映画『女王陛下のお気に入り』の概要:女王の寵愛を受け、王宮で確固たる地位を築くために女同士が繰り広げる権力争いを描いた作品。出演する3女優の演技合戦が必見で、女王役のオリヴィア・コールマンは第91回アカデミー賞で主演女優賞にも輝いた。
映画『女王陛下のお気に入り』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ、歴史
監督:ヨルゴス・ランティモス
キャスト:オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルト etc
映画『女王陛下のお気に入り』の登場人物(キャスト)
- アン女王(オリヴィア・コールマン)
- 子供を亡くした暗い過去を引きずっており、情緒が不安定。国を統治するための政治力や決断力に欠け、全てをサラに任せきっている。
- アビゲイル・ヒル(エマ・ストーン)
- サラの従姉妹。元々は貴族だったが賭け好きの父親のせいで没落してしまう。宮廷で召し使いとして働き始めるが、貴族として返り咲くためのサバイバルに異様な執念を燃やす。
- レディ・サラ(レイチェル・ワイズ)
- アン女王とは幼なじみで、女王に対して何でもはっきりものを言う。女王に代わって政治を取り仕切っているだけでなく、実は女王とは恋愛関係にもある。
- ロバート・ハーリー(ニコラス・ホルト)
- 野党議員で、フランスとの戦争継続に反対しており和平交渉を求める。アビゲイルと手を組み、双方の思うままにアン女王を操ろうとする。
映画『女王陛下のお気に入り』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『女王陛下のお気に入り』のあらすじ【起】
18世紀初期、イングランドはフランスと戦火を交えていた。イングランドを統治するアン女王は可愛がっているウサギに挨拶するようにサラに命ずるが、サラは気味悪がって拒否する。宮廷で政治論議が交わされ。ハーリーは和平交渉を進めるよう唱えるが、サラは反対してフランスを徹底的な敗北に追い込むべきだと主張する。
アビゲイルが馬車に揺られて宮廷にやって来る。アビゲイルはサラに頼んで召し使いとしての働き口を得る。ある夜、アビゲイルはアン女王の部屋に呼び出される。部屋ではアン女王が痛風で苦しんでいた。サラが懸命に介抱しており、アビゲイルもその手伝いをする。翌朝、アビゲイルは森で薬草を摘んできて、こっそりとアン女王の足に塗る。アン女王の足の痛みが和らいだため、サラはアビゲイルに感謝して個室を与えて侍女にする。
ハーリーは和平を訴えるためにアン女王に会おうとするが、サラが代理として現れる。サラはアン女王が戦争継続を決意して戦費を賄うために地税を倍にする方針だと説明する。一方、アビゲイルはアン女王に自分が薬草を摘んできたことをアピールする。
映画『女王陛下のお気に入り』のあらすじ【承】
王宮で舞踏会が開かれ、アン女王が車いすで現れる。ハーリーは税に関する不満をアン女王に口にする。サラはお気に入りの音楽に合わせて若い男とダンスを楽しむ。それを見ていたアン女王は次第に不機嫌になり、自室に戻ると言い出す。そしてハーリーに増税は止めると告げる。サラは車いすを押しながらアン女王に謝る。そして2人でサラの部屋に向かう。サラの部屋で本を物色していたアビゲイルはサラとアン女王が入ってきたので身を隠す。サラとアン女王は情熱的にキスを交わし愛し合う。その様子を目撃してしまったアビゲイルはこっそりと部屋を抜け出す。自室に戻ろうとしたアビゲイルをハーリーが呼び止め、アビゲイルにサラが何を目論んでいるかスパイになるように迫る。
退屈を持て余していたアン女王の元に、アビゲイルがサラの代理として現れる。アビゲイルがウサギに反応したのを見てアン女王は喜び、2人でウサギを檻から出して遊ばせる。アン女王は17人の子供を失い、代わりに17匹のウサギを可愛がっていることを打ち明ける。アビゲイルはアン女王と踊って遊び、元気付けようとする。アン女王は次第にアビゲイルを呼びにやるようになる。アビゲイルはハーリーにアン女王が議会で増税を発表すると教える。
映画『女王陛下のお気に入り』のあらすじ【転】
女王が議会で演説しようとする前に、ハーリーは増税をやめた女王の決断を讃える。どうして良いか分からなくなったアン女王は気絶した振りをして議会演説を中止する。アビゲイルはアン女王の部屋に入って、裸でベッドに眠る。そこにアン女王が戻って来てアビゲイルを追い出す。その夜、アビゲイルは足のマッサージをするためにアン女王に呼び出され、2人は関係を持つ。サラは2人がベッドに横になっているのを目撃してショックを受ける。
