この記事では、映画『哭声/コクソン』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『哭声/コクソン』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『哭声/コクソン』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2016年 |
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上映時間 | 156分 |
ジャンル | サスペンス ミステリー ホラー |
監督 | ナ・ホンジン |
キャスト | クァク・ドウォン ファン・ジョンミン 國村隼 チョン・ウヒ |
製作国 | 韓国 |
映画『哭声/コクソン』の登場人物(キャスト)
- ジョング(クァク・ドウォン)
- 妻と娘とごく普通の生活を送る警察官。村で起きた村人惨殺事件をきっかけに、言葉では説明のつかないようなオカルトじみた事件へと巻き込まれることとなる。
- 謎の日本人(國村隼)
- 犬と共に山奥でひっそりと暮らす日本人。誰とも関わろうとしないためか身元に謎が多く、また非常に無口。彼が村に現れた頃から事件が起きるようになったために彼が犯人なのではないかと疑われているが……。
- ヒョジン(キム・ファニ)
- ジョングの娘。父にはどこかぶっきらぼうな態度を取ることもあるが、しっかり者で優しい性格。ジョングが日本人の男と接触してから、その身体と精神に異変が起き始める。
- イルグァン(ファン・ジョンミン)
- 娘に起きた異変を治すためにジョングが呼んだ、高名な祈祷師。高い霊力を持つ。
- ムミョン(ファン・ジョンミン)
- 奇妙な挙動と言動が目立つ、若い女性。事件の目撃者で、ジョングには「事件の犯人は悪霊。悪霊の正体は、山に住む日本人の男だ」と伝える。
- ソンボク(ソン・カングク)
- ジョングの後輩警察官。ジョングに何かと協力してくれる。
- イサム(キム・ドユン)
- ジョングの同僚の甥っ子で、神父の見習い。日本語の通訳ができるために日本人の男との接触の際、ジョングたちと同行することに。
映画『哭声/コクソン』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『哭声/コクソン』のあらすじ【起】
のどかな田舎の村、コクソン。平和そのものだったその村に、ある日身内が身内を襲い殺してしまうという事件が多発する。加害者には共通して、肌が爛れ目が濁り、正気を失った状態になり家族に襲い掛かるという特徴があった。
事件を担当することになったのは、妻と娘、そして祖母とつつましくも幸せな生活を送る警官のジョング。事件の現場に向かうと、加害者の家族と思しき男性が泣きながら「何故だ!どうしてこんなことに!」と叫んでいる。事件のあった家の中はめちゃくちゃになり、被害に遭った家族の遺体が見える。容疑者の青年は全身血まみれになり、虚ろな状態のまま座り込んでいる。明らかに常軌を逸した状況だ。容疑者に動機はなく、専門家たちの見解では「幻覚性のキノコにより錯乱した末の犯行だ」と述べる。
ある夜、警察署の中では部下のソンボクがジョングに村はずれの山奥に住む日本人の話を始める。村人たちの間では彼の存在が怪しい、ともっぱらの評判であった。ソンボクの話によれば、村の猟師が山へ鹿狩りにいった時のこと。彼が足を滑らせてしまい谷底に落ちた際に、その日本人は現れた。姿は裸で、目は赤く光り、まるで悪魔のような形相で日本人は鹿に食らいついたのだという。一連の事件はその日本人が関連しているのではないか?村ではそんな噂が流れているのだ。そんな馬鹿な、と笑い飛ばすジョングだったがその時突然警察署に雷が落ち、停電に。あまりのタイミングに2人して怯えていると、更なる落雷の直後、署の前には裸の女がまるでゾンビのように佇んでいた。年甲斐にもなく大声を上げ、本気で怖がる2人。慌てて外に出てみると、既に女の姿はどこにもなかった……。
女の正体が分からないまま翌日を迎えるジョング。女のせいで悪夢に魘されながらの目覚めの直後、朝から妻と車の中でせっせと情交に耽りはじめる。娘のヒョジンに見つかりそうになりながらも、大慌てで車を飛び出すジョング。何とも落ち着きのない一家ではあるが、ヒョジンにオカリナを教えてあげたりと幸せそうにジョングは微笑む。
