映画『寄生獣 完結編』の概要:岩明均の同名漫画が映画化された作品。本作含め2編で構成されている。監督は山崎貴で、脚本を山崎貴と古沢良太共同が務めた。主演は染谷将太、他は深津絵里、橋本愛が出演している。
映画『寄生獣 完結編』 作品情報
- 製作年:2014年
- 上映時間:118分
- ジャンル:アクション、SF、青春
- 監督:山崎貴
- キャスト:染谷将太、深津絵里、阿部サダヲ、橋本愛 etc
映画『寄生獣 完結編』 評価
- 点数:95点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『寄生獣 完結編』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『寄生獣 完結編』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『寄生獣 完結編』 あらすじ【起・承】
前編において、様々な殺人事件に関わってきた新一のことを、警察はパラサイトではないかと疑う。快楽殺人者でありながら、なぜか人間とパラサイトの区別がつけられる囚人・浦上に新一を引き合わせるも、浦上は「あいつは人間だ」と判断。しかし、新一はミギーとともに人間社会を守るためパラサイト達を孤独に狩り続けていた。
田宮良子に恋愛感情を利用された記者の倉森は、新一とミギーを尾行する。それに感づいた新一は、倉森に田宮こそがパラサイトであることを告げ、気をつけろと忠告した。
パラサイトのコロニーの中では、パラサイト狩りをする新一とミギーを抹殺すべきだという意見が高まっている中、二人は希望だと主張する田宮良子は孤立していっていた。そんな田宮が利用していた倉森を殺すためにパラサイトが向かったが、不在であったため倉森の娘が殺されることになる。倉森は、復讐のために田宮良子の隙をついて、その娘を誘拐してしまう。
新一は、倉森に早まったことをするなと説得にかかるが、田宮の娘を話そうとしない。警察も集まってきた衆人環視の中、田宮は自らの命と引き換えに娘を守り抜いた。新一に娘を託し、射殺される田宮良子。倉森もまた、身を投げて命を落とした。
映画『寄生獣 完結編』 結末・ラスト(ネタバレ)
一方、パラサイトの巣となりつつある市役所を、警察は特殊部隊を率いて弾圧にかかっていた。無残に殺されていくパラサイト達だが、彼らを率いていた広川は、実は人間だった。広川を射殺してしまい動揺が走る特殊部隊の前に現れたのは、5体のパラサイトが合体している後藤である。新一が市役所についたころ、舞台は後藤によってあっさりとせん滅させられていた。
後藤にかなわないと判断したミギーと新一は逃走するも、森の中に追い詰められる。ミギーは新一をだまし、自分を切り離すことによって後藤からパラサイトしか追えない新一を守った。右手を失った新一は、清掃工場に逃げ込む。そこに、幼馴染の里美が助けに駆け付けた。
しかし、ミギーはすでに新一の細胞にも入り込んでいたため、後藤に追いつかれてしまう。間一髪のところでミギーが再生し、また放射性廃棄物を使って後藤を倒した新一だった。
その戦いのせいで傷ついた細胞を修復するため、長い眠りにつくミギーとのつらい別れを経験したが、新一と里見に平穏な日々が戻ってきた。しかし、街中で浦上に里美が連れ去られてしまう。殺すことこそ生き物の本質だという浦上に屈しなかった里美は、ビルから放り出されるが、なぜか気が付けば新一は彼女の手を握っていた。絶対にミギーが助けてくれたのだと二人は涙を流した。
映画『寄生獣 完結編』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『寄生獣 完結編』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
深い
エンターテイメント性が高くなると深い思想の話にはなかなかならないし、深いテーマを扱うとエンターテイメント性は失われやすい。そんな傾向を吹き飛ばしてくれるほど、面白いし深いテーマを持った作品だった。原作がいいというのも大きいのだろうけれど。
真の主人公は田宮良子なのではないかと思うくらい、彼女のセリフがどれもこれも考えさせられるものばかりである。「何かを疑問に思い、それが解決されてまた疑問が生まれて。そうやって生きていく」というようなことは文字通りだし、母親として子供のために身を挺する(真顔でだけど)姿は、パラサイトもまた「生き物」であることにはっとする。「私たちをいじめるな」という言葉は人間以外の全生き物の代弁のようでもあった。
お約束のミギーとの別れ
ミギーとさよならしなければならなくなることは、ミギーと出会った時からわかっていることだった。こういう異端との出会いは、交流を経て必ず別離がある。わかっている。わかっているけれど、泣けて泣けて仕方なかった。ドラマチックなのは戦闘シーンのほうで、最後の本当のさよならはとてもあっさりしていた。だからこそ本当の別れとはたいていこんな風に突然起こるということにはっとさせられる。
いかんせん、阿部サダヲの声がぴったりすぎた。あんな気持ちの悪いビジュアルのものを愛しく思うようになるなんて、見始めたころは誰も思わなかっただろうに。
ラストは評がわれる
浦上の主張からのラストシーンは、純粋な原作ファンからは評判が悪いようだ。確かに蛇足に感じる人もいるかもしれないけれど、個人的にはあれはあれでよかったと思う。ミギーとの別れで終わるより、新一の、人間というものの未来を感じることができた。
一作目でミギーの可愛さにハマってしまい、ストーリーも大満足だったので続けて鑑賞しましたが、こんなにも早くミギーとの別れが訪れるとは思わず、ラストシーンにも感動してしまいました。
今作の見どころはなんと言っても深津絵里演じる田宮良子でしょう。彼女のセリフ一つ一つにメッセージが込められていて、深津絵里の少し影があるような雰囲気がその魅力を高めていました。
寄生獣と人間の関係を見ていると何が正しいのか、何が悪なのかを物凄く考えさせられました。前作よりも少し難しい印象ですが、その分ストーリーに厚みがあって今作も大満足でした。(女性 30代)
人間の業の深さを突き付けられ、自省しました。ミギーの言う通り、悪魔に一番近しい生物は人間なのかもしれません。人間は欲張ってばかりいないで、自然やあらゆる生き物に対して思いやりを持つべきだというメッセージが、ひしひしと伝わります。生きとし生けるものが共生、共存できる社会になることが、真の幸福なのかもしれません。新一とミギーが、お味噌汁を作るシーンが印象的です。ミギーのようなペットがいたら楽しいだろうなと、想像力を搔き立てられました。(女性 30代)
映画『寄生獣 完結編』 まとめ
良作。悲しくなるシーンも多々あって胸が痛むが、「人間という生き物」「親子」について深くえぐってくれる。前編後編とあると勝手なイメージで「前編のほうがよかった」ということが多い気がするのだが、これは後編できっちりと前編も踏まえて完結させてくれるので、どちらも面白いと胸を張って言える。
キャスティングもいい。どのキャラクターにも違和感がなかったし、必要最低限の登場人物で抑え切っている。特にパラサイトを演じていた名もなき役者たちがすごかった。あの動きしばらく忘れられそうにない。
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