サラはアビゲイルを召し使いに戻そうとするが、アビゲイルはアン女王に泣きついて寝室付き女官になる。焦ったサラはアン女王と一緒に泥風呂に入って冗談や昔話を言ってアン女王の心を取り戻そうとする。アン女王をサラに奪われそうに感じたアビゲイルはサラの紅茶に毒を盛る。森に乗馬に出かけたサラは途中で気を失って落馬してしまい、行方不明になる。
アビゲイルはハーリーにお互いの利益のために協力を呼びかける。ハーリーは女王に直接戦争終結を進言する機会を得て、知人の大佐がアビゲイルと結婚したがっていると申し出る。女王は自らが立ち会いアビゲイルに結婚式を挙げさせる。しかしアビゲイルはサラがどこに消えたか気が気ではない。
映画『女王陛下のお気に入り』の結末・ラスト(ネタバレ)
サラは娼婦に救われ一命を取り留めていた。アビゲイルが王宮で音楽を聴いているとサラが戻って来る。サラはアン女王の元に行き、アビゲイルを追い出すように求める。従わなければ女王がサラ宛てに書いた恋文を新聞に暴露すると脅す。怒ったアン女王はサラを王宮から追い出すように命じる。
アンは議会でハーリーに政権を握らせ、フランスとの和平を模索すると発表する。サラが出て行った部屋はアビゲイルが使うことになる。アビゲイルは王宮で狂乱に耽るようになる。サラは最後の望みを託してアン女王に謝罪の手紙を書くが、アビゲイルが女王の手に渡る前に燃やしてしまう。さらに、アビゲイルはサラが横領をしていたとアン女王に吹聴する。それを信じたアン女王はサラをイングランドから追放するように命じる。兵士達が屋敷に近づいているのを見たサラは自らの運命を覚悟したようにイングランドの外で暮らしたいと夫に申し出る。
ベッドで横になっていたアン女王は、アビゲイルがウサギを足で潰そうとしているところを目撃する。アビゲイルの正体に気付いたアン女王はベッドから立ち上がると、アビゲイルに足をマッサージするように命じる。そしてアビゲイルの頭に寄りかかってマッサージを続けさせる。
映画『女王陛下のお気に入り』の感想・評価・レビュー
とにかく3人の女優達の名演技に目を奪われる一作で、女王の孤独、サラの秘めた愛、そしてアビゲイルの権力欲というそれぞれのキャラクターを突き動かす感情が上手く絡まり合い物語のスパイスとなっている。メガホンを握ったなど一風変わった作風で知られるヨルゴス・ランティモス監督だが、今作ではその毒気のある演出が比較的抑えられて、非常に一般受けしやすい仕上がりになっているのも好印象だ。(MIHOシネマ編集部)
本作は、18世紀イングランドの王宮内での女同士のしたたかな権力争いを描いたコメディーヒューマンドラマ作品。
映像はどこを切り取っても美しくて、華やかな建築やインテリア、ファッションなどのデザインや色合いに目が奪われた。
また、足音や効果音などの音響や、不穏な空気感がとても好みだった。
一方、ストーリーはシンプルで、女性たちのドロドロした戦いはいつの時代も残酷で怖いものだと改めて感じた。
演出も素晴らしいが、女優陣の圧巻の迫力ある演技は見もの。(女性 20代)
女性同士のドロドロとした戦いに唖然としつつ、彼女達の必死さにどこか哀愁を感じる。女王陛下の寵愛がなくなれば、待っているのが破滅しかないからかもしれない。
アン女王は孤独や寂しさから逃れようと、必死に足掻いているように見えた。権力を持ったとしても、幸せになることはまた別のことなのかもしれない。アン女王は可哀そうな人だと思うが、彼女よりも、彼女の意思に翻弄される従者や市民達が可哀そうだと思った。(女性 30代)
エマ・ストーンにレイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルトと大好きな俳優陣が揃っているのでかなり期待して鑑賞しましたが、とにかく美しくて儚くて大満足の作品でした。
女王の寵愛を受けるというのは傍から見れば憧れや妬み、僻みの対象ですが同じく寵愛を受けた女同士での憎しみにも似た関係は見ていて哀れに感じてしまいました。ただ、女王のそばにい続けること。それは簡単なことでは無く一生の保証があるわけでもないので不安に駆られて焦る様子や他を蹴落としたくなる衝動など、女の醜い部分が美しく描かれています。(女性 30代)
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