映画『イン・ザ・カット』の概要:猟奇殺人の犯人と思われる男をバーで目撃してしまったヒロイン。訪ねて来た刑事に、犯人と同じタトゥーを発見してしまう。刑事に惹かれつつも信用できずに苦悩するうち、妹が事件の被害者となり命を落としてしまう。疑心暗鬼となるサスペンス映画。
映画『イン・ザ・カット』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:サスペンス
監督:ジェーン・カンピオン
キャスト:メグ・ライアン、マーク・ラファロ、ジェニファー・ジェイソン・リー、ケヴィン・ベーコン etc
映画『イン・ザ・カット』の登場人物(キャスト)
- フラニー(メグ・ライアン)
- 英語の教師で物書き。趣味は気になった言葉をメモすること。地味な服装でいることが多く、腹違いの妹ポーリーンとは仲良し。マロイに惹かれ身体の関係を持つ。
- マロイ(マーク・ラファロ)
- 右手首の内側に特徴的なタトゥーを持つ刑事。猟奇殺人の捜査でフラニーに話を聞きに来る。ワイルドな面も多いが、どことなく怪しい雰囲気を持っている。フラニーに惹かれ身体の関係を持つ。妻帯者だが、夫婦関係は冷え切っている。
- ポーリーン(ジェニファー・ジェイソン・リー)
- フラニーの腹違いの妹。恋多き女性でお洒落。姉とは大の仲良し。ストリップ店の2階に住んでいる。結婚に憧れているが、猟奇殺人の被害者となり無残な死を遂げる。
- ロドリゲス(ニック・ダミチ)
- マロイの相棒で刑事だが、事務職に就かされている。浮気癖があり酔うと柄が悪くなる。実は猟奇殺人の犯人。マロイと同じ場所に同じタトゥーをしている。
- コーネリアス(シャーリーフ・パグ)
- スラムに住む黒人。フラニーの学校の生徒で、彼女にスラング言葉を教えており、誘われていると勘違いしている。
映画『イン・ザ・カット』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『イン・ザ・カット』のあらすじ【起】
英語教師のフラニーは普段から気になる言葉や、スラング言葉を調べたり書き留めたりすることが趣味である。彼女には腹違いの妹ポーリーンがおり、互いに連絡を密に取り合って互いの家を行き来し合うほど仲が良かった。
ある土曜日、フラニーは生徒のコーネリアスにスラング言葉を教えてもらうため、待ち合わせをして近くのバーに入った。
しかし、話しているうちに雰囲気が悪くなったため、フラニーはトイレを理由に席を立つ。だが、バーの地下トイレへ向かうと暗がりの中で、女性が男性に奉仕している場面に遭遇してしまう。男性の顔はよく見えなかったが、右手首の内側にスペードの3のタトゥーが入っているのがよく見えた。
フラニーはしばし動転し、その行為を凝視していたが、静かにトイレから立ち去る。気を取り直して席へ戻るとコーネリアスの姿が消えている。バーテンに聞くとどうやら先に帰ったようだった。
月曜日、いつも通りに学校の授業を行い、コーネリアスと会話。その後、地下鉄に乗って自宅へ。部屋の前では刑事のマロイが家主を待っていた。訝る彼女は部屋へマロイを案内。
話によると近所で猟奇殺人事件があり、フラニーが住むアパートの裏庭で死体の一部が発見されたのだと言う。本当にマロイが刑事なのかも怪しい。彼の手首にもバーで見た男性と同じタトゥーが見えたため、フラニーは何も見なかったと答えた。
後日、ポーリーンの家に遊びに行こうとしたフラニー。アパートの前でマロイが待ち伏せをしている。今回は相棒のロドリゲスと一緒だった。どうやらバーで男性に奉仕していた女性が被害者だったらしい。フラニーもバーに行っていたことを指摘されたが、タトゥーの件は明かさなかった。