そんな中、またもや村で事件が起きる。とある一家の妻が家族を惨殺した。現場に駆け付けると、全身の皮膚が爛れ凶暴化した妻がゾンビのようにジョングに襲い掛かってきた。馬乗りにされ間抜けな絶叫を上げるジョングから妻を引き剥がす警察官たち。身を起こしたジョングは、ふと野次馬の中に例の日本人がいるのを何気なく目撃してしまう。
翌日、この妻は首を吊って自殺していた。そしてジョングは気付く。死んだその妻は、あの停電の夜に現れた裸の女だったのだと。
映画『哭声/コクソン』のあらすじ【承】
事件後、現場保全のために惨殺事件のあった家の前で警備をしているジョングとソンボク。ジョングは、加害者たちの肌が異様に荒れていたのを思い出し皮膚科に聞き込みへ向かえと命じる。それに従ってソンボクがいなくなった後、スマートフォンをいじくりながら警備を続けるジョング。そんな彼に向かって何故か小石を投げ続けてくる、不審な女が現場に現れた。女の名はムミョン。どことなく異様な雰囲気を漂わす彼女に何の用か尋ねると、ムミョンは事件の目撃者なのだと言う。止めるのも聞かずに勝手に現場へ入っていくムミョン。その後を追いかけると、ムミョンは話し始めた。
「犯人は確かに奥さんだけど、それは呪いのせい。呪いをかけた悪魔はあの日本人だ」
オカルトじみた話を半信半疑に聞きつつ、目撃者がいたことをソンボクに連絡しようとしたところでムミョンは姿を消してしまった。彼女が姿を消した後、現場の裏手に周ると裸で生肉を頬張っている例の日本人の姿を見てしまう。日本人はジョングを見つけるなり、ユラリと起き上がる。血に塗れた全身で、こちらへと近寄ってくる日本人。ジョングは情けなく声を上げ、腰を抜かしてしまう……たちまち悲鳴。と、場面は自室の布団の上。どこまでが事実かは分からないが、裸の日本人に襲われかけたのはジョングの夢落ちであったようだ。目覚めたジョングの横で眠るヒョジンだったが、どうもあまり体調がよくないらしい。……風邪でもひいたのだろうか?
それまでは所詮は噂話だと取り合わなかったジョングも、いよいよ日本人について無視できなくなってくる。ムミョンの言葉もあってか、ジョングとソンボクは調査のため、例の猟師に日本人の住む家へと案内してもらうことにする。その道中で猟師は怖気づき、やっぱり帰ると引き返し始めてしまった。そこで雨が降り出したかと思うと、猟師は雷に打たれ倒れてしまう。漁師はそのまま病院へ運ばれるが、更にその病院では最初の事件の容疑者の青年が激しい痙攣を起こしたまま息を引き取った。その場を目撃し、唖然とする二人。
ある朝、それまで具合の良くなかったヒョジンが異常なまでの勢いでご飯を食べている。「おはよう!」と普段と変わらない様子を見せながらも嫌いだったはずの魚を大量に口に運び、妻も祖母もやや不可思議な顔つきでそれを眺めるばかりだった。
後日、ソンボクの甥だという日本語が話せる助祭・イサムと共に再び日本人の住む家へと向かう一同。家の中に日本人はおらず、飼い犬だけがいるようだった。ジョングは勝手にその家の中を覗き込み、怪しげな仏像や蝋燭が並んだ、まるで何かの儀式でもしているかのような部屋を発見する。一方でソンボクも、大量の写真が貼られた小部屋を見つけ息を飲んだ。そこに映し出されていたのは例の皮膚が爛れた加害者たちの姿や、殺害現場の映し出された写真である――その時、突如悲鳴が響く。飼い犬が、イサムの脚に噛みついていた。犬を何とか払いのけているうちに、家主の日本人が帰宅する。勝手に侵入したということもあってなのか、気まずそうに立ち去る3人。車の中では、真っ青な顔をしたソンボクが呟いた。
「あいつがみんなに呪いをかけてるんだ。部屋の中に写真がたくさんあった。事件に関する写真が……」
やがてソンボクは今にも泣きそうな顔で、運転席のジョングに何かを差し出した。それは……『ヒョジン』、と娘の名前が書かれた片方だけの運動靴だった。慌てて帰宅し、娘にこの靴はお前のものか、と尋ねるジョング。知らない、と素っ気なく答える娘に対し、「日本人には会ったか。重要なことなんだ、答えなさい!」と詰め寄るとヒョジンは豹変したように叫び出した。「一体何が重要なんだよ!」と、金切り声を上げるヒョジン。夜中、彼女が寝静まった頃にそっとパジャマを捲るとその身体には湿疹ができていた。目覚めた娘は再び金切り声を上げ、信じられないような汚い言葉をジョングに浴びせ始める。――ソンボクの言う通りに、娘はあの日本人に呪われてしまったのだろうか?
