映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の概要:マロリーは実の父から性的虐待を受けていたが、母は助けてくれず、悲惨な日々を送っていた。そんな時に、肉屋の店員のミッキーと出会い、恋に落ちる。マロリーはミッキーと共に両親を殺害し、逃避行の旅に出た。
映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:オリヴァー・ストーン
キャスト:ウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイス、ロバート・ダウニー・Jr、トミー・リー・ジョーンズ etc
映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の登場人物(キャスト)
- ミッキー・ノックス(ウディ・ハレルソン)
- 父や祖父も暴力的な人間で、幼い頃に暴力を振るわれていた。肉屋の店員として働いている際、配達先で出会ったマロリーと恋に落ちる。マロリーの両親を殺害して、マロリーと共に逃亡する。
- マロリー・ノックス(ジュリエット・ルイス)
- 幼い頃から実の父に性的虐待を受けていた。母も助けてくれず、孤独な日々を過ごす。“人から求められること”に飢えており、精神的に不安定。
- ウェイン・ゲール(ロバート・ダウニー・Jr)
- “アメリカの殺人鬼”というテレビ番組の解説・脚本・製作・監督を担当している。自らのことを“スター記者”と呼んでいる。既婚者で、愛人がいる。視聴率のためには手段を選ばない。
- ドワイト・マクラスキー(トミー・リー・ジョーンズ)
- ミッキーとマロリーが収監された刑務所の所長。犯罪者達に対して、容赦がない言動が目立つ。
- ジャック・スキャグネッティ(トム・サイズモア)
- 刑事。8歳の頃にテキサス・タワー乱射事件に巻き込まれ、目の前で母が殺されてしまう。ミッキーとマロリーを逮捕した。その逮捕劇を本にして世に出し、有名になる。暴力的な人物で、情事中に娼婦の首を絞めることもある。
映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のあらすじ【起】
ミッキーは妻のマロリーと、ダイナーに食事に出かけた。マロリーは店内にあったジュークボックスを操作して音楽を掛けると、1人でダンスを踊った。すると、1人の男性客がマロリーに目を付け、口説いてきた。鬱陶しくなったマロリーは、その客を殴り飛ばした。男性客の連れがマロリーを止めようとしたため、ミッキーが刃物を使ってその連れを殺害した。ダイナーにいた人達は驚き、逃げ惑った。ミッキー達は次々と人々を殺害し、1人だけ残してミッキーとマロリーが犯人だと伝えるよう命令した。
マロリーはミッキーと出会ったときのことを思い返した。マロリーはかつて実の父から性的虐待を受けていた。父は威圧的な人だったため母は逆らえず、マロリーのことを助けてはくれなかった。マロリーが憂鬱なときを過ごしているとき、肉屋のミッキーが配達人として家を訪ねてきた。マロリー達は一目で惹かれ合い、恋に落ちた。だが、マロリーの父の車を無断で使用してデートに出かけたことで通報され、ミッキーが逮捕されてしまう。
マロリーは刑務所までミッキーに会いに行き逢瀬を重ねていたが、マロリーの父は娘をミッキーに渡さないため、引っ越す気でいた。話を聞いたミッキーは、竜巻の混乱に乗じて脱獄し、マロリーの元まで急いだ。ミッキーとマロリーは協力してマロリーの両親を殺害し、マロリーは弟のケビンに別れを告げた。
マロリーは両親から解放され、自由になった喜びを感じた。そんなマロリーにミッキーはプロポーズした。マロリーは承諾し、橋の上で2人だけの結婚式を挙げた。それから、2人は死神のように殺人を犯すようになった。
映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のあらすじ【承】
“アメリカの殺人鬼”という番組が、テレビで放送された。ウェイン・ゲールはその番組の解説・脚本・製作・監督を全て担当しており、ハイウェー666号線で行われたミッキーとマロリーの殺人・傷害事件の特集を組んだ。ミッキー達が殺害した12人の警察官の内、最初の被害者となった人物はナッシュ巡査という名だった。ナッシュ巡査は同僚のデイル・リグレー巡査とドーナツ店に立ち寄った際、店から出てきたところをミッキーに声を掛けられ、道を尋ねられる。ナッシュ巡査は親切に道を教えるが、その後突然撃たれて殺されてしまったのだ。リグレー巡査はミッキー達の車を追跡するが、その際近くを走っていた自転車競技の選手が、マロリーに撃たれ殺されてしまう。
ミッキーとマロリーは警察官を殺害したかったが街にいなかったため、警察官を誘き出すために女性を誘拐した。だが、ミッキーがその女性にうつつを抜かしているのが気に入らず、マロリーは車に乗ってモーテルを飛び出して行ってしまう。マロリーは自分の体を触る父の記憶に苦しめられながらも、“求められること”に飢えていた。ガソリンスタンドの店員を誘惑するが、途中で「マロリー・ノックス」だとバレてしまったため殺害した。
マロリー達は途中で道を間違え遭難してしまう。しかも、車のガソリンまで無くなり、身動きが取れなくなる。2人は激しい口論をしながらも歩き、放牧を行っている1件のインディアン人の家に辿り着く。マロリー達はそこの住人に助けを求めた。その住人の男性は食事を提供し寝床を与え、マロリー達を助けた。しかし、ミッキーは幼い頃に父に虐待されたときのことを夢に見て魘され、寝ぼけながら銃を撃ってしまう。ミッキーが撃った弾は、運悪く自分達を助けてくれた男性に当たってしまう。マロリーは恩人を撃ったミッキーを非難するが、ミッキーは悪夢を見たことを話さなかった。
