じました。こうしたテーマを真正面から描いた勇気に敬意を表したいです。(30代 女性)
テッサの死の真相を追うことで、愛と真実の本質に迫っていくジャスティンの姿が印象的でした。序盤ではやや地味に感じた展開も、後半に進むにつれて緊張感が高まり、一気に引き込まれました。アフリカの風景とともに描かれる企業の非道な実態は、フィクションとは思えないリアリティがあり、非常に考えさせられました。愛する人の遺志を継ぎ、命を賭して真実を暴こうとするジャスティンの姿には心を打たれます。(20代 男性)
夫婦の関係性の変化が非常に丁寧に描かれていて、ただの社会派サスペンスではないところに魅力を感じました。テッサの死後、彼女の行動の意味を知っていく過程で、ジャスティン自身も成長していくのがよく伝わりました。彼の変化こそがこの映画の核だと思います。終盤、テッサが見ていた世界を自分の目で確認していくジャスティンの姿が心に残りました。映像美も素晴らしく、静かな怒りと哀しみが同居した作品でした。(50代 女性)
製薬業界の倫理問題に切り込んだ内容が非常に刺激的でした。テッサの行動の背景にある強い信念と、それを死後に理解していくジャスティンの葛藤が、淡々としながらも深く響きました。真相を突き止めた彼が選んだ最後の行動には、諦めと希望が同時に感じられ、何とも言えない余韻を残します。社会的なメッセージが強いものの、愛の物語としても深く共感できる作品でした。(30代 男性)
映画『ナイロビの蜂』を見た人におすすめの映画5選
シリアナ
この映画を一言で表すと?
石油と陰謀が渦巻く世界の裏側に迫る、重厚な政治サスペンス。
どんな話?
中東の石油利権を巡る国際的な政治、経済、情報操作が複雑に絡み合う群像劇。CIA工作員や石油会社の幹部など、それぞれの立場から描かれる現代のリアルな権力構造が、観る者に衝撃を与えます。社会派映画が好きな人にはたまらない1本。
ここがおすすめ!
情報量が多く一見難解ですが、その分何度も観たくなる深みがあります。グローバル企業と政府、スパイ活動のリアルな描写が、まるで現実の一部を覗いているかのよう。緊迫感と知的刺激が止まりません。
マイケル・クレイトン
この映画を一言で表すと?
正義と利益の狭間で揺れる男の静かな闘いを描いた法廷スリラー。
どんな話?
企業の”揉み消し屋”として働くマイケルが、巨大企業の不正に巻き込まれていくサスペンス。無関心だった男が真実を知り、正義のために立ち上がる姿が静かに、しかし確実に胸に迫ります。脚本も演技も秀逸な一本。
ここがおすすめ!
ジョージ・クルーニーの静かな熱演が光ります。派手なアクションはないものの、緻密に構成された脚本と緊張感のある演出で、ぐいぐいと引き込まれます。社会派ドラマとしての完成度も非常に高いです。
告発のとき
この映画を一言で表すと?
愛する息子の死の謎を追う父親の執念が胸を打つ、戦争と人間の物語。
どんな話?
元軍人の父親が、軍隊で失踪した息子の行方を追う中で、軍の内部に潜む闇と向き合っていく物語。親として、元兵士としての葛藤が描かれ、静かな怒りと深い悲しみに満ちた社会派ヒューマンドラマです。
ここがおすすめ!
軍や国家の欺瞞といった重いテーマを扱いながらも、中心にあるのは「親子の愛」。トミー・リー・ジョーンズの演技が圧巻で、物語に説得力を与えています。人間ドラマと社会的問題が融合した秀作です。
スポットライト 世紀のスクープ
この映画を一言で表すと?
一歩ずつ真実に近づく記者たちの姿が胸を打つ実録ドラマ。
どんな話?
ボストン・グローブ紙の記者チーム「スポットライト」が、カトリック教会の性的虐待問題に挑む実話ベースの作品。綿密な取材と調査を描くプロセスが、地味ながらも圧倒的な緊張感で描かれます。
ここがおすすめ!
事件の深さと重さを、記者たちの地道な努力とともに描くことで、正義を追求する意義を静かに浮かび上がらせます。派手さはないですが、感情に訴える力が強く、観終わった後の余韻がとても深いです。
ラスト・キング・オブ・スコットランド
この映画を一言で表すと?
独裁者の恐怖と魅力を若き医師の視点で描く衝撃の政治ドラマ。
どんな話?
1970年代のウガンダで、実在した独裁者イディ・アミンと、彼の主治医となったスコットランド人青年との関係を描いた物語。最初は魅力的に映るアミンが、次第に狂気と恐怖を露わにしていきます。
ここがおすすめ!
フォレスト・ウィテカーの怪演が圧巻。独裁者の魅力と恐怖を見事に体現しています。アフリカを舞台にした緊迫感ある物語で、『ナイロビの蜂』が好きな方には、きっと刺さるはずです。
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