この記事では、映画『ハリウッドランド』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ハリウッドランド』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ハリウッドランド』 作品情報
- 製作年:2006年
- 上映時間:126分
- ジャンル:サスペンス
- 監督:アレン・コールター
- キャスト:エイドリアン・ブロディ、ダイアン・レイン、ベン・アフレック、ボブ・ホスキンス etc
映画『ハリウッドランド』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『ハリウッドランド』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『ハリウッドランド』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ハリウッドランド』 あらすじ【起・承】
1959年6月16日。
世界中の子供達を魅了したスーパーマン役のジョージ・リーヴスが死亡した。
こめかみを拳銃で撃ち抜き、ベッドに横たわっていた。
警察の見解では、もちろん状況証拠的に自殺。
そう見て間違い無かった。
しかしこれに彼の母親が不服を申し出る。
息子が自殺をするわけが無いと思った彼女は、ある探偵会社に連絡をした。
その探偵会社と交友のあった個人探偵シモは、そのネタを譲ってもらう。
そして大口の事件に関与していくことになった。
ジョージはオーディションを受けてもパッとせず、映画にちょい役で出演している程度だった。
ある日映画関係者のパーティーで知り合ったMGM社長夫人・トニー・マニックスに取り入り彼女の情夫となる。
妻を自由にさせる主義のマニックス。
トニーは権力と財力でジョージにマイナー子供番組の主役を取らせる。
それがスーパーマンだった。
白黒で放映され、スポンサーも付かない最悪の環境だが、ジョージは役をこなした。
その結果2年後メジャー放映で、カラーになることが決まった。
トニーの協力のおかげでスターになったジョージ。
トニーとの仲も順調だった。
しかしジョージには次第に不満がたまってくる。
それはスーパーマン役のイメージに固定されてしまうことだ。
彼は俳優として色々な役柄を演じたかった。
そのためその不満をトニーに漏らすも、彼女はジョージをペット感覚で傍においておきたかったためそれ以上の協力をしてくれなくなる。
ジョージは憤りを感じ、個人会社を設立すると言い出し新しい彼女・レオノアとつきあい始める。
映画『ハリウッドランド』 結末・ラスト(ネタバレ)
ここまで調査を進めたシモだったが、そのやり方があまりにも強引だったため目立ってしまう。
彼の目的は自殺で扱われた事件をもう1度蒸し返し、再捜査させるという魂胆。
そのため、わざとらしくジョージの母とメディアに露出したのだ。
そのせいで事件の関係者から襲われ、これ以上関わらないよう脅迫されてしまう。
そしてシモの浮気相手の女性も殺されてしまった。
命の危険にさらされたシモに、追い打ちをかけるように悪い知らせが。
ジョージの母が調査を打ち切りにしてくれと言ってきたのだ。
どういうことかと聞くと、母はこういった。
「チャイナタウンに銅像を建ててくれるというのでもういい」と。
彼女はスーパースターになった息子が死んだのに銅像も無いのはおかしいという。
最初からそれが目的だったのだ。
喪失感に襲われるシモは、ジョージの家の前に来てみた。
そしてジョージの姿を思う。
シモは恋人だったレオノアを疑っていたが、結局はわからずじまい。
自殺か。
他殺か。
ハリウッドのミステリーは未だ謎のままである。
映画『ハリウッドランド』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ハリウッドランド』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
エイドリアン・ブロディが最高
シモ役のエイドリアン・ブロディの名演技がこの映画の見所。
頼りなさげなのに強気な姿勢、やたらと低く説得力のある声と話し方。
いかにも野良の探偵と言ったバタ臭い感じが、キャラクターにぴったり合っている。
今まで彼のことをそんなに魅力的だと思わなかったが、「何と良い俳優だろう」と改めて見直してしまった。
特に真相に迫る演技は迫力があり、トリハダものだ。
スマートな脚本
事実とサスペンスが交錯する作品は、ごちゃつくことが多い。
ブラック・ダリアが良い例だろう。
あの映画で現実に起きた殺人事件を解明する映画には正直飽きてしまった。
結果登場人物だけが増え、意味の無い展開が出てきて混乱することがあるのだが本作品はそういうことは一切無い。
最初のスーパーマン役のジョージが死ぬシーンから、現代のシモの調査のシーンを交互に見ても全く混乱しないほど小気味よいスピードで進み内容もわかりやすい。
入れたいことを全部入れてしまうと無駄が増えるが、よく練られて削られている良く考えられた脚本である。
家族物語は必要か
シモには家族が出てくる。
妻と息子だ。
たまに出てくるのだが、この関係性が謎。
お互い浮気していてあまり関与していないのに、子供が困った時はお互いを必要とする。
それはわかるのだが、この描写が必要なのか最後までわからなかった。
別にシモに家族がいてもいなくてもドラマの内容は変わらないし、殺されたのが妻であれば理解も出来るがそういうわけでもない。
そこだけがこの映画の謎の場面である。
実在した「スーパーマン俳優」ジョージ・リーヴスの死の真相を追うという設定が非常に興味深く、ハリウッドの裏側とスターの孤独を描く切ない作品でした。死因が自殺とされながらも様々な陰謀論が浮かび上がり、エイドリアン・ブロディ演じる探偵が事件の深部に迫る過程がスリリング。真相は最後まで明らかにならないまま終わりますが、その曖昧さがむしろリアル。俳優業の光と影を知れる一本です。(30代 男性)
ベン・アフレックの演技がとにかく印象的で、ジョージ・リーヴスの孤独と葛藤を見事に体現していました。自分のイメージが「スーパーマン」に縛られてしまう俳優の苦悩や、私生活の破綻がじわじわと伝わってきます。事件の真相を探る構成と、当時のハリウッドの雰囲気がしっかり再現されており、ノワール好きにも刺さる作品。人間の弱さと業の深さが詰まった映画でした。(40代 女性)
映画としての雰囲気はすごく好みでした。1950年代のロサンゼルスがレトロで美しく、映像美も光っていました。エイドリアン・ブロディが演じる探偵の視点を通じて描かれるリーヴスの人生は悲しくも味わい深く、観ていて胸が締め付けられました。自殺なのか他殺なのか、明確な答えが出ない構成にモヤモヤする反面、それがこの映画のリアリティでもあると思います。(20代 男性)
リーヴスの死を巡る真相がいくつかの視点から描かれることで、観る側に想像の余地を残す構成が良かったです。事実は一つでも、真実は人の数だけあるというテーマが心に響きました。ベン・アフレックがただのハンサム俳優ではなく、内面の苦しみを繊細に表現できる役者だということを再認識しました。あくまでフィクションですが、実話ベースということで非常に引き込まれました。(30代 女性)
ハリウッドという夢の工場の裏側を、これほどリアルかつ哀しく描いた映画は少ないと思います。リーヴスの死は自殺として処理されましたが、映画では複数の可能性を描くことで「真実とは何か」を問いかけてきます。ブロディ演じる探偵の私生活も絡めながら、人間の弱さや未練、虚構と現実の狭間を見事に描いていて唸らされました。静かだけどずっしりと心に残る映画です。(50代 男性)
スーパーマンのイメージとは真逆の、陰鬱でシリアスな映画でしたが、そのギャップがむしろ良かったです。ベン・アフレックの演技が光っていて、華やかな世界の裏で自分を見失っていく俳優の姿がとてもリアルでした。事件の真相が曖昧なまま終わることに最初は不満もありましたが、それが人生の不確かさを象徴していると感じるようになりました。重厚で深い作品です。(20代 女性)
映画の中で提示される「複数の死のシナリオ」がとても印象に残りました。それぞれに説得力があり、どれが真実だったのか最後まで悩まされました。名声を得たことで逆に不自由になるというジョージ・リーヴスの姿には共感さえ覚えます。成功と孤独は紙一重なのかもしれません。探偵の視点から語られることにより、事件性だけでなく人間ドラマとしての深みも増しています。(40代 男性)
映画の構成が非常に巧妙で、探偵パートとリーヴスの人生が交差する編集が上手いと感じました。リーヴスの死を描くだけでなく、探偵自身の人生もまた“失敗した男”として重ねられていて、二重構造になっているのが面白いです。真相にたどり着くことが目的ではなく、人がどうして堕ちていくのかを静かに描く作品だと解釈しました。ノスタルジックでビターな映画体験でした。(50代 女性)
タイトルに“ハリウッド”が入っているように、これは名声に憧れた男たちの夢と挫折の物語でもあります。ジョージ・リーヴスの死を調べるうちに、自分の人生と向き合わされる探偵。彼らはどちらも「自分の物語」を手に入れられなかった哀しい男たちです。ラストは救いがあるようでいてないような、どこかやるせない終わり方が印象的でした。静かだけど強烈な余韻が残る映画です。(30代 男性)
女性の立場から観ても胸が痛む映画でした。ハリウッドで“誰かの妻”や“誰かの愛人”としてしか生きられなかった女性たちの描写がとてもリアルでした。リーヴスの恋人であったトニー・マナックスの苦悩も、あの時代ならではのものだったと思います。事件の裏には愛情と嫉妬、名声と孤独が渦巻いていて、人間の本質を見せられたようでした。映画に深みを求める人におすすめです。(40代 女性)
映画『ハリウッドランド』を見た人におすすめの映画5選
L.A.コンフィデンシャル
この映画を一言で表すと?
