映画『ある会社員』の概要:金属製造企業を装い、裏で暗殺を請け負う会社に勤める主人公。彼はやり手の暗殺者だったが、かつて憧れていた女性と出会ったことにより、普通の暮らしを求めるようになる。表では普通を装い、裏では人殺しをする。その落差に思い悩む暗殺者を描いた作品。
映画『ある会社員』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ
監督:イム・サンユン
キャスト:ソ・ジソブ、イ・ミヨン、クァク・ドウォン、イ・ギョンヨン etc
映画『ある会社員』の登場人物(キャスト)
- チ・ヒョンド(ソ・ジソブ)
- 営業第2課、課長。どこか朴訥な印象のある男性。やり手の暗殺者。かつて歌手だったユ・ミヨンに憧れを抱いており逢瀬を重ねる。
- ユ・ミヨン(イ・ミヨン)
- 元歌手でフンの母親。明るく気が強い面もあるが、頑張り屋。縫製の工場で働いている。
- クォン・ジョンテ(クァク・ドウォン)
- 社長の息子でヒョンドを目の仇にしている。常に驕り高ぶり、上から目線。現場には一度も出たことがない。
- フン(キム・ドンジュン)
- 20歳のバイト。筋が良いと期待されていたが、ヒョンドによってバイトを辞めさせられる。ヒョンドを慕う快活な青年。
映画『ある会社員』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ある会社員』のあらすじ【起】
金属製造企業の会社で課長のチ・ヒョンドは、やり手の社員だ。彼はアルバイトのフンを連れて、仕事先へと向かう。手はず通りに彼を送り込み、仕事を完遂させた。まだ20歳という若さのフンは、会社でも筋がいいと期待される存在だった。だが、上層部は彼を始末しろとヒョンドに命令していた。
表向きは金属製造企業。その実、裏では暗殺の仕事を請け負うヒョンド所属の部署は、営業2部である。ヒョンドは中でも、失敗せず仕事も早くて裏切らないと、社長からの信頼も厚かった。
社長の息子であるクォン・ジョンテはそんな彼が気に入らず、会えばいつでも嫌味をぶつけて来る。ヒョンドにとっては逆らえない上に、面倒な存在だった。
そんなある日、フンの自宅を訪ねたヒョンドはフンの母親が昔、憧れていた歌手であることを知る。ヒョンドがまだ10代の頃、ユ・ミヨンの歌を聞きながら、頑張ったのだった。
今や2児の母であるミヨンは縫製で日々の糧を得ていた。
ある日、早朝から社長に呼ばれて出社したヒョンド。そこで、彼は直属の上司である部長を始末しろと命令される。部長は息子を事故で亡くし、事故の加害者を探して会社を無断欠勤していた。だが、部長もかつては、やり手の暗殺者。ヒョンドは尾行を見破られてしまう。説得を試みるも部長は頑なだった。
映画『ある会社員』のあらすじ【承】
会社に戻ったヒョンドはジョンテと顔を合わせた後、フンを匿っている家へ向かった。ヒョンドはフンを殺したように見せかけ、助けていたのだった。フンはヒョンドを正社員に採用したいとジョンテに進言していたが、奴は聞いてくれなかった。
基本、暗殺はチームで行う。綿密に計画を立て、誰にも見られず誰にも悟られずに行うのだ。フンの時とは様相が違っていた。
フンを自宅へ戻すために、ミヨン一家と食事に来たヒョンド。一家と過ごす内に、自分の立場と仕事に対する悩みが、より浮き彫りにされていく。
部長の解雇が承認された。解雇とは始末することだ。部長は逃げずにヒョンドと対峙。すでに死ぬ覚悟を決めていた。ヒョンドは彼も殺したように見せかけて逃がした。
部長の解雇が決定したため、繰り上がりでヒョンドが部長となった。営業2部の部長である。
ヒョンドはこの機に乗じて、ミヨンをデートに誘った。
湖のほとりのカフェでお茶をして、ドライブをする。2人の距離が少しだけ縮まった。
その日の夜、ミヨンを自宅まで送ったヒョンドは、感の良い刑事に声をかけられる。彼は免許証を検められた。なぜか会社員であることも疑われ、ミヨンが咄嗟にヒョンドの名刺を刑事に渡してしまう。
映画『ある会社員』のあらすじ【転】
ヒョンドは警察に目をつけられてしまった。
しかも、逃がした部長を捕縛されてしまい、社長にきつく咎められる。ヒョンドは苦渋の決断を強いられ、元上司を殺した。
その矢先、会社に刑事が訪ねて来る。刑事が帰った後はジョンテにいびられ、パワハラまがいに暴力を振るわれた。しかし、相手は社長の息子だ。ヒョンドは何も言い訳をせず、それを受け入れた。
