映画『はじまりはヒップホップ』の概要:ニュージーランドの東側にあるワイヘキ島に、高齢者で構成されたダンスグループ「ヒップ・オペレーション・クルー」が存在していた。彼女達の目標は、ラスベガスで開催されるヒップホップの世界大会に出場することだった。
映画『はじまりはヒップホップ』の作品情報
上映時間:94分
ジャンル:ドキュメンタリー
監督:ブリン・エヴァンズ
キャスト:メイニー・トンプソン、テリー・ウールモア=グッドウィン、カーラ・キット・ネルソン、アイリーン・エヴァンス etc
映画『はじまりはヒップホップ』の登場人物(キャスト)
- メイニー・トンプソン
- 「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバー。94歳。最年長のメンバー。シングルマザーで五人の子供を育て上げた。
- テリー・ウールモア=グッドウィン
- 「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバー。93歳。夫のビルのことを深く愛している。ビルは認知症を患い、施設に入っている。
- カーラ・キット・ネルソン
- 「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバー。94歳。元教師。ピアノが得意で、手先が器用。
- アイリーン・エヴァンス
- 「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバー。83歳。元オペレッタ歌手。ダンスの経験はあるが、ヒップホップは初めて。
- ローズマリー・マッケンジー
- 「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバー。73歳。初期から「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバーとして活躍している。目がほとんど見えない。
- ビリー・ジョーダン
- 「ヒップ・オペレーション・クルー」の振り付け担当兼マネージャー。ヒップホップの知識はほとんどなく、YouTubeや本を見て学んでいる。
映画『はじまりはヒップホップ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『はじまりはヒップホップ』のあらすじ【起】
ニュージーランドの東側にあるワイヘキ島は、昔は2000人程度の人々しか暮らしていなかった。島に暮らす皆が知り合い同士で、家族や親戚のような付き合いをしていた。
「ヒップ・オペレーション・クルー」は高齢者で構成されたダンスグループだった。振り付け担当兼マネージャーのビリーは、メンバーにラスベガスで開催されるヒップホップの世界大会を目指すことを告げた。メンバーは興奮して喜んだ。ビリーは基本的な動きを指導した。
メンバーのテリーはアルバムを捲りながら、家族のことを話した。娘のシャロンは70歳、息子のガーネットは67歳になっていた。夫のビルは認知症を患い、施設にいた。テリーは今でもビルのことを深く愛していた。テリーは体調面に不安を感じていたが、大会に出場することを前向きに考えていた。
ビリーは高齢者に冒険をさせたいと思い、「ヒップ・オペレーション・クルー」を作ったのだった。皆でラスベガスに行くには、資金が必要だった。そのため、たくさんのメディアを取材に呼ぶことを予定していた。スポンサーを探し、CM出演などをしてお金を稼ぐためだった。
メンバーのカーラは、ピアノが得意で手先が器用だった。カーラは自分が45歳、夫が50歳のときに結婚した。夫が2004年に他界してから、これからどう生きていくか考えた。誰も会いに来てくれないと嘆くのが嫌で、積極的に外に出て人と交流を持った。
映画『はじまりはヒップホップ』のあらすじ【承】
ヒップホップの世界大会に出場することは難しいため、特別出演の方で申請していた。許可が下りるかは、現時点では分からなかった。ビリーはもし出演が断られたら、勝手に現地へ行ってフラッシュモブを行うことを予定していた。老人達がダンスを行うことはよくあるため、本部側は「老人が躍っている以上の見応え」を求めていた。ビリーは2週間に1回本部に近況を報告するため、皆の写真を撮った。
ビリーはヒップホップが踊れず、知識がほとんどない素人だった。そのため、YouTubeや本で勉強していた。メンバーのアイリーンはダンスの経験があったが、ヒップホップは初めてだった。昔はオペレッタ歌手として活躍していた。アイリーンは戦争を経験していた。両親は空襲の監視員で、アイリーンはおもちゃと一緒に防空壕に隠れていた。その時、心の支えになったのが、歌だった。
ローズマリーは初期からメンバーとして参加していた。参加し始めたのは、新しいことに挑戦するのが好きだからだった。そして、目がほとんど見えない自分だからこそ、障害がある人に「誰にも遠慮せず外へ行くべきだ」と伝えたい思いがあった。
