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映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』の概要:片倉健は娘の結婚式を阻止するため、マレーシアに向かった。だが、飛行機がハリケーンに遭遇してしまい、目的地とは別の空港で降ろされる。健が言葉の通じない場所で途方に暮れていると、中国人の男性に声を掛けられる。

映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』の作品情報

ケンとメリー 雨あがりの夜空に

製作年:2013年
上映時間:87分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:深作健太
キャスト:竹中直人、フー・ビン、北乃きい、ジザン・ラジャ・ワーワク etc

映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』の登場人物(キャスト)

片倉健(竹中直人)
日本のサラリーマン。RCサクセションが好き。妻は癌に侵され亡くなってしまう。仕事に明け暮れ、妻の看病をできず、死に目に会えなかったことを悔やんでいる。
モウリス・マー(フー・ビン)
上海の大企業の御曹司。中国人。皆からメリーと呼ばれている。“小龍”という名の、赤いおんぼろトラックに乗っている。人に人生を決められるのが嫌で、トラック運転手となった。
縁(北乃きい)
NGOの教育ボランティアとして、マレーシアで子供達に勉強を教えている。モウリス・マーの結婚相手。

映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』のあらすじ【起】

片倉健は明日行われる娘の縁の結婚式を止めるため、マレーシア行きの飛行機に乗っていた。しかし、途中でハリケーンに遭遇し、墜落の危機に陥る。健は縁に電話を掛けて事情を説明するが、信じてもらえなかった。縁は今まで悉く縁談を潰してきた父を恨んでおり、結婚式に来ないでくれと怒鳴って電話を切った。

縁は職場でラジオニュースを聞き、父の乗った飛行機がシャラエマス空港に緊急着陸したことを知る。同僚から迎えに行くことを勧められるが、縁は結婚式を邪魔されるのが嫌で頑なに拒んだ。一方、健はマレーシア語ができなかったため、自分がいる空港がどこだか分からないまま降ろされていた。しかも、目的地であるクアラルンプール行きの飛行機に乗るには、9時間も待たなければならなかった。

健はクアラルンプール行きの交通機関を探すが、拙い英語しか話せなかったため、現地の人には伝わらなかった。途方に暮れているときに、日本語が少し話せる、盲目の現地女性と出会う。日本語が通じる相手と出会えたことに感動していると、突然拙い日本語を話す男性に声を掛けられる。健が戸惑っていると、先程の女性が健の財布を盗んでバイクで逃走した。健が必死に追いかけていると、途中で携帯が鳴ったため、立ち止まって電話を取った。すると、先程の男性が車に乗って追いかけて来ており、こちらも電話に気を取られて、健を撥ねてしまう。

健を撥ねた男性は、中国人のモウリス・マーで、皆からメリーと呼ばれている人物だった。メリーは縁の知り合いで、縁の結婚相手のことも知っていた。メリーは縁の結婚相手のことを優しい男性だと称したが、健はどんな相手だろうと結婚に反対するつもりでいた。健がクアラルンプールまで連れて行って欲しいと頼むと、メリーは快く承諾した。現在いる場所からクアラルンプールまでは車で8時間だったため、結婚式に余裕で間に合った。

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映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』のあらすじ【承】

メリーのトラックにはシートベルトも無く、車の状態も悪かったため、健は車が跳ねる度に車内にぶつかっていた。健が不愉快な気持ちでいると、ラジオから昔自分が好きだったRCサクセションの曲が聞こえてきた。だが、歌声を聞いてみると、全くの別人だった。中国のバンドが自分達の曲として、RCサクセションの曲を売り出していた。健はメリーに思い出のコンサートチケットを見せながらRCサクセションのことを教え、偽物だと言ってラジオを切った。だが、メリーにとってはその中国バンドの曲も本物であるため、ラジオを再度つけて聞こうとした。2人はその中国バンドの曲が、“本物”か“偽物”かで喧嘩になってしまう。

健はメリーのトラックを降り、ヒッチハイクを行おうとした。道に迷いながらも大通りに出るが、誰も止まってくれなかった。しかも、飲料水まで無くなってしまう。途方に暮れたときにやって来たのは、メリーの車だった。健が助けを求めると、メリーの車は水溜まりの泥を跳ね、停止した。健は泥を浴びて、真っ黒に汚れてしまう。

メリーはトラック運転手達が集まる場所に健を連れて行った。そこで、健はトラック運転手達と酒を酌み交わし、仲良くなった。1人の運転手がうず高く積まれた段ボールに気づき、中を開けて確認した。すると、大量のストッキングが入っていた。健がクアラルンプールの工場に持って行くために、サンプル品を運んでいたのだ。会社のためにマレーシアに来なければ、休みが取れず、結婚式に行くことができなかったのだ。運転手達が家族のために持って帰りたいとゴネたため、健は仕方なく承諾した。