映画『イン・ザ・カット』のあらすじ【承】
妹の自宅へ到着。別れ際にマロイから飲みに誘われた。
ポーリーンの恋愛相談を聞いた後、彼女がフラニーにブレスレットをプレゼント。それには、籠に赤ん坊が入った可愛らしいチャームが付いていた。フラニーは喜んでそれを受け取る。姉は妹に刑事から飲みに誘われたことを報告し、ドレスを借りて出かけることにした。
バーへ入ったフラニーとマロイ。そのバーにはロドリゲスも来店しており、すでに泥酔していた。彼は激情に駆られると暴力的になるようで、妻を殺しかけたことがあるらしい。そのせいで降格となり、今は事務職に就かされていると言う。2人の刑事が他の女性について話し始めたため、フラニーは荷物を持って帰ることにした。
外へ出ると雨が降っていた。彼女はタクシーには乗らず、雨が止むまで待ってから帰路に就く。車もほとんど通らなくなった真夜中。1人で歩いていると背後から何者かに羽交い絞めにされる。もがいて逃げた先にタクシーが通り掛かり、フラニーは運悪く轢かれてしまうのだった。
タクシー運転手の助けを借りて、マロイに電話したフラニー。彼はすぐに彼女を迎えに来て、自宅へと連れ帰ってくれた。幸い怪我は軽症だったが、背後から襲われたため、特徴を話すにしてもどのように襲われたかを実演するくらいである。
2人は触れ合ううちに気持ちが高ぶり、体の関係を持つのだった。
その後、フラニーはマロイにバーで一度会っているはずだと話す。だがマロイは、被害者女性ともフラニーとも、会ったことがないと言うのだった。
学校の授業後、コーネリアスのレポートについて相談を聞いていると、マロイが訪れる。フラニーは逃げるようにコーネリアスと学校を出た。その足で妹の自宅へ向かう。数日、姿を消してみたらいいと、ポーリーンにアドバイスされたからだった。
映画『イン・ザ・カット』のあらすじ【転】
フラニーはマロイに惹かれているが、付き合うことに悩んでいる。なぜなら犯人と思しきタトゥーが同じ場所にあるからだ。
フラニーが姿を消している間に次の被害者が出る。女子医大生が切り刻まれ、ランドリーで洗濯されていたのである。
数日経過後、マロイに連絡を入れたフラニー。襲われた件について犯人の顔写真を見て欲しいと警察署に呼ばれる。だが、犯人の顔写真を見ても分からなかった。
その後はマロイとドライブ。静かな森の川沿いで会話をしつつ、銃の撃ち方を教えてもらうフラニー。だが、話しているうちに彼が別れた妻の家に、今も住んでいることが判明。フラニーはショックを受けてマロイの制止を振り切り帰宅してしまう。
自宅で涙に暮れていると以前に関係を持ったことがあり、しつこく付きまとっている男が家のベッドで休んでいることに気付く。男は合鍵を持っていたため、勝手に入ってシャワーを借りたと言う。フラニーは家にいることも怖くなり、合鍵を返してもらい男と一緒に家を出た。
男と別れた後、ポーリーンの自宅を訪ねたが、いつもの置き場所に合鍵がない。だが、店の者に聞いたところ、妹の姿を見た者もいない。部屋の鍵が開いていたので、中にいると思い家中を見回ったフラニーは、シャワールームで妹の無残な姿を発見することになる。
映画『イン・ザ・カット』の結末・ラスト(ネタバレ)
血塗れのバスルームで、妹の頭を抱え放心するフラニーにマロイが声をかける。店の者達は号泣しており、彼女はそのまま警察署へ保護された。
気持ちが落ち着いた頃、マロイがやって来る。遺体安置所に行っていて、遅くなったと言う。妹の左の薬指には、姉も知らないダイヤの指輪が嵌っていた。恐らくは、犯人からのメッセージなのだろう。
フラニーは妹の死に様を詳細に聞き、マロイを犯人呼ばわりする。すると、詰問された刑事は何も答えず、女性警官に頼んで彼女を自宅へと送った。