「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバーは、「デザイア・ダンス・アカデミー」の元を訪問した。「デザイア・ダンス・アカデミー」はオークランドにあるダンスアカデミーだった。アカデミーのメンバーはクルーのメンバーを温かく迎え入れた。両者は交流を持つようになり、良い刺激を与えあった。
メンバーのメイニーはシングルマザーで、五人の子供を育て上げた。活発な女性で、アメリカのピースウォーク(ベトナム戦争に反対するデモ行進)に参加したり、終戦を求めるスピーチを何千人もの前で行ったりしていた。カーラもイギリスで核兵器に反対する活動をしていた。メイニーとカーラは平和への意識が高く、その共通点で親しくなった。
映画『はじまりはヒップホップ』のあらすじ【転】
「ヒップ・オペレーション・クルー」は若いダンサーに交じり、予選大会に出場した。舞台に立つのは初めてのことだった。観客達は拍手を送り、クルーのメンバーのダンスを興奮しながら見守った。クルー達はダンスを踊り切った。舞台から降りたメンバーは、皆明るい表情をしていた。
「ヒップ・オペレーション・クルー」は2013年の世界大会に出場できることになった。ビリーやクルーのメンバーは喜び合った。そんなある日、地区予選と全国大会でクルーのダンスを見た人から手紙が届いた。手紙にはダンスを見て感動した気持ちが綴られていた。皆はその手紙に胸を打たれていた。
スポンサーは集まっていなかったが、5000ドルを貰える仕事が決まっていた。「ステージ・チャレンジ」という高校生のイベントを宣伝するための動画撮影の仕事だった。動画にはクルーのメンバーがダンスを踊っている姿が使われた。その他にも、テレビのインタビューの仕事を積極的に受けた。
ビリーはメイニーのパスポートの申請書を出した。医師から体力が持たないと言われ、申請が下りない可能性もあった。その他にも、旅費が足りないという問題が解消できていなかった。世界大会まで残された時間は、僅か7週間しかなかった。ビリーは予想していたよりも大変な事態に頭を悩ませていた。
映画『はじまりはヒップホップ』の結末・ラスト(ネタバレ)
航空券は事前予約が必要だったが、お金が足りていなかった。予約は来週の水曜日までにしなければならなかった。ビリーはメンバーに相談した。話し合った結果、3200ドルの旅費は自己負担し、用意できない人には余裕のある人が補うことになった。
始め、メンバーのウィニーは絶対に大会に行くと考えていた。しかし、お金がないことと無理して倒れて子供達に迷惑をかけることを考えたとき、迷いが生じた。ビリーにそのことを話すと、絶対に行くべきだと勧められた。しかも、メンバーのローズマリーとドニーが、お金を貸してくれた。その一方で、メンバーのヴァイオレットとパットは大会に行かないことが決まった。二人は副コーチとして皆の練習を見守った。
テリーが海外にいたときに、息子が本土にある施設にビルを入れさせることを決めた。テリーも一緒に入ることを勧められるが、島から離れるのが嫌で断った。ビルは昔のことは覚えていたが、最近のことは朝食のことすら覚えられなくなっていた。テリーは夫と一緒に天に召されることを望んでおり、安楽死も考えていた。ビルに大会のことを相談すると、行くことを勧められた。
ビリーはメイニーを連れて病院を受診した。その結果、メイニーは大会に行けることになった。その後、「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバーはラスベガスにいた。観光をしたり歌を歌ったり、皆で楽しい時間を過ごした。
「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバーは舞台に立ち、ダンスを披露した。「デザイア・ダンス・アカデミー」のメンバーは、クルーのメンバーのダンスを見守った。観客は立ち上がり、拍手と歓声を送った。2013年、「ヒップ・オペレーション・クルー」は最高齢のダンスグループとしてギネスに認定された。
映画『はじまりはヒップホップ』の感想・評価・レビュー
ただダンスをしている姿を紹介しているのではなく、メンバーのそれぞれの生い立ちまで描かれているのがとても興味深いなと思った。若い世代と交流を積極的に持つところは、純粋に凄いなと感じた。自分が彼女達のように年を取ったとき、積極的に他人のことを受け入れることはできないだろうなと思った。「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバーがダンスをしている姿は練習のときからとても楽しそうで、見ていてとても元気をもらえた。(MIHOシネマ編集部)
そんなことが‼そんなことも?言ってしまうような人生経験を積んだ彼らの次なる挑戦。施設を飛び出しステージに立った世界最高齢のヒップホップダンスチームのドキュメンタリー作品です。微笑ましいという表現は失礼かもしれませんが、舞台に立つ前の皆の思い出話を聞いていると心に沁みるものがあります。「何しに来たの?」というMCの問いかけに対し「楽しんでるの」と返したラストにはグッときました。大事な心意気ですよね。見習います!(男性 20代)
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