この記事では、映画『ジョー・ブラックをよろしく』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ジョー・ブラックをよろしく』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ジョー・ブラックをよろしく』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 1998年 |
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上映時間 | 181分 |
ジャンル | ロマンス ファンタジー |
監督 | マーティン・ブレスト |
キャスト | ブラッド・ピット アンソニー・ホプキンス クレア・フォーラニ マーシャ・ゲイ・ハーデン |
製作国 | アメリカ |
映画『ジョー・ブラックをよろしく』の登場人物(キャスト)
- コーヒーショップの青年 / ジョー・ブラック(ブラッド・ピット)
- 地方からニューヨークにやってきた、明るく妹想いの青年。人間の肉体を必要とする死神に狙われ、交通事故に遭う。死神は永らく孤独の時を過ごし、人間界に興味を持った。死神が入り込んだ青年の肉体は、ビルにより「ジョー・ブラック」と名付けられる。
- ウィリアム・パリッシュ(アンソニー・ホプキンス)
- 通称ビル。65歳の誕生日を控えている。メディア会社の社長。情に厚く、人の心を掴むのが上手い。その人柄を見込まれて、死神のガイド役として選ばれる。
- スーザン(クレア・フォーラニ)
- ビルの娘。医師。穏やかで、優しく、父のお気に入り。恋愛にはドライで、両親のような情熱的な恋愛はしたことが無い。
- アリソン(マーシャ・ゲイ・ハーデン)
- ビルの娘。スーザンの姉。社交的で、仕切り屋。父の誕生パーティーを盛大なものにする為、尽力している。自分が父のお気に入りでない事は感じているが、家族を愛している。
- ドリュー(ジェイク・ウェバー)
- スーザンの恋人。パリッシュ・コミュニケーションで、ビルの右腕として働いている。賢いが、利己的で、ビルに受けた恩を仇で返そうとする。
- クインス(ジェフリー・タンバー)
- アリソンの夫。パリッシュ・コミュニケーションの役員。上流階級の出身ではないが、大らかで素朴な人柄が愛されている。愛妻家で、感情的になりやすい妻のサポートも得意。
映画『ジョー・ブラックをよろしく』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ジョー・ブラックをよろしく』のあらすじ【起】
65歳の誕生日を間近に控えたビルは、謎の幻聴に悩まされていた。大企業「パリッシュ・コミュニケーション」の社長であり、美しい二人の娘、有能な部下達に恵まれたビル。今も、姉娘のアリソンが、彼の為に大統領にも引けを取らない誕生日パーティーを計画している。末娘のスーザンはお気に入りで、恋人のドリューもビルの右腕として活躍している。心配事といえば、最近聞こえる幻聴と、スーザンが恋愛に冷めていて、自分と亡き妻のように情熱的な愛を感じていないらしい事くらいだ。
医師のスーザンは、ドリューとの関係にも熱は無いが納得していた。しかし、恋愛に関する父の説教を聞いたその足で立ち寄ったコーヒーショップで、これまでにない好意を感じる青年に出会ってしまう。田舎から出てきたという青年は、人懐こくスーザンに話しかけ、コーヒーをおごる。互いに名乗りもせず、他愛のない話をしただけで、二人は相手を好きになっていた。青年は「稲妻が落ちた」と言った。それは、ビルがスーザンに体験してほしいと言ったセリフそのものだった。二人は次の約束をしないまま店先で分かれ、青年は、角を曲がろうとしたところで車に跳ね飛ばされた。
その夜、パーティーの相談を進める為、ビルの家でのディナーに集まる家族の面々。すると、再び幻聴が彼を襲う。幻聴の主は、丁寧にも玄関先に現れ、書斎でビルを待っていた。声の主は、永遠を生きる存在、死神だった。老いを感じ始めたビルが抱いた、自分は死ぬのだろうかという問いへの「そうだ」という答えが、彼が聞いていた幻聴だった。死神の望みは、最近興味を抱いている人間界を、ビルにガイドさせる事。その見返りとして、ガイド中は彼の命が引き伸ばされる。ビルは、この取引を受け入れた。死神は、魅力的な若い青年の姿をしていた。人間界を見回るために用意した、コーヒーショップにいた青年の体だ。
映画『ジョー・ブラックをよろしく』のあらすじ【承】
こうして、死神の人間界体験が始まった。ビルは彼を食事の席に参加させ、適当に「ジョー・ブラック」と名付け紹介した。アリソンと婿のクインスは、彼を好意的に受け入れた。しかし、遅れて参加したスーザンは、朝とは別人のようによそよそしいジョーに気分を損ねる。そして、ドリューもまた、突然社長の友人として現れ、恋人とも何か関係がありそうな得体の知れないジョーに不信感を抱いていた。
ジョーは屋敷を探検する。キッチンで見つけたピーナツバターを、大いに気に行った。そのまま迷い込んだプールで、スーザンに出会うジョー。友達になってほしい、知らない世界を体験したいというジョーに、スーザンも心を開き始めていた。しかし、ジョーとスーザンが顔見知りだったのは、ビルにとっては誤算だった。彼は、ジョーに家族を巻き込まないと約束させた。
ジョーは、ビルの会社にもついて回る。役員会に出席し、クッキーをむさぼるジョーに、ドリューのいら立ちは募っていく。仕事でも、ビルとドリューの意見は衝突していた。会社の成長の為に、他社との合併を望むドリューと、利益ありきの合併ではなく、自社で新しい事業をすべきだと考えるビル。ビルは、残された時間で自分の人生をかけてきた会社をいかに守れるかに、焦りを感じていた。
ビルから追い出され、スーザンの病院に向かうジョー。スーザンは戸惑いながらも、喜びを隠せない。すると、入院患者の老婦人が、ジョーを見て怯え始めた。この世の者でないと感じ取ったのだ。ジョーが悪魔ではないとわかると、痛みから解放されたいから、あの世へ連れて行ってくれとせがみ始める。そういう力は無いと、断るジョー。
映画『ジョー・ブラックをよろしく』のあらすじ【転】
ジョーは、人間界で過ごす時間を楽しんでいた。ビルを中心に、互いを想い合うパリッシュ家のやり取りは微笑ましい。しかし、ビルはスーザンがジョーに惹かれていく事を許せず、ドリューとの衝突も悩みの種だ。ドリューは、ビルを退任にまで追い込んだ。余命をジョーに握られているビルが、先の予定を聞いてきたクインスに言った「ジョー次第」という言葉を利用し、役員達を扇動したのだ。ビル社長は、もはや決断能力もなく、65歳の誕生パーティーが終わり次第お飾り役員になってもらう。さらに、ドリューは合併先の会社と秘密裏に結託し、パリッシュ・コミュニケーションを解体して利益を得ようと画策していた。
スーザンのドリューへの感情はとうに冷め、ジョーとの距離はますます近づいていく。ジョーもまたキスの心地良さを知り、スーザンへの愛を自覚していた。二人は結ばれるが、ビルはどうしてもこの関係を認めるわけにはいかなかった。ジョーは自分が何者かをビルに思い出させ、脅しをかけるが、娘を想うビルは一歩も引かない。
ジョーは人間界でスーザンとの関係を続けていきたいと願うが、彼を思いとどまらせたのは、病院で出会った老婦人だった。老婦人は、一緒にあの世へ行こうとジョーに懇願する。ジョーは、この世にいてはいけないのだ。バカンスと同じで、楽しいと思ううちに終わりにしなければならない。
映画『ジョー・ブラックをよろしく』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジョーは、ビルとの旅立ちを誕生パーティーの夜に決めた。パーティーの日、ビルはアリソンやクインスとの最期の会話を楽しみ、心残りを無くしていく。ジョーもその手助けをした。あと話さなければならないのは、スーザンとドリューだ。
クインスに頼み、ドリューを呼び出すビル。ジョーとの関係をいぶかしんでビルを追い詰めたドリューに、ジョーが突然正体を明かすと言い始めた。自分は国税庁の秘密調査員だ。合併先の会社を、以前から調べていた。その証拠を掴むため、お前を泳がせていた。逮捕されたくなければ、役員に真実を明かし、辞任しろ。ドリューは負けを認め、電話でこの会話を聞いていた役員達は、ビルに謝罪し、彼を社長の座に戻す手続きを始めた。
一方、ジョーはスーザンもビルと共に死の世界に連れて行こうと考えていた。その為には、彼女にも自分の正体を明かさなければならない。しかし、いざスーザンと対面すると、なかなか真実を言い出せないジョー。スーザンは、コーヒーショップでの会話を大切に覚えていた。その時に、恋に落ちたのだから。その会話を繰り返すスーザンを見て、ジョーは別れを決意した。スーザンもまた、今自分の目の前にいるジョーが、あの日コーヒーショップで出会った男ではない事に気が付いた。そして、明かされなかった彼の正体にも、気づき始めていた。ジョーは自分を愛してくれた礼を言い、スーザンの元を後にした。
