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映画『ヒーローマニア 生活』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ヒーローマニア 生活』の概要:変わり者の男女3人と自警団を結成する事になった、気弱な青年の運命を描く。奇想天外な演出が面白い。人気漫画家、福満しげゆきの「生活」を実写映画化した異色のヒーローアクションコメディ。

映画『ヒーローマニア 生活』の作品情報

ヒーローマニア 生活

製作年:2016年
上映時間:109分
ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ、アクション
監督:豊島圭介
キャスト:東出昌大、窪田正孝、小松菜奈、村上和成 etc

映画『ヒーローマニア 生活』の登場人物(キャスト)

中津英利(東出昌大)
30歳、フリーター。鈍臭くて気弱な性格だが、正義感は人一倍。腕っぷしはからっきし。
土志田誠(窪田正孝)
赤いニット帽の青年。フットワークが軽く腕っぷしは強いが、社会性はゼロ。ニートで少し前までは下着泥棒だった。普段はおどおどしていて敬語。
寺沢カオリ(小松菜奈)
メガネにおさげの女子高生。どこからか緻密な情報を仕入れて来るやり手。中津に恋心を抱いている。
佐々木(村上和成)
図体のでかい男。尋常じゃない力持ち。無表情。
吉川(黒田大輔)
肺活量が超人並みの男。いつも頭が汗でべったりとしており、毛皮のコートを着ている。
宇野正(船越英一郎)
過去に人材派遣会社を経営していた。礼儀正しい人物だが、どこか胡散臭い。元浮浪者で吊るし魔を母体にし、警備会社を設立する。
日下孝蔵(片岡鶴太郎)
一風、無害なサラリーマンだが、若者殴り魔。金槌で夜間に若者を襲っていたが、中津と土志田に出会い意気投合する。善人。

映画『ヒーローマニア 生活』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ヒーローマニア 生活』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヒーローマニア 生活』のあらすじ【起】

東京から新幹線で2時間ちょっと、人口30万人の郊外の街。この街のなごみ商店街は、殺人以外の悪が全て集まっているような場所だった。商店街のアーケード内では路上生活者が至る所に住み付き、柄の悪い若者達が花火をしたり騒いだりして、非常に危険で迷惑行為が闊歩している。この街に住む中津英利はこの治安の悪さを憂いていたが、如何せん彼は気弱で鈍臭い為、どうにかしたいと思っていても行動出来ずにいた。

その日も夜間のシフトでコンビニのアルバイトへ向かう。店内には数組の客がいたが、それぞれに客としてのマナーは有って無いようなものだった。中津は憤懣やるかたなく、金属バットで奴らを打ちのめす妄想をしつつ店内を練り歩く。傍から見たら奇声を上げながら、おかしな動きをして歩く頭のおかしい店員である。本棚のコーナーまで来た中津は、そこで赤いニット帽を被った青年と会う。ふと、正気に戻る中津。彼にだけ注意をする。どうして僕だけ。青年がそう言った時だった。カップ麺を買った柄の悪い若者が、お湯が無いと怒り出す。謝る中津だったが、若者はカップ麺を投げつける。しかし、それはニット帽の青年へとぶつかる。若者はニット帽の青年へ謝るが、青年は無言で店を出て行った。

その後、怒る若者に土下座までさせられた中津は財布の中身まで取られる。歯噛みしながら若者を見送るも彼が店を出た途端、何者かに連れ去られる。中津は急いでその後を追った。気を失った若者が引き摺られた先へ向かうと、ニット帽の青年がいた。彼は両腕に何かの装置を装備しており、まるでスパイダーマンのようにワイヤーを放出して攻撃するようだ。中津は希望の光を見出したような気がした。

逃げ去る青年を追いかけて行き彼と話をする。彼の名前は土志田誠と言った。中津は土志田の身体能力とワイヤーの扱いを見て、下着泥棒ではなく正義の為に力を尽くそうと話す。すると、土志田は夜だけなら、という条件で了承した。

土志田と中津は夜の街を歩き、浮浪者を花火で追い詰める4人の若者達を発見。奴らをこらしめるべく、まずは土志田が突撃。中津も追うが、しかし彼はあまり強くない。乱闘が続く中、そこへサラリーマン風のおじさんが現れる。おじさんは突然、金槌を袖口から出して若者達をたちまち一刀両断。続けて中津もなぜか殴られる。おじさんが巷で騒がれる若者殴り魔と判明。おじさんと土志田が対決。いい勝負をするも土志田は金槌に負ける。中津と土志田は和解したおじさんから、この街の生態系を教えてもらう。本来ならば若者の上には怖い大人達がいて、若者を叱りつけなければならない。だが、この街には怖い大人達がいない為、若者達がのさばっているのだと言う。3人は土志田が持っていた不味い栄養ドリンクで乾杯。おじさんの名前は日下孝蔵と言った。

