この記事では、映画『こどもしょくどう』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『こどもしょくどう』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『こどもしょくどう』の作品情報

上映時間:93分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:日向寺太郎
キャスト:藤本哉汰、鈴木梨央、浅川蓮、古川凛 etc
映画『こどもしょくどう』の登場人物(キャスト)
- 高野ユウト(藤本哉汰)
- 小さな食堂を営む両親と、幼い妹の4人家族で幸せに暮らしている小学5年生。親の言いつけで幼なじみのタカシの面倒をみているが、救えない自分に葛藤している。
- 木下ミチル(鈴木梨央)
- 母親と生き別れになり、幼い妹・ヒカルと父親と一緒に車上生活をしている。小学校にも行けず、父親に万引きをさせられる酷い生活の中でユウト・タカシと出会う。
- 大山タカシ(浅川蓮)
- ユウトの幼なじみ。母親と二人暮らしをしていたが、男遊びに夢中なため育児放棄されてしまっている。ユウトの母親の配慮で、よく食事を振る舞ってもらう。
映画『こどもしょくどう』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『こどもしょくどう』のあらすじ【起】
晴天の下、少年野球チームが元気に試合をしている。しかしタカシは声を出すのが苦手だった。「貧困」とチームメイトにいじめられているタカシ。唯一味方してくれる、ユウトは無理していないかタカシを心配して声をかける。
ユウトの両親は小さな食堂を営んでいる。育児放棄状態であるタカシの家庭を心配し、野球の練習後は自宅へ連れてくるようにユウトに伝えていた。
ユウトには妹・ミサがいる。兄弟喧嘩をする相手もいないタカシは、二人の些細な喧嘩をただ静かに聞いていた。
ミサと散歩していたユウトは、橋の下によく停まっている白いワゴン車が気になっていた。そこには、ミチル・ヒカルという幼い姉妹とその父親が車上生活をしていた。
タカシの家で遊んでいたユウトたち。じゃんけんに負けたユウトは4人分のお菓子を買い出しすることになる。店でわくわくしながら買い物をするユウトは、ミチルがそわそわと周りを見渡していることに気付く。
ミチルが万引きをする瞬間を見てしまったユウト。ミチルはそのまま店の奥へと連れていかれた。
映画『こどもしょくどう』のあらすじ【承】
店主の妻の配慮で警察沙汰にはならずに済んだミチル。しかし、ミチルの戻りが遅くなったことで、父親はヒカルを車から降ろし一人逃げてしまった。
野球の練習帰り、ユウトとタカシは橋の下で一人泣いているヒカルを見かける。心配になり声をかけたユウト。「おねえちゃんがいなくなった」というヒカルに寄り添っていたところへミチルが戻ってきた。
万引きをしていたミチルの姿を思い出したユウト。その日から、タカシやミサを連れてミチルたちの様子を見に行く。夕食のおかずを多めにもらい、パックに詰めたユウト。両親に隠れてミチルたちの様子を見に行くが、声をかける勇気が出ないユウトはタカシに声をかけさせた。
その日から、少しずつ食べ物を分けに行くユウト。ある日、ミチルたちが暮らしていたワゴン車は高校生のおもちゃにされてしまう。どうすることもできず佇むミチル。そこへ戻ってきた父親は、ミチルたちに声をかけることもなく失踪した。
ユウトは勇気を出して「ご飯を食べられる場所ならあるよ」とミチルたちに声をかけた。
映画『こどもしょくどう』のあらすじ【転】
ミチルとヒカルを自宅へ連れていったユウト。母親は姉妹の様子を見て酷く心配する。名前だけはかろうじて答えられるものの、学校名を聞いても近場の小学校ではなかった。終始うつむくミチルは何も答えようとはしなかった。
ワゴン車まで送り届けたユウトにお礼を言うミチル。その晩は大雨で、眠れなくなったミチルは「お母さん」と叫びながら雨の中泣き続けた。
翌日、思い詰めた様子のミチルはヒカルに「死んじゃおっか」と呟く。泣いて反対するヒカルの様子を見て思い直したミチル。練習試合の帰りにユウトが声をかけ、その日も夕食を振る舞ってもらうことになったがミチルの表情は浮かない。
ユウトの母親はミチルの様子を見てすぐに初潮を迎えたと気づく。泊まっていくように母親は話をするが、「父が帰ってくるかもしれないから」とワゴン車に帰って行った。
ユウトの両親はミチルとヒカルへの対応に揉めていた。父親は様子を見るべきだと言うが、母親は早く行動に移したいと申し出る。ミサはヒカルから聞いた遠くのホテルに居るという母親の話をするが「子供の話だろ?」と一蹴されてしまう。
映画『こどもしょくどう』の結末・ラスト(ネタバレ)
タカシは姉妹の様子をこっそりと見に行っていた。そのまま眠ってしまったタカシを通学中のユウトは見かけた。タカシはヒカルがよく話す「虹の雲」を探しに行こうと提案する。
母親と最後の思い出となった海に行きたいとねだるヒカル。「虹の雲」を再び見られたら、幸せな日々が戻ってくると思っていたのだ。
ユウトとタカシは姉妹と一緒に「虹の雲」を探すことにする。しかし町中では見つかるはずもない。ワゴン車に戻ろうとすると、高校生たちが石や鉄パイプ使って車を破壊して遊んでいた。立ちすくむミチルたち。ユウトは、食堂へと二人を連れて帰った。
母親はユウトが学校を無断欠席したことを怒っていた。三度食堂を頼ることになったミチルたちに「親戚や頼れる人は?」と質問攻めにする母親。大人の矛盾に対してユウトは怒りを示す。
その日、ミチルとヒカル、タカシはユウトの家に泊まることになった。夜中、ミチルとヒカルへの対応で再び揉める両親の声が聞こえ、ミチルとユウトは寝付くことができなかった。
翌朝、ヒカルは「虹の雲」を探したいとねだる。なだめるミチルだが、ユウトは食堂の売り上げを持って母親と過ごしたホテルに行こうと提案する。
電車を乗り継ぎホテルにたどり着いたが、当然ミチルたちの両親の姿はない。母親に教わった歌を口ずさみながら泣いたミチル。5人は再び橋の下に戻るしかなかった。
ワゴン車の近くには多くのパトカーが停まっていた。事情を聴き、警察官はミチルとヒカルをすぐに保護する。施設へと向かう車に乗り込んだミチルとヒカル。車を追いかけようとするユウトの姿を見つめていたミチルの目には「虹の雲」がはっきりと見えていた。
その後、ユウトの両親は親に見放された子供たちに無料で食事を振る舞う「こどもしょくどう」を開始するのだった。
映画『こどもしょくどう』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
子供目線で社会問題を切り抜いた一作である。大人であればいくつかの解決策は浮かぶが、子供ましてや小学生ではどうも厳しい現実を打開することはできない。しかしユウトを始めタカシは姉妹のためにできることを尽くしていた。物語の中の行動が正しいとは言い難いが、姉妹を同志のように大切にするタカシの言動の変化には一番驚いた。足立紳が脚本に参加していると知り、納得の仕上がりではある。(MIHOシネマ編集部)
この映画は「貧困」や「家庭の事情」といった重いテーマを、子どもの目線から優しく描いていて心に残りました。特に、まもるとその弟が行き場をなくして「しょくどう」に助けられる場面では胸が締めつけられます。子どもたちが食卓を囲み、笑顔を取り戻すシーンが、当たり前の幸せの尊さを教えてくれました。現代社会の課題を静かに訴える名作です。(40代 女性)
「こどもしょくどう」というタイトルから温かい話を想像していましたが、実際は社会の厳しい現実を突きつける作品でした。特に、貧困やネグレクトの描写がリアルで、心が痛みました。しかし、ラストで地域の大人たちが手を差し伸べる場面には希望があり、涙が出ました。食卓の力、そして“居場所”の大切さを改めて感じる作品です。(30代 男性)
子どもたちが抱える問題を、説教臭くなく丁寧に描いていて好感が持てました。しょくどうを営む家族が、他人の子どもにも手を差し伸べる姿に深い優しさを感じました。ラストでまもるが「ここにいてもいい?」とつぶやくシーンには涙腺が崩壊。現代の日本で“居場所”を失う子どもたちに対する社会の目線を考えさせられました。(20代 女性)
とても静かな映画ですが、見終わった後の余韻が深い。派手な演出はないのに、登場人物の表情や間で感情が伝わってきます。特に、子ども同士の関係がリアルで、ぎこちなさや不器用さが本物の子どもらしさを感じさせました。食堂を通じて繋がる“人の絆”の力を信じたくなる、優しくも社会的な作品です。(50代 男性)
「食べる」ということが、単なる生きるための行為ではなく「人と人をつなぐ」ものだと感じさせられました。こどもしょくどうに集まる子どもたちは皆、何かしらの孤独を抱えています。その孤独を“ごはん”が癒やしていく姿が美しかった。涙を誘う作品ではあるけれど、最後には温かい希望が残ります。(30代 女性)
まもるとその弟が家に帰れず夜をさまようシーンが心に残りました。現実にこうした子どもがいると思うと胸が痛みます。しかし、しょくどうの大人たちが彼らを受け入れる描写には救いがありました。小さな一歩でも、人が人を助けることが世界を変えると感じました。社会問題を優しく描いた傑作です。(60代 男性)
子どもたちの純粋さと、大人の無関心さの対比が見事でした。まもるの「家に帰りたくない」という言葉が突き刺さります。社会的テーマを扱いながらも、押しつけがましくなく、あくまで“人の優しさ”を中心に描いているのが素晴らしい。地味だけど、確実に心に残る映画です。(20代 男性)
こどもしょくどうの温かい光の中で、傷ついた子どもたちが少しずつ笑顔を取り戻していく。その姿が本当に尊い。現代の日本の「見えない貧困」を映し出しながらも、希望を捨てない描写が印象的でした。ラストの夕焼けのシーンは、涙なしには見られません。静かで力強い社会派ドラマです。(40代 女性)
社会的なメッセージを含みつつも、説教っぽくならずに“日常の中の奇跡”を描いている点が素晴らしい。登場する大人たちが完璧ではないのに、みんなが誰かを思いやろうとしている。そんな小さな優しさの積み重ねが、現実にこそ必要なんだと感じました。観た後に心がじんわり温かくなる作品です。(30代 男性)
映画『こどもしょくどう』を見た人におすすめの映画5選
万引き家族
この映画を一言で表すと?
「血のつながり」よりも「心のつながり」を問う、現代日本の家族の形を描いた社会派ドラマ。
どんな話?
貧困にあえぐ家族が、万引きをしながらも支え合って生きる日々。ある日、寒さに震える少女を見つけて家に連れて帰るが、その選択が彼らの運命を大きく変える。家族とは何か、愛とは何かを静かに問いかける感動の物語。是枝裕和監督による衝撃作。
ここがおすすめ!
『こどもしょくどう』と同じく、社会の“見えない貧困”をリアルに描きながらも、そこに確かに存在する人の温もりを見せてくれる。リリー・フランキーと安藤サクラの自然体な演技が圧巻。静けさの中に宿る人間ドラマが心を揺さぶります。
誰も知らない
この映画を一言で表すと?
現実の事件をもとにした、子どもたちだけで生きる“孤独と希望”の記録。
どんな話?
母親に置き去りにされた4人の子どもたちが、誰にも知られずにアパートで生き抜いていく。長男の明が、幼い弟妹を守ろうと懸命に生きる姿が胸を打つ。社会の無関心さと、子どもたちの健気な生き方が対照的に描かれる。
ここがおすすめ!
『こどもしょくどう』のように、子どもたちの目線から社会問題を描いた作品。淡々とした演出ながら、その現実感と痛みは圧倒的。柳楽優弥のデビュー作にして最高傑作ともいえる演技が、心に深く刻まれます。
カラオケ行こ!
この映画を一言で表すと?
“怖い人”と“まじめな少年”の奇妙な友情が生む、笑いと感動の青春ドラマ。
どんな話?
暴力団員と中学生の合唱部員が、カラオケを通して交流を深める物語。まるで交わるはずのない二人が、歌をきっかけに心を通わせていく過程がユーモラスに、そして温かく描かれる。小さな優しさが人を変えていく様子が心地よい。
ここがおすすめ!
一見“異質な組み合わせ”の中に、人と人とのつながりの美しさが見える。『こどもしょくどう』のように、世代や立場を越えた人間の絆を描く良作。笑って泣けるストーリーで、見終わった後は心が温まります。
しあわせのパン
この映画を一言で表すと?
北海道の小さなパンカフェが紡ぐ、人と人の癒しの物語。
どんな話?
北海道・月浦にあるパンカフェ「マーニ」に訪れる人々の心の再生を描く。パン職人の水縞と妻のりえが、温かい食卓で訪問者たちを迎え、人生の悩みや痛みを少しずつ癒していく。食と人の関係を丁寧に綴ったヒューマンドラマ。
ここがおすすめ!
『こどもしょくどう』の“食を通じた癒し”というテーマを、より柔らかく描いた作品。美しい風景と香ばしいパンの描写が五感を刺激する。ゆったりと流れる時間の中で、人の優しさと再生を感じられる、心にしみる一本。
ホームレス中学生
この映画を一言で表すと?
「家族を失った少年が、自分の生きる意味を探す実話ドラマ。」
どんな話?
ある日突然、父親の言葉で家族が離散。家を失った中学生が、公園で暮らしながらも懸命に生きる。友情、恥ずかしさ、孤独――すべてを経験しながら、少年は“生きること”の意味を見つけていく。麒麟・田村裕の実話を映画化した感動作。
ここがおすすめ!
『こどもしょくどう』のように、子どもが社会の中で生き抜く姿をリアルに描いている。過酷な現実の中にも笑いや希望があり、人の温かさが光る。観終わった後、「生きるってすごい」と思わせてくれる心動かす作品です。






みんなの感想・レビュー