映画『私が、生きる肌』の概要:著名な形成外科医は完璧な肌を目指し、研究していた。彼は娘の死をきっかけに、人体実験へと乗り出す。美しく完璧な肌と、容貌を持つ女性が出来上がった頃、彼女をきっかけに悲しくも悲惨な過去が明かされていく。
映画『私が、生きる肌』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:ペドロ・アルモドバル
キャスト:アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス、ジャン・コルネット etc
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映画『私が、生きる肌』の登場人物(キャスト)
- ロベル・レガル(アントニオ・バンデラス)
- 有能な形成外科医。レガル家当主。大やけどを負った妻を助けるため、人工皮膚の研究に没頭。人体実験のため、ビセンテを拘束して改造に踏み出す。妻と娘の死に深い悲しみを抱き、孤独を感じて理想の女性ベラに惹かれる。
- ベラ・クルス(エレナ・アナヤ)
- ロベルによって作られた女性。元はビセンテ。ロベルに恨みを抱いているが、表向きは従っている。密かに逃亡することを狙っている。
- マリリア(マリサ・パレデス)
- レガル家の老齢な家政婦で、実はロベルの母親であり、セカの母親でもある。
- ビセンテ(ジャン・コルネット)
- 仕立屋の息子。ノルマと一夜の過ちを犯そうとしたが、ノルマの発狂により暴力を振るってしまう。それをロベルに脅迫されて監禁される。母親思いの良い息子であった。
- セカ(ロベルト・アラモ)
- マリリアの息子。素行が酷く悪く、ロベルの妻と不倫の挙句、駆け落ち。交通事故を起こし逃亡している。ベラに対してもそれを強行しようとする。
- ノルマ(ブランカ・スアレス)
- ロベルの娘。母親を亡くし心を病んでいるところへ、ビセンテとの行為により完全に狂ってしまう。精神病院の窓から投身自殺にて亡くなっている。
映画『私が、生きる肌』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『私が、生きる肌』のあらすじ【起】
2012年、トレド。エル・シガラルの大豪邸の一室、指先から足の先まで、全身を肌色のタイツで覆った美しい女性がいた。彼女はその一室から出ることが許されていない。
欲しい物は部屋にあるマイクから要請。それらは食事と共に、小さなエレベーターで送り込まれた。彼女の名前はベラ・クルス。ベラの世話は屋敷の家政婦、マリリアが行っていた。
屋敷の主であるロベル・レガルは、著名な形成外科医だった。彼は完璧な肌を作ることに、執念を燃やしている。
屋敷の地下には最新機器を取り揃えた実験室があり、ロベルは日夜そこで研究を行っていた。自室へ戻ったロベルは、隣室のベラの部屋へ。眠っていると思われた彼女は、本のページで手首を傷つけ気絶していた。すぐさま処置を施し、大事には至らなかった。
紙ですら傷がつく肌はとても柔らかい。ロベルが目指す人工皮膚は、まだ完全ではなかった。
肌の強度を上げるため、何度も皮膚の移植を行う。部位ごとに切り分けられた人工皮膚を定着させるために、皮膚を焼いてから移植。それと同時に感覚テストを行った。ベラはそのための実験体。ロベルは人工皮膚をガルと名付けた。亡き妻の名前であった。
ロベルは自宅へ戻ると必ず、自室のモニターからベラの様子を観察する。美しいベラ。彼女の肌は完璧だった。軟禁状態で何年も過ごしているベラは、いつも外へ出たがった。
ベラの存在をしきりに心配するマリリア。彼女はベラの顔がロベルの妻、そのものであることに危機感を覚えていた。ロベルはベラを部屋から出すべく、他の使用人を解雇。屋敷には主人とマリリア、ベラの3人だけとなった。
使用人が屋敷から出て行ったのと入れ替わりに、マリリアの息子セカが、10年振りに戻って来る。セカは困った息子だった。粗暴が悪く品位の欠片もない。しかも、宝飾店の強盗をして逃亡中だった。そんな息子を母親は厳しく咎める。キッチンのモニターをふと、見かけたセカ。そこに映る女性に舌なめずりする。息子は母を羽交い絞めにして拘束した。