次の日、土志田と中津は部屋で、若者4人が吊るされ発見されたというニュースを見ていた。すると、部屋に誰かが訪ねて来る。もしや警察か、と恐る恐る玄関を開けてみると、おさげにメガネの女子高生が立っていた。彼女はおもむろに携帯を取り出して動画を再生。そこには、成敗した若者を吊し上げる中津達3人の姿が。女子高生は2人に選択肢を提示。警察か、仲間に入れるか。女子高生は自分のノートを見て、次のターゲットを決めようとする。だが、中津は自分がリーダーだから、次のターゲットは自分が決めると言う。土志田の説得に折れた中津は、女子高生の意見を聞き入れる事にした。女子高生は寺沢カオリと言った。

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映画『ヒーローマニア 生活』のあらすじ【承】

夜の街を暴走するバイクの集団を、カオリが作った作戦を元に懲らしめる。4人はバイク集団をまんまと吊し上げた。次の日、ニュースでは彼らの所業を「吊るし魔」と称した。4人は親交を深め、揃いのジャージで次々と「吊るし魔」としての名声を上げて行く。

土志田は中津の家で、夜中に侵入者避けのトラップを作った。そこへ、中津が起きて来て土志田を止める。その拍子に段ボールの中からスーツのジャケットが出て来た。それを見た中津が過去を語り出す。中津は少し前までサラリーマンだった。上司が会社の金を横領しており、それを問い詰めたところ、社内での居場所が無くなってしまった。中津は腹を立てて辞表を叩きつけたと言う。土志田は中津が会社を辞めたお陰で、自分は救われたと励ます。中津は驚きながらも礼を言った。

吊るし魔の4人はある雑誌で黄色いレインコートを着た者が、連続殺人事件を起こしているという記事を見る。次のターゲットにどうかという案も出たが、それは自分達の仕事の範疇ではないと判断。殺人犯を捕まえるのと懲らしめるのは違うのだ。そこで、日下が会ってもらいたい人物がいると言い3人を連れて行く。そこには清潔な格好をした、かつての浮浪者がいた。名前を宇野正と言う。4人の活躍を見て、この活動を法人化しようと提案。中津は訝りながらも、その提案を飲む事にした。

吊るし魔だった自警団は、ともしび綜合警備という会社になった。若者達を雇って街の治安を守る地域密着型の警備会社で効果は歴然だった。その会社には社長直属の裏チームという部署があり、中津達「吊るし魔」が所属している。裏チームに属する若者達を土志田が指導していたが、以前の彼とは違ってきびきびとしていた。カオリは経理となり、おさげとメガネをやめて化粧に余念が無い。日下は会社の専務をやっている。中津は1人だけ浮いていた。

1人の記者がともしび綜合警備について妙な噂を耳にしたと話す。容疑者を不当に監禁したり、口止め料として金品を要求したり、警察との癒着や脱税、他には特定の顧客を相手にした裏の仕事。依頼により邪魔な人間を吊るしてもらう。吊るされた者は世間から悪人と認識され、社会的に葬り去られると言うのだ。宇野は記者の言う事を否定するが、記者はそもそも、この会社の母体が「吊るし魔」なのではないかと疑念を持っていた。

映画『ヒーローマニア 生活』のあらすじ【転】

中津は日下に自警団を会社にして良かったのかと聞く。中津はバイトをやめられたし、土志田も張り切っている。カオリはこんなにいい経理の仕事は無いと言っている。日下は良かったじゃないかと話す。だが、中津にはいまいち納得がいかない。自分が目指したものとは、何かが違っている気がしていた。

夜の仕事に遅れて来た中津は土志田に叱られる。拘束されて今にも吊るされそうになっていた男は、昼間取材に来ていた記者だった。中津は俺がやると言って縄をほどき、男を逃がした。咎める土志田に掴み掛り、何かおかしいと思わないのかと怒鳴る。そして、宇野の所へ向かった中津は、仕事を辞めると言い放った。すると宇野は日下に、とある資料を持って来させる。そこには3年前、横領罪で会社を懲戒免職された中津の事が書かれていた。横領金額は200万円でスナックの女に貢いでいたと言うのだ。中津は宇野に掴み掛り、資料を奪い取ろうとするが、そこで突如、脇にいた謎の男が立ち上がって念力か何かを発動。中津は弾き飛ばされる。新人の吉川という人物だった。倒れた中津に宇野が追い打ちをかける。中津がやっていた事は、ただのヒーローごっこだったのだと。

逃げ出した中津を土志田が追いかける。土志田は自分を道具だと思っていたのかと問い掛けたが、中津がそれを肯定。土志田は思わず中津を殴ってしまった。土志田は悲しみに暮れる。それを陰からこっそり見ていた日下も肩を落とした。

逃げ出して街を歩いていた中津。そこで、ともしび綜合警備の若者が、1人の女性をからかっているのを見つけて彼らを止める。中津がクビになった事は一斉メールで知らされていたらしく、若者達は中津へと暴行を加えた。そこに、日下が金槌を持って登場し中津を助ける。日下は自分が殴り魔になった理由を語る。日下はけじめをつける為に会社へ戻った。相棒に謝れと言葉を残して。

