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映画『飢餓海峡』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『飢餓海峡』の概要:ある台風の日に北海道で起こった質店放火・強盗事件。そして、それから10年後に起こった殺人事件。二つの事件がある女を接点に繋がっていく。水上勉原作の推理小説を、内田吐夢監督で映画化した超大作。

映画『飢餓海峡』の作品情報

飢餓海峡

製作年:1965年
上映時間:183分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:内田吐夢
キャスト:三國連太郎、風見章子、左幸子、加藤嘉 etc

映画『飢餓海峡』の登場人物(キャスト)

犬飼多吉 / 樽見京一郎(三國連太郎)
北海道のある町で起こった強盗・放火事件、及び刑余者殺しの疑いで警察に追われる。樽見京一郎と名前を変え、実業家として東京で暮らしている。身の潔白を警察に訴えるも信じてもらえず、北海道の海に身投げする。大柄な男で、周りからは慕われている。
杉戸八重(左幸子)
娼婦。逃亡中の犬飼に大金をもらい、それで借金を返して東京で暮らす。犬飼のことを恩人だと思っている。出会った時に切った犬飼の爪を死ぬまで肌身離さず持ち続ける。犬飼に再会するも、殺されてしまう。一人の人を思い続ける強い意志のある女。
弓坂吉太郎(伴淳三郎)
北海道での事件で犬飼を追う警部。家族を犠牲にしてまで捜査をするが、結局捕まえることが出来ないでいた。別の事件をきっかけに再び犬飼の捜査をすることになる。体が弱く、いつも咳をしている。犯人逮捕の為に家族を犠牲にするほど仕事熱心。
味村時雄(高倉健)
東京で起きた八重殺人事件を捜査する警部。捜査を続ける中で、北海道で起きた事件との接点を見つけ弓坂に応援を頼む。正義感の強い男。最後まで犬飼の証言を信じることが出来ないでいる。

映画『飢餓海峡』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『飢餓海峡』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『飢餓海峡』のあらすじ【起】

昭和22年9月20日。台風10号が北海道を襲う。

台風の為に混乱する人々。そんな中、三人組の男が慌てて電車に乗り込む。彼らは何かに追われているような様子を見せている。

台風の影響で青函連絡船が転覆してしまう。函館についた三人組は連絡船でどこかに逃げようとしていた。しかし、彼らが見たのは連絡船の転覆による大勢の死者達や混乱する人々、さらには大勢の警察官だった。彼らは連絡船を諦め、小さなボートで海を渡るのだった。

同日、別の町の質店で強盗・放火事件が起こる。そして、犯人は函館から逃げようとしていた三人組だったのだ。

転覆船の中から引き取り人のない遺体が二体発見される。さらに、乗船客よりも死体の数が二体多いのだった。

刑事の弓坂は、強盗事件の三人組を必死で追っていた。その頃、三人組の中の一人である犬飼が一人で山道を彷徨っていた。そしてたまたま見つけた汽車に乗り込む。その汽車に居合わせた八重という女が犬飼の様子を心配し、おにぎりを分け与えてくれるのだった。汽車を降りた後、犬飼は八重を追いかけて八重の宿泊する宿へと向かう。

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映画『飢餓海峡』のあらすじ【承】

宿で八重にお風呂まで世話をしてもらった犬飼。娼婦である八重は自身の悲惨な境遇に苦しみ、精神的にやられていた。その日、二人は一夜を共にする。八重は自身の体を傷つけた犬飼の爪を切り、大切にしまうのだった。

犬飼は大金を置いて八重のもとを去って行く。驚いた八重は犬飼を追いかけるも、すでに姿は無かった。

翌日、弓坂の手は八重のもとまで迫っていた。弓坂は八重に事情聴取をする。しかし、八重は嘘をつき、犬飼の事は一切喋らないのだった。

警察署へ帰った弓坂は、上司に早く証拠を掴めと迫られる。意気消沈する弓坂はそこで、転覆事故で余った二体の遺体が犯人のものだと気づくのだった。

弓坂はその二体の遺体の額に傷があった事を思い出す。犯人の一人が仲間を殺して金を持ち逃げ出したのだと確信する。そして、八重が嘘をついているのではないかと疑い始めるのだった。そして、東京行きを決めていた八重を追うように、弓坂も東京行きを決める。

東京の小料理屋で働く八重は、大切に犬飼の爪を持っていた。厳しい生活の中で、犬飼を思う事が八重を癒す時間でもあった。

友人の家を訪れた八重は、そこに弓坂がいることに気づきその場を逃げ去る。そして、自分のお店に帰るのだがお店は摘発されていた。八重は全てから逃げ去り、再び娼婦の道を選ぶのだった。

