この記事では、映画『ハンニバル・ライジング』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ハンニバル・ライジング』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ハンニバル・ライジング』の作品情報
上映時間:121分
ジャンル:サスペンス
監督:ピーター・ウェーバー
キャスト:ギャスパー・ウリエル、コン・リー、リス・エヴァンス、ケヴィン・マクキッド etc
映画『ハンニバル・ライジング』の登場人物(キャスト)
- ハンニバル・レクター(ギャスパー・ウリエル)
- 幸せな家庭に育つが、戦争で家族を全員失う。後に連続殺人鬼となる。
- ミーシャ・レクター(リア・タコヴシュカ)
- ハンニバルの妹。戦争の際大人達に食われ命を落とす。
- レディ・ムラサキ(コン・リー)
- レクターの叔父の妻。戦争孤児となったレクターを暖かく迎え入れる。
- グルータス(リス・エヴァンス)
- ミーシャを殺した男達のリーダー格。警察にも追われる犯罪者。
- ポピール(ドミニク・ウェスト)
- 警視。ハンニバルが連続殺人犯だと勘付く。
映画『ハンニバル・ライジング』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ハンニバル・ライジング』のあらすじ【起】
今では連続殺人鬼として恐れられているハンニバル・レクター。そんな彼にも、幸せな子供時代があった。彼は裕福な家庭に生まれ、両親と妹のミーシャと共に幸せに暮らしていたレクター。しかし、そんな折第二次世界大戦が勃発する。その対戦で、レクターは家族全員を失ったのだった。特に、ミーシャは腹を空かせた男達に食われるという悲惨な最期を辿る。
戦争孤児となったレクターは、両親の遺品をもとに叔父の元へと向かった。しかし、既に叔父は死去し、その場には叔父の妻であるレディ・ムラサキだけが残されていた。日本人である彼女は以前に原爆を体験しており、レクターと同様戦争による痛みに理解の深い女性だった。レディ・ムラサキはレクターを喜んで引き取ると、傷ついた彼を癒すべく真摯に介護をしてくれるのだった。
レディ・ムラサキは日本刀や絵巻など、様々な日本に由来するものを所持していた。レクターは日本の文化にすっかり虜となり、レディ・ムラサキに日本のことを教えてもらう毎日を送っていた。

映画『ハンニバル・ライジング』のあらすじ【承】
壮絶な幼少期を送ってきたためか、レクターは年齢に不釣り合いであるほどの冷静を伴った少年であった。彼はレディ・ムラサキを守るために殺人を行い、容疑を確定するため嘘発見器にかけられたのだが、なんとその機械をも欺いてみせたのだ。
成長したレクターは、優秀な成績を収め奨学生として医学校に入学する。そして、医療を学ぶようになったレクターは自白剤の存在を知るのだった。実は、レクターはその衝撃のあまり、妹が死んだ場面の記憶を失っていたのだった。そして、自白剤を用いれば自らの失われた記憶を取り戻すことができると考える。
そして、レクターの狙いは正しかった。彼は妹を食べた憎き男達の存在を思い出したのだ。レクターは、妹が食べられてしまった現場へと久しぶりに戻る。そして、そこに残された手がかりをもとに、男達の正体を突き止めるのだった。それからというもの、レクターの復讐を果たす壮絶な旅が幕を開けることになるのだった。
映画『ハンニバル・ライジング』のあらすじ【転】
現在真っ当な職につき家族に恵まれた者から、警察に追われる大罪人まで、妹を殺した男達は様々だった。しかし、レクターは彼らの現在など関係なく、等しく罪をさばいていく。レクターは、男達を殺すと、必ずその身体の一部分を食した。それは、妹ミーシャと同様の目に遭わせるためでもあり、そして、実はレクターが生まれ育った地域にはカニバリズムの習慣があったためだった。
警察はそのレクターによる連続殺人を、猟奇犯によるものであると考える。そして、その中でもポピールという警視は、それがハンニバルによるものということに薄々気づき始めていた。ハンニバルは、男達の中でもリーダー格である、グルータスを追っていた。そして、犯罪者であるその男は警察にも追われていたのだった。
レクターがなぜ男達を追い、そして殺すのか、ポピールはレクターから直接話を聞き彼の過去を知ることとなる。ポピールは、レクターの話を聞いた上で、グルータスは警察が裁くべきだと話し、レディ・ムラサキもそれに同意した。しかし、レクターだけはそれを良しとはしなかったのである。
映画『ハンニバル・ライジング』の結末・ラスト(ネタバレ)
レクターは、グルータスの別荘へと向かった。そさて、彼の虚をついてグルータスを殺そうとするが、中々一筋縄にはいかない。しかし、レクターはあらかじめ時限爆弾を仕掛けていた。爆弾が起動し、グルータスの別荘は炎に包まれていく。しかし、グルータスはなんと生き延びていたのだ。グルータスはレディ・ムラサキを人質にとると、レクターを呼び出した。
ハンニバルはその誘いに乗り、レディ・ムラサキの救出に向かう。途中、背中を撃たれるなどの危険がありながらも、レクターは見事レディ・ムラサキの救出に成功するのだった。レディ・ムラサキもか弱いだけの女性ではない。自由の身になったレディ・ムラサキは、自ら護衛を倒すなどの活躍を見せ、レクターが復讐を果たすことができるようにサポートする。