パーティーは、盛大な花火でフィナーレを迎える。ジョーとの別れを察し、父の心配を理解したスーザンは、ビルと和解した。ビルは、自分に何があっても、これまでの人生に後悔は無いと告げる。そして、ジョーと二人、庭園の橋を渡っていくビル。スーザンは二人の後を追おうとするが、橋の向こうから、ジョーが一人戻って来るではないか。それも、様子がおかしい。辺りを見回し、自分がなぜここにいるかわからないという。それでも、スーザンを見つけた彼は嬉しそうだった。嬉々として、コーヒーショップでの出会いについて話し出す。時間をかけて、お互いを知り合おうと言う。スーザンは、あなたを父に紹介したかったと微笑み、彼の手を引いてパーティー会場へ戻って行った。
映画『ジョー・ブラックをよろしく』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
死神が人間界に現れ、人間の“死”と“愛”を学ぶという設定がとても美しく、ファンタジーでありながら哲学的でもありました。ブラッド・ピットのミステリアスな演技と、アンソニー・ホプキンスの重厚な存在感が見事。ラストでジョーが“死”として去っていく姿に切なさと静かな感動がありました。(20代 男性)
女性としてはロマンチックでありながらも、命の儚さを感じる作品でした。スーザンとジョーの恋愛が、最初は幻想的で甘くても、徐々に別れを前提とした“悲しみ”へと変わっていく流れに胸が締め付けられました。最後、スーザンが気づかないままジョーを見送るのもとても象徴的でした。(30代 女性)
3時間という長さを感じさせない、静かな余韻のある映画でした。死という存在が愛を知り、学び、去っていく流れが詩的で、観終わったあとしばらく現実に戻れなかった。ラストの花火とともに去るシーンはまさに“美しすぎる別れ”でした。映像と音楽の演出も素晴らしい。(40代 男性)
死というテーマにしては、どこか温かく、柔らかい印象の作品。ジョーの視点から見た人間の世界がとても純粋で、死=恐怖ではないというメッセージが優しく心に響きました。特に親子の絆や、家族との別れの描写がリアルで涙が出ました。(40代 女性)
物語はとてもスローテンポだけど、それが逆に死と向き合う“覚悟”をじっくり描いていて印象深かった。ブラッド・ピットの不思議な雰囲気がまさに“人ならざる者”の空気感を完璧に演じていた。人生における愛と別れの美しさを再確認できる一作でした。(30代 男性)
スーザンとジョーの恋は切なすぎて、何度観ても心が締め付けられます。ジョーが愛を知ることで苦しみも知ってしまう…人間らしさとは、きっとそういうことなのかも。最後の別れの瞬間、ジョーの表情がどこか誇らしげで、そこに彼の成長を感じて涙が止まりませんでした。(20代 女性)
死が人間界を歩くことで見えてくる“生”の美しさ。アンソニー・ホプキンス演じるビルの人生観に感銘を受けました。死を恐れず、受け入れ、家族に囲まれて旅立つ姿は理想的な“終わり方”でした。物語の美しさも、人生の教訓も含まれた珠玉の一本です。(50代 男性)
ジョー・ブラックのキャラクターは“死”なのに、どこか無垢で愛らしい存在でした。スーザンとの時間が過ぎるにつれて人間らしさを獲得していく様子に、女性としても惹かれてしまいました。ラストは本当に切なくて、「出会わなければよかったのに」と思いながらも、それが人生の美しさかも、と感じました。(30代 女性)
テンポが遅くて最初は少し退屈だったけど、物語が進むにつれてその“静けさ”が必要だったことに気づく。死という普遍的なテーマをここまで優しく、詩的に描けるのはすごい。ラストでジョーが再び“死”として旅立っていく姿に、なぜか希望すら感じました。(20代 男性)
「死=別れ」だけじゃなく、「死=理解と愛」というテーマに感動しました。ブラッド・ピットの二面性ある演技が素晴らしく、特に感情のこもったラストのシーンは何度観ても泣いてしまいます。人生の中で何を大切にするかを、静かに教えてくれる名作でした。(50代 女性)
映画『ジョー・ブラックをよろしく』を見た人におすすめの映画5選
『シティ・オブ・エンジェル』(1998)
この映画を一言で表すと?
「天使が人間の愛に触れ、永遠よりも一瞬を選ぶ切なさ」
どんな話?
天使セスは人間の女性に恋をし、永遠の存在であることを捨てて彼女のもとへ。愛とは、命とは何かを問う、静かで深いロマンス。ニコラス・ケイジとメグ・ライアンの繊細な演技も必見。
ここがおすすめ!