フラニーは深い悲しみから逃れるため、浴びるように酒を飲んだ。そこへ、コーネリアスが訪ねて来て弱みに付け込み、身体を重ねようとするが、フラニーが拒むと逃げるように去って行く。窓の下にはロドリゲスが様子を見に来ていた。彼女は彼にほっといて欲しいと叫び返した。
すると、夜になってロドリゲスから様子を聞いたマロイが自宅を訪ねて来る。マロイはフラニーを風呂に入れ、甲斐甲斐しく面倒を見た。
入浴後、どうしても疑いが晴れないフラニー。彼女は赤いドレスを着て彼を手錠で拘束し、半ば無理矢理に身体を重ねる。そして、マロイのジャケットにある鍵を探していて、襲われた際に失くしたチャームを発見。襲って来たのも、妹を殺したのもマロイだったのだと思った彼女は、恐慌状態に陥り彼の銃とジャケットを持って部屋から逃走を図るのだった。
通りを渡ったところで、ロドリゲスに遭遇。フラニーは彼に助けを求めた。車に乗せられ安堵から眠ってしまった。目覚めるとロドリゲスが秘密の釣り小屋へ連れて行ってくれる。だが中へ入った時、彼の手首にマロイと同じタトゥーを発見してしまう。
てっきりマロイが犯人だと思っていたフラニー。自分が思い違いをしていたことに気付く。ロドリゲスの話を聞きながら、泣き出した彼女はマロイのジャケットを着用。勝手に話し続けるロドリゲスが、指輪を嵌めることを強要してきたため、フラニーは彼に向けて銃を放った。そうして、妹の仇を取ることに成功するのである。
朝方、ロドリゲスの返り血を浴びたまま、フラニーが帰宅。マロイは拘束から逃れようと相当、暴れたようで疲れ切ってそのまま寝入っている。彼女は彼の傍に寄り添い、安堵して眠りにつくのだった。
映画『イン・ザ・カット』の感想・評価・レビュー
殺人事件の犯人を目撃したが、情報を求める警察官に打ち明けることが出来なかった。その後、その警察官と肉体関係を持つようになるが、彼が犯人なのではと疑っていく。これまでは、キュートでコミカルな純愛ストーリーの出演が目立っていたメグ・ライアン。この作品はダークでありエロチックで、彼女は体当たりの演技で今までの彼女の印象からは想像できない一面を見せてくれた。官能的な役どころも演じきれるという実力を見せつけた作品だ。(女性 30代)
キュートでコミカルな印象だったメグ・ライアンのイメージが一変、あの可愛らしい笑顔も封印しエロティックで退廃的な役を熱演しているところに注目です。当初はニコール・キッドマンがフラニー役をする予定だったそうです。ちなみにニコールは制作となっています。全体的に暗く、沈んだ雰囲気で妖しくエロティックな悪夢を見ている様な気分に陥ってしまい、出演者全員が怪しく思えてきます。メグ・ライアンとマーク・ラファエロのカップルが良い感じにエロくてカッコ良いです。(女性 30代)
好きな人のことは、全部好きになりたくなってしまいませんか?ちょっと嫌だなとか、ここは直して欲しいなと他の人だったらと思う部分も、そんな所も含めて好きって自分に思い込ませたりして。
この作品で描かれているのはそんな簡単な問題じゃないのですが、好きな人は悪人かもしれないというお話。笑顔がキュートな天真爛漫なイメージのメグ・ライアンがかなり大人なエロティックな女性を演じていました。
あるキッカケで、自分自身が内に秘めていた気持ちを外に出していくと、ある意味人生が変わるのだと感じます。
ゆっくりとしたストーリー展開ですが、メグ・ライアンとマーク・ラファロの絡みが見たくて最後までしっかり見てしまいました。ストーリーの重要な部分だけなら30分程度で収まるお話です。(女性 30代)
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