そして、とうとうレクターはグルータスへ復讐を果たしてみせるのだった。その後、レディ・ムラサキは護衛を殺した罪で自ら警察に出頭する。しかし、レクターは、まだ復讐を果たしていない相手を追い求め、そのまま姿を消すのだった。
映画『ハンニバル・ライジング』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
レクター博士が若かりし頃に、日本人の女性を好いていた事実は、『羊たちの沈黙』シリーズファンとしては、とても嬉しいことです。
レディ・ムラサキが侮辱された際、青年レクターは、怒りに身を任せて相手を襲います。そのシーンを観た時、「レクター博士にも若い頃があったのだな」と、しみじみ感じてしまいました。ライジングのレクターは、若さ故の衝動はあるものの、非常に賢いので、観ていて安心します。
本作のレクターは、穏やかな美青年ですが、憎い相手に容赦なく鉄槌を下す所は、博士のレクターとも通じる所があり、レクターならではの強さと格好良さを感じます。(女性 20代)
羊達の沈黙に登場するハンニバルレクターという人物がどのような幼少期を送り、人格形成をしてきたのかがわかる内容となっている。育った環境も特殊であり、文化としてカニバリズムという行為が存在していたからこそ、レクターが人を食べるという行為はある意味自分の中での予定調和であったのだろう。我々が知っているハンニバルレクターの性格は、既に幼少期の頃にその片鱗が見え隠れしているが、そこへ復讐という行為が加わった事で、完全なまでの非情さを手に入れたのだと感じた。(男性 30代)
本作では、ハンニバル・レクターの幼少期から青年期までの生い立ちを描いている。
レクター博士の壮絶な過去と、人肉に目覚めるきっかけが何とも切なかった。
妹を食った人間たちに容赦ない復讐を果たすシーンが非情で観るに堪えないが、要となる妹を食べている描写がなかったのが物足りなさを感じた。
アンソニー・ホプキンスの不在も相まって、シリーズの中でも印象が薄かった。
レクターが日本人女性に恋し、復讐の際には日本刀を使うなど、日本的要素が散りばめられている点は日本人として嬉しく思う。(女性 20代)
若きハンニバル・レクターがなぜ冷酷な殺人鬼へと変貌したのか、その原点が描かれていて興味深かったです。妹を戦時中の混乱で失い、さらに彼女を食料にされたという壮絶な過去が、彼の異常な人格を形作った背景に説得力がありました。復讐劇としての流れもスリリングで、特に日本刀でのシーンは強烈に印象に残っています。悲劇が怪物を生む構図に納得です。(20代 男性)
美青年として描かれた若き日のハンニバルが、段々と狂気に染まっていく過程は見応えがありました。孤児となり、妹を失い、その記憶に取り憑かれる姿には同情も覚えます。リトアニアの寒々とした風景がその絶望感をより引き立てていて、演出も良かったです。ラストの決着にはカタルシスを感じましたが、同時に彼の“人間性”の消失も痛々しく映りました。(30代 女性)
ハンニバル・レクターのルーツを描くという試みに期待して観ましたが、思っていた以上に感情的な部分に焦点が当たっていたのが印象的でした。冷酷で計算高いイメージだった彼の、復讐に駆られる姿は人間臭く、意外性があって面白かったです。特にミーシャの死が彼の人格にどれだけ深く影響したのかが丁寧に描かれていたのが良かったと思います。(40代 男性)
ストーリー全体に暗いトーンが流れており、終始緊張感がありました。過去作と比べるとホラー要素は控えめですが、代わりに心理描写が濃密で、ハンニバルの内面が丁寧に掘り下げられています。悲劇が人間の内側にどう影を落とすか、そのリアルさが印象に残りました。彼が「人間を喰う」という選択に至るまでの心の変遷に納得できました。(50代 女性)
ハンニバルシリーズの中では異色の青春劇とも言える内容でした。フランスの寄宿学校から日本刀、ドイツ人戦犯の追跡と、ジャンルの枠を超えた展開に驚かされました。特にコンスエラとの関係性が彼のわずかな良心を象徴していて切なかったです。最終的に復讐を果たすものの、心は空虚なままという結末が印象的でした。(30代 男性)
戦争孤児となった少年が、やがて冷酷な殺人鬼になるという設定には非常に説得力がありました。特に、妹を食べた男たちへの復讐は観ていて手に汗握るもので、正義とは何かを考えさせられました。アクションとサスペンスがバランス良く配置されており、シリーズの中でも個人的には見やすい作品でした。彼の目から涙が流れるラストは忘れられません。(20代 女性)
シリーズファンとしては、あの冷酷無比なハンニバルの“人間だった頃”を見ることに抵抗がありましたが、結果的にはとても良く出来ていたと思います。戦争という極限状態がいかに人の心を歪めるか、その例として非常にリアルでした。妹の存在が彼にとって永遠の痛みとなっていることが、全ての原点であるという描き方が秀逸でした。(40代 男性)
映画『ハンニバル・ライジング』を見た人におすすめの映画5選
レッド・ドラゴン
この映画を一言で表すと?
ハンニバル・レクターとの“最初の対峙”が描かれる緊迫の心理戦!
どんな話?
FBIの元捜査官グレアムが、冷酷な殺人鬼“レッド・ドラゴン”を追う中で、過去に因縁のある精神科医ハンニバル・レクターに協力を求める。事件の鍵を握るのは、犯人とレクター、そして彼らの心の闇に潜む恐怖だった。
ここがおすすめ!
『ハンニバル・ライジング』で興味を持った方には、レクターが“捕まった後”の物語として必見です。アンソニー・ホプキンスの怪演が光り、知的で危険なレクター像が強烈な印象を残します。緊張感の連続に息を呑むはずです。
セブン(SE7EN)
この映画を一言で表すと?
七つの大罪に沿って進む、残酷で美しい犯罪芸術。
どんな話?
退職間近のベテラン刑事と新米刑事が、連続猟奇殺人事件を追うサスペンス。犯人は“七つの大罪”をテーマに次々と凶行を重ね、追う者の精神までも追い詰めていく。ラストには、衝撃と静寂が交差する結末が待ち受ける。
ここがおすすめ!
緻密に構成されたストーリーと、ダークな映像美、そして圧倒的なラストの衝撃が特徴の作品です。犯罪者の哲学的な狂気が『ハンニバル・ライジング』の復讐劇と通じる部分もあり、重厚なミステリーを求める方に最適です。
ジョーカー(JOKER)
この映画を一言で表すと?
悲しき“悪”の誕生を描いた、現代のダーク・オリジン。
どんな話?
社会から疎外され、心の病を抱えるコメディアン志望の男アーサーが、少しずつ狂気に染まりながら犯罪者ジョーカーへと変貌していく過程を描いたドラマ。暴力の連鎖と孤独の果てにある“覚醒”の物語です。
ここがおすすめ!
主人公の心の闇が社会によって形成されていく様子は、『ハンニバル・ライジング』と共通点が多く、共感と戦慄が交差する作品です。ホアキン・フェニックスの演技は圧巻で、心を抉られるようなリアルさがあります。
マシニスト
この映画を一言で表すと?
極限の精神状態を描いた、眠れぬ男のサスペンス。
どんな話?
不眠症に悩み、極度に痩せ衰えた工場労働者トレヴァー。彼の周囲で不可解な出来事が次々に起こり、現実と幻覚の境界が曖昧になっていく。やがて彼は、自身が背負う“罪”にたどり着く…。
ここがおすすめ!
人間の精神崩壊を極限までリアルに描いた作品で、視覚的にも心理的にも衝撃が強いです。クリスチャン・ベールの激やせ演技が圧巻。復讐や贖罪といった『ハンニバル・ライジング』にも通じるテーマが魅力です。
ミスティック・リバー
この映画を一言で表すと?
過去の傷が今を蝕む、哀しき人間ドラマの極致。
どんな話?
幼い頃に起きた誘拐事件が3人の男たちの人生を大きく狂わせ、大人になった彼らはある殺人事件をきっかけに再会する。過去と現在が交差し、真実が暴かれていく中、それぞれの心に秘めた苦しみが浮かび上がる。
ここがおすすめ!
心の傷が人格に影響を与えるというテーマが『ハンニバル・ライジング』と重なります。ショーン・ペンら俳優陣の演技が胸を打ち、重厚な物語と衝撃のラストが強烈な余韻を残します。静かで深い名作ドラマです。
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