映画『哭声/コクソン』のあらすじ【転】
再び、イサムと共に日本人の家へと向かうジョング。日本人の男はそこにおり、ジョングは家の中へと上がり込むなり例の写真が消えていることに気付く。イサムに尋ねさせると、日本人は「台所で燃やした」と言う。更に「何しにここへ来たのか」と聞くと、「言っても信じないだろう」と曖昧な返答。何者なのか、目的は何なのか、何故ここにいる、次々尋ねかけても真実を語らない日本人に我慢ならなくなり「俺の娘に何をした!クソったれ!」と近くにあった農具で家をめちゃくちゃにする。更には襲ってきた犬を正当防衛からか撲殺してしまう。「3日以内に出て行かないとお前も同じ目にあわせるぞ」と脅し、無表情のままでいる日本人の元を去るジョングとイサム。
翌朝、騒がしい妻と祖母に起こされて玄関を見ると、黒山羊の死体が吊るされていた。更に、ヒョジンが近所のおばさんを刃物で怪我を負わせてしまう。返り血を浴びながら自分のしたことに恐怖を覚えるヒョジン。祖母がすぐさま、有名な祈祷師だというイルグァンに依頼をする。一家の元を訪ねて来たイルグァンはジョングを見ただけで「あんたは最悪の相手を挑発してしまった。あの日本人は悪霊だ」と、除霊の代わりに多額の金額を要求した。娘のためにもそれに同意するしかない家族たち。ジョングは尋ねる、何故うちの娘が狙われたのかと。イルグァンは答える、「釣りをする時に何が釣れるか分かるのか?奴は餌を撒いただけ。そして、あんたの娘はそれに食いついただけ」だと答える。
数日後、イルグァンの祈祷が始まる。『殺』という呪術を掛けることでしか悪霊を倒せないという。お祓いというよりは激しい舞いでも踊るかのようなその儀式に、ヒョジンは術が効いているのか苦しみ激しくもがき始める。見守ることしかできないジョングと、「もうやめて」と泣いてせがむ妻。相手の日本人も抵抗するように静かに術を唱え始め、呪術と呪術のぶつかり合いが始まった。こちらの術が効くと日本人も苦しむが、また同時にヒョジンも悲鳴を上げてのた打ち回り空を掴むように悶絶する。そんな姿に耐え切れず祈祷を中止するジョング。同時に、術のダメージで倒れていた日本人も息を吹き返した。それを物陰から見つめるのはいつかの不思議な女、ムミョンであった。一方ヒョジンは病院へと搬送される。
ジョングはイサムと共に神父に相談に行くが、「実際に見たもの以外は信じるな」と言うばかりで力にはなってもらえそうにない。ジョングは直接日本人を殺しに行くしかない、と再度彼の元を数人で訪れる。隠れていた日本人を見つけ出し、追い詰めようとするジョング一同だが、彼は怯えたような表情で逃げ出してしまう。途中、崖近くで見失い諦めるより仕方なくなってしまう。一方、ジョング一行から逃げ出した日本人は例の女・ムミョンを見つけるなり何故か彼女を追う。その途中、諦め帰宅しようとしたジョングらの乗る車に轢かれる日本人。突然の出来事に呆然とするが、一先ず彼を殺せたことで遺体を崖下に投げ捨てる。……結果として日本人を殺すことには成功したがそれは正解なのだろうか?答えは分からないままヒョジンの入院先へ向かうと、娘は元気になっているようだ。涙を流し抱き合う親子。何だ、やはりあいつの呪いだったんだな、とジョングは安心する。しかし、一方では何かに気付いたイルグァンがジョングにしきりに電話を入れる。電話に気付かないジョングに、イルグァンは直接彼の家へと向かう。
場面は変わり、ソンボクの家。ソンボクは自分の祖母を殺害していた。返り血を浴び呆然としているソンボク――、呪いはまだ、終わっていない。
映画『哭声/コクソン』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジョングの家に着いたイルグァンだったが、車から降りた彼の前に暗闇から1人の人物が現れる。……ムミョンだ、日本人から逃げていた彼女が何故ここにいる?突然大量の鼻血と共に嘔吐するイルグァン。ムミョンに恐れをなし車に乗り込むイルグァン、そこでようやく彼からの大量の着信に気付いたジョングがイルグァンの元へと向かう。彼からの電話に応じながら、信じ難い言葉を聞くこととなる。
