この記事では、映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』の作品情報
上映時間:104分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:細川徹
キャスト:松重豊、北川景子、山中崇、皆川猿時 etc
映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』の登場人物(キャスト)
- ヒキタクニオ(松重豊)
- 49歳の人気作家。一回り以上年下の妻・サチと二人で幸せな生活を送っていた。子供は作らない予定でいたが、サチの願いを叶えるために妊活に取り組み始める。
- ヒキタサチ(北川景子)
- クニオの妻。仕事と家庭を上手く両立し、自宅で仕事に明け暮れるクニオを支えている。友人が子育てに没頭する姿に影響を受け、クニオの子供が欲しいと思うようになる。
映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』のあらすじ【起】
人気作家のヒキタクニオ、49歳。娘と間違えられるような若い妻・サチと「子供は作らない」と決めて、のんびりとした幸せな家庭を築いていた。
サチは仕事仲間へ仕事復帰のタイミングを伺いに出向いた。忙しないが充実した日々を送っている友人を見て、サチは子供を作らないという夫婦間の約束を考え直す。
サチはクニオと食事した帰り道に「ヒキタさんの子供に会いたい」と打ち明けた。快諾とはいかないが、サチの強い意志に賛同することにしたクニオ。二人は妊活を始めた。
早速サチは基礎体温をつけ始めた。妊娠しやすい勝負の日を見定める。準備と共に、サチはクニオを連れて両親へ報告に行った。大学教授である堅物なサチの父親は、子供が成人した時のことを考えるべきだとサチを諭す。
クニオはサチの父親が自分の著書を机の脚の下敷きにしていたことに腹を立てていた。「二人のこと」だからと父親の反対を押し切り子作りに励むことにする。しかし、二人の努力は1年間報われなかった。

映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』のあらすじ【承】
サチの提案もあり、産婦人科に出向き互いの体質に不妊の原因がないのか確認することになった。精子の検査はもちろん初めて受けるクニオは戸惑いを隠せない。しかし、サチの言う通り翌朝、婦人科を一人で訪れたのだった。
長い待ち時間を耐えたクニオ。医師から「精子の運動率が20%しかない」と宣告を受ける。ショックを隠せないクニオは帰宅後、サチに不満を言いもう一軒の婦人科を訪問することにした。
次に不妊治療の専門医を訪ねた二人。「メンズルーム」と呼ばれる精子の準備室を使用するのもクニオは恥ずかしい様子。桑島医師の下した診断結果は前回と変わらなかった。身体も鍛えていて、健康状態もいいはずだと言い張るクニオは気を落とす。桑島医師はクニオの様子を見て、二人に人工授精を勧めた。
「試験管ベイビー」という呼び名に嫌悪感を抱くクニオ。しかし、サチのためにも人工授精を選択することにした。
サチの父親に猛反対されながらも、クニオは人工授精を辞める気はなかった。「1回で成功させよう」と軽くサチに言い放ったクニオだったが、3回目の人工授精を迎えても失敗は続いた。
映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』のあらすじ【転】
担当編集者に3人目の子供ができたと知り、世の中の理不尽に思い悩むクニオ。“ただ一匹”運動量の高い精子に恵まれればいいのだと楽観的に考え直したクニオは、馬鹿にしていたジンクスに乗っかり大好きだったサウナもお酒もやめた。
クニオの努力が実り、妊活を初めて2年目の春、ようやくクニオの精子の運動量は75%に達成。サチは妊娠した。
大喜びしたクニオは、禁酒を解き編集担当者と祝杯をあげる。しかし、間もなくして授かった命は心肺停止し、サチは流産してしまった。
悔しがり泣き崩れるクニオ。サチは気丈に振る舞いクニオを励ました。しかしサチが辛くないはずはない。夜道、一人で泣き崩れるサチを見かけたクニオは、再び精子強化のために努力を厭わない決意をした。
桑島医師も残念がり、「顕微授精」を提案する。卵子に直接精子を注入するという方法や費用面から少し悩むクニオはとサチ。しかし二人は諦めなかった。
13回目の人工授精の前日、クニオは飲み過ぎてしまいリビングで寝てしまった。翌朝その姿を見たサチは、怒りながら人工授精を諦めることを提案した。
映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』の結末・ラスト(ネタバレ)
