映画『はじめてのおもてなし』の概要:難民問題を抱えるドイツ。上流家庭の一家が、難民の1人を受け入れることに決める。家族は個々に問題を抱えていたが、難民の彼が加わったことで次第に問題が浮き彫りになっていく。社会的問題と家族間の問題を融合して描いたコメディ。
映画『はじめてのおもてなし』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:コメディ
監督:ジーモン・ファーフーフェン
キャスト:センタ・バーガー、ハイナー・ラウターバッハ、フロリアン・ダーヴィト・フィッツ、パリーナ・ロジンスキー etc
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映画『はじめてのおもてなし』の登場人物(キャスト)
- アンゲリカ・ハートマン(センタ・バーガー)
- ハートマン一家の母。元教師で校長も務めた経験を持つ。定年退職後の趣味は、広大な庭いじりとショッピング。頑なな考え方の夫とは一歩引いて接しており、孤独を抱えている。
- Dr.リヒャルト・ハートマン(ハイナー・ラウターバッハ)
- 大病院の医長を務める医師。老いを受け入れることができず、密かに若さを取り戻そうと様々な事に挑戦している。頑なな考え方を持ち、傲慢で強権的。
- フィリップ・ハートマン(フロリアン・ダーヴィット・フィッツ)
- ハートマン家の長男。父親に似た考え方を持ち、弁護士・ビジネスマンとして日々、分刻みのスケジュールで行動している。一人息子を引き取って育てているが、叱るばかりで交流を持っていない。
- ゾフィ・ハートマン(パリーナ・ロジンスキ)
- ハートマン家の長女。フィリップの妹で31歳になっても大学生を続けている。父親に言われるまま、様々な学科を転々としている。ストーカーを引き寄せる性質に困っている。
- Dr.タレク・ベルガー(エリヤス・エンバレク)
- フィリップの病院で働く医師。ゾフィと同い年で、幼い頃から彼女へと思いを寄せていた。誕生日パーティーでハートマン家の壺を割ってしまったことがある。ディアロとは週一回のジョギングで同じグループに所属している。
- ディアロ・マカブリ(エリック・カボンゴ)
- ナイジェリア出身の好青年。イスラム原理主義者によって家と家族を亡くし、亡命して来る。ハートマン一家と関わることで、家族の問題へ巻き込まれてしまう。
映画『はじめてのおもてなし』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『はじめてのおもてなし』のあらすじ【起】
難民問題を抱えるドイツ。元教師のアンゲリカ・ハートマンは定年退職後、専業主婦として優雅な生活を送っている。夫リヒャルトは大病院の医長を務め、現役医師として活躍しており、長男のフィリップはワーカホリック気味の弁護士で、離婚後は一人息子を育てながらも忙しく働いている。そして、娘のゾフィは31歳でありながら大学にて勉学に励んでいた。
それぞれに問題を抱えながらも、忙しい日々を送っていたハートマン一家。そんなある日、専業主婦として時間を持て余したアンゲリカは、密かに一大決心し家族の夕食会で難民の1人を迎え入れると宣言。すると、家族は大反対。特にリヒャルトとフィリップは、似た者同士で偏執的な考え方をしており、人助けをしたいと考えるアンゲリカとゾフィの心を強い言葉で否定。食事会は険悪な雰囲気で終わってしまうのだった。
翌朝、妻を思い考え直したリヒャルトは、難民と面接をした上で受け入れようと言ってくれる。早速、夫婦で何組もの難民と面接。そうして、ナイジェリアから亡命して来たディアロ・マカブリと出会う。彼は天涯孤独だが、好青年。夫婦は彼を受け入れることにするのだった。
早速、ハートマン家へディアロを迎えた一家。家族総出で歓迎し、どこかぎこちない共同生活が始まる。アンゲリカはディアロに言葉を教えながら、一緒に庭の手入れすることですぐに仲良くなった。一方、そんな妻とディアロの様子を目にしつつ、表立って怒鳴ることができないリヒャルト。彼は自分の老いを受け入れることができず、虚勢を張っていた。
フィリップはビジネスで上海へ進出するため、奔走している。そのせいで、息子と満足に過ごす時間がない。故に息子が寂しさを募らせ、やりたい放題であることも知らなかった。
映画『はじめてのおもてなし』のあらすじ【承】
ある夜、様々な問題を抱え思い悩むリヒャルトが帰宅すると、アンゲリカの友人がディアロの歓迎パーティーを開き乱痴気騒ぎとなっていた。そのせいで、難民に対して否定的な隣人が警察を呼んでしまう。
その頃、ゾフィは自宅でネットサーフィンをしていて、父のFacebookを発見してしまう。彼女は一人暮らしをしていたが、タクシー運転手にストーキングされており参っていた。
体質でもあるのか、ゾフィはなぜかストーカーばかりにもててしまうという悩みを抱えている。
ディアロは週1回、グループで行うジョギングへ参加している。そのメンバーにはタレクも参加しており、気の良い仲間だった。タレクはゾフィの同級生で、密かにゾフィへ恋心を抱いていたが、幼い頃にリヒャルトの母の遺品であった花瓶を誤って壊してしまい怒らせてしまったことがあった。故に、リヒャルトからは頑なに拒絶されている。
そんなある日、フィリップの息子がヒップホップのミュージックビデオを作るので、手伝って欲しいと頼まれたディアロ。ダンサーを数人招いて早速、撮影を開始。ところが、そのことが学校にばれてしまい、問題になってしまう。フィリップは保護者として呼ばれるも、息子を叱るばかりで理解しようとしない。とにかく彼は分刻みのスケジュールで動いているため、商談に遅れまいとして空港での検査を頑なに拒否。そのせいで、税関で逮捕されてしまうのだった。
ディアロが悪いわけではないのだが、このせいで数々の問題が発生。しかも、彼にはテロリスト容疑もかけられており、密かに行動を監視されている。そうなると、ディアロは難民としてもドイツに滞在することができなくなってしまう。それは、あまりにも可哀想である。
映画『はじめてのおもてなし』のあらすじ【転】
パーティー以来、アンゲリカとリヒャルトの間には亀裂が入っていた。
逮捕されたフィリップは極度の燃え尽き症候群と診断され、精神科へ強制入院させられてしまう。知らせを聞いたゾフィが面会にやって来てくれたので、必死に頼み込み携帯を借りて仲間へ連絡。ところが、フィリップがいなくても商談は順調に進んでいると言われる。憤ったフィリップはゾフィの携帯を破壊し、大暴れしてしまうのだった。
数日後、自宅にてゾフィと和気藹々と過ごしていたディアロ。とうとう彼女のストーカーが実家を訪問。しかも庭から家の中へ不法侵入して来る。ゾフィが拒絶し追い返そうとしても相手は全く話を聞かない。ディアロはストーカーを撃退するため、庭で乱闘騒ぎを起こしてしまう。
その様子を隣人が目撃し、警察へ連絡。そこへ丁度、帰宅したリヒャルトに見つかり、またも激怒。ゾフィの話をきちんと聞くこともせず、頭ごなしに怒鳴りつける。そんな彼を目にしたアンゲリカ。夫を惨めな老人だと蔑むのだった。そのせいで、リヒャルトは家を出て行ってしまう。
ディアロは自分のせいだと思ったが、アンゲリカは違うと言う。隠していた問題が浮き彫りになっただけで、元からあったのだ。ディアロはただのきっかけに過ぎない。そこで、彼女は庭の大改造をするので、ディアロに手伝って欲しいと頼むのであった。
その頃、精神科医を大金で買収したフィリップはその足で上海へ。商談の場に駆け付け、奪われかけた地位をどうにか取り戻す。
