映画『恋におちて』の概要:小さな偶然が重なり出会った男女が、互いに既婚者でありながらどうしようもなく惹かれあい、愛し合うようになる。ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープが大人の純愛を熱演した。1984年公開のアメリカ映画。
映画『恋におちて』 作品情報
- 製作年:1984年
- 上映時間:106分
- ジャンル:ラブストーリー
- 監督:ウール・グロスバード
- キャスト:ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ、ハーヴェイ・カイテル、ダイアン・ウィースト etc
映画『恋におちて』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『恋におちて』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『恋におちて』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『恋におちて』 あらすじ【起・承】
クリスマス・イブのマンハッタンの街は多くの人で賑わっていた。フリーのイラストレーターをしているモリー(メリル・ストリープ)と建築家のフランク(ロバート・デ・ニーロ)は、家族へのプレゼントを買うため書店に入る。モリーは夫にヨットの本を、フランクは妻にガーデニングの本を買ったのだが、フランクが荷物を落としたことで、2人は間違えて相手の本を持ち帰ってしまう。クリスマスの朝それに気づいた2人は、相手のことが何となく心に引っかかる。
3ヶ月後、2人は電車で再会し言葉を交わす。2人の自宅は郊外にあり、モリーは大学病院に入院している父親を見舞うため、フランクはビルの建設現場へ通うため同じ路線の電車を利用していた。再び電車で会った2人は、約束して会うようになる。
フランクには6歳と5歳の息子がおり、子供ができてから妻は現実的な母親となっていた。モリーは2年前に先天性の疾患で生まれたばかりの子供を亡くし、医者の夫とうまくいかなくなっていた。それでも浮気など考えたこともなかったが、2人は互いにどうしようもなく惹かれあっていく。
父の容態が悪化し、動揺したモリーはついフランクを頼ってしまう。これ以上深入りすることは罪だとわかっていながら気持ちを抑えることができず、フランクはモリーに“愛している”と言ってしまう。そして2人は初めてキスをする。
2人はフランクの友人のアパートで愛し合おうとするが、モリーはどうしても一線が越えられない。その日、家に帰ったモリーは夫から父の訃報を聞く。
映画『恋におちて』 結末・ラスト(ネタバレ)
父が亡くなり、モリーは体調を崩して寝込んでいた。夫はモリーの不調が父親の死のせいだと思っていたが、原因はフランクだった。モリーはフランクだけを愛していることに苦しんでいた。
フランクもまたモリーへの想いに苦しみ、ずっと会社から打診されていたヒューストンへの転勤を決める。妻は夫の変化に気づいており、フランクを問い詰める。フランクはついにモリーのことを打ち明け、妻は子供を連れて実家へ帰ってしまう。
フランクがヒューストンへ旅立つ日が来た。フランクはあの日以来会っていないモリーにどうしても一目会いたくなり、彼女の自宅へ電話をかける。モリーはフランクに会うため大雨の中猛スピードで車を走らせるが、急ブレーキをかけたことで車がエンストしてしまう。何も知らないフランクは再びモリーの家に電話してしまい、“妻は話したくないそうだ”という夫の言葉を信じてしまう。
クリスマス・イブの日。ニューヨークに戻っていたフランクはモリーと初めて出会った書店に入る。そこでモリーと再会する。モリーは夫と別れ、フランクも妻と別居中だったが、2人はそれを口に出せないまま別れてしまう。
しかしフランクは考え直し、モリーの後を追う。電車に乗ったモリーは乗客をかき分けてこちらにやってくるフランクを見つける。そして2人は強く抱き合う。
映画『恋におちて』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『恋におちて』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
不倫だが純愛
不倫ものと聞くと、どうしてもドロドロとした肉欲の世界を想像しがちだが、本作には下世話ないやらしさが全くない。フランクとモリーの愛はとても純粋で、不倫の匂いがしない。むしろ何とか結ばれて欲しいと願ってしまうほど、2人の愛はまっすぐだ。
フランクが妻にモリーのことを打ち明けた時“何もなかった”“何もしていない”と言う。それを聞いた妻は“その方がもっと悪い”と言って、フランクを平手打ちする。この脚本と演出は非常にうまい。性欲だけの浮気は浮気で終わらせることが可能だろうが、何もせずに相手を想っているのは浮気ではなく本気だ。気持ちを持っていかれている。妻としてはこれが一番傷つくし、手の施しようがない。
遊びではないからモリーは一線を越えられなかったのだし、フランクも強引に奪えなかった。そういう恋愛はずっと尾を引く。“いっそ寝てしまえばよかった”というモリーのセリフにはリアリティがある。妻や夫がこんな人とめぐり会ってしまったら、残念だがあきらめるしかない。
うっとりできるラブストーリー
やはりラブストーリーというのは、一緒になってキュンキュンできてなんぼである。しかしこれが簡単そうで難しい。特に年齢を重ねて経験値が増えてくると、少々のことではときめかない。ありがちな恋愛映画はたいてい冷ややかな目で見てしまう。設定が妙にキザだったり、キャストの演技が大げさだったり…一言で言うとサムイやつ。その不自然さが本作にはないので、無理なく感情移入できる。
そうなれるのは脚本や演出のうまさもあるが、主演のロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープのキャスティングが何よりも大きい。セリフにはない細かい心理を2人は表情や仕草で繊細に表現してくれる。例えば、ここは見つめ合う、ここは目をそらすといった動作にいちいち説得力があり、心の琴線を刺激される。そうなるともう“うっとり”見入ってしまう。こういうラブストーリーならいくらでも見たい。
お互いにパートナーがいても、頭の中ではダメだと分かっていても、止められない愛って本当にあるのかもしれないなと感じる作品でした。
不倫はもちろんいけないことだし、絶対にしたくないし、されたくないと思っています。しかし、そんなこと誰しもがわかっているんですよね。
今作で描かれていた2人の愛は、不倫なのに純粋でもどかしくて「真実」を感じてしまいました。
必ず誰かが傷付きます。それを分かっていても止められない愛は真実なのか、気の迷いなのか改めて考えさせられました。(女性 30代)
映画『恋におちて』 まとめ
80年代に大ブームとなった連続ドラマ「金妻シリーズ」のパートⅢはこの「恋におちて」に強い影響を受けている。実際にドラマの中でこの映画を見るシーンがあるし、脚本や演出の中にも多くの類似点がある。それはもう笑ってしまうほどに。本作が気に入った人はこちらのドラマも見てみるといい。いろいろと楽しめるはずだ。
全てを捨てる覚悟で愛を貫くフランクとモリーのような不倫であれば、私は認める。愛する気持ちばかりはしょうがない。とにかく本作は完成度の高い恋愛映画であり、大人を満足させてくれる。しかし既婚者は変に影響を受けてこんな恋に憧れたりしないよう気をつけてほしい。現実は映画のように甘くないので。
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