険悪なムードのクニオとサチ。そこへサチの両親が訪ねてきてしまった。顕微授精を猛反対する義父に対して、サチは初めて反抗する。義父はサチの頬を叩き、怒って帰ってしまった。
初回の顕微授精を終えた日。二人の自宅を義父が訪ねてきた。猛反対していた義父だが、サチの強い意志を受け入れる覚悟をしたのだ。義父は通帳をクニオに託し、その後もクニオの仕事を応援するようになった。
今まで以上に精子強化に励むクニオ。2回目の顕微授精では、サチもいい感触を受けていた。数日後、桑島医師から「ご懐妊です」と告げられ抱き合う二人。サチは前回の流産が再び起こらないか気にかかっていた。
安定期を迎え、編集担当からお祝いをもらった矢先、赤ちゃんの頭には空洞があることが発覚した。ひとりでに治る場合もあると聞くが、サチは泣き崩れる。
後日、経過検診を迎えた。一緒に行こうとするクニオだが、サチは仕事の締め切りを気にして一人病院へ向かった。
居ても立っても居られないクニオ。サチを見送って数時間後に電話をするもサチは出ない。病院へ迎えに行くことにしたクニオだが、通りの向こうからサチが歩いてくることに気付く。
サチもクニオを見つけ、大きな丸を作ってサインをした。駆け寄りサチを抱き寄せるクニオ。二人は満開の桜に見守られながら、喜び合うのだった。
映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
桜が咲く、ほのかに暖かくなり始めたような季節がとても似合う一作だった。驚くことに松重豊は今作が映画初主演だという。バイプレイヤーが過ぎるが、今作での渋いがコミカルな演技はさすがである。加齢による精子の運動量低下という免れがたい問題。実体験が元になっているゆえのリアリティもありつつ、松重豊・北川景子の飾らない夫婦役は見る者を引き込むだろう。義父や編集担当者、病院関係者の温かい目線も印象的な仕上がりになっていた。(MIHOシネマ編集部)
中年男性の視点で妊活を描いた珍しい作品で、コメディタッチながらも非常にリアルでした。不妊の原因が自分にあると知ったヒキタさんが、それでも前向きに努力していく姿には心打たれます。北川景子さん演じる奥さんの献身も印象的で、夫婦っていいなと素直に思えました。(30代 男性)
結婚して数年、不妊治療に向き合う中でこの映画を観て、大きく励まされました。妊娠は女性の問題だけではないと、真正面から描いているのが良い。涙あり笑いありで、重くなりすぎず最後には希望が見える。とても人間らしい、温かい映画でした。(30代 女性)
40代後半の自分にとって、「もう子どもなんて無理」と諦めていた気持ちを揺さぶられる作品でした。年齢を重ねた夫婦の妊活は大変だけれど、気持ちの持ちようやパートナーとの信頼で道は開けるのかもしれない。ユーモアもあって見やすい作品でした。(50代 男性)
ヒキタさんのような素直で頑張る人を見ていると、応援したくなります。北川景子さん演じる妻が時に支え、時に叱咤しながら、一緒に歩んでいく姿が印象的。妊活=女性の負担、という風潮をやわらげる意味でも、すごく意義のある映画だと思います。(40代 女性)
妊活中のカップルにこそ観てほしい一本。男性が“原因”であることを恥ずかしがる社会的な風潮があるけれど、この映画はそれを優しく打ち崩してくれました。ヒキタさんの成長と、夫婦の絆の深まりが描かれた素敵なストーリーです。(20代 男性)
コメディっぽいタイトルに反して、内容はけっこう真面目。でもそれが良かった。社会的に語られることの少ない“男性不妊”というテーマを、重すぎず丁寧に描いていて、観終わったあとに考えさせられます。北川景子さんのナチュラルな演技も魅力的でした。(30代 女性)
男性視点の妊活映画って珍しいですよね。ヒキタさんが「父になる覚悟」を徐々に持ち始める過程が心に響きました。最初は戸惑っていたけど、検査や治療に向き合い、少しずつ変わっていく様子がリアル。夫婦で観たい映画です。(40代 男性)
若い頃にはあまり関係ない話かと思っていましたが、自分も結婚を意識する年齢になって、ぐっとくる映画でした。不妊治療は女性のものという先入観が、この映画で変わりました。男性も“命に関わる問題”に真摯に向き合うべきと実感。(20代 女性)
夫婦の愛の形を考えさせられる映画でした。子どもを持つことだけが幸せじゃないけれど、二人で同じ方向を向いて歩むことの大切さを教えてくれました。終盤、ヒキタさんが涙するシーンではもらい泣きしてしまいました。(60代 女性)
映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』を見た人におすすめの映画5選
うまれる
この映画を一言で表すと?
