映画『仮面ライダー THE FIRST』の概要:研究員である本郷猛は、秘密結社“ショッカー”に捕まり、改造人間に体を作り返られてしまう。組織に命じられるまま悪事を働いていたが、雪の結晶を見た本郷は自我を取り戻し、男性を襲っていた怪人と戦った。
映画『仮面ライダー THE FIRST』の作品情報
上映時間:73分
ジャンル:SF、アクション
監督:長石多可男
キャスト:黄川田将也、高野八誠、小嶺麗奈、ウエンツ瑛士 etc
映画『仮面ライダー THE FIRST』の登場人物(キャスト)
- 本郷猛 / 仮面ライダー1号(黄川田将也)
- 城南大学で“水の結晶”について研究を行っている。記者の緑川に思いを寄せているが、緑川に婚約者がいるため陰ながら幸せを願っている。ショッカーに誘拐され、改造人間に体を作り変えられる。
- 矢野克彦(高野八誠)
- 週刊ABBA社の記者。緑川あすかの同僚であり、婚約者でもある。緑川の良き理解者。
- 一文字隼人 / 仮面ライダー2号(高野八誠)
- 矢野克彦と見た目が瓜二つ。ショッカーの組織を裏切った本郷を始末するため、刺客として差し向けられる。自信家。
- 緑川あすか(小嶺麗奈)
- 週刊ABBA社の記者。勝ち気な性格。殺された婚約者の事件の真相を求め、取材を行う。婚約者の死体の傍に本郷がいたため、本郷が犯人だと思っていた。
- 三田村晴彦(ウエンツ瑛士)
- 入院患者。治療をすれば良くなると医師から言われていたが信じられず、死を意識して自暴自棄になる。見舞いに来てくれる人もいなかったため、孤独な時間を過ごしていた。そんな時に原田美代子と出会い、思いを寄せるようになる。
- 原田美代子(小林涼子)
- 三田村よりも重い病に罹っている入院患者。三田村と同じように見舞いに来てくれるような人がおらず孤独な時間を過ごしていたため、三田村の良き理解者となる。
映画『仮面ライダー THE FIRST』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『仮面ライダー THE FIRST』のあらすじ【起】
ショッカーとは社会を裏から操る秘密結社である。その先兵として造られた“改造人間”達は、超人的な能力を駆使して暗躍していた。また、彼らは“仮面”をつけることで、自らの感情と正体を隠さなければならなかった。
本郷猛は城南大学で“水の結晶”の研究を行っていた。そして、緑川あすかは熱心な記者で、研究室に通ってその研究を取材していた。本郷は緑川の真面目さが好きだったが、緑川には彼氏がおり、結婚することが決まっていた。本郷は思いを伝える気はなく、密かに緑川の幸せを願った。
本郷はバイクで走行中、ショッカーに襲われ拉致される。研究室に連れて行かれた本郷は、“改造人間”に体を作り変えられる。ショッカーの手先となった本郷は超人的な力を使い、夜のウェル・コンピューター社を襲撃して機械を破壊した。
緑川は街に出没した怪人について、記事を書いたことがあった。緑川自身、怪人の存在など信じていなかったが、上司から記事に関連することで最近気になることが起きたと呼び出しを受ける。なんと、緑川が取材した人の内、5人中4人が行方不明になっていたのだ。緑川は怪人と関係があるのか確かめるため、唯一所在が分かっている取材相手を、同僚であり恋人の矢野克彦と尾行することにした。
緑川達が追っていた取材相手は、乗っていたタクシーから忽然と姿を消してしまう。2人が戸惑っていると、近くから悲鳴が聞こえてきた。声が聞こえた方に行くと、取材相手の死体があった。緑川達が戸惑っていると、怪人スパイダーが現れ襲撃される。緑川は気絶し、矢野は逃げ惑った。さらにそこに、新たな怪人(本郷)が現れる。本郷はスパイダーに指示され矢野を襲うが、雪の結晶を見た本郷は自我を取り戻し、矢野を襲うのを止めた。そして、スパイダーと戦って追い返すが、時すでに遅く、矢野は死亡していた。仮面を外した本郷が矢野の死を悼んでいると、意識を取り戻した緑川が現れ、顔を見られてしまう。本郷は緑川の制止を無視し、逃げ出した。
