映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』の概要:金の切れ目により人生の窮地に追い込まれた男たちが、総合格闘技の世界で再起を目論み奮闘する中で変化を追う作品。ダンテ・ラムがメガホンを取り、東京国際映画祭や上海国際映画祭などで称賛を得た一作。
映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ、スポーツ
監督:ダンテ・ラム
キャスト:ニック・チョン、エディ・ポン、メイ・ティン、クリスタル・リー etc
映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』の登場人物(キャスト)
- ファイ(ニック・チョン)
- かつてはボクシングの世界で王者となったものの、金に目がくらみ八百長に手を出したことで引退に追い込まれた。借金を踏み倒し続けその日暮らしの生活をしているが、ボクシングジムで働き始め、新たな出会いをする。
- スーチー(エディ・ポン)
- 大会社の2代目として不自由ない暮らしを送っていたが、父親が投資で大きな損失を追い倒産した会社の借金を背負うことになる。賞金目当てで総合格闘技の世界を目指し、ファイと出会う。
- クワン(メイ・ティン)
- ファイの働くボクシングジムオーナーの知り合いで、自宅に居候させてあげることになる。過去のある事件を機に、気を病んでしまい娘・シウタンに支えてもらっている。
映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』のあらすじ【起】
大会社の2代目として不自由なく遊びながら暮らしていたスーチー。しかし悲劇は突如訪れた。不動産投資に失敗した父は会社を倒産させ、失踪してしまったのである。その頃、ファイは香港で借金まみれの生活を送っていた。ギャンブルに溺れその日暮らしのファイだが、ボクシングで一時代を築いた輝かしい過去もある。借金を返すべく過去のトラウマと離別するためにもボクシングジムでの仕事を開始することになったファイ。クアンとその娘のシウタンが住む家に居候させてもらうことになる。
ファイはボクシングジムで主婦向けのボクササイズから一般コースまで請け負った。そのジムには近々開催されるMMAという総合格闘技の大会に向けて練習をしようと入会する者も多かった。スーチーもその一人である。テコンドーの経験を活かし、多額の賞金を目当てに大会に出ようとしていたのだ。
大雨の日、クアンとシウタンが帰宅すると雨漏りで家が浸水していた。最初にシウタンから「浴槽のふたを開けないこと」という忠告を受けたのを忘れていたファイはバケツの水を浴槽に溜めようとした。するとクアンは発狂し暴れ出してしまうのだった。
映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』のあらすじ【承】
実はクアンは目を離した隙に息子が浴槽に落ち命を落としたというトラウマを抱えている。精神を病んだクアンと一度は離れて暮らしていたシウタンだが、大事な母親を支えるため自分の意志で施設を抜け出したとファイに話してくれた。雨の日にヘッドホンを壊してしまったクアンのために新品を探しにいくファイ。シウタンのおかげで環境にも馴染んでいた。一方で荒れ狂う父親の面倒を見ていたスーチー。酔っぱらった父親を介抱しながらひどく殴られるもファイに助けられるのだった。ボクシングを教えることは避けていたファイだが、父親のためにも勝利を掴みたいと願うスーチーのために立ち上がることにする。
クアンとの距離も縮まり、スーチーとの特訓で新たな目標を得たファイは苦手なボクササイズのレッスンも楽しく思うようになっていた。短期間でメキメキと実力をつけるスーチーに極め技を伝授して欲しいとジムで一番の実力を持つエドウィンに頼もうとしたファイ。スパークリングに勝つことを条件に出され仕方なく受けたファイは、スーチーのために眠っていた実力を見せつけるのだった。
映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』のあらすじ【転】
エドウィンの試合を見学に行ったスーチーとファイ。どんなに優勢でも焦ってはいけないことを伝え、試合に備えさせる。「戦う理由」を失わないようにとファイから受けたアドバイスを胸に刻み、スーチーは初戦を迎えた。
バーのテレビでスーチーの試合を見た父親は、息子の知らない一面に気づけば釘付けになっていた。どんなに負傷しても戦意を失わないスーチーの姿は称賛され、ファイの戦略もあり勝利を掴むのだった。ファイが帰宅するとクアンとシウタンがお祝いの準備をしていた。穏やかな時間を過ごす3人だったが、ファイを追って来た借金取りにより空気は一変する。ファイの身内だと勘違いされたクアンとシウタンが狙われ、不運なことにシウタンは突き飛ばされ重傷を負ってしまう。国外に出ることを禁じられたファイ。そしてクアンは再び精神を病んでしまうのだった。
クアンの調子が戻らない場合には、シウタンは施設に入ることになってしまう。後見人になろうと思い立つファイだが、犯罪歴があるため認められなかった。
映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』の結末・ラスト(ネタバレ)
2戦目を迎えたスーチーは窮地に追い込まれた。観客席にいる父親を見つけ、絶対にダウンしなかったため、生死を彷徨うほどの大怪我を負ってしまう。唯一慕ってくれた弟子と家族に近い感情を持ったクアンとシウタンを一気に失い、ファイは戦う決心をする。
スーチーに代わりMMAでの優勝を目指すことにしたファイ。無謀だと周囲から止められるが、空っぽの20年間を送り、死ぬ間際に思い返すこともないと嘆くファイに恐怖心はなかった。「弟子の敵討ち」煽られた一戦は注目を浴びた。年齢的にも厳しい状況に置かれたファイだが、責め立てられギリギリのところで自ら肩を外し、勝利を掴む。「強い意志が勝利を掴む」と称賛を受けるのだった。
退院したシウタンと再会を果たし、勝利を報告したファイ。自分自身に掛け金を積み、3試合をこなしたファイは、賞金で見事に借金を返済した。香港には戻ることなく、入院中のクアンを看病しながらシウタンとの新たな生活を始めるのだった。
映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』の感想・評価・レビュー
スポーツを軸にした男くさい物語として見応えがあった。スーチーを演じたエディ・ポンの肉体改造もさることながら、40歳を超えて自分と周囲の人たちのために戦うファイの姿には胸打たれる。「人生を取り戻す戦い」というキャッチコピーからわかるように、「再起」が軸にある物語であるためにまず全員の転落経緯が丁寧に描かれる。香港とマカオを舞台にしているがロケーションに頼らないのもまた印象的。クワンとシウタン母子のエピソードもいいエッセンスであった。(MIHOシネマ編集部)
なんだかハートフルで可愛らしいのに、格闘シーンの迫力は素晴らしく個人的には『ロッキー』よりも感動したかもしれません。
どんなスポーツもメンタルは大事ですが、総合格闘技の世界って身体の強さだけでは勝てないのだなと改めて思い知らされました。逆に言うと、パワーよりも心の強さの方が大切何じゃないかと感じます。
弟子に思いを託したつもりが、やっぱり師匠自ら出ていってしまうのはちょっと笑えてしまいましたが、ストーリーにまとまりがあってとても面白かったです。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー