この記事では、映画『春との旅』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『春との旅』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『春との旅』の作品情報

上映時間:134分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:小林政広
キャスト:仲代達矢、徳永えり、大滝秀治、菅井きん etc
映画『春との旅』の登場人物(キャスト)
- 中井忠男(仲代達矢)
- 一人娘を自殺で無くした後、5年間孫娘の春に世話を焼いてもらいながら同居している老人男性。頑固で気むずかしいが、一人では何もできない甘えた所もある。兄弟とは疎遠で、付き合っていない。
- 中井春(徳永えり)
- 忠男の一人娘孫。無愛想だが真面目で、祖父思い。意思は強いが、女性らしさが足りない一面も。
映画『春との旅』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『春との旅』のあらすじ【起】
中井忠男は頑固で気むずかしい老人だ。
唯一彼を理解しているのは、足の悪い忠男と同居して世話をしてくれている孫娘の春だけである。
忠男の一人娘は5年前自殺していた。
しかし最近春が給食を出す仕事をしていた学校が廃校になることが決まり、職を失うことが決まった春は東京に出て仕事を探したいと祖父に告白した。
春は一人になってしまうことを恐れた忠男に、「疎遠になっていた兄弟のところに世話になれば良い」と言ってしまい喧嘩になってしまう。
怒りがおさまらない忠男は悪い片足を引きずりながら、まずは兄の重男の元に向かうことにする。
急いで追いかける春も同行することにした。
ずいぶん山を登ったところにある大きな家の主が、兄の重男の家である。
決して歓迎はされていないが家にあげてもらい話しをすると、重男に「物置で良いから置いて欲しい」と頼んだ。
だが人の手前もあり拒否された上、昔から生意気なその態度にも文句を言われた。
帰り際、重男は忠男に「秋には夫婦でホームに入る。息子夫婦の決定には逆らえない」と話す。

映画『春との旅』のあらすじ【承】
次に目指したのが弟の幸男だ。
しかし毎年送られて来る年賀状に書かれている住所に行っても、中井という名字の人間は住んでいないと言われる。
そこに同じような条件で住んでいる「清水」という母子家庭で定食屋を営んでいる人がいるという情報だけ入手した。
だがその清水さんにも会うことが出来ず、諦めかけたその時だった。
昼食をとった定食屋でたまたま女将を「清水さん」と呼ぶお客を見て、忠男は春に確認にいかせた。
彼女は間違い無く幸男の内縁の妻であった。
しかし幸男は他人を庇い8年刑務所に入っているという。
清水さんと話しが出来た二人は、毎年届く年賀状が彼女からのものだったと知り次の場所に向かった。
翌日向かったのは姉の茂子である。
彼女は夫を亡くした後も一人で温泉旅館を経営しており、現在も現役である。
訪ねてきた弟に「働かない人間は置かない」と言い放つ。
しかし春のことは違った。
元々は忠男が若い時、にしん漁の魅力にとりつかれ、家族の反対を聞かず家を飛び出したのが不幸の始まりだった。
「忠男のわがままで家族全てを巻き込んで、不幸になっている。家族は犠牲者だ」と愛情を持って説教した茂子は、春が了承すれば後継者として働かせたいと茂子は言った。
しかし春はその申し出を断ると、考えが変わり忠男と一緒に暮らしていこうと思っていると茂子に話し旅館を後にする。
映画『春との旅』のあらすじ【転】
最後は仙台に暮らす三男の道男だ。
不動産経営をしていた道男の家に電話をした春は、使われていない番号だと知ってショックを受ける。
近所の人に現在の住所を聞いて訪れた二人が新居に到着すると、見上げるほどの高層マンションに驚いてしまう。
部屋のチャイムを鳴らすと道男が出た。
引退では無くセカンドライフのためにビジネスチャンスをうかがっているという道男は、一人で何もしようとしない根性が無い忠男の話に頭に来る。
そしてもみ合いになり、二人は彼のマンションを後にした。
どこにも居場所が無いと思いつつも、どこか期待していた忠男は「この先をどうしようか」と不安になるが、春は「一緒に居る」とその意思は堅かった。
この旅で兄弟のやり取りを間近で見た春は羨ましくもあり、疎遠になっている父の元を訪ねたいのだと忠男に言う。
翌日牧場を経営している父を訪ねると再婚相手がいた。
そのことを知らなかった春はショックを受けるが、彼女がとても善い人で話をすることが出来る。
親子で久しぶりに話すことが出来た父と子は、最初は無言だったがポツリポツリと話始めた。
少しだけお互いの気持ちや過去に向き合えた二人。
今まで頑張ってきた春も、この日だけは声を出して泣いた。
映画『春との旅』の結末・ラスト(ネタバレ)
一方で、気を利かせて親子二人だけにして散歩に出た忠男は、再婚相手ののぶこと会話をする。
彼女は両親が離婚し、父を知らずに育った過去を話す。
そこでいつも彼から元義父の話を聞いていたと話し、自分たちと暮らさないかと提案した。
家族でも気が合わない人間がいるが、気が合えば良いのでは無いかと心から言ってくれた彼女に癒やされる忠男。
その優しさに涙する彼はその気持ちだけで十分だと話し、こっそりここを立とうと春に話す。
帰り道、忠男は知っているそば屋によって食事をとった。
そこで春の母親が春を身ごもった時のことを話始める。
どうか結婚させてやってくれと頼みにきた帰りに、春の母親とここで蕎麦を食べて帰ったのだと言った。
全てが終わり、電車で帰路に向かう二人。
春にもたれかかりぐっすり寝ている忠男だったが、そのまま床に転がり落ちる。
彼は眠っているわけでは無かった。
忠男は兄弟全員に会えた安心感からなのか、春と暮らせるという安心感からなのか、眠るように春の横でその一生を終えた。
映画『春との旅』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
仲代達矢の演じる主人公忠男と徳永えりの演じる孫の春がずっと旅をするロードムービーなので2人は行く先々で誰かに出会うわけだが、その面子がすごい。
最初に2人を待っていたのは大滝秀治と菅井きんの超ベテランだ。仲代達矢と大滝秀治が兄弟としてやり合っているだけで“いや〜、参ったね、こりゃ”と言いたくなる。
小林薫がちょっと顔をのぞかせたと思ったら今度は田中裕子が登場。“田中裕子はやっぱりうまいなあ”なんて感心していると、次は往年の大女優淡島千景が降臨する。老いてなお、透けるように白い肌が美しい。涙をこらえて弟を見送る演技は絶品だ。
続いては柄本明の登場。その妻は美保純だ。柄本明の長台詞から、仲代達矢との迫力ある兄弟喧嘩。もうお腹いっぱいなところに現れるのが香川照之。まさかとは思ったがやっぱり出ましたねという感じ。この人は年間何本の役をこなしているのだろう…。
まるで仲代達矢が日本の名優と名女優を相手に芝居を見せる旅のようだった。(女性 40代)
これだけのキャスティングと感動的なストーリーを揃えていながら、どうも物語に入り込めない。その原因はとにかく演出がくどすぎるのだ。
まずはなぜそんなに音楽を入れたがるのか。ここまで音楽が入ると耳障りでしょうがない。
そしてやたらとアップが多い。アップはあってもいいがそのシーンの最初から最後まで(しかもワンシーンが長い)役者の顔だけが切り替わる映像が続くと“これは役者のスケジュールが合わなくて別撮りした映像をつないでいるのか?”とまで考えてしまう。役者の表情をよく見てくれということなのかもしれないが、はっきり言ってきつい。お願いだから引きの絵も見せて下さいと懇願したいレベル。
最後に、春のガニ股歩きは見苦しいだけで何のリアル感もない。歩いたり走ったりするシーンが多いだけに気になりだすともうダメだ。彼女が動くたびにイライラしてしまい、物語どころじゃなくなってしまう。(女性 40代)
