映画『鴨川ホルモー』の概要:2009年に製作された本木克英監督の青春コメディ映画。原作は万城目学の小説で、主演は山田孝之。変わったサークルに入った事から「ホルモー」に巻き込まれていく、大学生の日常を描いた。
映画『鴨川ホルモー』 作品情報
- 製作年:2009年
- 上映時間:113分
- ジャンル:コメディ、青春、ファンタジー
- 監督:本木克英
- キャスト:山田孝之、栗山千明、濱田岳、石田卓也 etc
映画『鴨川ホルモー』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
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映画『鴨川ホルモー』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『鴨川ホルモー』のあらすじを紹介します。
京都大学に2浪して入学した安倍明は、五月病の真っ只中にいた。
帰国子女の友人、高村とともに「ごく普通のサークル」の新歓コンパの誘いを受ける。
その席で美人の早良京子に一目惚れした安倍は、高村を誘ってサークルの「青竜会」に入る事にする。
「普通のサークル」の実態は、京都にある4大学の選ばれたメンバーたちが、オニを使役し「ホルモー」を行うという活動だった。
胡散臭いとは思いつつ好奇心が上回り、オニ語を習う1回生たち。
季節は冬になり、安倍たちは奇妙な儀式を行い、インチキだと思っていたオニが見えるようになる。
2回生に進級し、初めてのホルモーを体験する。
だが、怖気づいた高村が醜態を見せて負けてしまった。
心配した安倍が高村を訪ねると、オンボロ寮に住む高村の意外な姿があった。
そして自信過剰な芦屋と早良が付き合っていると聞かされ、ショックを受ける安倍。
そんな芦屋と同じサークルにいるのが辛くなった安倍は、サークルをやめようとするが、できない事を知らされる。
だが5人の賛同者が集まれば芦屋と一緒に活動せずにすむと知り、芦屋の暴君っぷりに嫌気がさしていた高村、楠木、双子の三好兄弟が賛同して、サークル内の分割が可能になる。
しかし不吉な兆候が起こっていた。
それを回避するために、青竜会で紅白戦を行う事になる。
準備中、早良の恋愛感情が元で安倍と芦屋は決別するが、楠木は安倍が好きだと告白するのだった。
やがて紅白戦ホルモーが始まるが、戦いは意外な方向へ向かっていく。
映画『鴨川ホルモー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『鴨川ホルモー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
キャスティングの上手さは秀逸
オープニングで安倍と高村が勧誘を受けるシーンが、ラストでもう一度出てきて、オニが見えなかった頃と見えるようになった時との違いが加えられていて、凝った演出になっている。
また、自分たちが勧誘された時と同じように「普通のサークル」と強調して勧誘をする安部と楠木の姿も、今後も同じように続いていくというような暗示が込められていて、よくできている。
大木凡人にそっくりな外見の楠木役、栗山千明が自身の出身地を自己紹介で話したり、帰国子女の高村役の濱田岳のズレた服装とペナルティが科せられた後のちょんまげ姿など、細部のギャグにこだわって作られた映画になっている。
主演の山田孝之演じる安倍の顔芸も、鬼気迫る迫力と笑ってしまうような変顔だ。
キャスティングが若手俳優、女優から名脇役と呼ばれる石橋蓮司、お笑い芸人の笑福亭鶴光にパパイヤ鈴木が映像出演するなど、豪華な上に素質が生かされたものになっている。
「ホルモー」にはツッコミどころ満載
千年の伝統があると何度も言いながらも、千年前にはなかったであろう明らかなカタカナ文字での歌を歌うなど、ツッコミどころが多い。
オニを描いたVFX映像技術は良くできており、可愛らしさもある見た目には親しみやすさがある。
しかし、登場人物によってオニも個性を出しているのはわかるのだが、楠木のメガネなど、パッと見てわかりやすいものとわかりにくいものが存在し、見ていて疲れる部分も存在する。
「ホルモー」や「オニ語」など、詳しく説明されても難解だろうが中途半端に説明する場面を見ても、理解できないものが多く、”なんとなく”という気分で見るほか無いので、ややこしい設定になっている。
怒らせてしまった神々に献上するという「極上のホルモー」の基準も不明で、サポート役の楠木と早良が戦いだしても許されるという何でもありの展開には、あきれてしまう。
とにかく面白かったが、どんな映画だったかと聞かれると答えに困ってしまうような、オリジナリティ溢れまくりの作品でした。
京都が舞台の作品はたくさんありますが、ここまでコメディ要素が強く、しっかり笑えるものは珍しいのではないのでしょうか。
ホルモーについて、最後まですっきり理解はできません。しかし、理解できない、これは何だったのか、という独特な不思議さを楽しめる方にはおススメの作品です。(女性 20代)
ホルモーってなに?オニってどういうこと?と気になって鑑賞しましたが、見ているうちにこれは深く考えてはいけない作品だと気付くでしょう。
山田孝之は男臭い役を演じたかと思えば、こう言ったかなり振り切った普通では無い役どころを演じるのも非常に上手くてどんな役でもすごくマッチしているのが素晴らしいです。今作で彼が演じる安倍も、普通に見えて普通じゃないしクセが強くて見ているだけで笑えます。
オニ語やホルモーの詳しいルールなどは一切無視して、頭の中を空っぽにして見てほしい作品です。(女性 30代)
なかなか変わった映画。
舞台版を先に見ていたので、オニが画像として描かれていることに初めの内若干の違和感を覚えたものの次第に慣れた。元々の役の設定が強烈な上、役者陣も個性的な方が集まったため味は濃い。しかし良い意味で味の濃い映画にありがちなエグさがないのは、設定が徹底的に馬鹿馬鹿しいからだろうか。世界観は出来上がっているので何も考えずそこに身を委ねれば、今は遠い学生時代の空気感に浸って楽しめる。その空気感はどこかリアルなのではないだろうか。(男性 40代)
映画『鴨川ホルモー』 まとめ
1度目は意味がよくわからずに終わってしまう作品ですが、2度3度と見るうちに、面白さがにじみ出てくる映画です。
オニ語が特徴的すぎて、ノリで済ますしかないのが残念ですが、オニのストーカーなどという設定には驚かされます。
一旦は長髪になりますが、その後はちょんまげ姿で特徴のあるTシャツを着た濱田岳の見た目だけでも、こんな人見かけないけれどいたらすごい外見、と思わせるもので、不思議な笑いを誘います。
ゴミの穴に何度も落ちるという、古典的過ぎてむしろ斬新なギャグも面白く、何度見ても笑ってしまいます。
伝統のある代替わりの儀で歌われる「レナウン娘が~」という歌は、耳に残って、思わず口ずさんでしまうような不思議な歌です。
堅実な役が多かった山田孝之の変顔や、一目惚れした早良の鼻の形にこだわる場面は、無条件に笑えてしまいます。
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