「俺は『殺』をかける相手を間違えた!本当の悪霊はあの女だ。日本人はきっとあの女から村を守ろうとしていたんだ。早く家に戻ってくれ!」
混乱しつつ言われた通り家に戻るジョングだったが、退院してきた筈のヒョジンの姿がない。周辺を探し回っていると、そこへ姿を見せたのは「本当の悪霊」だというその女・ムミョンだった。こんな時間にどこへ向かうのか、と尋ねる彼女に警戒心を持つジョング。娘の行方を尋ねると、ムミョンは「あの子は悪霊に惑わされている。今、家に入っては駄目。今家に入ればあなたの家族がみんな死ぬ」。……分からない。誰が敵で誰が味方なのか?ジョングは尋ねる。
「どういう意味なんだ?」
「あの日本人の男はあなたが家に戻るのを待っているのよ」
「あいつはもう死んだじゃないか」
「死ぬなんて有り得ないわ。家に罠を張ったから、あそこの鶏が3回鳴くまでは家に入らないようにして」
「お前は何者だ?」
「あなたの娘を救うために来たの」
一方、家にはヒョジンが帰ってくるが様子がおかしかった。虚ろな目をしたままヒョジンは家へと入り、家中の食料を食い散らかし始めた。座り込みそれを呆然と眺めるしかできない母と祖母。
ジョングの元に、再びイルグァンから電話が入る。「女に惑わされてはいけない。早く娘の元へ!」と切羽詰まった声で告げると、毅然としたままでムミョンは言う。「あの祈祷師はグルだから信じないで」。
一方、鎌を持ったイサムが日本人の家へと訪れていた。死んだ筈の日本人は確かに生きている。毛布に包まったその日本人に話しかけるイサム、「お前は何者なんだ」。日本人は表情一つ変えずに答える、「お前はどう思っているんだ」。イサムは「悪魔だ。お前は悪魔だ。お前の口から正体を言え!」と迫る。日本人は言う、「お前は私が悪魔だと確信をもってここへ来たんじゃないか。なら、その考えは変わらない」。そんな日本人にそれは違う、と叫び、本当の正体を明かしてくれるなら自分は何もせずに帰ると告げる。不気味に笑いだす日本人。一方で、ジョングの元では鶏が1度、2度と鳴き、結局ムミョンが止めるのも聞かずにジョングは家へと入ってしまう。愕然とし、止めようとしその手を伸ばしたまま悲し気な顔をするムミョン。家へと入ると、そこには血の海が広がっている。かろうじて息のある妻を抱き起こすと、その背後には包丁を持ったヒョジンの姿が現れる……。
日本人の男の顔は、まさに悪魔そのものと化していた。笑いながら聖書の言葉を呟き、イサムの顔をカメラに収める日本人。結局彼は本当に悪魔なのか?それとも人を疑い、殺しまで起こそうとした罪を犯したジョングを裁く神なのか?――答えは定かではない。
夜が明けて、ジョングの家へとやってくるイルグァン。軒先では血に染まり虚ろな眼差しのヒョジンが座りこけているが、構うこともなく中へと入っていく。その現場を写真に収めるイルグァン。家の中では瀕死のジョングがうわ言のように繰り返している。
「ヒョジン、大丈夫だ……父さんが何とかしてやるから……父さんが……」
イルグァンは何事もなかったかのように、その場を後にして去っていくのだった。
映画『哭声/コクソン』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
不気味な空気に包まれた村で起こる連続殺人。単なるミステリーかと思いきや、宗教的な象徴や民間信仰、悪魔的存在まで絡んできて、頭の中が混乱しながらも目が離せませんでした。ラスト、果たして誰が“悪”だったのか――明確な答えを与えない構成が逆に恐ろしく、深く記憶に残る作品です。チョン・ウヒの演技が特に印象的でした。(30代 女性)
あれは本当に人間の仕業だったのか?と観終わってからもしばらく考えさせられる映画。序盤は刑事モノのような展開ですが、次第に怪異が深まり、宗教的儀式や悪霊、ゾンビ的描写まで登場して、ジャンルがどんどん変化していく感じがすごい。ラストの神父の視線と写真の意味に、鳥肌が立ちました。(20代 男性)