ミッキー達は逃げる途中、インディアン人が飼っていたガラガラ蛇に噛まれてしまう。薬局に行くが、棚にあった血清は全て売り切れだった。店主に頼み薬を出してもらおうとするが、その店主はミッキー達の残虐な行為をテレビで観て知っていたため怯えていた。店主が隙を突いて警察に通報したことを知り、ミッキーは店主を射殺した。しかし、警察が既に駆けつけており、抵抗虚しく捕まってしまう。その逮捕劇は、1組の報道陣がカメラで収めていた。
映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のあらすじ【転】
1年後、ミッキー達は刑務所の中でも罪を犯し、囚人3人・看守3人・医師1人を殺害していた。ミッキーを逮捕したジャック・スキャグネッティ刑事は、所長のドワイト・マクラスキーからそのことを報告される。ジャック刑事は幼い頃に母を殺されたことがあったため、“殺人狂”と呼ばれる犯罪者に関心があった。またその日以来、異常者保護の考えに反対するようになった。話を聞いたドワイト所長はその考えに賛同した。
ウェインはミッキーに会いに行き、インタビュー取材を申し込んだ。ミッキーに手を焼いているドワイト所長は、ミッキーに脳を弄って精神障害を除去する“ロボトミー手術”を施そうとしていた。ウェインはそのことに反対していることを話し、精神病院に行く前に取材を引き受けてくれと頼んだ。ミッキーの答えはOKだった。
ミッキーとマロリーは悲惨な生い立ちから、市民達の同情を得て絶大な人気を誇った。その反対に、同僚達を殺された警察官達は、ミッキー達に激しい憎しみを抱いていた。ミッキー達が裁判所に行くと、建物の前はミッキー達のファンと警察官達でごった返した。
ウェインは視聴率を取るため、ミッキーのインタビューを生放送で流した。ウェインは子供のときのことをミッキーに質問した。ミッキーは父や祖父など暴力的な家系だったことを話すが、10歳の頃に父が亡くなったことについては話すのを嫌がり暴れ出そうとした。ミッキーの脳裏には、自殺した父の姿があった。ウェインは話題を変え、無実の人を殺す理由を尋ねた。するとミッキーは、人は過去に何らかの罪を犯しているため、殺した方が幸せだからだと答えた。3週間で52人を殺害していたが、後悔はしていなかった。だが、インディアン人を殺したことだけは心に引っ掛かっているようだった。さらにミッキーは、殺しは純粋だと話し、自分は生まれついての殺人者だと答えた。それを見た囚人達がミッキーの言葉に触発され、暴動を引き起こしてしまう。
映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ドワイト所長はテレビ放送を止めるようウェインに伝え、暴動を沈めるために部屋を出た。その隙に、ミッキーは看守達を油断させて銃を奪い、部屋の中を制圧した。そして、カメラマンに自分のことを撮らせ、マロリーの元まで急いだ。報道陣はミッキーと看守達の戦いに揉みくちゃにされながら、必死にカメラを回し続けた。
ジャック刑事はマロリーを誘惑しようとするが、拒まれ殴りつけられてしまう。マロリーの暴行に気づいた看守が急いで部屋に足を踏み入れ、ジャック刑事を救い出した。ジャック刑事がマロリーを痛めつけていると、ミッキー達が現れる。ミッキーがジャック刑事と銃を向け合っていると、ジャック刑事の背後にマロリーが立っているのが見えた。ミッキーは投降する振りをして銃を下ろした。その隙に、マロリーがジャック刑事を刺殺した。ミッキーとマロリーは再会を喜び、1年ぶりにキスをした。だが、ジャック刑事がまだ生きていたため、マロリーが銃を撃って止めを刺した。
刑務所の暴動は勢いを増すばかりだった。ドワイト所長は収拾のつけられない事態に顔を青褪めさせた。ミッキー達はその混乱に乗じて、刑務所内を駆け回った。それに付き合っていたウェインは興奮が収まらなくなり、いつの間にか自分も銃を持って撃つようになっていた。
ミッキーは腹を撃たれたマロリーの手当てをした後、1人の警官とウェインを人質に取り脱獄を果たした。ドワイト所長はミッキー達に掛かりっきりだったため、多くの囚人達が外へと繋がるゲートに詰めかけてきた。ドワイト所長はどうすることもできず、囚人達に揉みくちゃにされた。
ウェイン達は脱獄に成功したが、他の取材陣達は全滅していた。ウェインはミッキーとマロリーの姿をカメラに収め、次はどうするのか尋ねた。マロリーはミッキーと眠り、子供を作りたいと答えた。そして、ミッキーとマロリーはウェインに銃を向けた。ウェインは必死に命乞いをするが、撃たれてしまう。生き証人の代わりに、ウェインのカメラが残された。
その後、ミッキーとマロリーは2人の子供と共に、車で旅をしていた。
映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の感想・評価・レビュー
原案がクエンティン・タランティーノで監督がオリバー・ストーンという今思えば驚きの作品。殺人を繰り返すカップルの逃避行を描いたバイオレンス映画だが、公開当時は欧米各国で年齢制限や上映禁止となり話題を呼んだ。
若き日のウディ・ハレルソンとジュリエット・ルイスの組み合わせが素晴らしくマッチしている。運命的な出会いを果たしたカップルが愛の逃避行をするのだが、行く先々で殺人を犯す。なぜ殺してしまうのか。そこに2人が育ったこれまでの悲惨な人生が関係している。奪われるだけの凄惨な経験をして育ったがために、自由を得て奪う側に回ったのだろう。2人は逮捕されてしまうが、それでも互いへの愛を貫き通す。その姿に深く共感した。人殺しはいただけないけれど。それだけの魅力溢れる一作であり、個人的には大好きな作品。(女性 40代)
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