祖父・忠男と孫の春が、春の縁談をきっかけに旅に出る物語は、静かながら心に深く染み入った。頑固で不器用な忠男と、どこか達観した春の距離感がリアルで、家族だからこその言葉にできない感情が丁寧に描かれている。旅の途中で出会う人々との会話を通して、二人の人生観が少しずつ浮かび上がる構成が印象的だった。終盤、忠男が突然この世を去る展開は唐突でありながら、人生の終わりがいかに日常の延長にあるかを突きつけてくる。派手さはないが、生きることと別れを真正面から描いた忘れがたい作品。(30代 男性)
全体を通して淡々とした語り口だが、その分、感情の余白が大きく、観終わった後に静かな余韻が残った。春が祖父に対して抱いていた尊敬と反発、その両方が旅を通じて自然に表れていくのがとてもリアルだった。特に、春が自分の将来について明確な答えを持てないまま進んでいる姿は、同世代として共感できる部分が多い。ラストで忠男が亡くなった後も、春の人生は続いていくという描写が、喪失の先にある現実を感じさせる。静かながらも確かな力を持つ日本映画だと思う。(20代 女性)
年齢を重ねてから観ると、忠男の生き方が胸に迫った。職を失い、家族とも距離ができ、それでも孫の幸せを願い続ける姿は、不器用な愛情そのものだ。春に厳しい言葉を投げかけながらも、彼女の人生を案じていることが随所に感じられる。旅の途中で見せる弱さや孤独が、忠男をより人間的にしていた。突然の死は衝撃的だが、だからこそ「いつか来る別れ」を強く意識させられる。静かなロードムービーの中に、人生の重みが詰まっている。(50代 男性)
祖父と孫という関係性をここまで正面から描いた作品は珍しいと感じた。春は決して感情的ではないが、その沈黙の中に多くの思いを抱えているのが伝わってくる。忠男の古い価値観に反発しつつも、完全には否定できない葛藤がリアルだった。旅先での何気ない会話や沈黙が、二人の歴史を物語っているようで印象深い。ラストで春が一人になる展開は切ないが、それは同時に彼女が自立して生きていく始まりでもある。静かで誠実な映画。(30代 女性)
派手な事件が起こるわけではないが、人と人の関係性の変化をここまで丁寧に描いた点に好感を持った。忠男の頑固さは時に不快にも映るが、それが彼の人生そのものだと理解できる描写が積み重ねられている。春が祖父の言葉にすぐ反論せず、飲み込んでしまう場面が多いのも現実的だった。終盤、忠男が亡くなった後の静けさが、喪失の大きさをより強く感じさせる。観る側に考える余地を残す、大人向けの作品だと思う。(40代 男性)
この映画は「旅」というよりも「時間を共有する物語」だと感じた。目的地が明確でない分、会話や沈黙そのものが意味を持っている。春が縁談に迷いを感じている理由や、忠男が彼女を案じる理由が、説明的でなく自然に伝わってくるのが良かった。ラストで忠男が亡くなり、春が一人で現実に戻っていく姿はとても静かだが、強い余韻を残す。人生は続いていくという事実を、押し付けずに描いている点が印象的だった。(20代 男性)
女性の視点で観ると、春の置かれた状況がとても現実的に感じられた。結婚という選択を前にしながらも、心から納得できていない彼女の迷いは、多くの人が経験するものだと思う。忠男の価値観は古いが、彼なりに春の幸せを考えていることが伝わってくるのが切なかった。旅の終わりに訪れる突然の別れは、人生の不条理さを象徴している。静かな作品だが、観る人の人生経験によって受け取り方が変わる深い映画。(40代 女性)
セリフが少なく、間を大切にした演出が印象的だった。忠男と春の間に流れる空気が、そのまま二人の関係性を表しているように感じる。祖父という存在が、時に重荷であり、時に支えでもあるという描写がリアルだった。ラストで忠男が突然亡くなる展開は、人生における「準備できない別れ」を突きつけてくる。観終わった後、家族との関係について考えずにはいられない。静かながらも心を揺さぶる作品。(60代 男性)
映画『春との旅』を見た人におすすめの映画5選
東京家族
この映画を一言で表すと?