フィリップの息子の頼みで、故郷での悲惨な経験を話すことになったディアロ。彼の国ではイスラム原理主義者と呼ばれる強硬派がいて、学ぶ女性や幼い子供を学校ごと燃やし続けていた。そのせいでディアロの家族も被害に遭い、彼以外の全員が亡くなってしまう。そうして、ディアロはドイツへと亡命したのだ。
難民が全員、イスラム原理主義者ではない。それなのに、彼が難民というだけで周囲はすぐに敵視する。
映画『はじめてのおもてなし』の結末・ラスト(ネタバレ)
フリーマーケットで偶然にもタリクと遭遇したゾフィ。彼と語り合ううちに意気投合し、甘い雰囲気に。その足でクラブへ踊りに向かったが、なんとそこでリヒャルトと会ってしまう。父は見慣れない服を着て、尻が軽そうな女と遊び歩いていた。リヒャルトはゾフィを発見すると、またも頭ごなしに叱りつける。しかも、一緒にいたのがタリクであったため、怒りは倍増。だが、そんな父とて自分のことは言えない。そこへ、女がやって来て彼は自分のものだと言うのだから、ゾフィは溜まりに溜まった不満を大いにぶちまけ、泣きながら去るのだった。
そんな時、ディアロの亡命申請が却下されてしまう。だが、担当者は彼のことを良く知っており、異議申し立てをしてくれたらしい。2日後、裁判での審査を受けることになった。
その帰り、川原のベンチに座るリヒャルトと出会ったディアロ。すぐにアンゲリカの元へ戻って欲しいと説得。
ディアロの話を聞いたフィリップの息子は彼の力になるため、弁護士の父へ緊急連絡を入れた。そこで、とうとう不満をぶちまけ、父は最低だと告げる。
その頃、ディアロの説得により帰宅したリヒャルトは、夫婦関係を見直しアンゲリカと仲直りしようとしたが、ゾフィがタレクを連れて帰宅。恋人だと紹介する。
しかし、事態はそれどころではなく、ゾフィのストーカーが扇動するデモ隊が出現。規模は拡大する一方で、家族間の修復をしている場合ではなくなってしまう。しかも、こんな時に限ってリヒャルトに心筋梗塞の発作が発生。現役医師タリクのお陰で一命を取り留めた。
この騒動によって、警察機動隊までもが出動する事態へ陥るも、お陰でディアロのテロリスト容疑が晴れるのだった。
そうして、2日後。裁判所でディアロの審査が行われる日。アンゲリカは愛する夫の傍に寄り添うことにし、審査には他の家族が付き添った。そこへ、フィリップが駆け付けディアロを擁護。彼が駆け付けなくても、実は審査はすでに終わっていたのだが、駆け付けてくれたというだけで家族には笑みがこぼれた。
亡命審査は無事に許可され、その後もディアロはハートマン家で暮らすことに。家族は再び絆を取り戻し、以前より笑顔が溢れる家になった。
映画『はじめてのおもてなし』の感想・評価・レビュー
亡命して来る難民は現在も増え続け、ドイツを含め近隣諸国では大問題となっている。しかも、受け入れ先の国でも差別されるので居場所がない。亡命申請も簡単に下りないので、仕事にも就けず極貧生活を送っている。
そんな難民を受け入れた上流家庭の一家。彼が来たことで元々抱えていた問題が表面化する。国によって考え方は確かに異なるが、言い方や捉え方が違うだけで基本は同じはずだ。この作品は国と国との間にある壁を取り去り、同じ人間であることを訴えると共に家族としての愛情を見直そうと促している。コメディでありながら、社会問題と家族間の問題を取り上げ、浮き彫りにした作品。(MIHOシネマ編集部)
(良く言えば)個性豊かな家族が難民を受け入れたことで、各々の価値観が変わっていくお話です。どう見ても家庭崩壊が起きているので、受け入れられる難民も流石にこの家は不味いだろと最初は思ってしまいました。幸運だったのはこの難民の人柄が良かったことで、”あたりまえ”を改めて感じさせられた家族が少しずつ一つになっていく展開は安心して観ていられます。ヨーロッパの難民事情や宗教には疎いので少し勉強にもなりました。(男性 20代)
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