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映画『インテリア』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『インテリア』の概要:あまりにも完璧主義な妻との暮らしに疲れた初老の夫は、妻との実験的な別居を開始する。新たな人生を歩み始めた父親と心を病んだ母親に、すでに独立した娘たちが翻弄される。ウッディ・アレン監督が、夫婦や家族のリアルな姿を鋭い視点で描いたヒューマンドラマ。

映画『インテリア』の作品情報

インテリア

製作年:1978年
上映時間:93分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ウディ・アレン
キャスト:ダイアン・キートン、ジェラルディン・ペイジ、E・G・マーシャル、クリスティン・グリフィス etc

映画『インテリア』の登場人物(キャスト)

イヴ(ジェラルディン・ペイジ)
インテリア・デザイナー。芸術を愛する完璧主義の女性で、家族も家のインテリアも自分の思い通りでないと気が済まない。精神を病み、入院していたことがある。夫から試験的別居を提案される。
アーサー(E・G・マーシャル)
イヴの夫。ずっとイヴの言いなりになって生きてきたが、娘たちも独立し、自分自身に戻るためにイヴとの別居を決意する。資産家。
レナータ(ダイアン・キートン)
イヴの長女。詩人として成功しており、イヴにとっては自慢の娘。小説家の夫との間に、まだ幼い娘がいる。
ジョーイ(メアリー・ベス・ハート)
イヴの次女。アーサーには溺愛されたが、イヴには認めてもらえずに苦しんできた。芸術家肌の母親と姉に、強いコンプレックスを持っている。
フリン(クリスティン・グリフィス)
イヴの三女。一応ハリウッド女優だが、B級映画の端役しかしていない。家族とは距離を置いている。
パール(モーリン・ステイプルトン)
アーサーの再婚相手。イヴとは正反対の陽気な女性で、アーサーは彼女のおおらかさに癒される。
マイク(サム・ウォーターストン)
ジョーイの夫。政治活動をしている。イヴに見下されている。
フレデリック(リチャード・ジョーダン)
レナータの夫。小説家だが、なかなか傑作が書けずに悩んでいる。不本意ながら大学の講師になる。

映画『インテリア』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『インテリア』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『インテリア』のあらすじ【起】

60歳を過ぎたアーサーとイヴの熟年夫婦は、アーサーの申し出で、試験的に別居をすることになる。インテリア・デザイナーをしているイヴは、神経質な完璧主義者で、家の中はいつも整然と片付けられていた。イヴは、インテリアだけでなく、夫や娘たちに対しても完璧を求めてきた。アーサーは、支配的なイヴから離れ、自分を取り戻したいと思っていた。

夫婦の間には、すでに独立した3人の娘がいる。詩人として活躍する長女のレナータは、小説家のフレデリックと結婚し、子供も産んでいる。イヴは、芸術的な才能のあるレナータのことを気に入っており、彼女のことはよく褒める。

次女のジョーイは、政治活動をしているマイクと結婚していたが、まだ子供はいない。幼い頃のジョーイはとても優秀で、アーサーはジョーイを溺愛していた。ジョーイは芸術家肌の母親と姉に強いコンプレックスを持っており、自分も何か自己表現をしたいと望んでいた。しかし何をやっても続かず、ストレスばかりをためている。

三女のフリンは、ハリウッドで女優をしている。女優といっても、B級映画の端役しかもらえないような女優だったが、家族とはうまく距離を保ち、自分のプライドを保っていた。

アーサーと別居し始めたイヴは、ジョーイの家にかまい始める。勝手に高価な花瓶を買ってきたり、何度も床の張り替えを強要してくる義母に、マイクは嫌気がさしていた。しかしジョーイは、精神科へ通っている母親をかばい、なんとか元気付けようとする。それでも、父親との和解に関しては、楽観的なことが言えない。イヴはアーサーとの復縁を望んでいたが、アーサーの心は完全にイヴから離れていた。

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映画『インテリア』のあらすじ【承】

レナータは、1年前から夫と性行不能になっており、著作も進んでいなかった。彼女は母親が精神の病を発病した年齢に近づいており、その時のことを思い出しては恐怖を感じていた。精神病院から退院してきた母親の哀れな姿は、レナータのトラウマになっていた。

イヴの誕生日、レナータ夫婦とジョーイ夫婦、そしてフリンもイヴの家に集まる。娘たちはイヴに気を使い、楽しい時間を過ごそうと努める。しかし、その日イヴが1番喜んでいたのは、アーサーから届いた白い薔薇の花束だった。

フレデリックは、自分の著作が評価されないことに苛立っており、レナータとの夫婦喧嘩も増えていた。レナータは彼を励まし続け、その才能を伸ばしたいと思っていた。しかしフレデリックは、アーサーの送金に頼って詩を書いているレナータを非難する。レナータは、それを恥だとは思っていないと断言する。

アーサーと会った日の夜、イヴはガス自殺を図る。幸い一命は取り留めたが、これから先のことを考えると、家族は暗澹たる気持ちになる。そんな時でも、アーサーはジョーイの心配ばかりしており、レナータを苛つかせる。