ショッカーの幹部達は、組織を裏切った本郷について話し合っていた。改造人間は定期的に血液を交換しなければならないため、自分達の手で始末するまでもなく、本郷が死ぬことは確実だった。しかし、幹部の老紳士は特に腹を立てており、本郷の死を待つことを嫌がった。幹部の老紳士は本郷と同じ改造人間の手で始末するよう指示を出した。
映画『仮面ライダー THE FIRST』のあらすじ【承】
本郷は研究室に戻るが、力の制御が上手くできず、ビーカーを握り潰して割ってしまう。そのことに戸惑っていると、緑川が現れ呼び出される。緑川は本郷が矢野を殺害したと思っており、憎々しげに本郷の頬を叩いて殺した理由を問い詰めた。だが、本郷は何も答えなかった。
緑川が本郷の乗ったバイクを尾行していると、横断歩道を渡っていた少女がトラックに轢かれそうになる。本郷は咄嗟に少女を抱え、片腕を突き出すように前に出してトラックを止めた。トラックは急に止められた弾みで後輪が浮き、後ろを走っていた車を潰してしまう。本郷が止めたトラックのフロント部分には、手形がくっきりと残っていた。しかも、本郷の抱える腕の力が強かったため、少女は気絶してしまっていた。緑川はその様子をカメラに収めた。
緑川は車の事故を引き起こした原因として、本郷の記事を書いた。本郷は緑川の身が危なくなるため怪人のことを追わないように忠告するが、憎しみを抱いている緑川の耳には届かなかった。その後、緑川が歩いていると、タクシー運転手に扮したスパイダーに襲われる。緑川は逃げている際に転んでしまい、またしても気を失ってしまう。本郷は緑川を襲おうとしているスパイダーを倒し、緑川を安全な場所まで運んだ。
映画『仮面ライダー THE FIRST』のあらすじ【転】
緑川は矢野と瓜二つの男性と出会う。その男性の名は一文字隼人といい、矢野とは全くの別人だった。緑川はそのことに気づいていたが、思わず一文字の車に乗ってドライブに出掛けてしまう。本郷はそんな2人を偶然目撃し、バイクに乗って後を追いかけた。車を止めた一文字は、仮面の男(本郷)について緑川に質問した。緑川が何のことか分からず戸惑っていると、バイクの音を聞きつけた一文字は緑川を置いて飛び出して行ってしまう。一文字は仮面ライダーに変身すると、バイクに乗ってやって来た本郷と戦った。本郷は戸惑いながら仮面ライダーに変身し、応戦した。本郷がやられフラフラになっていると、一文字は決着をつけぬままその場を立ち去った。
緑川が歩いていると、バイクに乗った仮面ライダー(本郷)が現れる。その時、記憶が蘇り、自分をスパイダーから助けてくれた人だと気づく。緑川は仮面ライダーに勧められるままバイクの後ろに乗り、家まで送ってもらった。緑川は仮面ライダーが本郷だと気づいていなかったので姿を見せてくれと頼むが、仮面ライダーは素顔を見せることなく立ち去っていった。
緑川が一文字と一緒にいるときに、ショッカーが現れ殺されそうになる。一文字は仮面ライダーに変身し、ショッカー達を倒した。緑川は自分をずっと助けてくれたのが一文字だったことに驚きを隠せなかった。一文字は緑川に好意を寄せていたため助けたが、組織を裏切ったわけではなかった。ショッカーを裏切ってしまえば、血の交換ができないため自分の身が危ないからだった。本郷は血の交換をしていなくても不調が出ていないため、改造人間としての唯一の成功例だったかもしれなかった。しかし、組織の存在を世に出さないためには、本郷を始末するほかなかった。ショッカーの老紳士は本郷を始末すれば、緑川の身を明け渡すことを一文字と約束した。
映画『仮面ライダー THE FIRST』の結末・ラスト(ネタバレ)
