映画『キングスマン』の概要:コリン・ファースが初めて本格アクションに挑んだ話題作。適役のサミュエル・ジャクソンの演技が光る。アクションと英国紳士の融合で人気を博し、第二弾の作成も発表されている。
映画『キングスマン』の作品情報
上映時間:129分
ジャンル:アクション、コメディ
監督:マシュー・ヴォーン
キャスト:コリン・ファース、マイケル・ケイン、タロン・エガートン、マーク・ストロング etc
映画『キングスマン』の登場人物(キャスト)
- ゲイリー・エグジー・アンウィンエグ(タロン・エガートン)
- 前ランスロットの息子で、ハリーに招集され入店試験を受ける。やや粗暴な一面もあるが、基本的には素直で正義心に溢れた人物。
- ハリー・ハート / ガラハッド(コリン・ファース)
- キングスマンの一員、ガラハッドの位置に着く諜報員で、エグジーをキングスマンへと招集した張本人。エグジーの父親には恩がある。
- リッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)
- 会社の社長で、全世界の人間を争わせることで増えすぎた人間を間引くという野望がある。
- マーリン(マーク・ストロング)
- エグジー達の入店試験の監督で、コンピューター技術など、支援能力に長けた人物。
- アーサー(マイケル・ケイン)
- キングスマンの長で、物腰穏やかな老人。しかし実はヴァレンタインの手下。
映画『キングスマン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『キングスマン』のあらすじ【起】
イギリスに店舗を構えて長い名門、”キングスマン”という紳士服店の裏に、その組織はありました。キングスマンとはどの国家にも所属しない独立した秘密組織で、武芸、頭脳、そして何よりも重んじられる品格を備わった人物によって構成されていました。
時は少し遡り、キングスマンの諜報員達はとある任務についていました。事件の犯人を捕まえる事に成功したキングスマンでしたが、死を覚悟したその男が爆弾を起動させます。絶体絶命の状態でしたが、”ランスロット”のコードネームを持つ諜報員が咄嗟に自らの身体で爆弾を覆い、他の仲間を助けたのでした。同僚、ハリー・ハートはその後ランスロットの遺族を訪れます。そしてランスロットの幼い息子に裏に電話番号の書いてある勲功のメダルを、何かあればこれを頼れ、と暗号と共に手渡したのでした。
そして現代、ランスロットの座は違う諜報員が継いでいましたが、とある任務中彼も命を落としてしまいます。欠員が許されないキングスマンでは、新たにランスロットの座を継ぎうる人材を各諜報員がスカウトしてくる事となりました。
映画『キングスマン』のあらすじ【承】
そして、ハリー・ハートも新たな人材を探す事となりました。そんな時、一本の電話が彼の元に入ってきます。それはかつて自分がメダルを手渡した、前ランスロットの電話でした。ランスロットの死後、エグジーの母親はディーンという男と再婚したのですが、この男がその辺りを取り締まるギャングの様な男で、母親と、そして小さな妹にまで手を挙げる最低の男でした。エグジーはディーンとその仲間を嫌っていましたので、その車を奪い乗り回しているところを警察に捕まってしまいます。この現状を何とかするべく、エグジーはハリーに電話をかけたのでした。ハリーの働きかけでエグジーは直ぐに釈放されます。
その後パプで、ハリーはエグジーをランスロットの後釜としてスカウトをします。その時ディーンの手下達がエグジーを狙って襲撃をかけてきますが、全てハリーが返り討ちにしてしまいます。その動きを見たエグジーはテストを受ける事を決意、キングスマンへと赴きます。しかし10人程で始まったその試練は非常に厳しく、一つ目の試練で、既に1人が命を失うという結果になってしまいました。
映画『キングスマン』のあらすじ【転】
そして試練が進むにつれ、一人、また一人と脱落者が続きます。そしてとうとう最終試験、それは試験当初に各自に任された自分の犬を殺す、というものでした。しかしエグジーには自分の愛犬を殺すことは出来ず、試験失格となります。もう一人の候補者であったロキシーが引き金を引き、ランスロットの名を受け継ぎます。
エグジーは以前の生活に戻りますが、そんな彼の前に再びハリーが現れます。そしてハリーは、実は今までのテストは既にダミーであった事、その中で様々な覚悟を見ていた事をエグジーに告げます。そしてハリーは現在とある男を追っていました。その男の名前はリッチモンド・ヴァレンタイン。とある会社のオーナーで、無料のSIMカードを国民に配布するという事で話題になっている人物でした。
しかし、このSIMカードには、とあるスイッチが押されるとそのSIMカードから発せられる電波によって人間が凶暴化するという恐ろしい秘密がありました。ハリーはヴァレンタインを追い詰めますが、ヴァレンタインに銃で撃たれ亡くなってしまいます。
映画『キングスマン』の結末・ラスト(ネタバレ)
ハリーの死を知ったエグジーはキングスマンを訪れます。キングスマンの長であるアーサーと話をしていると、エグジーはアーサーの耳元に何かが埋め込まれた様な傷があることに気がつきます。それは、アーサーがヴァレンタインの手下である事を示す証拠でした。
アーサーはエグジーに毒入りワインを進めますが、見抜いていたエグジーが事前にそれをすり替え、エグジーではなくアーサーが命を落とします。アーサーはその埋め込まれていたチップを引き抜くと、ランスロットの職についたロキシーと、そして自分達の試験の教官であったマーリンと共にヴァレンタインを阻止する為動き出します。ヴァレンタインの仲間は多く、多勢に無勢といった3人でしたが、マーリンがそのチップのハッキングに成功、チップを爆発させることによって一気に敵を一掃したのです。
そしてエグジーはヴァレンタインとの一騎打ちに勝利し、何とかSIMカードの起動を食い止めたのでした。そしてエグジーは母親の元へ戻り、ディーンと離婚し自分と住もう、と提案します。そしてかつて自分がハリーと出会ったパブで、今度は自分がディーン自信を倒したのでした。
映画『キングスマン』の感想・評価・レビュー
「キングスマン」という名の、高級スーツ店と秘密裏に活動する国際諜報機関の二つの顔をもつ組織を描いたスパイ映画。
彼らはスーツでバチっと決めた英国紳士的なスパイで、悪党たちの前代未聞の凶悪な陰謀を防ぐために立ち向かう姿が何ともかっこよい。
グロテスクやコメディーといった様々な要素が盛り込まれていて、飽くことなく何度でも楽しめると思う。
特に英国紳士独特の立ち回りやスパイグッズを使ったアクションシーンは見どころで、洗練された動きにハラハラドキドキした。(女性 20代)
テイラーの英国紳士がスパイだなんて、今まで誰が考えただろう?と思う最高の設定。ガジェット類も紳士が好むトラッドなアイテムが、ハイテクに改良されていて楽しいし笑った。俳優陣も豪華で、特にコリン・ファースは、あんなにアクションで動ける人だとは思わなかった。
単なるスパイ映画ではなく、エグジーの成長物語になっているところもよかった。お上品な紳士のお話ではなく、正直なところ悪趣味だと感じた部分もあるが、痛快でスカッとする近年まれに見る娯楽傑作だった。(女性 40代)
『マナーが、作る、人間を。』(manner makes a man.)
コリン・ファース演じる『ハリー』の台詞であり、この映画最大の名言だと思う。
この台詞に出会って以降、自分の生活や行動を見直す時に思い出すことがあり、とても感謝している。この台詞が登場するパブでのシーンは爽快だった。
生まれ変わったらキングスマンになりたい!と思わせてくれるほど興奮してしまったのだが、命を懸けた試練の数々に、スパイへの道はそう簡単ではないのだな…と、憧れだけに留めておくことにした。
英国紳士のスタイリッシュなアクションも注目だが、少々下品な演出もあるので好みが分かれるかもしれない。(女性 30代)
初めてCMで観た時からずっと気になっていた作品だ。紳士なスパイが活躍する映画ということで、観る前からとても期待していた。シリアスなシーンだけではなく、時にはクスっと笑えるシーンもあり、最後まで飽きずに見ることができた。一部グロテスクなシーンもあるがとても楽しめる作品だった。キレッキレのアクションシーンや紳士のマナーを見せるコリン・ファースの華麗な演技に終始魅せられ、映画を観た後はイギリスのマナーやスーツなどに興味を持った。英国好きにもとてもオススメの作品だ。(男性 20代)
まさかのびっくりさせられる展開に釘付けになり、目が離せなかった。緊迫したシーンが多く、見てる側からも伝わってきたが、コミカルなシーンも入っているため、更に面白くはまってしまう作品であった。最後のエグジーとヴァレンタインの一騎討ちのシーンが激しく、勝利した瞬間に興奮した。また、ハリーがヴァレンタインに殺されてしまったシーンはとても悲しく、ヴァレンタインへの憎悪が激しくなっていく感覚も、味わうことができた。内容も分かりやすいため、夢中で鑑賞してしまう映画である。(女性 20代)
近未来のスパイ映画。突然殺されたり、裏切りがあったりと終始緊張感が漂います。穏やかな表情や振る舞いの裏での探り合い・工作は、観ていて非常にヒリヒリします。上品な反面、異常さも目立つのが他のスパイ映画と違うところです。かなり魅力的な要素です。クラシックのリズムに合わせて首がポンポン飛ぶシーンは、どんな気持ちで観れば良いのか困りました。
新人なので詰めの甘さはありましたが、初陣で世界を救ったエドガー、今後の活躍・成長が楽しみです。(男性 20代)
ストーリー、アクション、衣装、音楽、どこをとっても最高です。多くのアクション映画と違って、スマートかつ上品に敵を倒すシーンが素晴らしいです。ノリの良い音楽ともマッチしていました。傘やメガネなど身近なアイテムが、敵にダメージを与えられるよう細工してあるアイデアもおもしろかったです。
退屈なシーンやぼーっとしてしまうシーンが1秒もなく、あっという間に観終わりました。衣装はもちろん、町並みや基地のセットもおしゃれで、様々な視点から何度も楽しめる作品です。(女性 20代)
イギリスのアクションはこんなにもスタイリッシュで爽快なのかと観た瞬間に大好きになった作品だ。過激な殺戮シーンはあっても、大胆すぎる描写が逆に清々しくてむしろコメディとしても楽しめるところが良い。
タロン・エガートンの代表作にもなったし、年齢を感じさせないコリン・ファースの溢れるイケオジ感が他の出演作品よりも際立っていて私は本作が一番好きだ。何回も観たくなってしまう独特なスパイ映画として忘れられない一作である。(女性 20代)
ストーリー、アクション、音楽、衣装、全ての最高を集めたような作品でした。英国の街並みにビシッとキメたスーツ姿の紳士があまりにもおしゃれでうっとりします。しかしいざ戦い始めると、迫力あるのに品もある所作や、紳士の持ち物が実は武器になっていたりと、アクション映画としての見応えもバッチリです。
私が特に好きなのは、ノリノリの音楽をBGMにしながら敵を倒すシーンで、グロいシーンがポップになっていました。最初から最後まで上品で爽やかなのに、優雅な動きで敵を倒してくれてスカッとしました。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー
超絶グロいのにポップ、そして芸術的なのに下劣という相反する面を持っているのがこの映画だ。
やっていることはかなり残酷なのに、それを麻痺させてしまう見やすさがある。それは、この監督の作品『キック・アス』にも共通するところだが。カッコいいスパイ映画でいて、キャラクター達のいい意味での軽薄さが深刻さを感じさせないスパイスになっているのかも知れない。
この監督はとにかく『007』を撮りたかったようで、画面の端々にその気持ちが映し出されていて見ていて楽しい。
スパイ映画好きには一度は観てほしい、大好きな作品です。
スーツ姿の英国紳士が実はとんでもなく優秀なスパイである、という設定がもうたまらなく格好いい。作中に登場する数々のスパイ道具も、どれも魅力的でワクワクすること間違いなしです。
スパイ候補に行われる採用試験は、頭を使うものから瞬時の判断力を試されるものまで様々で、漂う緊張感に目が離せなくなります。
映画全体がスタイリッシュでとにかく格好いい、しかしアクションシーンはド派手に痛快に、そんな飽きさせない最高に素敵なアクション映画です。
久しぶりに正統派娯楽映画を観たなぁという気持ちになった。とにもかくにも、面白い!
ところどころ入る残虐なシーンを除けば、もしかしたらもっと幅広い世代に受け入れられていたかもしれないが、個人的にはあのインパクト大な殺戮シーンこそ、この作品の魅力のひとつであり個性だと思うので難しいところである。
なんにせよ、とっつきやすく面白いストーリーをはじめ、個性豊かなキャラクター、メリハリのある演出、迫力満点のアクションなど、すべてが文句なしに魅力的な作品である。こりゃ人気が出るわけだ。
JBの名前のくだりが最高。
戦闘シーンのグロさになんとなく懐かしさを感じたが、映画「キック・アス」と同じ監督ということで納得した。平凡な少年が色々な知識を身につけスパイになっていく場面かワクワクした。スーツをスタイリッシュに着こなし、身のこなしまでスマートな紳士たちがぶっ飛んだ戦闘を繰り広げるのがカッコよく、邦画ではなかなかない迫力と臨場感だった。暴力的なシーンはもちろん、かなりグロいシーンも多いので、苦手な方は気を付けたほうが良いかもしれない。
こんなスパイ映画見たこと無い!と感じる最高にエキサイティングで芸術的な作品でした。
タロン・エガートン演じるエグジーがとにかく良いです。地元の仲間と遊んでいる時のちょっとおチャラけた表情も、赤ちゃんをあやす時のクシャッとした笑顔も、スパイになるための訓練を受ける真剣な顔も全てが最高でした。
敵役を演じたサミュエル・L・ジャクソンは「血が苦手」という設定。敵なのになんだか可愛らしい部分があってなんだか憎めません。
物凄くテンポの良い作品なので、あっという間に見終わってしまいます。
シリアスさとコミカルさが絶妙なバランスで描かれたスパイ映画。とにかく派手で爽快なアクションシーンは見応えがあり、パロディーギャグなどのコメディ要素も効いていて、楽しく見られる作品である。
あらゆるスパイ映画の登場や、キリっとしたスーツ姿で闘う姿には男のロマンを感じる。見所として、教会でのバトルロワイヤルと、ラストの首が飛ぶ花火のシーンは音楽も含めて最高の演出であった。笑えて楽しく見られるので、気持ちをスカっとさせたい時にぴったりである。
あのコリン・ファースがスーツ姿でアクションをするスパイ映画です。主演のタロン・エガートンもフレッシュな感じでとても可愛いのですが、スーツ姿のコリン・ファースのアクションがとにかく格好いい映画です。また、この二人のジェネレーションギャップを描いているところもコミカルで楽しいものでした。
どんどん人が死んでいく映画ですので、見ることが出来る年齢層は限られていますが、何か良いスパイものを見たい…という方はかなり満足できると思います。
ここまでスタイリッシュな諜報員は今までいなかったのではないだろうか。一見すると全然強そうに見えないハリー・ハートが、あっという間に相手を叩きのめす姿はただただカッコ良かった。動きも言動もスマートで、素敵だった。
ストーリーもおもしろくて、ごく普通の青年がスパイになるべく奮闘する姿がとても興味深かった。ただ、ハリー・ハートの存在のインパクトが強く、個人的には主人公よりも彼の方に興味を引かれた。
表はロンドンの高級テイラー、裏ではスパイという斬新な設定が面白い。かっこいいスーツに身を纏い、紳士的なのに過激なアクションを展開していくところが王道のハリウッドアクション作品と違って目を引いた。コメディ要素がありアクションも激しくスリル満点で、後味の良い爽快エンターテインメントだった。傘を開くと防弾できてそのまま銃として攻撃できるなど、一見普通の小物が武器になって面白いアイテムも盛りだくさんで笑えた。
ドキドキスリル満点のスパイ映画です。かっこいいスーツで決めた英国紳士たちが、クールに戦います。衝撃的なシーンもあり、好き嫌いが出る所もありますが、うまくコメディーチックにカモフラージュされていると感じました。
次々テンポ良く、流れていくストーリーで飽きずに最後まで楽しめます。英国紳士のイメージにぴったりな配役で、コリン・ファースやマイケル・ケインのベテラン勢とタロン・エガードンの新しい血が入り、絶妙なコンビネーションでさらに映画を盛り上げてくれています。
コリン・ファースがこの手の映画に出るのは珍しいなと思い興味を持った作品でしたが、爽快でとても面白かったです。時々グロテスクなシーンもありますが、そういうシーンや戦闘シーンが軽快に描かれているのでサラッと観れてしまいました。英国紳士がスパイという設定がとても良いなと思いました。仕立てられたシーツを身にまといスマートに戦う姿がかっこいいです。
続編も観ましたが、1の方が圧倒的に面白かったです。
スパイアクションの中にコメディの要素が散りばめられていて、見ていて全く飽きない。スパイ映画が好きな方なら、紳士服店が会議室という設定や、登場する様々なスパイ装備にもワクワクさせられることだろう。アクションシーンでは、軽快なBGMと多くの血が流れる異常さが織りなすギャップが面白い。
個人的に、エグジーとハリーの年の差コンビも見どころ。コリン・ファースの知的で落ち着きある演技に加えて、アクションも素晴らしかった。
オシャレなアクション映画です。これまで紳士な役どころが多かったコリン・ファースのアクションシーンがギャップも相まってカッコいいです。英国紳士なイメージを崩さずにやってのけるのは流石としか言えません。設定がありそうに見えて、絶対ありえない、という絶妙なところをついています。SIMの配布なんて、考えてみると相当恐ろしいです。
アクションシーンがかっこいいの一言に尽きる映画だ。アクロバット一つ一つが細かく設定されており、従来の定番アクションではないのも見どころの一つだ。何故なら、主人公の俳優さんは元体操選手だという、それなら華麗なアクションができるのも納得がいく。
人が気持ちいい位に殺されていくので、そこは気分爽快である。全体的にそう快感があり、気分がすっきりする映画だ。
また、コリンファースの英国紳士な姿はファンにとって必見だ。スーツにアクションとはまさに私の大好物である。
計算しつくされた戦闘シーンが魅力的な映画です。
娯楽作品として傑作だと思います。
ばさばさ人は切り刻まれていくけれど、深く考えずスタイリッシュな映像を楽しむのがいいと思います。
決して強そうではないコリン・ファースの英国紳士というイメージに、キレキレのアクションをこなすエージェントという意外なキャラクターをミックスさせたのが、この映画を更に面白くさせたのだと思います。
結果、この役はコリン・ファースしかできないと思わずにはいられません。
この映画は、人が縱に真っ二つになったり、「威風堂々」のリズムに合わせて人の頭が爆発して花火が上がったり、とても趣味がいいとは言えない演出が多い。
特に「威風堂々」の使い方はドン引きするほどだが、だからこそいい。
他のスパイ映画とは全く違う、コミカルな作品だからこそ合う演出だと思う。最高のセンスだ。
ただ、観る人を選ぶ作品だと思う。このシーンを観て大爆笑する人もいれば、唖然とする人もいるだろう。
まず、コリン・ファースってこんなに激しいアクションができたのか、と驚いた。
アクションシーンでは、弾をはじく傘やつま先にナイフが内蔵された靴などのスパイグッズを用いたものもあって面白い。
また、キングスマンは表向き高級テーラーで、実際に店もやっているので、ハリーはいつもかっちりしたスーツ姿。そのスマートなスーツ姿で、街のチンピラを一息に倒してみせるシーンはスピーディなアクションで本当に気持ちいい。
そして、教会に集まった人々が、ヴァレンタインがばら撒いたSIMカードによって凶暴化し、殺し合うシーンでは、その場にいたハリーも凶暴化し、全員を殺してしまう。
何人殺したのかはわからないが、狂ったように人を殺しつつも、さすが敏腕エージェントというだけあって動きは洗練されていて、たまらなくかっこいいのだ。
コリン・ファース演じるハリーは中盤で死んでしまうし、映画のストーリーはタロン・エガートン演じるエグジーの成長を描いている。
だから主人公は誰かと問われるとそれはエグジーなのだが、どうしてもハリーの方に注目してしまう。
それだけハリーのキャラクターが魅力的だった。途中死んでしまった時も、その死を信じられず、「もしかしたら生きてて、最後にまた出てくるのでは?」と思ってしまうほど完璧で最強だったのである。
もちろん、エグジーのキャラクターもいい。タロン・エガートンのはまり役だと思う。不良少年だが正義感が強く、腕もある。本作ではコリン・ファースの独壇場という感じだったが、続編ではエグジーをメインに展開するようなので、こちらも期待したい。
今までヒットしたスパイ映画『007』とも『ミッション:インポッシブル』とも違う、新しいスパイ映画である。公開された2015年は、この三作品に加え、『コードネームU.N.C.L.E.』も公開されていた。スパイ映画豊作の年であった。どれも異なる魅力を持つスパイ映画で、全てヒットした。『キングスマン』もその中に埋もれることなく、一つの新しいスパイ映画の道を切り開いたと思う。
『キングスマン』は英国を舞台にしており、ハリーのキャラクターも英国紳士らしさをアピールしている。その点では『007』シリーズのジェームズ・ボンドと重なる。
だが、英国紳士らしくスマートな姿を見せつつも、下品で悪趣味な演出もあり、上げては落とし、そして最後は締める。
そこが『007』との違いである。確かに『007』を意識してパロディにしつつも、新しさもしっかり見せてくる。