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映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』の概要:2003年のイラク戦争の口実となった大量破壊兵器保有説。政府の主張に大手メディアも追随していた。唯一、独自の取材に基づく真実のみを書き続けたニュース配信会社があった。記者たちの孤軍奮闘を描いた実録風ドラマ。

映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』の作品情報

記者たち 衝撃と畏怖の真実

製作年:2017年
上映時間:91分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ロブ・ライナー
キャスト:ウディ・ハレルソン、ジェームズ・マースデン、ロブ・ライナー、ジェシカ・ビール etc

映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』の登場人物(キャスト)

ジョナサン・ランデー(ウディ・ハレルソン)
ナイト・リッダー社の記者。イラクが大量破壊兵器を保有しているという主張の真偽を調べるため、地道な取材を続ける。妻は旧ユーゴスラビア出身で、国全体が戦争に向かっていることを危惧し、批判的な記事を書く夫の身を案じている。
ウォーレン・ストロベル(ジェームズ・マースデン)
ナイト・リッダー社の記者。政府の主張の真偽を確かめるべく、慎重に取材を続けている。バツ1であったが、友人に紹介されたリサと出会い再婚する。
ジョン・ウォルコット(ロブ・ライナー)
新聞社に記事を提供するニュース配信会社、ナイト・リッダー社の編集長。部下には裏付けの取れた記事だけを書けと指示する。地方新聞社を傘下に持つため、我が子を戦場にやる者たちの味方である、という信念を持っている。
ジョー・ギャロウェイ(トミー・リー・ジョーンズ)
元従軍記者だったが、ウォルコットの依頼で現場に復帰し、独自の人脈で真相に切り込んでいく。

映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』のあらすじ【起】

2006年、退役軍人公聴会。アダム・グリーン元陸軍上等兵は車椅子で出廷する。彼はイラクに到着後わずか3時間で攻撃に遭い、半身不随となったと証言。アメリカはなぜ戦争をしたのか、と静かに問いかけた。

2003年3月、アメリカと同盟国による軍事作戦「衝撃と畏怖」が始まったのは、2001年9月11日から555日目のこと。フセインに対して武装解除を求め、かつてない規模の空爆などが実行された。

2001年9月11日。同時多発テロが発生し、記事配信会社ナイト・リッダー社のワシントン支局は慌ただしかった。ウォルコット編集長は正確に情報収集するため、必ず裏を取れと記者に命じる。一方、アダム・グリーンはまだ少年で、父親が経営するバーを手伝っていた。店には特殊部隊の若い兵士が集まり、ブッシュ大統領のテレビ演説に聞き入っていた。

翌日、リッダー社のウォーレン・ストロベル記者は国務省職員に取材をし、アメリカ政府は敵をイラクに仕立てようとしていることを聞き出す。それを聞いた編集長は呆れ返る。フセインとビン・ラディンが手を組むなんてありえないからだ。ジョナサン・ランデー記者も政府関係者から、国がイラク黒幕説に動いていることを取材する。全米各地では国旗が掲げられるなど愛国主義が高まり、イラク首謀説が急速に広まっていった。

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映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』のあらすじ【承】

ある日、ウォーレンに元政府幹部からリークが入る。元CIA長官がテロとイラクを関連づけるため、公用機で欧州に向かったという。ウォルコット編集長も情報機関分析官から、国がイラクと戦争しようとしていることを聞き出す。ブッシュ大統領は一般教書演説で、大量破壊兵器の脅威を防ぐため、アフガンのテロリストを包囲したと力説し始めた。アフガンをよく知る陸軍情報部の上官は、アフガンはアメリカに比べれば石器時代のような武器しかない国だと、政府の姿勢を非難した。

ジョナサンはアフガンを取材し、ビン・ラディンの逃亡を知る。同じ頃、大手各紙がリッダー社の記事を使わないことに不満を感じていたウォルコット編集長は、より正確な情報を得るため、人脈が豊富な元ベトナムの従軍記者ギャロウェイに現場復帰を要請した。一方アダムは、軍に入隊する意志を固めていた。

アメリカ政府はフセインが核兵器を入手しようとしていると主張し、大手メディアもそのまま伝えた。ジョナサンたちは政府関係者から新情報を入手する。それは政府が秘密裏に戦略室を立ち上げ、イラク侵攻を決定事項にして情報収集をしているというもの。イラクへの攻撃を正当化させるために、アラブの専門家の話は聞き入れず、自分たちに都合のいいイスラエルの情報ばかりを集めているという。

さらに戦略室では、イラクの亡命者によるイラク国民会議を結成し、次期大統領候補も擁立していた。それを指揮しているのはラムズフェルド国防長官だという。ジョナサンたちは情報機関の職員から、政府がイラクの核兵器を躍起になって探していることを取材した。

映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』のあらすじ【転】

ウォーレンが大量破壊兵器の根拠はないという記事を執筆している頃、NYタイムズ紙は「フセインが核兵器製造か」という見出しの記事を一面に掲載する。テレビでは政府関係者が出演し、イラクへの侵攻を示唆。イラクに核兵器を作る技術などないと裏を取っていたリッダーの記者たちは、自分たちの記事が正しいと確信していた。独自の人脈で取材していたギャロウェイは、政府側から警告を受ける。

ブッシュ大統領はイラクへの武装解除を唱え続け、議会にイラク侵攻の許可を求めた。副大統領もイラクが核を保有していると発言する。その後、軍事力行使を求める議会の投票が行われ、一部を除いた多くの議員は賛成票を投じ、開戦への準備が着々と整い始めた。

そんなある日、国防総省の戦略室に関する記事を他社が掲載する。その内容は政府寄りであったものの、戦略室に関する記事を他社に抜かれたことに、ウォルコット編集長は不満を露わにした。ギャロウェイは政府高官から、1999年にイラクがビン・ラディンを匿ったとラムズフェルドが伝えたのは、嘘であったと聞き出した。

ジョナサン一家とウォーレン夫妻はパーティを開催する。ウォーレンの父とリサの父はイラクの大量破壊兵器所持を信じており、ナイト・リッダー社の姿勢を否定する。彼らと揉めたくないウォーレンは、悔しい思いでその場を離れた。

映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』の結末・ラスト(ネタバレ)

2003年の一般教書演説で、ブッシュはイラクに武装解除を求める最終通告を発表。NYタイムズ社はイラク新政府を樹立する記事を伝えた。編集長は自分たちの記事を使わない新聞社に対し、不満を募らせる。慎重派のパウエル国務長官だけが最後の砦であったが、彼も賛成派へ転じ、開戦が不可避となった。戦争が現実味を帯びてくると、反対派のデモが世界各地で始まった。

ジョナサンたちはイラク国民会議を訪れ、次期大統領候補とされるチャラビーを取材する。彼はイラクが大量破壊兵器を隠していると断言するが、その情報に根拠はなかった。彼はフセインに関する偽情報を流していた張本人の一人だったのである。チャラビーはフセインを抹殺し、イラクを民主主義国家にしたいと主張するが、ジョナサンはフセインを抹殺すれば内戦となるだけだと反論した。

パウエル国務長官は国連安保理で、イラクに大量破壊兵器はあると断言する。その後、安保理の満場一致で開戦が決定。アダムはイラク出兵を両親に報告する。そして開戦から6週間後、ブッシュが太平洋上で勝利宣言をする頃、イラクに到着したばかりのアダムは爆撃を受けて負傷した。

場面は変わり、ナイト・リッダー社の編集部と車椅子のアダムが初対面するシーンで幕を閉じる。テロップでは、彼らの記事こそが真実だったと伝えた。イラク人死傷者は100万人を上回る一方で、イラクにあるとされた大量破壊兵器は、いまだ一つも見つかっていないという。

映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』の感想・評価・レビュー

ブッシュ大統領はイラクが大量破壊兵器を保有していると主張し、大手メディアもそのまま伝える中、記事配信会社のナイト・リッダー社だけが保有説を否定し、真相に迫る記事を書いていた、という実話に基づいた映画。ロブ・ライナー監督は編集長も演じている。

編集長と記者2人、若い兵士の計4人の物語を織り交ぜながら、アメリカがイラクとの戦争に至った経緯を描いている。この手の映画としては珍しく、90分というコンパクトさ。記者の2人が親しみやすいウディ・ハレルソンとジェームズ・マースデンなので、見る側も気負わず見ることができるだろう。内容に関しても、噛み砕いた言葉で説明してくれているので、比較的分かりやすい。

ただ、この先が知りたいのに!という手前で終わるのが残念。本を読まずに当時を知りたい、忙しいので手短に知りたい、そんな人におすすめだ。(MIHOシネマ編集部)


こういう実話を基にした作品は、細かい部分まで描きすぎて大切な内容が分かりづらくなってしまったり、作中のセリフが難しいなど、少し抵抗がある人も少なくないのではないかなと思いますが、今作はそんな人にこそ見て欲しい作品です。
物凄くわかりやすいストーリーなのに、コンパクトにまとめられていて、実話を簡潔に知れるのがとても良かったです。
真実を追う記者の姿は、恐れを知らないというか、無我夢中なので非常に迫力がありました。(女性 30代)


9.11テロからイラク戦争に至るまでの真実を、実際の映像や情報を用いて暴いています。大量破壊兵器など保持していないのに、イラクへ侵攻するために保持していることにした。真実を伝えること、知ることはこんなに難しいものでしょうか。テレビやネットの情報に漠然と踊らされることは、非常に危険だと感じます。一人一人が疑問を持ったり、じっくり考えていくことが重要なのでしょう。監督であり、編集長役を熱演したロブ・ライナーの信念が十二分に伝わりました。(女性 30代)

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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