映画『ヒーローマニア 生活』の結末・ラスト(ネタバレ)

カオリといちゃついていた宇野の携帯に着信がある。電話口では専務の日下が裏切ったと言う。その携帯を奪った日下は、人は変わると話して通話を切った。外は雨が降っている。日下の前に黄色いレインコートを着た人物が立ち塞がった。ただ者ではないと危機感を抱く。レインコートの人物と金槌で戦うが、状況は劣勢と思われた。日下は欄干から川へ落とされ、腹部を刺される。雨が上がった頃、ようやく中津が到着。虫の息の日下から金槌を渡されるも、そこへ土志田が現れる。彼が引き連れていた部下に押えられた中津は、金槌に殴られ気を失う。

目が覚めた中津だったが、両手首を天井に繋がれていた。正面には宇野がいる。そこで新人の佐々木を紹介される。宇野は殺人事件の容疑者として、中津を警察へ引き渡すと言う。日下は死んだのか。愕然とした中津は言葉にならない声で叫んだ。佐々木が黄色いレインコートを身に着けた。まさか、こいつが。日下を殺せと佐々木に命じたのは宇野だった。どうしてと叫ぶ中津に、宇野は嫌味な笑い声を上げる。そこへ、土志田がやって来た。宇野は土志田へ中津の腸内洗浄をさせようとする状況を嬉々として録画。無言で近寄って来た土志田へと、必死に真実を叫ぶ中津。本当にもうダメなのか。そう思った矢先、土志田は佐々木を蹴り倒し、宇野へと腸内洗浄液を注入。2人は急いで部屋から飛び出して格子戸を閉めた。

助けてくれた土志田だったが、彼はまだ中津を許していないと話す。そこへ、何もないのに中津が頭を押えて転んだ。廊下の向こうから現れたのは吉川だ。奴は念力を発動。指先から波動を放出したかと思われたが、カオリが現れ吉川は肺活量が超人並みの、ただの人だと明かす。焦った吉川はカオリへと攻撃。だが、カオリはその攻撃を華麗に躱した。吉川は吹き矢の原理でパチンコ玉を飛ばしていただけだったのだ。3人は協力して吉川を退治。

外はまた雨が降っていた。カオリは中津と土志田に、日下の金槌を渡して逃がす。這う這うの体で社長室へ戻って来た宇野は、空になった金庫を目にして愕然とする。そこへ、カオリが現れて金庫の金は退職金に頂くと言い、奴を蹴り飛ばして退社した。

自宅へ戻ってラーメンを食べる中津と土志田。中津は土志田へと謝るが、そこへ佐々木が来る。だが、2人は動じずに食べ続ける。佐々木が進んだその瞬間、奴は落下して網にかかった。侵入者避けに仕掛けていた土志田のトラップが発動したのだ。佐々木を捕縛した2人だったが、奴は網をナイフで切り裂いて襲い掛かって来る。悪戦苦闘するも土志田がナイフで刺されてしまう。憤怒した中津は日下の金槌で佐々木を殴り倒す。土志田に刺さったナイフは、不味い栄養ドリンクに刺さっており命は助かった。だが、佐々木が再び立ち上がり追いかけて来る。商店街へと逃げ延びたところへ、同じ黄色いレインコートの人物が天井を突き破って降下。佐々木を倒した。その人物は中津が街で助けた女性。彼女は歓喜の叫び声を上げる。その声は街を揺るがすほどだ。本物の超能力者か。女はナイフを手にぶつぶつと何かを呟きながらやって来るが、動きはすこぶる鈍い。土志田と中津は奮闘するも首を掴まれてやられそうになる。しかし、女は背後から頭を攻撃されて倒れた。カオリが助けてくれたのだった。

後日、日下を弔った中津は彼の金槌を娘さんへ渡した。謎の女性は通り魔事件の犯人として逮捕され、中津は以前の生活へと戻る。彼は店内の客へと口煩く注意をして歩いた。今はもう1人じゃない。相棒がいるから大丈夫。
昼日中、暴れる男がいる。そこへ通りがかった日下の娘。彼女はベビーカーを脇へ寄せ、父親の金槌を持って男へと飛び掛かった。

映画『ヒーローマニア 生活』の感想・評価・レビュー

漫画家・福満しげゆきの『生活』を実写映画化した作品。架空の地方都市を舞台に治安回復のため、自警団を結成し悪人を吊るし上げていくという内容。
とにかく主人公を含め登場人物が個性的。俳優たちの演技も真に迫っていて面白かった。今やアクション俳優としても名を馳せる窪田正孝のアクションもかなり切れがあり、現在に至る片鱗を見せつけている。くだらないと思ってしまう演出でもぐっとくるストーリー展開で許せてしまうから凄い。原作を読んでいなくても、充分に魅力のある作品だと思う。(女性 40代)

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