仕事の最中、ヒョンドは急に現場を離れミヨンの元へ。普通の会社員を装いながら、裏では人を殺している。ジョンテにも煙たがられている。息が詰まりそうだった。
ミヨンと食事をして、彼女から鞄を貰った。ヒョンドは湖のほとりのカフェを買い取って、カフェをしないかとミヨンに持ち掛ける。
貯金でカフェを買い取ったヒョンド。ミヨンの歌に心を和ませる。彼は退職願を密かに準備した。
会社はヒョンドを解雇することに決めたようだった。契約に向かった車内で、部下2名と乱闘。1名は銃で倒し、もう1人は闘いの末、不意に迫ったトラックが轢いてしまった。
危機を察知したヒョンドは、ミヨン一家を連れて逃亡。退職した前部長を頼りに匿ってもらう。さすがに、様子がおかしいと気付いたミヨン。彼女はヒョンドを問い詰める。彼は会社の真実を明らかにした。
映画『ある会社員』の結末・ラスト(ネタバレ)
仕事だからと言って、人を殺してもいいのか。それが、本当に許されることだと思っているのか。
それぞれが悩んだ結果。ミヨンはヒョンドと逃げることに決めた。
ヒョンドは命がけで会社に尽くして来た。彼の人生は会社にあった。10年間、文句も言わずに働いて来たのだが、彼はとうとう退職を決意。自宅へ戻り、隠してあった大金を手に戻った。
しかし、彼を待っていたのは、ミヨン一家を拘束した会社の連中だった。匿ってくれた前部長が会社復帰と引き換えに、彼らを拘束していたのだった。
ヒョンドは隙を突いて、世話になった前部長と会社の連中を始末する。しかし、流れ弾がミヨンに当たってしまう。彼女はヒョンドに抱かれ、息を引き取った。
戦闘服であるスーツに着替えたヒョンドは、車を飛ばして会社へ向かった。
会社では着々と迎え撃つ準備が行われている。マシンガンを持ったヒョンドは会社へ、静かに乗り込んだ。不穏な空気を醸し出すオフィス。
コピー機のエラー音を合図に、撃ち合いが展開。何と言っても、ヒョンドは会社一のやり手である。消火器で煙幕を張り、侵入して来た2名を騙し討ち。マシンガンを奪ってオフィスの社員を全滅させた。
ヒョンドは警察へ電話後、奥へ。お局様を銃殺。近接戦に突入。相手はヒョンドと同等の技を持っていたが、どうにか倒した。
社長と秘書は書類の処分をしていた。ヒョンドは会社で一番に期待された逸材だった。故に、社長も目をかけてきたのだが、それがどうしてこんなことに。
社長は後から来た、フンに撃たれて死んだ。
フンを逃亡させるため、ヒョンドは脱出の指示をする。しかしそこへ、隠れていたジョンテが襲撃。フンとヒョンドは撃たれてしまう。ぼんくらで驕ったジョンテは、ヒョンドに襲い掛かるも簡単に避けられて、ビルの窓から飛び降りた。
ヒョンドはまだ若いフンに、自分のようになるな。人生を楽しめと言い、彼を逃がした。そして、ヒョンドは1人で出頭。心身共にボロボロとなった彼は、清々しい表情を浮かべる。机上に退職願を出して来た。彼は入社当時を懐かしく振り返る。あの頃はまだ、無邪気に笑えていたことを思い出した。
映画『ある会社員』の感想・評価・レビュー
表向きはありふれた会社を装い、裏で暗殺を請け負う会社で働く主人公を演技派のソ・ジソブが演じており、実に素晴らしい演技とアクションを見せている。会社で上司にパワハラされ、ストレスを抱える様子など現代社会にも通じると思う。ただ、仕事内容が内容だけに、抱えるものは別物だろうと思うが。加えてアクションも素晴らしい。突っ込みどころは多々あれど、息を飲むスリルや展開は面白いと感じたし、パワハラしていた上司が勝手にビルから転落していった時はとにかくすっきりした。序盤から疲れ切っている様子も垣間見られていたため、終盤での戦いや辞表が映されるラストでは爽快感がある。あり得ない設定ではあるが、それ故に面白いと感じた。(女性 40代)
一見普通のサラリーマンだけど、実は裏の顔があって…。なんてストーリーは日本のテレビドラマでも描かれることが多い設定ですが、日本ではコメディチックに作られることが多いですよね。
今作は、会社員として働く男の本当の仕事は「暗殺」という、なんとも韓国映画らしいダークな設定。コメディ要素は全くありません。むしろ、寡黙で暗い雰囲気の主人公なため、セリフも少なめで作品そのものが重めでした。
96分という短めの作品なので、スピード感があり、無駄なシーンが少なくとても見やすかったです。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー