この記事では、映画『キラー・メイズ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『キラー・メイズ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『キラー・メイズ』の作品情報

上映時間:80分
ジャンル:ファンタジー、コメディ、アドベンチャー
監督:ビル・ワターソン
キャスト:ミーラ・ロヒット・クンバーニ、ジェームズ・アーバニアク、ステファニー・オーリン、カーステン・ヴァングスネス etc
映画『キラー・メイズ』の登場人物(キャスト)
- デイブ(ニック・スーン)
- うだつの上がらないアーティスト。これまで何かを最後までやり遂げたことがなく、そんな自分に嫌気が差し、誰も作ったことのない段ボールの迷路を作る。しかしその中は、彼の脳内が反映された異世界の迷路となり、自ら迷い込んで抜け出せなくなってしまう。
- アニー(ミーラ・ロフィット・カンブハニ)
- デイブの恋人。いつまでも子供っぽいデイブに呆れながらも、迷路から出られないデイブを助けるため、ゴードンたちと迷路に入る。
- ゴードン(アダム・ブッシュ)
- デイブの友人。アニーと一緒に迷路に入る。デイブが何かをやり遂げようとしていることに感心し、興味津々で迷路に入る。
- ハリー(ジェームズ・アーバニアク)
- デイブが連れてきた、ドキュメンタリー映像を制作するディレクター。カメラマンと音声と一緒に迷路に入り内部の様子を取材する。デイブたちのインタビューを試みる。
映画『キラー・メイズ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『キラー・メイズ』のあらすじ【起】
30歳を過ぎても大人になり切れないデイブ。段ボールの迷路を3日間作り続け、その中から出られなくなっていた。恋人のアニーが帰宅すると、段ボールの中から「迷子になった」と叫ぶデイブの声を聞こえてくる。内側から外に向けて継ぎ足すように作った迷路の中は、想像以上に大きくて出られないのだとデイブは言った。
彼の理解しがたい言動に、どっと疲れるアニー。しかし、段ボールを外側から揺らすと、中から異常に大きな音が響いたため、彼女はただ事ではないと気付く。呼び出されたデイブの友人のゴードンは、彼はハウスを見て感心する。なぜなら、これまで何一つ「やり遂げる」ことができなかったデイブが、生まれて初めて何かをやり遂げようとしていると感じたからだ。興味の沸いたゴードンは、他の友人も集めることにした。
映像ディレクターのハリーやカメラマンも含めた10名近くが集まり、段ボールハウスに入った。中に入るとみるみる天井が高くなり、見た目以上の大きさに広がった。そしてデイブの言った通り、ハウスの中は先の見えない迷路となっていた。

映画『キラー・メイズ』のあらすじ【承】
アニーたちはデイブを捜すため、迷路の奥へ進んだ。大きなトランプの壁、キーボードの廊下など、デイブが制作した段ボールアートの数々を通り抜けると、巨大な顔面の化け物の部屋に辿り着いた。すると突然、大きな折り鶴がアニーたちに襲いかかってきた。
折り鶴の攻撃を振り切り、ひと休みするアニーたち。こんな異常な状況下で、ハリーはアニーにインタビューをしようとする。カメラを向けられ、的外れな質問をされて戸惑うアニー。そこに迷路を満喫している女友達のジェーンが現れて、足元にあった罠のスイッチを踏む。するとカラクリが作動し、ジェーンの頭は紙の斧でバッサリ切り落とされてしまう。彼女の首からは、血の代わりに赤い毛糸が吹き出していた。
段ボールの罠はさらに続き、カップルでやって来たグレッグとブリンは別の罠にかかり、グレッグの体が穴だらけとなる。アニーは早くこの場から逃げようと、カッターナイフで壁に穴を開けようとしたが、そこになぜか半人半牛のミノタウルスが現れて襲いかかる。ブリンは連れ去られ、アニーとゴードンとハリーやカメラマンは必死で逃げた。するとそこで、ようやくデイブと会う。
映画『キラー・メイズ』のあらすじ【転】
デイブとアニーたちはトリックアートの部屋に逃げ込んだ。遠近法を利用した錯覚の部屋でしばらく遊んだ後、デイブは皆を抜け道に案内する。抜け道の排水管から転がり落ちると、全員が段ボールのパペット人形に変身していた。紙芝居の一部となった全員だったが、ミノタウルスに追われて次の穴に飛び込むと、人間の姿に戻った。
デイブはその場しのぎで壁を作り、ミノタウルスの侵入をひとまず防いだ。この迷路から抜け出すには、最後まで完成させるのが解決策だとデイブは考えたが、今は逃げるのが先だった。映写機が置かれた暗室で、モノクロ映像の上映を見た後、彼らの前に女性器をイメージしたトンネルが出現する。アニーは怪しく光るそのトンネルに入ろうとしたが、デイブは止めに入る。このトンネルは、人間を段ボール化する罠であった。そんなデイブの左腕は、すでに段ボールとなっていた。
ハリーはデイブにインタビューを始める。彼は大人になれない自分が嫌であり、ただ何かを作りたかっただけだと言い、本当は傑作が生まれるはずだったんだと悔やんだ。そこにミノタウルスが現れたため、彼らは再び逃げる。ゴードンは迷路の中心部を壊そうと提案するが、デイブは壊されるのが嫌だから中心部は作っていないのだと打ち明ける。
映画『キラー・メイズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
先を進むデイブたちは、全身段ボール姿となったブリンを見つける。彼女はハイタッチを求め続ける操り人形となっていた。彼女は突然、「人生は不完全な瞬間の積み重ねだ」という意味深な発言をすると、再びハイタッチを繰り返し始めた。
デイブは自分の手で迷路の心臓となる「さなぎ」を作り、迷路の中心に置くことを思い付いた。すると突然、デイブとアニーはループの世界に迷い込む。何度も朝食シーンを繰り返した後、どうにかループを抜け出した2人は、さなぎ作りに取り掛かった。
その間、ハリーはブリンの取材を続けていたが、人間を掴めるほどの巨大な手に襲われ、カメラマンが穴に落ちる。一方デイブは、ついにさなぎを完成させた。高速の回転盤に乗せると、それはあたかも動いて見えるゾートロープとなった。その回転が頂点に達した時、デイブは日本刀でさなぎをバッサリ切り捨てた。
中心部を壊された段ボール迷路は、大きな音を立てて崩壊する。デイブとアニーはアパートに戻るが、デイブの左手は、段ボールのままだった。ハリーと音声係とゴードンも助かるが、他の者たちの姿はない。彼らは部屋に散らかった段ボールを片付け、ゴミ集積場に捨てる。すると、そのゴミの中からミノタウルスが現れて、指でILY(I Love You)サインをするのだった。
映画『キラー・メイズ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
大人になれない主人公が、巨大殺人迷路を作ってしまい、迷路から出るために自分の殻を打ち破るというストーリー。しかしこの映画の主役は、段ボールそのものだ。段ボールというのは味わいや温もりがある。工夫を凝らした段ボールアートがふんだんに盛り込まれ、見ているだけで十分楽しい。床、壁やカラクリ、そして人間までも全て段ボールで表現しようとする、制作会社の心意気にも感心する。後日、またあの段ボールを見てみたいと思えるような映画だった。(MIHOシネマ編集部)
ホラーという表記があったため、期待して鑑賞しましたが、想像とは全く違う作品で良い意味で裏切られました。
正直、この作品にホラー要素はありません。自分自身がよく分からなくなってしまう怖さや、一生この迷路から抜け出せないのではないかという精神的な恐怖心は感じるものの、助けに来てくれる友人の存在や、自分自身の殻を破ることが出来た達成感など、怖さよりも勇気や希望のような明るいものを感じとることが出来ました。
ものづくりが好きな人がワクワクするようなシーンの連続なので、子供が見ても楽しめるのではないでしょうか。(女性 30代)
ダンボールで作った迷路が実際に異世界のように広がるという発想にまず驚かされました。中に入った瞬間に現実ではありえない広さが広がり、ファンタジーとホラーが混ざり合う世界観に引き込まれます。特に仲間たちが一人ずつ犠牲になっていく展開は、コミカルさと残酷さが同居していて独特の雰囲気でした。ラストでデイブが「完成させなければ終わらない」と気づくのは、人生そのものを象徴しているようでした。(20代 男性)
クリエイティブな映像表現が印象的な作品でした。迷路の中の罠や怪物がすべてダンボールで作られているのに、怖さとユーモアを両立させているのが面白いです。特に血しぶきすら赤い紙吹雪で表現するシーンは、グロさを避けながらも衝撃を与えていて斬新でした。ラストでデイブが迷路を解体する決意をする場面は、自分の中の未完成なものと向き合うことを示しているように思えました。(30代 女性)
最初は低予算映画だと思って軽く観始めましたが、実際は哲学的なテーマを持つ深い作品でした。迷路の中で仲間を失い、デイブ自身も作り上げたものに苦しめられる展開は、「創造と破壊」の寓話のようです。特にラストで恋人アニーがデイブを支え、一緒に迷路を壊していく姿に救いがありました。現実逃避から抜け出す物語として共感しました。(40代 男性)
