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映画『いぬやしき』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『いぬやしき』の概要:強い光を浴びた翌日から、自分の体が機械化していることを知った初老の男性と男子高校生。それぞれの境遇から、男子高校生は人間へと憎悪を抱くようになり、初老の男性は人を救おうと考えるようになる。人気漫画『いぬやしき』を実写映画化。

映画『いぬやしき』の作品情報

いぬやしき

製作年:2018年
上映時間:127分
ジャンル:SF、アクション、サスペンス
監督:佐藤信介
キャスト:木梨憲武、佐藤健、本郷奏多、二階堂ふみ etc

映画『いぬやしき』の登場人物(キャスト)

犬屋敷壱郎(木梨憲武)
家族から蔑ろにされている初老のサラリーマン。妻と娘、息子の4人家族。気が弱く、家族にすら強く言えない。捨て犬の花子と自分を重ね合わせ、心根が優しく正義感がある。
獅子神晧(佐藤健)
麻里と同じクラスに所属する男子高校生。高性能アンドロイドの機能をフルに使い、神になったと豪語。無表情で人殺しをするようになる。若者特有のむしゃくしゃした気持ちを抱えており、行動をエスカレートさせてしまう。非常に賢く実はとても情に厚い。
安堂直行(本郷奏多)
獅子神の親友で現在、引き籠り真っ最中。獅子神が高性能アンドロイドである事実を知っているが、人殺しを平気で行っていることに恐れをなし、壱郎に助けを求める。
渡辺しおん(二階堂ふみ)
獅子神に好意を抱いている同級生。祖母と2人暮らしをしている。どこか間の抜けた少女で、獅子神を癒してくれるが、警視庁部隊による一斉射撃にて命を落としてしまう。
犬屋敷麻里(三吉彩花)
壱郎の娘で獅子神とは同級生。年老いた父親のことを家族内で一番、毛嫌いしている。

映画『いぬやしき』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『いぬやしき』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『いぬやしき』のあらすじ【起】

うだつの上がらない初老のサラリーマン犬屋敷壱郎は、妻と娘の麻里、息子の4人家族。だが、彼は家族から相手にされず、会社では自分より若い課長にミスを何度も指摘され怒られる。毎日、満員電車に揺られ暴力を振るう若者に対しても注意ができない情けない男だった。

ある日、会社の定期健診でC判定が出たため、病院で検査した壱郎だったが、結果は末期癌であった。医者からは後日、家族と来いと言われたが、家族は父親に見向きもしない。病気のことを明かせないまま、拾った犬花子を捨てに向かった壱郎。公園にて男子高校生が佇んでいるのを目撃する。彼はこちらに向かって来る強い光をじっと見つめているようだ。壱郎もまた、強い光を目にしてそのまま意識を失ってしまう。

翌朝、公園にて意識を取り戻した壱郎は、花子を連れて帰宅。朝食を口にしたが、味がしない。その上、無性に喉が渇き蛇口から水をがぶ飲みした。自分に何が起こったのか分からず、すぐさま自室へ。彼はそこで、自分が精密で高性能なアンドロイドになってしまったことを知るのだった。

壱郎と共に強い光に遭遇した男子高校生、獅子神晧は放課後に引き籠りになっている同級生の親友、安堂直行を訪ねる。獅子神も全身をアンドロイド化されており、すでに自らの性能を把握して驚異的な性能を直行に見せつけた。そして自分は最早、人間ではないと言う。

自分が高性能アンドロイドになったと信じ切れない壱郎は、いつもの通りに会社へ出勤。その日も叱られ、肩を落として退社したが、道端で死にかけたハトを発見し、無意識にハトの治療をするのだった。その後、病院にてイチかバチかで意識不明に陥った少年の治療を行う。すると、治療は成功し少年は意識を取り戻した。壱郎はこの力で人を救うことができるのだと自信を持ち始める。

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映画『いぬやしき』のあらすじ【承】

母子家庭に育った獅子神は、母親と離婚した父親から毎月、養育費を受け取る役目を負っている。父親は息子を歓迎し自分の家族と同様に扱ってくれるが、そんな父親のことを甘受できずにいた。彼は父の家族を殺したい衝動にかられたが、寸でのところで堪え見知らぬ家へ押し入り一家を惨殺。

その頃、壱郎は病院巡りをして病気の治療をしていたが、助けを呼ぶ悲鳴を聞く。辿り着いた場所は獅子神が押し入った住宅で、玄関から入ってすぐに少女が倒れていた。すぐさま治療を施そうとしたが、死んだ人間を生き返らせることはできないようだ。そこで壱郎は獅子神と対峙。しかし、不意を突かれ奴の攻撃を食らってしまい、逃走を許してしまうのだった。

以降、獅子神の行動はエスカレートしていく。彼は銀行をハッキングして大金を得ると、それを小遣いだと言って直行に渡す。直行は彼の性能を知っているため、ニュースになった一家惨殺も獅子神の仕業ではないかと考えた。だが、獅子神は直行のことだけは守ると言う。しかも、彼はすでに人間ではないため、殺人罪にはあたらないと豪語。直行は恐れるあまり、もう獅子神とは会わないと言うのだった。

帰宅した獅子神は突然、母親に来月から父親の元で暮らせと言われ愕然とする。母親は末期のすい臓がんを患っており、息子に負担はかけられないと言うのだ。母子は涙ながらに抱き合い、獅子神は母親を絶対に死なせないと誓った。

同じ頃、帰宅した壱郎は妻と子供達が騒いでいる場面へ遭遇するが、麻里によって酷い言葉を投げつけられる。壱郎は何も言い返せず家族を守ることもできないと思い自室で懊悩し、涙を流した。そんな時、壱郎は直行が祈っている言葉を耳にする。獅子神は人を殺すが、壱郎は助けることができる。彼は自信を取り戻し、花子を抱えたまま自宅からジェット機能で空へと飛び立つのであった。

映画『いぬやしき』のあらすじ【転】

公園で祈り続ける直行の元へ降り立った壱郎は、自分と獅子神の間に起こったことを彼に話して聞かせる。すると、直行は獅子神を止めて欲しいと壱郎に頼む。獅子神と壱郎は同じ性能を持ったメカであるため、壱郎にも獅子神と同じことができるはずだ。翌日からは直行と共に訓練を開始した。

一方、母と共に病院へ来ていた獅子神は、母親の癌が完治していると聞く。恐らく、獅子神が無意識に治療を施したのだろう。母子は安堵して帰路に就いたが、その途中で刑事に囲まれてしまう。一家惨殺事件で獅子神に容疑がかかっているらしい。彼は母親を置いて、刑事を撃って逃走した。

警視庁は即座に獅子神を事件の犯人として公開。報道はたちまち、全国で話題を呼び身バレしてしまう。そんな時、同級生で獅子神に好意を抱いている渡辺しおんから助けられ、彼女の家へ潜伏させてもらうことになった。しおんは祖母と2人暮らしらしく、いつまでもいていいと言う。

その後、獅子神は母親が息子の罪を悔いて自殺したと知り愕然とする。更にネットの掲示板で、母親の情報を報道に流したという者が現れ、彼は掲示板に参加している人間を、ネット上から全て殺害してしまうのだった。
そんな彼を心配して声をかけたしおんは、彼の正体を知り恐れ戦く。獅子神は彼女を連れて空へと飛び出したが、しおんの温もりを感じ彼女のことは絶対に守ると誓うのであった。

獅子神の犯行はすぐさまニュースになったが、壱郎が密かに行っていた病気の治療も話題となる。すると、ネット上では獅子神が悪で奇跡の男壱郎がヒーローだと書き込まれるようになる。だがその夜、警視庁の部隊がしおんの自宅へ潜入し、一斉射撃を行った。そのせいで、しおんと彼女の祖母は巻き込まれて命を落としてしまう。恨みを募らせた彼はとうとう、良心を捨て空へと逃走し復讐を誓うのだった。

映画『いぬやしき』の結末・ラスト(ネタバレ)

警視庁の記者会見が行われる。獅子神は凶悪犯と認定され、ネット上でも酷い書き込みが溢れた。彼は日本の全てに憎悪を抱き滅亡させることを決意。テレビをジャックし、犯行声明を出した後、全国へ向けて一斉に無差別殺人を開始。
その頃、壱郎は全国民の助けを呼ぶ声を察知し獅子神を止めるべく、テレビ電波をジャックし返し直行から注意勧告をしてもらった。

すると、その放送を目にした獅子神は全身からミサイルを放出。ビルへの攻撃を開始する。同じ頃、麻里のクラスは校外学習にてツインタワーへ来ていたが、獅子神の攻撃に巻き込まれてしまう。壱郎はミサイルの発射先へと向かい、獅子神と対峙した。
2人は激しい空中戦を展開するが、その最中に娘の瀕死の声を察知した壱郎。急いで救助へと向かおうとしたが、背後からは獅子神が迫り攻撃を加えてくる。

彼ら2人の原動力は水であり、適度に摂取しなければ機能が停止してしまう。そこで獅子神が口にしようとした水を破壊した壱郎。反撃された挙句、自分の水を奪われてしまう。
追われたため、大気圏近くまで飛び上がった壱郎は、獅子神に殺されそうになるが、そこで突如、奴に異変が発生。彼は塩分によってメカが不具合を起こすことを知らなかった。

壱郎と直行は、彼を止めるためにわざと塩分を含んだ水を持っていたのだ。壱郎は獅子神へとミサイルを発射し、彼を沈黙させることに成功するのだった。
その後、麻里の救出へ向かったが、娘はすでに息絶えている。それでも、壱郎にとっては大事な娘であるため、必死に蘇生を試み仮死状態となっていた麻里の回復に成功した。父子は抱き合ったが、そこへ破壊したはずの獅子神が戻って来る。