映画『私が、生きる肌』のあらすじ【承】
危機を察したベラだったが、逃げる術がない。セカは屋敷中を捜索。ベラがいる部屋を突き止めた。母親から予備の鍵の在り処を聞き出し、部屋へ向かったセカ。ベラは必死に抵抗するも、男の力には敵わず。彼女は何とかして、この粗暴な男を使って外へ出ようと画策するも、セカは先にベラとの交合を望んだ。
その様子をキッチンのモニターで見続けるマリリア。外に車が停車した音に気付く。ロベルが帰宅したのだ。彼はモニターで映像を目にし、急いで部屋へ。手には銃を握っていた。ロベルはセカを銃殺しベラを助けた。
マリリアは血塗れになった、ベッドの片づけをしながら語る。セカとロベルは異父兄弟だった。ロベルは先代レガル氏とマリリアの間に産まれた子で、セカは姿を消した使用人との間に出来た子だった。2人は互いに兄弟であることを知らない。レガル氏の正妻は不妊症だったため、マリリアが産んだロベルを自分の息子にしたのだった。
セカは幼い頃から、雑踏で悪に塗れて育った。12年程前、追われているセカを匿ったマリリア。ロベルの美しい妻ガルと関係を持ったセカは、ガルと共に駆け落ちし交通事故に遭った。セカは逃亡し、ガルは全身大やけどで醜い相貌となった。
ロベルはガルの醜くなった肌を治療するため、妻を献身的に看病し肌の研究をした。奇跡的に回復したガルはある日、一人娘ノルマの歌声をきっかけに窓を開ける。そこで、ガラスに映った自らの姿を目にして絶望。絶叫して窓から投身自殺を図った。
一部始終を見ていた娘のノルマは、そのせいで心を病み数年後、母親と同じ道を辿る。
ロベルとベラは体を重ねる。だが、ベラの内部は常に痛みを訴える。ロベルはベラを思いやり、彼女と肌を重ね合わせるだけで待つと言った。
映画『私が、生きる肌』のあらすじ【転】
6年前。友人宅で行われた結婚パーティーに、ロベルは娘を連れて行った。娘の機嫌も良く、ロベルも一安心していたのだが、会場に娘の姿が無いことに気付く。
ノルマを探して庭へ。パーティーの喧騒が薄れる中、森の至る所から喘ぎ声が聞こえた。だが、その中にノルマの姿はない。しばらく進むと、娘の靴や衣類が見つかる。大木の根元で意識を失った娘を発見したが、ノルマは恐慌状態に陥っており、父親ですら認識できなくなっていた。
仕立屋の息子ビセンテは、母親と店でドレスを作っていた。友人の結婚パーティーに参加したビセンテは、可愛らしいノルマと良い雰囲気になる。ノルマは精神薬と酒でハイになっており、ビセンテも薬を服用していたために気分が盛り上がっていた。
森の奥へ来た頃、ちょっと変わった様子のノルマが、自分で靴や服を脱ぎ始める。そんなノルマにのしかかったビセンテだったが突如、彼女が発狂。ビセンテは抵抗され思わず、ノルマを平手で殴ってしまった。気絶したノルマの衣服を直し、バイクで早々に自宅へ帰った。
そんなある日、町を出たいと呟き夜に出掛けたビセンテは、黒塗りのバンに襲われる。麻酔銃を撃たれ気絶。気が付くと暗闇の地下牢で、彼の両手足は鎖で拘束されていた。叫んでも助けは来ない。
一方、ノルマはあの夜以来、完全に壊れてしまい父親でさえも分からない。娘は父親に強姦されたと思い込んでいた。そうして、ノルマは窓から飛んだ。
娘の葬式の日の夜、ロベルは計画を実行する。ビセンテを麻酔で眠らせ手術台に拘束。独自に集めたチームと共謀して手術を施工した。
ビセンテが目覚めた時、知らされた衝撃的な事実。それはすでに、膣形成が終了したということだった。膣の形を作るために型を常に入れ続ける。苦痛を伴う行為だった。
ビセンテは言われた通りに続けた。解放を願っても叶えられなかった。身体改造は着々と進む。骨格を削り顔の整形を行い、胸にシリコンを埋められ人工皮膚を移植される。皮膚を守るためにボディスーツを着用するように言われた。
見た目はすでに女性、声帯も改造した。それでもまだ改良を続けると言うロベル。ビセンテは隙を突いて逃亡を図り、包丁で自ら喉を掻き切った。しかし、ロベルは医者だ。すかさず治療が施され、死ねるはずもなかった。