イヴが退院後は、ジョーイが中心になって母親の面倒を見る。フリンは仕事を口実に帰ってこないし、レナータもイヴの世話をジョーイに押し付けていた。姉妹は母親のことで喧嘩になる。レナータは、芸術への意欲も見合う才能もないくせに、自分に勝ちたがるジョーイに苛立つことがあり、フレデリックの前では、妹のことを辛辣に批判していた。

映画『インテリア』のあらすじ【転】

妊娠が発覚し、ジョーイは絶望的な気持ちになる。イヴの世話もあるし、自分のやりたいことさえ見つけられないまま、子供を産むのは嫌だった。しかしマイクは子供を望んでおり、2人は夫婦喧嘩になる。

イヴは、アーサーとまた一緒に暮らすことを望んでおり、なんとかするようジョーイに頼む。現実的に考えて、それは無理な相談で、ジョーイはイヴにきついことを言ってしまう。イヴは、ジョーイが悲観的なのだと思っていた。

アーサーの要望で、レナータの家にジョーイ夫婦も集まる。アテネ帰りのアーサーは、パールという同年代の女性を家族に紹介する。パールは、イヴとは正反対のおおらかで明るい女性で、考え方も非常に単純だった。アーサーはそんなパールに惹かれ、あっという間に恋に落ちたらしい。

パールがマイクとフレデリックを相手にカードゲームをしている間、レナータとジョーイは2階でアーサーと話をする。アーサーは、まだ知り合ってひと月のパールと、結婚するつもりでいた。2人の娘は、あまりに早すぎる父親の決断に戸惑い、パールが父親の財産目当てなのではないかと心配する。特にジョーイは辛辣で、パールのことを口汚く罵る。しかしレナータは、「皆の賛成が欲しい、私のことも考えてくれ」というアーサーの訴えを聞き、一方的に父親を非難するジョーイをたしなめる。

アーサーは教会でイヴと会い、「正式に離婚したい」と申し出る。アーサーに別の女性がいることを知ったイヴは、パニック状態で教会を飛び出していく。アーサーが自分の主治医と勝手に会っていたことも、イヴのプライドを深く傷つけていた。

映画『インテリア』の結末・ラスト(ネタバレ)

アーサーとパールの結婚が決まり、イヴ以外の家族は、昔家族で暮らした海沿いの家に集合する。目の前に海が広がるこの家は、家族の思い出が詰まったビーチハウスだった。結婚後、アーサーはここで暮らすつもりにしており、パールは陰気なインテリアを改装するつもりだった。しかしそれは、イヴが厳選したお気に入りのインテリアだった。

ハリウッドからフリンも帰ってきて、イヴ以外の家族が顔を揃える。イヴも落ち着き、ジョーイも父親の結婚を認める気になっていた。

家族に見守られ、アーサーとパールは結婚式を挙げる。そのあとのパーティで、父親がパールと踊るのを見て、娘たちは驚く。パールはみんなに気を使い、陽気に踊ってその場を盛り上げようとする。しかしよろめいた拍子にイヴが大事にしていた花瓶を割ってしまい、ジョーイに厳しく叱責される。

車でコカインを吸っていたフリンは、酔ったフレデリックに犯されそうになる。ずっとレナータにコンプレックスを感じてきたフレデリックは、俗物的なフリンに性的魅力を感じていた。フリンもフレデリックを挑発するような態度をとっていたが、いざとなると逃げ出してしまう。

その夜遅く、リビングでお酒を飲んでいたジョーイは、イヴが来たのを感じる。暗くてよく見えなかったが、それは確かに母親だった。酔っていたジョーイは、胸の内にしまってきた母親への不満を爆発させ、「ママは病気なだけじゃない、本当は心が歪んでいるの」と、ひどいことを言ってしまう。ジョーイは、「それでも愛しているから許しあうしかない」と言いたかったのだが、イヴはその前に外へ出てしまう。

イヴはそのまま荒れ狂う海へ入り、入水自殺を図る。ジョーイは必死で母親の後を追うが、イヴの姿は波間に消えていく。溺れたジョーイをマイクが救い出し、パールが人工呼吸で蘇生させる。

イヴの葬儀の後、家族はビーチハウスへ集まる。ジョーイはそこで、少ないながらも母親と過ごした温かい時間や美しかった母親の姿を思い出す。母親のいなくなった世界は、とても静かだった。3姉妹は、目の前に広がる静かな海をじっと見つめる。

映画『インテリア』の感想・評価・レビュー

いい意味で「ウディ・アレン」ぽさを感じない今作。様々な人間模様をユーモアたっぷりに描くことの多い彼の作品ですが、今作は笑いが一切なく、ものすごくシリアスな作品になっていました。彼が描く人間の奥ゆかしさのような、言葉にするべきではない「感じ取るもの」が全面に押し出されているような気がします。
どんな家族にも他人には見せなくない、知られたくない部分があるもの。それを悟られないように、気づかれないように家庭内で補っていくことはとても大変で労力のいることなんだと感じました。小さなきっかけや少しのすれ違いが、のちに大きな崩壊を招いてしまうことを忘れずに「思いやり」を持たないといけませんね。(女性 30代)

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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