映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』のあらすじ【転】

健が思い出のコンサートチケットを見ながら亡き妻に思いを馳せていると、縁が現れる。健は突然のことに驚きながらも、縁に昔の思い出を語った。健が大切にしているコンサートチケットは、亡き妻と一緒に行ったものだった。縁の手を握りながらRCサクセションの歌を歌っていたが、気がつくとメリーに姿を変えていた。健は酒を飲み過ぎて白昼夢を見ていたのだ。メリーは健に何かを打ち明けようとするが、健が妻を亡くしてからこんなに笑ったのは初めてだと語ったため言えなくなってしまう。健は妻が癌で闘病中に仕事に明け暮れていたことを悔やんでいた。それから、縁との関係も悪化してしまったのだ。健はメリーが縁の結婚相手だったら良かったのにと呟いた。

メリーの知り合いの少女(シティ)が、村に薬を運べなくて困っていた。お金は盗られて少しの小銭しか持っていなかったため、他のトラック運転手達は誰も手を貸そうとはしなかった。クアラルンプールとは反対だったため、メリーは少女に行けないことを謝罪した。健をトラックに乗せて出発するが、メリーの表情は浮かない顔のままだった。健は運転席を替わってもらい引き返そうとするが、トラックが言うことを聞かず、動かすことができなかった。メリーはそんな健の姿を見て笑顔になり、シティの元まで戻ることを決める。

シティはメリーの元婚約者の妹だった。結婚式の前の日、メリーは何もかもが怖くなり、結婚からも家族からも仕事からも逃げてしまったのだ。話を聞いた健はメリーに共感し、自分も縁から逃げていたことに気づく。メリー達がトラックに薬の箱を詰め込むと、トラック運転手の元締めの女性が健に1枚のCDアルバムを渡した。健がそのCDを掛けると、トラックは走り出した。RCサクセションの『雨上がりの夜空に』が、トラックから鳴り響いた。

映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』の結末・ラスト(ネタバレ)

メリー達は途中パトカーに追跡されるが、振り切って村まで急いだ。村に薬を運び終わった後、メリーは元婚約者に謝罪した。その時、婚約者から結婚が決まったことを聞く。元婚約者はメリーのことを恨んではいなかった。健達が村を後にすると、先程の警官がトラックの前で待ち構えていた。メリーの車が派手だったため、解体するつもりでいたのだ。メリーも手錠を嵌められ、逮捕される。健は一緒にいられるのがこれで最後になると思い、メリーに何を話そうとしていたのか聞いた。すると、メリーは自分が縁の婚約者であることを打ち明けた。健は激しく怒り、結婚は認めないと怒鳴った。

メリーはパトカーに乗せられる。出発する間際、健に向かって「アイシアッテルカイ?」と伝えた。それは、RCサクセションのボーカルである忌野清志郎が、いつもライブで言っているセリフだった。

健は友人になったトラック運転手達を荷台に乗せ、トラックを運転してメリーが乗ったパトカーを追いかけた。そして、パトカーを止めると、トラック運転手達は一斉にパトカーを襲撃した。警官に拳銃を突きつけられるが、健は自分が身代わりになるため、健を解放してくれと頼んだ。警官はなぜそこまでメリーのためにするのか、健に問い掛けた。健は自分の息子になる男のためだからと答え、土下座をして頼んだ。警官がそんな健を嘲笑ったため、メリーは怒って警官を殴ろうとするが、撃たれてしまう。

健はメリーをトラックに乗せ、病院まで急いだ。だが、メリーは途中で力尽きてしまう。健がメリーの体を抱きしめて泣いていると、メリーのいびきが聞こえてきた。実はメリーは撃たれていなかったのだ。健は怒りながらも、縁の元まで急いで車を走らせた。

健達は式場に到着するが、縁は式を壊すために父がやって来たと思い、激しく怒り出した。そして、到着が遅れたメリーと共に父を殴った。健は泣きながら悲しむ縁に、亡き妻が結婚式で着けたベールを渡し、娘の結婚の門出を祝った。その後、友人達に祝福されながら、縁とメリーの結婚式が執り行われた。健は涙を浮かべながら、娘の晴れ姿を目に焼きつけた。

健は会社を辞め、マレーシアに残ることを決める。

映画『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』の感想・評価・レビュー

竹中直人の演技が何よりも良かった。コミカルな部分とシリアスな部分の演じ分けが素晴らしい。笑いあり、驚きあり、ホロリと感動するシーンありで、色んな感情が溢れ出てきた。RCサクセションの音楽と抜群に合っている。
片倉健は不器用で自分勝手なところもある男だが、誰よりも娘のことを大切に思っている最高の父親だった。親子愛、夫婦愛、たくさんの愛がぎゅっと詰まった作品。見終わった後に温かな気持ちになれる。(女性 30代)


仕事人間で妻の死に目にも立ち会えなかった男「片倉健」がマレーシアで出会った人たちのおかげで、自分自身を見つめ直し人生を変えていく素敵な物語でした。
片倉健を演じるのは竹中直人です。私は彼に対してコメディ俳優のイメージがありましたが、今作ではコミカルな演技をしつつも、シリアスなシーンにはしっかりと空気を引き締めるような演技をしていて、彼の魅力を再発見しました。
マレーシアの雰囲気や、温かい人たちと触れ合い変わっていく健を見ていると、どこか遠くて旅に出たくなりました。(女性 30代)

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