1950年代のロサンゼルスに潜む権力と腐敗を暴く、極上の犯罪ノワール。
どんな話?
3人の異なる正義を持つ刑事たちが、ハリウッド裏社会で起きた大量殺人事件の真相を追う。表の華やかさとは裏腹に、汚職と暴力が蔓延する街の真実を描くサスペンスドラマ。
ここがおすすめ!
『ハリウッドランド』と同じく1950年代のロサンゼルスを舞台に、表と裏の顔を持つ街の矛盾を描く骨太な作品。精緻な脚本と演技陣の見事な演技で、観る者を一気に物語へ引き込みます。映画史に残る傑作ノワールです。
チャイナタウン
この映画を一言で表すと?
探偵が踏み込んだのは、巨大な陰謀とうごめく欲望の迷宮。
どんな話?
私立探偵ギテスが、不倫調査をきっかけにロサンゼルスの水利権を巡る政治・企業の陰謀へと巻き込まれていく。真相に近づくたびに浮かび上がる深い闇と衝撃的な結末が待ち受けるサスペンス。
ここがおすすめ!
フィクションと現実の境界線が揺らぐ『ハリウッドランド』を好む方には、この古典的ノワールも刺さるはず。陰影の効いた映像と緻密な構成、そして胸に残るラストが魅力の一本。ジャック・ニコルソンの演技も秀逸。
ザ・シンガーソングライター(原題:I’m Not There)
この映画を一言で表すと?
ひとりの伝説を、6人の異なる姿で描いた異色の伝記映画。
どんな話?
ボブ・ディランの人生とキャリアを、年齢・性別・人種の異なる6人の俳優がそれぞれの“ディラン”を演じるという、革新的な構成で綴った作品。実像と虚像の曖昧さをテーマにしている。
ここがおすすめ!
『ハリウッドランド』が見せた「イメージに縛られた男」というテーマと通じるものがあり、多面的な人物像を描く構成がユニーク。芸能界の光と影を芸術的に描いた、知的好奇心を刺激する一本です。
マンク(MANK)
この映画を一言で表すと?
黄金期のハリウッドに渦巻く野心と創作の苦悩を描く、モノクロ美学の傑作。
どんな話?
映画『市民ケーン』の脚本を手がけた脚本家ハーマン・J・マンキウィッツの半生を、1930〜40年代のハリウッドを背景に描く。創作の苦悩や政治的圧力と闘いながら名作を生む姿に迫る。
ここがおすすめ!
『ハリウッドランド』と同様、映画界の裏側をシニカルな視点で描いており、映像表現のこだわりも抜群。時代の空気感と人物の繊細な心理が融合し、映画ファンにはたまらない作品です。
愛、アムール
この映画を一言で表すと?
静かに崩れていく人生の終焉を、美しくも残酷に映し出す名作。
どんな話?
長年連れ添った老夫婦の間に訪れる「老い」と「別れ」をテーマに、介護と愛情、そして人間の尊厳について深く描いたドラマ。監督はミヒャエル・ハネケ。
ここがおすすめ!
リーヴスの「死」というテーマを静かに見つめた『ハリウッドランド』が心に残った人には、この作品も響くはず。人生の終わりをどう迎えるかという問いが、観る人に深く刺さる哲学的な映画です。
みんなの感想・レビュー
今日ビデオで見ました。私の評価も80点くらいでした。注目点は、シモと別れた子供がスーパーマンの自殺にショックを受けていて、シモがその自殺の真相を調べている最中は実父である彼を拒んでいたのに、その調査から手を引いた時に彼を受け入れるかのように家から出て来るラストシーンです。シモは、再婚相手と別れて子供と暮らしている妻の元に戻って来たと考えられるこのシーンは、この映画作者の元ヒーローの死に対するメッセージではないかと思いました。