入院患者の三田村晴彦は、自分の病は治らないと思い込み苦悩していた。見舞いに来てくれるような家族や友人もおらず荒んだ日々を過ごしていたが、ボランティアの原田美代子に救われる。三田村が外に行きたくても何処に行ったらいいか分からず戸惑っている気持ちを話すと、原田は三田村を外に連れ出し、一緒に観光を楽しんでくれた。2人は楽しい時間を過ごしていたが、原田が突然気を失って倒れてしまう。原田はボランティアだと嘘を吐いていたが、実は三田村よりも重い病気に罹っている入院患者だった。原田もまた三田村と同じように見舞いに来てくれる人がいなかったため、三田村の寂しい気持ちを理解することができたのだ。三田村は元気になったらデートに行こうと誘うが、長く生きられないから無理だと断られる。すると、そこにスパイダーが扮したタクシー運転手が現れ、原田の病気は治ると伝えた。
緑川は1年前に取材したことがあるビルを、一文字と訪れた。緑川はそこで倒れた女の子(原田美代子)のために、救急車を呼んだことがあった。一文字は緑川の話を聞きながら、本郷が後をつけていることに気づく。一文字は緑川と別れ、仮面ライダーに変身して本郷と戦った。だがそこに、緑川が来てしまう。緑川は気絶している仮面ライダーを一文字だと思い仮面を取るが、そこにいたのは本郷だった。緑川が戸惑っている間に、一文字は本郷に襲い掛かった。2人の戦いによって近くにあった資材が崩れ、緑川はピンチに陥る。それに気づいた本郷は、緑川を庇いながら救い出した。その時、緑川は本郷が自分をずっと助けてくれていた人物だと気づく。
一文字は体調不良の影響で、本郷との戦いを止めざるを得なかった。森で休んでいると、仮面をつけた改造人間(三田村と原田)が現れる。ショッカーの幹部達は本郷を殺すのに手間取っている一文字に見切りをつけ、始末することにしたのだ。一文字が2人の改造人間に襲われていると、バイクに乗った本郷が現れ助け出される。
改造人間にするため、緑川がショッカーに連れ去られてしまう。本郷は一文字と共にショッカーのアジトに向かった。2人は仮面ライダーに変身し、ショッカーや改造人間達(三田村と原田)と戦った。しかし、2人の手には負えなかった。一文字は撤退を勧めるが、本郷は諦めなかった。一文字は本郷の熱い思いを受け、再び戦いの場に戻った。2人は協力して戦い、改造人間達を倒した。三田村は原田との思い出の花を摘むと、原田の亡骸に備えて息絶えた。
本郷は緑川を救い出し、一文字はそんな2人を見送った。
映画『仮面ライダー THE FIRST』の感想・評価・レビュー
どちらかといえば、大人向けに作られた仮面ライダーシリーズなのだろう。変身という変身は無く、「仮面」や「改造人間」という部分をより現実的にした内容となっているので、王道のライダーを期待している人には少し物足りないかもしれない。しかし、そもそも仮面ライダーは単純なヒーローではなく、どちらかといえば自身の出生を踏まえて、悲壮感を漂わせながら戦う姿が本来の形であり、そういう意味でいえば、このライダーシリーズは本当のライダーの姿に触れる事が出来るといえるだろう。(男性 30代)
「仮面ライダー」としてのストーリーよりも人間が「改造人間」にされ、「仮面ライダー」になるまでの物語が多く描かれている今作は、仮面ライダーシリーズをよく知らない私にもとても分かりやすい展開で、何故仮面ライダーが誕生したのか、改造人間とは?など、少しずつ理解しながら楽しく見ることが出来ました。
仮面ライダーと言っても子供向けの作品では無く、ストーリーはかなり大人な内容です。病気や自分の気持ち次第で「悪」にも「善」にもなりうる展開は考えさせられるものがありました。(女性 30代)
初代仮面ライダーのコンセプトと設定を引き継ぎ現代的にアレンジし、より原作漫画に近いダーク調の強いヒーロー作品となっている。
いまいちチープ感は否めないが、脚本については主人公たちの複雑な三角関係、ある少年と少女のあまりに悲哀なまさかの顛末は胸が締め付けられるような気持ちになり、また彼らの運命を陰で左右するショッカーの恐ろしさがさらに際立つ物語になっており、原作の持つ命を弄ばれた者の悲劇が色濃く描かれている。(男性 20代)
みんなの感想・レビュー