映画『私が、生きる肌』の結末・ラスト(ネタバレ)
数週間後、顔面の骨格形成のためのマスクが外された。ビセンテは新たにベラと名付けられた。彼は与えられたワンピースを、怒りに任せて引き千切る。細かくした服は全て掃除機で吸い取ってやった。そうすると、今度は化粧品が送られて来る。ビセンテは全てを押し返した。
ベラは暇に飽いてヨガを始めることにした。そうすることで精神が落ち着く。芸術にも興味を持った。
そんな折、マリリアが家政婦として復帰。ベラの面倒を見ることになった。この頃から、ベラは壁に文字を書き始める。真っ白だった部屋の壁は、彼女の文字で埋め尽くされた。
そして、現在。ベラは部屋から解放されていた。一度、外へ出て中へ戻ると、何年も軟禁された部屋は異常に見えた。
ベラはロベルから一生逃げないと約束。その約束が信用ならないと言うマリリア。ベラはマリリアと買い物に出かけた。
ベラは母親が未だに、ビセンテを探していることを知る。ロベルを肉体で篭絡。だが、作られた膣は挿入に痛みを覚え続ける。ベラは潤滑ゼリーを探して来ると言い訳をして、別室で銃をバックに忍ばせた。部屋に戻ったベラはロベルに銃を発砲。音に気付いたマリリアが部屋へ向かうと、ロベルはすでに息絶えていた。マリリアは銃を持って相手を探すが、ベッド下に隠れていたベラはマリリアをも撃ち殺した。
身支度を済ませたベラは、6年監禁されていた屋敷から逃亡。その足で母親が経営するドレス店へ。だが、ビセンテはベラという別人になってしまい、他人と同じだ。彼女は母親に自分がビセンテであることを明かし、助けを求めた。
映画『私が、生きる肌』の感想・評価・レビュー
あまりにも衝撃的なストーリー展開で、度肝を抜かれました!
主人公のエスカレートしていく移植手術の内容が、あまりにも生々しく残酷で、ゾッとします。物語の始まりからは一切想像することの出来なかった真実が明らかになったとき、主人公が気持ち悪い狂ったおじさんにしか見えなくなってしまい、正直、嫌悪感が凄まじかったです。
強烈的なシーンがとても多いので、気安く人にオススメすることは出来ない映画ですが、間違いなく強く記憶に残る作品だと思います。(女性 20代)
ロベルの変態思考は理解しがたいが、徐々に解明されていくロベルやベラの過去に、食い入るように見入ってしまった。
時系列の配置を変えた構成がサスペンスの要素を持たせていて巧妙だ。
施術や殺傷シーンなどの痛々しく過激な演出が多いが、それらがストーリーに重厚感を持たせていた。
やはり、人の執念深さに勝る恐怖はないのだと感じた。
終盤のロベルの脇の甘さには疑問が残るが、ベラがビセンテとして母親の元へ帰れて少し希望を残す終わり方が良かった。(女性 20代)
妻や娘、母親や異兄弟など把握する内容が多く、様々な関係性が非常に複雑な作品だと感じた。しかし、ストーリーの展開は予想外で、タイトルの意味がより深く感じられ、最後までとても面白かった。ロベルの妻や娘の死はどちらも他人の愛や欲望が背景にあり、それを経験したロベルの心境を思うとやるせないが、だからこそ彼自身が凶器のような精神を持てたのであろうと感じた。
時系列が過去に戻る構成のため、作られたベラの正体を知ったうえで、もう一度観たくなる作品である。(女性 30代)
かなりの衝撃作でした。まずタイトルからして『私が、生きる肌』ってどういう事って思いますよね。もう、まさにそのタイトル通りの作品でした。アントニオ・バンデラスが演じるのは、最愛の妻を亡くし禁断の手術に没頭する形成外科医。彼が最高の「肌」を作るお話。
めちゃくちゃ狂ってます。狂気じみています。変態が科学の力を使って欲望を満たしていきますが、そこに倫理観や道徳観などは一切なく、ただ欲望を満たす。
ラストの展開は衝撃的すぎて、言葉を失います。こんな作品観たことありません。(女性 30代)
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