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映画『哀しき獣』あらすじとネタバレ感想

映画『哀しき獣』の概要:「哀しき獣」は、2010年の韓国映画。ナ・ホンジン監督が「チェイサー」のキム・ユンソクとハ・ジョンウと再び組んだクライム・サスペンス。原題は、「黄海」。中国との境で暮らす朝鮮族に光を当てた点は見事。

映画『哀しき獣』 作品情報

哀しき獣

  • 製作年:2010年
  • 上映時間:140分
  • ジャンル:サスペンス、アクション
  • 監督:ナ・ホンジン
  • キャスト:ハ・ジョンウ、キム・ユンソク、チョ・ソンハ、チョン・マンシク etc

映画『哀しき獣』 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『哀しき獣』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『哀しき獣』のあらすじを紹介します。

中国延辺朝鮮族自治州で暮らすキム・グナム(ハ・ジョンウ)は、タクシーの運転手。一人娘のスンヒがいるが、妻は韓国に出稼ぎに出たまま連絡もない。借金でどうにもならなくなった時、ミョン・ジョンハク(キム・ユンソク)から韓国への密入国と殺人依頼を持ちかけられます。
密入国を迷うが、妻の行方も知りたい。グナムは、キム・スヒョンという男を殺すためにソウルへ向かう。

船に揺られてようやく着いたのは、慶尚南道(キョンサンナムド)蔚山市(ウルサンシ)。中国に戻る船便が出るのは10日後。それまでに殺しを決行しなければならない。グナムは、ソウル市内のキム・スヒョンが所有するビル(日本語で”空間”と記す)を見張ります。同時に妻の行方を探す。
妻は最初の勤務先をやめ、男と逃げたらしい。ようやく妻が暮らすアパートを探しあてるが、小1時間前に男とケンカして妻の姿はない。

キム・スヒョン殺しを決行する、1月16日。彼の所有するビルを見張っている最中、部下らしき男に彼は階段で無残に殺された。グナムは、彼の指を証拠品として切り取ろうとするが、犯人だと誤解され、逃亡するハメになってしまう。ミョン社長と連絡を取ろうとするが繋がらない。
ミョン社長もまたあるヤクザから、この事件の首謀者だと狙われていた。そして殺されかけるが、オノで返り討ちに。裏切りと殺し、警察とヤクザの両方からグナムは追われていく。

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映画『哀しき獣』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『哀しき獣』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

荒い展開×グロさ際立つバイオレンス!

前作「チェイサー」の衝撃を上回るかと期待してみたが、ダメだった。荒い展開とグロさばかりが目立つ暴力&殺害シーンにショックを受けます。本当にナ・ホンジン監督が撮ったの?と物語の混線ぶりと作品のレベルの落差に驚く。

朝鮮族に光を当てた点は評価できるが、物語のまとまりが悪く、主人公の行動も滅茶苦茶だ。ただ主演2人の演技は良い。ミョン・ジョンハクを演じるキム・ユンソクの無敵さ(ダイ・ハード以上!)やグナムを演じる、ハ・ジョンウの狂気は恐ろしいほどの存在感を見せつけてくれます。

ただ、前作のイメージも引きずってしまうようで、限度を超えた暴力と殺害シーンは全ての思考を奪ってしまう。暴力路線ではなく、別の視点から映画を撮ってもいいのではないか。

”逃走中”だが、何故捕まらない?!

本作のあらを探すときりがないのだが、逃走シーンを見ていつも疑問に思います。こんなに警官がいて、パトカーもあるのに何故、犯人(逃走者)は捕まらないのだろう?犯人の足が陸上選手みたいに早すぎて誰も追いつけないことに笑ってしまいます。

”逃走中”のシーンは、コメディ色が強くて、疾走感もあって大好きなシーン。前作「チェイサー」でも、汗が噴き出るほど走っていた。ナ・ホンジン監督は、走るシーンを撮るのが好きなのだと思う。走っていると、犯人の思考に近づけるのだろうか?

走ると人は自己の本能を思い出すのかもしれない。それはグロい殺害シーンも同様で、人が殺されるシーンを観ることで、自分は安全な場所にいるのだと再確認したいのだと思う。映画は非日常を体験させてくれるが、現実は映画以上に救いがないことも教えてくれる作品です。


韓国での貧富の差は日本よりも大きく、貧困層の暮らしぶりは目に見て分かるほど苦しい状況を強いられている人も少なくないようです。
今作で描かれていたのはそんな貧困層の男が金のために殺しを請け負うことから始まります。嫌な予感しかしませんが、まさに予感的中で濡れ衣を着せられてヤクザからも警察からも追われてしまうという状況。
かなり不利な状況でも、上手く逃げ続け、絶対に負けない主人公の姿はドキドキと爽快感がありました。暴力的で過激なシーンも多いので、身体を力ませながら見てしまいました。(女性 30代)

映画『哀しき獣』 まとめ

「哀しき獣」という邦題が素晴らしく、この映画の最後をシンプルに表しています。朝鮮族の男が殺人容疑ではめられ、警察とヤクザから追われるという非情な物語は、前作以上に強烈で残酷です。過激な暴力と殺害シーンにとらわれてしまうと最後まで観ることはできません。

筆者も途中で映像を止めてしまいましたが、これからご覧になる方は決して無理をしないで下さい。前作「チェイサー」に引き続いての、キム・ユンソクとハ・ジョンウの起用は新鮮さはないものの、ナ・ホンジン監督の濃厚な演出に説得力を加えるうえで、重要な配役なのだと思います。

本作は、”朝鮮族”という貧困や差別で苦しむ人々に光をあてた点を高く評価します。辺境で生きる哀しみ、過酷さ。また殺害方法には民族性が現れるのでしょうか?包丁やオノなど日用品が使われているのを観ると恐ろしくなります。次回作は、暴力や殺害シーンばかりではなく、別の視点からの映画を期待したい。

みんなの感想・レビュー

  1. 影山 美穂 より:

    ご指摘ありがとうございます。訂正致しました。

  2. 先軍不敗 より:

    主人公が船に乗って辿り着いたのは、慶尚南道、蔚山市ですよ。