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映画『健太郎さん』のネタバレ・あらすじ・考察・解説

この記事では、映画『健太郎さん』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。

映画『健太郎さん』の作品情報


出典:U-NEXT

製作年 2019年
上映時間 35分
ジャンル ホラー
監督 髙木駿輝
キャスト 龍坐
西川浩幸
宇田川さや香
木下仁
白井友子
製作国 日本

映画『健太郎さん』の登場人物(キャスト)

敏夫(西川浩幸)
斎藤家の大黒柱。健太郎さんに頭が上がらない様子。
和子(宇田川さや香)
敏夫の妻。水彩画家。家の中で健太郎さんと2人きりなるのが悩み。
賢人(木下仁)
高校生の長男。学校ではいじめられている。
優愛(白井友子)
小学生の長女。家族で唯一、健太郎さんと無邪気に接する。
健太郎(龍坐)
斎藤家に居座る謎の男。見た目は中年だが、なぜか食べ方が異様に汚い。

映画『健太郎さん』のネタバレ・あらすじ(起承転結)

映画『健太郎さん』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『健太郎さん』のあらすじ【起】

父・敏夫、母・和子、兄・賢人、妹・優愛。
彼らで構成された家庭は、食卓を囲んでいた。
しかし、「健太郎さん」と呼ばれる奇妙な男も座っている。
和子が健太郎さんに声を掛けるや否や、彼は用意された焼きそばを犬のように食べるのだった。

朝になると、優愛は健太郎さんに挨拶をしてから登校する。
賢人は健太郎さんを無視して、右足を引きずりながら出かけた。
この日は和子が描いた水彩画の個展が開かれる日でもあったのだが、和子は浮かない顔をしている。
家族が全員出かけると、家の中で健太郎さんと2人きりになってしまうからだ。
家を出発した敏夫に近所の女性が、健太郎さんについて『誰ですか?』と聞いてきた。
しかし彼は、答えずにその場を去るのだった。

家族が出払った後、和子は健太郎さんを個展に誘う。

賢人は夜遅くに、泥まみれで帰ってきた。
敏夫は泥については触れず、帰りの遅さをとがめるだけだ。
その後に賢人は健太郎さんとぶつかり、その際に落とした荷物から彼がいじめられていることが分かった。

映画『健太郎さん』のあらすじ【承】

優愛はその日、描いた絵を先生に褒められたようだ。
だが敏夫はその絵を見ても何も言わず、和子に個展のことを聞く。
優愛と健太郎さんは、顔を見合わせた。

翌日、和子の作品が破れた状態で流しに捨てられていた。
リビングのソファには、健太郎さんが座っている。
敏夫の商談用の書類も破られていた。
2人は、健太郎さんの仕業だと考える。
しかし健太郎さんに直接注意できない敏夫は、仕方なく賢人に向かって怒鳴った。

夕方、優愛は健太郎さんに自分が描いた絵を見せる。
それは健太郎さんの絵だった。
健太郎さんはその絵を見つめる中、和子が『パパとママの絵は?』と聞く。
ただ、彼らの絵を優愛は昨晩見せていた。
優愛は機嫌を悪くして、リビングを出て行く。
ゴミ箱には両親の絵が捨てられていて、それを拾い上げる和子を健太郎さんが見ていた。

夜になると、賢人はいじめに対する怒りをこらえていた。
ふと、窓の外を見ると健太郎さんが道路に立っている。
なぜか彼は、両手に花束を持っていた。

翌朝になると、リビングが荒らされていた。

映画『健太郎さん』のあらすじ【転】

家の車もなくなっていたことから、優愛はある事を思い出す。
家族で車に乗って出掛けていたとき。
車は健太郎さんをはねていたのだ。
優愛が彼にハンドタオルを差し出すものの、和子と敏夫は逃げることを決意。
健太郎さんは痙攣しつつ、優愛のタオルを拾っていた。

車が無くなった日以降、健太郎さんは現れなくなる。
和子はいつもの癖で健太郎さんの分の食事を出していたが、敏夫は『もともといなかったんだ』と家族に言い聞かせるのだった。

早起きした敏夫は、和子が水彩画を描いていることに気づく。
彼女が描いていたのは、4人家族が血まみれで倒れている絵だった。
しかしよく見ると、楽しそうに笑っている一家の絵だ。

朝になると、優愛はいつもの癖で健太郎さんに声を掛けて出かける。
敏夫と賢人も出て行ったあと、家のチャイムが鳴った。
和子が出たのだが、外には誰もいない。
不思議に思った和子だが、リビングに戻ることに。
すると、そこには健太郎さんが立っていた。

彼は『1年経ったので、あの子のことでけじめをつけようとお別れの挨拶をしてきた』と言った。

映画『健太郎さん』の結末・ラスト(ネタバレ)

1年前に斎藤家の車は、健太郎さんだけではなく、彼の娘・由真もはねていたのだ。
優愛は健太郎さんにタオルを渡し、敏夫と和子は彼らを見捨てていた。

由真は死亡し、健太郎さんも意識不明の重体だった。
だが、健太郎さんは病院から姿を消す。
渡されたタオルには「優愛」と書かれていたので、それを頼りに前に進んでいた。
やがて、斎藤家に行き着いた健太郎さん。
土下座する敏夫と和子に対し、健太郎さんは『この家に住まわせてください』と言った。