『ジョー・ブラックをよろしく』と同様に、人間ではない存在が愛を知ることで世界の美しさと儚さに気づいていく物語。哲学的で叙情的な空気感が、観る人の心を優しく揺らします。
『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』(2013)
この映画を一言で表すと?
「“時間”と“人生”をテーマにした、愛に満ちた珠玉の物語」
どんな話?
タイムトラベル能力を持つ青年が、愛する人との幸せな人生を模索する。何気ない毎日のかけがえのなさを、ユーモアと温かさで包み込むラブファンタジー。
ここがおすすめ!
「愛する人と過ごす日々こそが奇跡」というメッセージが心に響きます。『ジョー・ブラックをよろしく』のように、人生の尊さと時間の有限性を深く感じさせてくれる傑作です。
『ビッグ・フィッシュ』(2003)
この映画を一言で表すと?
「人生は“物語”であり、愛はその中で最も美しい真実」
どんな話?
死を目前にした父の語る奇想天外な人生物語。息子はその真偽を確かめながら、父の本当の姿を知っていく──幻想と現実が交差する感動作。
ここがおすすめ!
ファンタジックな演出の中に深い人間ドラマが込められたティム・バートン監督の名作。死や別れ、人生の意味に優しく向き合う姿勢が『ジョー・ブラック』と通じる感動を呼びます。
『リメンバー・ミー』(2010)
この映画を一言で表すと?
「出会いが人生を変え、別れがその意味を教えてくれる」
どんな話?
心に傷を抱えた青年が、ひとりの女性との出会いで変わっていくラブストーリー。静かな愛と成長、そして衝撃のラストが観る者の心に余韻を残す。
ここがおすすめ!
『ジョー・ブラック』のように、人生の一瞬のきらめきや愛する人との時間の尊さが描かれています。派手さはないが、じんわりと胸に染み入るような感動作です。
『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990)
この映画を一言で表すと?
「愛は死を超えて、魂に語りかける」
どんな話?
命を奪われた青年が霊となり、愛する人を守ろうとする感動のファンタジー・ラブストーリー。ウーピー・ゴールドバーグの名演も光るアカデミー賞受賞作。
ここがおすすめ!
“死”を通して“愛”の力を描く本作は、『ジョー・ブラックをよろしく』とテーマが深く共鳴します。愛が残した奇跡のような時間に涙が止まらない、永遠の名作です。
みんなの感想・レビュー
内容は良かったけど、ラズベリー賞をとったのも少し納得いってしまう作品だった。色んな人の想いがそこら中に溢れすぎてどこに焦点を当てればいいのか分からなくなるので困ったのが本音。
スーザンは結局コーヒーショップの青年に恋したのか?でもジョーにも途中落ちてたし、彼女の想いはなんだったのか。「父の死」なのか「切ない死神」なのかスーザンと青年との「情熱的な恋」なのか、感情がバラつき過ぎて忙しい。ただブラッド・ピットがひたすらチャーミングなので上記のことはどうでもよくなる。
今作のような美しいブラッド・ピットはなかなか見られないのでファンにはとても価値のある作品でしょう。最近の彼は強く男らしい役どころが多いですが、今作で演じたジョーはとにかく美しく、繊細で儚げなのが最高でした。人間の肉体を借りた死神ですが、人間を愛し、人間界に順応していく様子がとても可愛かったです。別れが近づくに連れて、観客である私たちも悲しく切ない思いになりますが、ラストの展開には驚きました。
とても長い作品ですが、見る価値があると思います。
ブラッド・ピットとクレア・フォーラニが本当に美男美女で、ただ会話をしているだけなのに絵になる。特に、ブラッド・ピットがカッコ良くて、見惚れた。彼の透き通るような青い瞳が印象的だった。
普通の恋愛映画とは一味違い、死神が登場する物語に興味をそそられた。怖い存在であるはずの死神が、現世に興味を持ち、色々なことに挑戦する姿がまるで子供のように無邪気で可愛く思えた。最後は少し切ないが、ジョーのスーザンへの深い愛が感じられた。
若きブラッド・ピットの美しさが存分に堪能できます。人間の青年と死神の2役をこなし、前者では頼りなく弱弱しい雰囲気、後者では人間界を知らない故に頓珍漢で尊大な様子を見事に演じ分けています。本作での彼の瞳の輝きと初々しさは後の作品ではほとんど見られません。
お薦めはピーナッツバターをスプーンですくって死神として初めて食べるシーンと、最後にアンソニー・ホプキンスと共に橋を渡るシーンです。ホプキンスの重厚な演技に引けを取らない、儚く美しくどこか茶目っ気のあるブラッド・ピットの魅力に溢れたファンタジー作品です。