映画『潔く柔く きよくやわく』の概要:2013年公開の日本映画。原作は日本人漫画家のいくえみ陵の同名タイトルで、高校時代に幼馴染を交通事故で亡くしたヒロインと小学生の時に遠足で友人を交通事故で亡くした編集者との恋愛模様を描いている。
映画『潔く柔く きよくやわく』 作品情報
- 製作年:2013年
- 上映時間:126分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
- 監督:新城毅彦
- キャスト:長澤まさみ、岡田将生、波瑠、中村蒼 etc
映画『潔く柔く きよくやわく』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
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映画『潔く柔く きよくやわく』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『潔く柔く きよくやわく』のあらすじを紹介します。
高校1年の時、カンナ(長澤まさみ)は同じ団地に暮らす幼馴染の春田(高良健吾)と何となく思いが通じ合っていた。
しかし関係がはっきりしないまま、春田は交通事故で突然死んでしまう。
8年が経ち、メロンワークスという宣広報会社で働いているカンナ。
ある日いつものバーで友人のモモカと飲んでいると、赤沢禄(岡田将生)という酔っ払いの常連に絡まれてしまった。
翌日のこと。
新作映画の売り込みで編集会社を訪れたところ、今までの担当が異動し代わりに席にいたのが赤沢だった。
第一印象が最悪な上、優しい言葉をかけられない赤沢にカンナは嫌悪感を募らせる。
しかし仕事上メールアドレスを交換し少しずつメールで会話をし始める二人は、徐々に距離を縮め始めた。
ある日モモカと先に飲み仲間になった赤沢は、カンナの高校時代の過去を聞いた。
その後一緒に映画に行くことになった赤沢はカンナに高校時代の話を聞く。
しかしカンナはうまく交わすのだった。
実は赤沢にも友人を事故で亡くした過去があった。
罪悪感を抱えながら生きていく事を知っている赤沢は、カンナの気丈さと弱さがほっておけなくなる。
そして風邪を引いた赤沢は、見舞いに来たカンナに付き合わないかと聞く。
そして自分のために、カンナのために過去と向き合うため一緒に過去巡りの旅に出ることにする。
映画『潔く柔く きよくやわく』 結末・ラスト(ネタバレ)
カンナは事故で亡くした幼馴染の春田の家へ。
春田の父親は再婚して息子がいるという。
家の前で春田の弟に出会うカンナは、顔が似ていないことにほっとした。
そして自分の住んでいた団地、春田と歩いた坂道、学校と納得するまで向き合えた。
一方で赤沢には、自分のことを好きだった少女を遠足の時に疎ましいと突き飛ばし事故に合わせてしまうという過去があった。
彼は彼女の姉とその子供にあい、自らの罪悪感と向き合うのだった。
お互いの存在の大切さを実感した二人。
心の底からの告白をし、付き合うことにする。
映画『潔く柔く きよくやわく』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『潔く柔く きよくやわく』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
純粋で優しい映画
漫画が原作と言うと、何となく犬猿しがちな人も多いのではないだろうか。
しかし本作品は映画としてもきちんと仕上がっている良質な作品である。
映画全体を通して言えることは純粋がキーワードであるということ。
主人公始め、登場人物全員心が素直であまりひねくれてとらない。
見ている側の方がいつヒロインに不幸な話が舞い込んでしまうのでは?とひやひやしてしまうほど。
だがそんな事態は来ず、安心して最後まで見ることが出来る。
そして見終わったあとは、初恋をしたかのような優しい空気を味わうことが出来る作品だ。
岡田将生のイメチェン
顔立ちが綺麗でフェミニンなイメージのある彼は、なよっとしていて好きではなかった。
演技も役所も見る前から想像できたし、大体の通りで面白味に欠けると思っていたからである。
しかし本作品を見てとても良い演技をする俳優だと思った。
この赤沢は、ぶっきらぼうで失礼なのに心には傷をおっていて払いのけているように見えるのにきちんと受け入れているという役。
その色んな面を兼ね揃えているのに、赤沢もまたピュアである。
どんなことをしてもピュアでいさせるというのは難しいことであるが、その難しさもまた魅力となり演じあげているのだ。
長澤まさみの魅力
この映画は彼女の良さを最大限に引き出している。
透明感や穏やかさ、ピュアさが抜群に良い。
また前半部分で観ることができる彼女の制服姿も「世界の中心で愛を叫ぶ」を彷彿させるような新鮮さがある。
年齢的にもこれが見納めである可能性は高いが、彼女の魅力全開の映画になっている。
自分が友人を殺してしまった。と深い傷と罪悪感を持つ二人は周りには明るくも過去を知っていると悲しい笑顔に見えてしまう。お互いが似た境遇だからこそ、一人で抱え込まずに助け合える仲が仕事上の関係から恋愛にまで発展していくのは尊かった。
家族が亡くなって辛いのに禄に負い目を感じさせないよう、家族に昔みたいに笑ってもらうよう一人で元気に振る舞っていた愛美の心情がとても苦しかった。
過去のこともあり、難ありの恋愛っぽい友人関係を最後打開するカンナと禄の成長ぶりには心を打たれた。(男性 20代)
幼い頃に身近な人を事故でなくした二人が出会い、それぞれの過去に向き合いながら、お互いが大切な存在になっていく、穏やかで純粋なラブストーリー。
少女マンガが原作ということで、思春期の感情の起伏の激しい恋愛作品をイメージしていましたが、この作品は全く違いました。それぞれの辛い過去と向き合い、少しずつ距離が縮まる大人の恋愛作品で、穏やかな気持ちで観ることができました。
主演の二人の演技力や丁寧な演出で、感情を丁寧に描かれていて、マンガ原作ものの期待値を上回る作品でした。(女性 20代)
嫌な気持ちになること無く、最後まで見られる作品でした。主人公が苦しい思いをしたり、不幸が続くばかりの作品が苦手な私にとって、友人を亡くした罪悪感を抱えながら生きている赤沢とカンナの立ち位置に、ヒヤヒヤしながら見ていました。
しかし、今作のメインとして描かれているのは二人が過去を受け止め、前を向いて行く様子なので胸が苦しくなるような展開は無く、とにかく純粋な気持ちで見ることが出来ました。
過去を乗り越えた二人の愛はきっと本物だろうと感じさせてくれます。(女性 30代)
罪悪感に苛まれてばかりいると、過去に引きずられて今がおざなりになってしまいます。罪悪感から逃れることも、恐らく難しいでしょう。苦しみはそのままで、今できることをするのが最善なんだと思います。また、似たような痛みを持つ者同士だからこそ、傷を癒やし合えるのかもしれません。いくえみ綾のコミックス13巻分が、ぎゅっと凝縮されています。エンディングで流れる斉藤和義の歌声は作風によく合い、胸にじんわり沁み入りました。(女性 30代)
映画『潔く柔く きよくやわく』 まとめ
見て良かったというのが最初の感想。
見た後に映画ってやはり良いものであると実感させてくれる。
長澤まさみはようやく当たり役に辺り始めた。
今までは注目はされるものの、何となく彼女らしさが出ず評価がそれほどではなかった気がする。
しかしここにきてグッと魅力をだしきれる作品に出会っている。
ある意味遅咲きだと思われる長澤まさみはこんなにも良い女優だったのかと思い知らされるできとなっている1本だ。
そして何より物語の引き込まれる度が凄い。
飽きさせず、それでいて感動どころもおさえる技は見事。
少々やりすぎだと思わせるエピソードもあるにはあるが、原作が漫画だということで納得できなくもない。
そこがまた1つの魅力である。
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