奴は虫の息となった人々にとどめを刺し、最後に麻里へと目を止める。壱郎は娘を守ろうと獅子神へ飛びついたが一瞬、遅く。麻里を攻撃される。壱郎は獅子神からひたすら攻撃され、すでに人間ではないことを娘に知られてしまうのだった。
更に奴が麻里をビルから投げ飛ばしたため、壱郎は激情にかられ、脳のコアを激しく明滅。驚異的な力を発揮し奴を突き破った。そうして、地面へと激突する寸前で、娘の救出に成功。傷を癒した後、父は被害に遭った人々を救うべく空へと飛び立って行くのだった。

これにて、史上最悪の殺人鬼、獅子神事件は終息。奇跡の男と呼ばれた壱郎は人知れず日常へ戻った。
後日、直行は自室に入り驚愕する。そこには何と、獅子神がいたのだ。直行は親友が救われたことに涙を零し無事を喜んだが、獅子神は彼が変わらずに接してくれることを確認した後、知らぬ間に姿を消してしまうのだった。

映画『いぬやしき』の感想・評価・レビュー

『GANTS』でも人気を博した漫画家、奥浩哉氏の漫画『いぬやしき』を実写映画化。連載当時は奇抜な設定と、主人公が初老のサラリーマンであることから、絶大な人気を誇りテレビアニメにもなった。

初老の男性に対して家族からの心無い言葉や扱い、男子高校生が受ける非情な扱いには酷く心が痛む。そのことに対して若さ故に憎悪を滾らせるのは当然のことと思われる。彼は恐らく、守る者に依存しなければ、動けなかったのかもしれない。対照的な2人が戦うことになるのは王道と言うべき展開だが、その工程に至るまでの心情を繊細に描いている。(MIHOシネマ編集部)


佐藤健と木梨憲武のバトルと聞いて真っ先に思い出したのが『仮面ライダー電王』と『仮面ノリダー』。どちらも大好きな作品で、ノリダーのクオリティの高さは最近のバラエティ番組では考えられないほどの素晴らしさ。木梨憲武のコメディだけど真面目にやってる演技が大好きだったんです。佐藤健のモモタロスも流行りましたよね。
とにかく好きな2人が戦うということで、かなり期待しましたがすごく面白かったです。今まで見た事のない設定と世界観で、先が読めず最初から最後まで飽きずに見られました。(女性 30代)


原作未読ですが、GANTZと同じ原作者ということで楽しみにしていました。主役二人のキャラクターがつかみ切れないままアンドロイド化し、それぞれの立場や考え方についていけない場面が多く、感情移入は難しかったです。
しかし、アクションシーンは迫力があり、アンドロイド化した体の表現もリアルで、映像は見応えがありました。出演者の演技も素晴らしかったので、前後編などもう少しじっくり感情を終える構成であればさらに楽しめたかと思います。(女性 20代)


木梨憲武演じる犬屋敷が、しがないけれど人情味溢れるヒーローとして大活躍していました。また、佐藤健が演じた獅子神は絶妙な味わい深さでした。報われなさを抱えた、冷酷な悪役を体当たりでこなしています。CGのクオリティが非常に高く、ハリウッド映画のような迫力と爽快感がありました。無双感が半端ないのに、サイボーグは塩分に弱いという設定も大変興味深いです。与えられた力をどう使うか、家族や友人と評議しながら鑑賞すると、更に楽しい時間となるでしょう。(女性 30代)


邦画のアクションやSFは個人的に苦手であまり観ないが、本作はそんな私でも文句なしのスリルと興奮を味わえたくらい凄い。CGやVFXって邦画でもここまで出来るんだ!と失礼ながら驚いた。上空バトルは大迫力があり映画館で観るべきだったと後悔している。

佐藤健も高校生役で見事だったが、同級生を演じた三吉彩花がすごく可愛くて、この時からポテンシャルを発揮していたんだと納得した。原作を知っていたらまた見方も変わったのだと思うが、私はとても楽しめた。(女性 20代)


何といっても主演の二人が素晴らしく賞賛を送りたい。木梨憲武のしょぼくれたおじさんは実際に存在しそうな感じだったし、佐藤健のサイコパスな青年も、心が壊れている反面、可哀そうでもあるという感じが上手くできていた。

原作からしてそうだが、リアルな家族や学校で感じる嫌な雰囲気が良く出ていて、キャラクターに感情移入すると胸が痛む。

キャラクターの感情の流れがとても自然で、何のために生きているんだろうと思い悩む主人公が、「人を救うため」と結論を出す過程も、無理がなかった。原作とは結末が違うようだが、これはこれでありと思う。(男性 30代)

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