家族という当たり前の存在が、どれほど脆く尊いものかを静かに描いた現代の家族劇。
どんな話?
地方で暮らす老夫婦が、成長した子どもたちを訪ねて東京へ向かうことから物語は始まる。久しぶりに再会した家族は、それぞれに生活や事情を抱えており、理想とは異なる現実が浮かび上がっていく。何気ない会話やすれ違いの中で、家族の距離と絆が静かに描かれる。
ここがおすすめ!
『春との旅』同様、世代間の価値観の違いや、言葉にできない思いを丁寧に描いている点が魅力。派手な展開はないが、日常の積み重ねが胸に沁みる。年齢を重ねるほど見え方が変わる、深い余韻を残す作品。
歩いても 歩いても
この映画を一言で表すと?
家族の距離感を“何も起こらない一日”で描き切る、静かな傑作。
どんな話?
亡くなった長男の命日に集まる家族が、実家で一日を過ごす様子を描いた物語。食卓での会話や何気ない行動の中から、過去の後悔や現在の不満が少しずつ浮かび上がる。大きな事件は起こらないが、家族の本音がじわりと滲み出てくる。
ここがおすすめ!
沈黙や間を大切にする演出は『春との旅』が好きな人に刺さるはず。説明しすぎないからこそ、登場人物の感情を自分自身に重ねられる。家族とは何かを静かに問いかける一本。
おくりびと
この映画を一言で表すと?
死を通して、生きることの意味を見つめ直す感動作。
どんな話?
チェロ奏者の夢を諦めた主人公は、ひょんなことから納棺師として働くことになる。最初は戸惑いながらも、亡くなった人と遺された人々に向き合う中で、仕事の意味と命の尊さを知っていく。生と死を優しく包み込む物語。
ここがおすすめ!
『春との旅』と同じく、別れを避けずに描きながらも、決して悲しみだけに終わらない点が魅力。静かな感動と深い余韻があり、人生の節目で観返したくなる作品。
かもめ食堂
この映画を一言で表すと?
ゆっくり生きることの心地よさを教えてくれる、優しい時間の映画。
どんな話?
フィンランドのヘルシンキで小さな食堂を開いた日本人女性が、少しずつ人とのつながりを築いていく物語。大きな目標や劇的な展開はなく、日々の食事と会話を通して人生が静かに動いていく。
ここがおすすめ!
旅と時間の共有を大切に描く点で『春との旅』と通じる作品。登場人物たちの距離感が心地よく、観ているだけで心が整っていく。静かな映画が好きな人におすすめ。
そして父になる
この映画を一言で表すと?
血のつながりとは何かを問う、重くも温かな家族ドラマ。
どんな話?
取り違えられた子どもをきっかけに、二つの家族が「父親とは何か」「家族とは何か」を突きつけられる。正しさと感情の間で揺れ動く大人たちの姿を通して、簡単には答えの出ない問いが描かれる。
ここがおすすめ!
世代や立場の違いから生まれる葛藤を丁寧に描く点が『春との旅』と共通。感情を押し付けず、観る側に考えさせる余白がある。観終わった後、家族について自然と語りたくなる作品。






みんなの感想・レビュー
今ちょうど見たのですが、映像に関しては同意見です。
とても良い俳優陣、脚本だったのですが物語に入り込めなかったです。
良い評価以外を書いてあったので、ここにコメントさせていただきました。