映画『孤高のメス』の概要:2010年公開の日本映画。堤真一主演による医療ヒューマンドラマで、原作は大鐘稔彦のベストセラー小説である。医療に従事する医者たちを主役に、臓器移植や医療問題を提起した話題作。
映画『孤高のメス』 作品情報
- 製作年:2010年
- 上映時間:126分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
- 監督:成島出
- キャスト:堤真一、夏川結衣、吉沢悠、中越典子 etc
映画『孤高のメス』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『孤高のメス』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『孤高のメス』のあらすじを紹介します。
ある青年の母が亡くなった。
彼は遺品から母の日記を見つけ、それを読んだ。
彼の母親は看護師であった。
母子家庭で息子を育てる中村(夏川結衣)は、さざなみ病院の手術室勤務を担当していた。
しかしこの病院の医者は口ばかりのダメな医者が多く、大きな手術や怪我は京葉医大に運ぶことになっている。
そこに当麻(堤真一)という医者がやってくる。
力のない病院にアメリカ帰りの当麻が必要であると呼ばれたのだった。
彼は第二外科部長となる。
ある日運ばれてきた病人。
所見から大病だと判断された患者は、京葉医大に運ばれることになる。
しかし医大までは1時間。
その間に何かあってはと当麻は自ら担当する。
そして見事なメス裁きを見せた当麻に中村は感心した。
別の日、市長が肝硬変で運ばれてきた。
容体も悪く肝臓を移植しないと助からない。
そこに交通事故で運ばれてきた脳挫傷の少年がいた。
彼は意識を取り戻す見込みは無いと聞いた母親は、臓器提供を申し出る。
しかし生体肝移植は日本では認められていない。
当麻は患者を助けたい一心で自分が責任を取るから自分に手術をさせてくれと頼み込んだ。
映画『孤高のメス』 結末・ラスト(ネタバレ)
当麻は見事な手術で肝移植を成功させる。
だれもがこの神業に感動した。
その後当麻は病院を去ることになる。
中村は当麻が好きだった都はるみを自分も好きだと当麻に言う。
中村看護師の日記はここまで。
彼女の息子は医師になり地方の病院へ赴任することに。
院長不在だったため部屋で待たされている時に気が付く。
都はるみのカセットとさざなみ病院の集合写真が飾られているのを。
映画『孤高のメス』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『孤高のメス』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
医療社会問題作品
現代が抱える医療問題を提起した作品で、原作自体がベストセラーになったことで有名である。
日本ではまだ許されていない生体肝移植、その難しさは一般人には到底理解できないし認識もされていない。
しかし敢えてこの映画で取り上げることで、そんな問題があるのだということもわかったし医療の問題が身近に感じることが出来た。
また堤真一が演じることで「白い巨塔」のような手の届かない世界というイメージも払拭され見やすい作品となっている。
堤真一の才能
どの役柄を演じさせて見ても見事にはまり、役になりきることに突出している俳優堤真一。
その演技力には引き込まれずにはいられない。
医者の役というのは観たことがないように思うが、さすがのものである。
何の違和感もなく医者として見せてくれるから不思議だ。
最後に思わせる温かいラスト
この物語は青年の母である中村看護師の日記を読んでいる。
その中に出てくる当麻という医師に、恋をしていた母。
それは当麻が好きだった都はるみを自分も好きだと言ったセリフからもわかる。
きっと中村は当麻を人として、男性として好きだと言ったのではないだろうか。
そして息子も成長し医師になる。
赴任した病院の院長室で院長を待つとき、その院長が当麻であることを予想させる温かいラストに心がほっこりした。
何が正しいの分からない医療の世界。患者を助けることが何よりも正しいと思っていましたが、例え助けられる状況が揃っていても、その方法が認められていないものだったら何も出来ないという現実にもどかしさを感じました。
堤真一演じる当麻の医師としての責任感や決断力、技術の正確さが素晴らしくこんな医師に出会えたら、多くの命が救われるだろうと希望を感じられました。
想像以上に分かりやすいストーリーだったので、医療系の作品が苦手な方にも見やすくなっていると思います。(女性 30代)
映画『孤高のメス』 まとめ
医療問題を扱った映画というのはあるようで意外と無い。
特にこれだけメジャーな俳優をキャスティングしていながら、何故かあまり知名度が無いのだ。
移植や脳死といったデリケートな問題は身近なようで遠いという印象を受ける。
いつ自分や家族に起こってもおかしくない体のこと。
それをスリリングかつ丁寧に描くことで、一般人に理解しがたい状況をドラマの中でも整理して受け止めることが出来た。
これは脚本や演出の良さであるだろう。
元々当麻は真面目で寡黙なキャラクター。
そこに原作にはないオリジナルのコミカルなキャラクターを追加したために、映画として深みのあるものに仕上がった。
バックグラウンドを追加することで作品に面白みも付け足されたのも好感が持てる。
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