映画『ハル(1996)』の概要:1996年公開の日本映画。監督は森田芳光で、パソコンチャットで知り合った男女がやりとりをしていくうちに恋をしてしまうというラブストーリー。主演は深津絵里で相手役の内野聖陽は映画デビューとなった作品である。
映画『ハル』 作品情報
- 製作年:1996年
- 上映時間:118分
- ジャンル:ラブストーリー
- 監督:森田芳光
- キャスト:深津絵里、山崎直子、竹下宏太郎、内野聖陽 etc
映画『ハル』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
映画『ハル』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ハル(1996)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ハル』 あらすじ【起・承】
速見(内野聖陽)は最近パソコン通信を始めた。
ハンドルネームはハルだ。
映画フォーラムという映画の感想を語るチャットで、ハルはホシという名前の男と知り合いになった。
二人はなんとなくチャットから抜け出し二人で会話をするようになった。
話も合い気も合うため、相談事もしている。
このホシという男、実は本名を藤間美津江といい、盛岡に暮らすOLだった。
本当は女であることをハルに打ち明けてみるが、ハルへの態度は変わらず以前仲良くしていた。
その頃ハルは同じくチャットで知り合ったローズと実際に会っていた。
しかしローズは子供っぽく、ハルは女として見られない。
一方でホシは転職活動を繰り返していた。
そこに声をかけてくる山上という男性がいる。
ホシは昔恋人を亡くしたという過去があり、恋愛や結婚に臆病だった。
そんな山上も恋人を亡くした過去があった。
自分たちなら愛情が無くても仲良くできるという山上。
ホシはその言葉を受け入れることは出来なかった。
映画『ハル』 結末・ラスト(ネタバレ)
ある日ハルはホシのいる盛岡に出張に行くことになった。
そのことをホシにメールで伝えたハル。
二人はハルが乗る新幹線からお互いを一目見ようと提案する。
その新幹線が通り過ぎる時、ホシはハンカチを振り田んぼにいた。
そしてハルの乗る新幹線の窓を一瞬だがビデオに収めるのだった。
そこへほしの妹の由花が帰省した。
ホシは由花がパソコン通信をやっていることを知った。
しかも彼女のハンドルネームはローズだった。
驚きとショックで呆然とするホシ。
ハルと実際に会っていたのは妹だったのだ。
ハルは見栄からか、ホシにメールでローズとホテルに行ったなどと嘘をついていた。
このことでホシは余計にショックを受けたのである。
それをハルに伝えると、驚いたハルもまたホシに本当のことを話す。
しかし心の距離を埋めることができなくなったホシは、ハルにメールを出すのを止めた。
ホシは時間が経ち、自分のハルの大事さに気がついた。
そしてもう一度メールを出す。
二人はここからやり直そうと決める。
ホシはハルに会うために東京に向かうことにした。
東京駅のホームで初めて顔を合わせた二人。
これが二人の初めましてだった。
映画『ハル』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ハル(1996)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
当時には斬新なパソコン通信
この映画は当時にしては珍しくパソコン内で知り合った男女が、顔も見ずに恋愛に発展していくという今時ありそうな話である。
しかも最初は男だと名乗るところから始まるかなりうぶなストーリーで、昭和の良き時代を象徴している。
ずっとメール画面が続くイレギュラー作品
内容はまあ面白いのだが、画面の切り替えがメール送信画面ばかりで退屈する。
最初から最後まで会わない設定であるし仕方ないのだが、もう少し動きをつけてほしかった。
同じような作品でアメリカ映画の「ユーガットメール」という映画がある。
タイトル通りメールのやりとりで恋に落ちていく有名な作品だが、やはり同じようなトキメキは本作品には薄い。
演出が暗いのとハンドルネームが多くわかりにくいのも難点であるのだ。
深津絵里の可愛らしさ
深津絵里の透明感が非常に映える作品である。
彼女の素朴で一生懸命な雰囲気は見ているものを裏切らない。
一貫してピュア系女子を演じてくれるため、予想外の展開に進まない。
そこが安心して鑑賞できるポイントである。
あまり恋愛ドラマや映画のイメージが無い女優だが、仕草や表情、どれをとってもわざとらしくなく好感がもてる。
インターネットの黎明期、電子メールよりもちょっと前の「パソコン通信」時代のお話。当時はパソコン通信をやっている人は限られていたので、今よりもネット上でしか知らない人と深めのやり取りをする機会が多かったかもしれない。画像も簡単に扱えない環境だったので、性別や見た目が分からないままやり取りを続けることも普通だった。この映画はそんな一時代を切り取った画期的な作品だ。今となっては理解されづらいかもしれないが、こういう環境だったからこそ通じあうものがあったことを知っている世代には贈り物のような一本。(男性 40代)
映画『ハル』 まとめ
森田監督の作品にしては意外な展開の作品である。
最初から最後までメール画面が続き、ラストシーンでようやく顔を合わせるという今では通用しないようなストーリー展開。
それどころは今では犯罪のにおいさえする危険な行為である。
この映画がデビューとなる内野聖陽のフレッシュな演技も良く、メールで恋に落ちるという純粋な恋愛映画を見事に仕上げてくれた。
つっこみどころもあるにはあるが、こんな緩い映画があっても面白いかもしれないと思う今日この頃である。
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