命と向き合うすべての人に贈る、涙と希望のドキュメンタリー。
どんな話?
妊娠・出産・流産・不妊など、さまざまな立場の人々のリアルな体験を追った感動のドキュメンタリー映画。命の誕生をテーマに、「生きるとは何か」「家族とは何か」を深く考えさせられる内容です。
ここがおすすめ!
感情を揺さぶるインタビューと誠実な演出が胸に響きます。『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』が好きな人なら、命の尊さや家族の形について、さらに深く考えさせられること間違いなし。カップルや夫婦での鑑賞にもぴったりです。
そして父になる
この映画を一言で表すと?
血か、時間か? ―「父性とは何か」を静かに問いかける名作。
どんな話?
6年間育ててきた息子が病院で取り違えられた他人の子だったと知った父親が、実の子と育てた子の間で揺れる心情を描く感動作。家族とは何か、愛情とは何かを見つめ直すドラマ。是枝裕和監督による繊細な人間描写が光る。
ここがおすすめ!
福山雅治の父親役が非常に自然でリアル。『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』同様、男性の視点から「家族」や「親になること」に向き合う姿が丁寧に描かれており、家族について深く考えたい人におすすめの一作です。
コウノドリ
この映画を一言で表すと?
命の奇跡と、現場のリアルを描く医療ヒューマンドラマ。
どんな話?
産科医・鴻鳥サクラを主人公に、毎回異なる妊娠・出産のエピソードを描く人気シリーズの劇場版。命の誕生をめぐるさまざまな家族の背景が浮かび上がり、時に感動的に、時に切実に描かれていく。
ここがおすすめ!
出産の裏にある苦悩や葛藤をリアルに描きつつ、生命の尊さを真正面から描いている点で、『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』と通じるものがあります。登場人物たちの優しさと覚悟に心が温かくなります。
妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII
この映画を一言で表すと?
笑いと涙で家族のありがたみを再発見できる、心温まる喜劇。
どんな話?
ある日突然、家を出ていった専業主婦の主張から始まる“主婦の反乱”をテーマに、家族の在り方を見つめ直すホームドラマ。山田洋次監督による「家族はつらいよ」シリーズの第3弾。
ここがおすすめ!
コミカルな演出ながらも、家族の大切さや、見えにくいパートナーの気持ちに気づかせてくれる優しい映画です。『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』同様、夫婦の絆や思いやりが描かれており、気軽に見つつも心に残る作品です。
赤ちゃんに乾杯!
この映画を一言で表すと?
突然の父親デビュー!? フランス流のハートフル子育て奮闘記。
どんな話?
3人の独身男たちのもとに突然現れた赤ちゃん。置き手紙ひとつで託された命を前に、彼らは育児と奮闘しながらも、父親として成長していく。フランスで大ヒットしたコメディタッチの育児映画。
ここがおすすめ!
育児の大変さだけでなく、笑いあり涙ありの成長物語が魅力。男性の視点で“父になる”ことを描いた点で、『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』と通じる部分が多く、重くなりすぎず楽しめる1本です。
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