当初は和子がストレスで体を壊し、敏夫も健太郎さんに謝り続けていた。
健太郎さんは特に反応を示さず、食事を終えると2階に上がっていく。
どうにかしようと思い立った賢人は瓶を持って2階に向かうが、階段で転がり落ちてしまう。
その時に割れた瓶で右足もケガしてしまった。

食事の際も、「健太郎さんが食べ始めてから」という暗黙の了解が生まれる。
ある日の食事の際、優愛が食べ方について和子から叱られた。
それを見つめていた健太郎さんは、優愛と目が合う。
健太郎さんが笑みを浮かべて、物語の幕が閉じる。

映画『健太郎さん』の考察・解説(ネタバレ)

映画『健太郎さん』の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『健太郎さん』の健太郎さんの正体とは?

映画『健太郎さん』に登場する健太郎さんの正体は、物語全体を貫く謎であり、不気味な雰囲気を醸し出す上で欠かせない要素です。健太郎さんは、一見すると家族や友人から慕われ、敬意を払われている親しみやすい人物として描かれています。しかし、物語が進行するにつれ、彼の存在には奇妙で不可解な側面が浮かび上がってきます。

実は、健太郎さんは超自然的な力を秘めた存在であり、人間の姿をしているものの、その能力は常識の範疇を大きく超えています。彼は日常生活の中で不自然な現象を引き起こし、周囲の人々の行動や運命にまで影響を及ぼすことができるのです。健太郎さんが登場するたびに、周りの空気が一変し、奇妙な出来事が次々と起こり始めます。これらの現象から、彼が単なる人間ではないことが徐々に明らかになっていきます。

結局のところ、健太郎さんは一種の「都市伝説的」な存在であり、その存在自体が人々の恐怖心や不安感に影響を与えているのです。彼は人々の抱く恐怖や不安を糧にして生きているとも解釈でき、その正体は曖昧模糊としていますが、物語の背後に潜む恐怖の象徴として機能しています。

映画を通して、健太郎さんの正体が明確に説明されることはありませんが、彼が現実とは異なる異質な存在であり、観客に不安感を植え付ける役割を担っていることは疑う余地がありません。

映画『健太郎さん』のラストの箸のシーンで健太郎さんが笑った理由とは?

映画『健太郎さん』のラストシーンに登場する箸のシークエンスは、物語のクライマックスを象徴する不気味な瞬間として印象的です。このシーンでは、健太郎さんが特に異常な行動を取っているわけではなく、ごく普通に箸を使って食事をしているだけのように見えます。しかし、その直後に彼が不意に笑い出すことで、観客の心には強い不安感と緊張感が走ります。この笑いの理由については、いくつかの解釈が可能です。

まず考えられるのは、健太郎さんが自分の正体や目的に対して絶対的な自信を持っていることを示唆しているということです。彼は人間ではなく超自然的な存在であるため、人間の感情や倫理観に縛られることはありません。笑うことで、観客に対して「自分は全てを掌握している」というメッセージを送っているのかもしれません。これは、彼の存在そのものが人々にとって理解の及ばないものであることを物語っています。

また、このシーンでの笑いは、物語全体を通して観客や登場人物が感じてきた恐怖が、健太郎さんにとってはたわいもない「遊び」や「娯楽」に過ぎないことを象徴しているとも捉えられます。彼から見れば、人々が感じている恐怖や不安は、あくまで些細なものであり、その状況を心から楽しんでいることを笑いで表現しているのです。

つまるところ、このシーンは映画の不気味な雰囲気を強調するための演出であり、健太郎さんの謎めいた存在が何の答えも提示しないまま終わることで、観客の心に強烈な印象を残す結末となっているのです。

映画『健太郎さん』に元ネタはあるのか?

映画『健太郎さん』には、都市伝説や怪談をモチーフにした元ネタが存在すると考えられています。日本には「さん」付けの不気味な存在や都市伝説が数多く存在しますが、「健太郎さん」という名前もそれらと通じるものがあります。例えば、「口裂け女」や「八尺様」のような怪異と同様に、超自然的な力を持った存在が人々を恐怖に陥れるというコンセプトは、日本のホラー文化に根ざしたものと言えるでしょう。

ただし、健太郎さんという名前自体は、特定の都市伝説に由来するものではありません。しかし、映画の中で描かれる彼の性質や行動には、古典的なホラーや怪談の要素が随所に取り入れられています。特に、人々が「健太郎さん」の存在を当然のように受け入れ、彼に対して畏怖の念を抱いている様子は、怪異や超自然的存在が日常生活に突如として現れるというホラーの定番的な設定を踏襲しています。

さらに、「名前のない恐怖」や「説明されない存在」というコンセプトも、この映画の重要なテーマとなっており、元ネタとなる具体的な話こそないものの、日本の怪談や都市伝説から強い影響を受けていることは明らかです。健太郎さんの存在があいまいで説明不足なのは、観客の想像力を刺激し、恐怖心を増幅させる効果を狙ったものと言えるでしょう。

したがって、健太郎さんには特定の元ネタは存在しませんが、日本のホラーや怪談の伝統的な要素を巧みに組み合わせることで、独自の恐怖を生み出したキャラクターとして描かれているのです。

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