アート作品のような映画でした。ダンボールという身近な素材が、巨大な迷宮や怪物、トラップとして姿を変える映像は、とにかくユニーク。仲間たちが犠牲になっていく場面はブラックユーモアに満ちていて、笑うべきか怖がるべきか迷う感覚を味わいました。最後に「壊すことで終わらせる」という答えに辿り着くのは、創作に囚われた人間の苦悩を象徴しているようでした。(50代 女性)
不思議な映画体験でした。特に迷路の中でキャラクターが一瞬で切り裂かれたり、体が紙のように変形する描写は、現実ではあり得ないのに妙に説得力がありました。コミカルな演出とホラー的展開が絶妙に混ざり合い、最後まで飽きさせません。デイブの「自分の迷路に囚われる」姿は、人生で自分が作った壁から抜け出せない人間の比喩に思えました。(20代 女性)
ホラーとファンタジー、そしてコメディが融合した独特な映画でした。低予算でありながらダンボールで全てを作り込む美術の完成度には驚きました。犠牲者が出るシーンもユーモラスに表現されているため、恐怖よりも風刺的な印象を受けます。ラストでデイブとアニーが迷路を片付けていく場面は、現実に戻る儀式のようで、心に残るエンディングでした。(30代 男性)
観ながらずっと「これは大人のための童話だ」と感じました。迷路は空想の産物でありながら、そこに入った人を本当に飲み込む。デイブが作り出したものが彼自身を追い詰める展開は、創作と自己矛盾の寓話に見えます。アニーが最後まで彼を支え、共に壊していく姿は愛と現実への帰還を象徴していて、美しい余韻を残しました。(40代 女性)
個人的に印象的だったのは、犠牲者が出ても淡々と物語が進んでいくブラックユーモアです。普通ならショックな場面でも、紙吹雪の血やダンボールのトラップが笑いを誘い、独特の不条理感を演出していました。デイブが「自分が作ったものに殺されかける」という展開は、アーティストの業のようで深く共感しました。(50代 男性)
映画『キラー・メイズ』を見た人におすすめの映画5選
エターナル・サンシャイン
この映画を一言で表すと?
記憶を舞台にした不思議で切ないラブストーリー。
どんな話?
別れた恋人の記憶を消す手術を受ける主人公が、記憶の中で彼女と再び出会い、忘れたくない気持ちに気づく物語。奇抜な映像と心に響く感情が交差し、夢と現実の境目があいまいに描かれます。
ここがおすすめ!
シュールな映像表現と心情描写の融合は、『キラー・メイズ』のユニークさに通じます。独特の世界観に没入しながらも、最後には人間の普遍的な感情にたどり着ける名作です。
アリス・イン・ワンダーランド
この映画を一言で表すと?
夢の中のような異世界冒険ファンタジー。
どんな話?
穴に落ちた少女アリスが、不思議なキャラクターたちの住む奇妙な世界で冒険を繰り広げる物語。現実離れした風景やキャラクターの数々が、観る人をファンタジーの世界に誘います。
ここがおすすめ!
『キラー・メイズ』同様、異世界の不思議な造形や奇抜な設定が魅力。観る人を現実から切り離し、幻想的な旅へと連れ出してくれる作品です。
パンズ・ラビリンス
この映画を一言で表すと?
幻想と現実が残酷に交錯するダークファンタジー。
どんな話?
内戦下のスペインで暮らす少女が、不思議な地下迷宮に導かれ、現実と幻想の狭間で生き抜こうとする物語。美しくも恐ろしい世界観が、少女の心と現実の残酷さを対比します。
ここがおすすめ!
幻想的な映像美と残酷な現実の対比が強烈で、『キラー・メイズ』のユニークな異世界描写が好きな人にぴったり。寓話的でありながら、深いメッセージを残す作品です。
ザ・キューブ
この映画を一言で表すと?
謎の立方体空間で繰り広げられる極限サバイバル。
どんな話?
目覚めると謎のキューブ状の部屋に閉じ込められた男女が、次々と現れるトラップを避けながら出口を探す物語。閉鎖空間と予測不能な仕掛けが緊張感を生み出します。
ここがおすすめ!
仕掛けが次々現れるサスペンス性は『キラー・メイズ』に通じます。低予算ながら高いアイデア力で観客を飽きさせず、スリルと謎解きの面白さを両立させた秀作です。
インセプション
この映画を一言で表すと?
夢の中の迷宮を舞台にした頭脳派SFアクション。
どんな話?
人の夢に潜入してアイデアを植え付けるスペシャリストたちが、夢の階層を移動しながら危険なミッションに挑む物語。夢と現実の境目が次第に曖昧になり、観る者も迷宮に引き込まれます。
ここがおすすめ!
複雑で独創的な「夢の構造世界」は、『キラー・メイズ』の段ボール迷宮に通じる発想力。映像の迫力と哲学的なテーマが共存し、知的好奇心を刺激する傑作です。






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