映画『飢餓海峡』のあらすじ【転】

数年後、八重はまだ犬飼のことを思っていた。そんなある日、私財の三千万円を刑余者更生事業に寄付した樽見京一郎という実業家の話を新聞記事で見かける八重。しかし、そこに載っていた写真は犬飼だと確信する。そして、樽見という男に会いに行く決意をする。

樽見の家に向かった八重。出てきた男は確かに犬飼だった。お礼が言いたいだけだと言う八重。しかし、犬飼は樽見だと言い張り知らないふりを突き通すのだった。それでもしつこく犬飼だと言う八重を、犬飼は殺してしまうのだった。そして、現場を見てしまった書生の竹中という青年も殺してしまう。犬飼は二体の遺体を海に捨て、心中事件に仕立てあげるのだった。

この事件を捜査する味村は、遺体を見て心中ではないと感じる。

八重の遺体から樽見の記事の切り抜きを発見した味村は犬飼のもとを訪れる。犬飼は遺体を見て、これは書生の竹中だと味村に言うのだった。さらに味村は、八重の身元を突き止める。

味村は、弓坂が10年前に八重を探していた事を八重の父親から聞く。そして、八重が犬飼と関係があることに確信を持つのだった。

弓坂のもとを訪れた味村。味村が事件の事を弓坂に話した後に記事を見せると、弓坂は樽見が犬飼であると確信を持って言うのだった。そして、家族の反対を押し切って東京へと向かう。

映画『飢餓海峡』の結末・ラスト(ネタバレ)

弓坂や味村が同席する中、犬飼の事情聴取が始まる。八重との関係を探られるも、知らないふりを突き通す犬飼。

証拠を探す為に必死の調査が始まる。しかし、樽見と犬飼を結びつけるような証拠は見つからないでいた。そんな中、味村が八重の家から犬飼の爪とそれを包む古新聞を発見する。さらに、犬飼の逃走中に泊まった宿の帳簿から犬飼の筆跡を入手し、筆跡鑑定の結果樽見の筆跡と一致することを発見する。それを証拠に警察は、樽見に逮捕状を出す事を決意する。

犬飼を警察へと呼び出す。証拠を突きつけて犬飼に迫る味村。犬飼はついに観念し、本当の事を語り出す。

犬飼は強盗仲間の二人と仕事で出会う。職の当てがあるという仲間に連れられて函館に向かうことにした犬飼。駅で待ち合わせ、汽車に乗った時に二人が事件を起こしたことに気づく。そして海の上で仲間二人は同士討ちをして死んでしまった。だからそこまでは誰も殺していないと言う犬飼。何もしていないが、大金を持っているこの状況で無罪を信じる人はいないと判断した犬飼は、世の中の為にお金を使おうと決めたと言う。しかし、味村達は中々その話を信じられないでいた。

結局真実は謎のままでいた。そんな中、北海道へと帰る前に弓坂は牢獄の中で犬飼と語り合う。そして犬飼は弓坂に、一緒に北海道に連れて行ってくれと頼む。味村達は、真実を語り出すのではないかと予感しそれを許可するのだった。

北海道への道中、犬飼は八重の声を思い出していた。弓坂は船の上で、前に見えるのが八重の故郷である恐山だと犬飼に伝える。それを見た犬飼は船から身投げするのだった。

映画『飢餓海峡』の感想・評価・レビュー

水上勉原作、1965年に公開された日本映画である。戦後の混乱期を死に物狂いで生きる人間たちがリアルに描かれ、今もなお、語り継がれる名作である。
質屋の放火事件を皮切りに、三國連太郎演じる犬飼多吉の危うい人生が描かれる。それを追う刑事の弓坂と味村(高倉健)。
そして、犬飼が逃げる道中で心を許した女性・八重。家庭が貧しく、芸者となった八重に犬飼が金を渡し、そこから足がついてしまうという皮肉。さらに、犬飼は自分が助かるために八重を手にかけてしまうのだ。
犬飼の壮絶な生き様をとくと見よ。(男性 40代)


罪を犯した男が捜査の手から逃れ、生き延びるために選んだ方法は「別人になること」でした。
主人公の逃げる男を演じるのは三國連太郎。私が知っている彼は『釣りバカ日誌』のスーさんで、とても優しくて温和なイメージでした。しかし、今作で彼が演じる犬飼は「生きること」に物凄く執着していて、生きる為なら人を殺めることも躊躇しないような人です。
彼がどんな証言をするのか緊張しながら鑑賞していましたが、あまりに衝撃的なラストで言葉が出ませんでした。(女性 30代)

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