人間の無知と恐怖心がいかに判断を狂わせるかを描いた傑作だと思います。主人公が娘を守りたい一心で奔走するのに、すべてが裏目に出てしまう展開がとても痛ましくて、観ていて心が削られました。ラスト、彼が娘の最期の言葉を聞くシーンでは、どうしようもない絶望感に包まれました。(40代 女性)
映画を観終えたあと、誰が悪だったのか、本当に祈祷師は正義だったのかと、ずっと考え込んでしまった。見る人によって解釈が変わるような作品で、宗教や民族信仰への知識があるとさらに深く楽しめると思います。個人的には、最後まで正体不明の“日本人”の存在が恐ろしく、彼の不気味な微笑みが忘れられません。(50代 男性)
韓国映画の恐ろしさと緻密さを思い知らされました。中盤の儀式シーンは映像も音響も圧巻で、まるで自分がその場に引き込まれるような感覚になりました。家族を守るために信じたいものを信じ、結果的に破滅してしまう構図が切なすぎる…。ホラーでありながら、ヒューマンドラマとしても一級品です。(20代 女性)
リアルとオカルトの境界がどんどん曖昧になる構成が見事でした。日本人が“悪魔”かのように描かれる演出には文化的な議論もありますが、それも含めて、他者を排除する人間の恐怖と集団心理を強く感じました。祈祷師が怪しいと分かっていながらも、主人公が頼らざるを得ない状況がつらい。(30代 男性)
怖いというより、終始「不安」がつきまとう作品でした。人々の疑念が連鎖し、無実かもしれない存在を追い詰める過程が本当にリアルで、生々しさすら感じました。娘の異変から物語が一気に加速しますが、あの豹変ぶりと、父親の葛藤が見事に描かれていて、恐怖と悲しみが同時に襲ってきました。(50代 女性)
観終わったあと、静かに恐怖が残るタイプの映画です。最後まで結論を与えないことで、観る者自身に“答え”を委ねる作りは賛否あると思いますが、私はその曖昧さが逆に怖くて好きです。誰を信じればよかったのか、自分だったらどう判断していたか、いろんな「もし」が頭に浮かびました。(40代 男性)
韓国の田舎村という限定的な舞台が、逆に物語の密度と濃度を高めていたと思います。村人たちの噂、恐怖、猜疑心が伝染していく過程はまるでパンデミックのようで、現代にも通じるテーマに思えました。日本人の男と祈祷師、どちらが“嘘”をついていたのか、答えが出ないのが本当に恐ろしい。(30代 女性)
祈祷師の儀式と、日本人の男の不気味な静けさ、そして少女の変貌。全てが恐ろしくて、それなのに目を離せない映画でした。なによりも怖いのは、「自分が正しいと思っていたことが、全部間違っていたかもしれない」と気づくあの瞬間。父親の苦悩と無力さが、心に深く突き刺さりました。(20代 男性)
映画『哭声/コクソン』を見た人におすすめの映画5選
イット・カムズ・アット・ナイト
この映画を一言で表すと?
「正しさ」と「恐怖」の境界が曖昧になる、閉塞感MAXの心理ホラー。
どんな話?
謎の疫病が蔓延する終末世界で、森の中に暮らす一家が「助けを求めてきた家族」を受け入れることで起こる疑心と破滅の物語。見えない恐怖が人間の本性をあぶり出していきます。
ここがおすすめ!
『哭声』のように「誰が敵で誰が味方か分からない」状況が、息苦しいほどリアルに描かれています。極限状態における人間の疑念や恐怖が見事に表現されており、終盤の無慈悲な展開も強烈です。
ミッドサマー
この映画を一言で表すと?
美しい“祝祭”の裏に潜む狂気、光の中のホラー体験。
どんな話?
恋人とともに北欧の田舎村を訪れた女性が、夏至祭に参加する中で次第に村の狂気に呑み込まれていく。明るい昼間にすべてが行われる異色のカルト・ホラー映画です。
ここがおすすめ!
『哭声』と同じく、田舎のコミュニティに隠された宗教的な闇や、外来者への不気味な態度が見どころ。ヴィジュアルの美しさと恐怖のギャップが強烈で、観る者を不安と快感で包み込みます。
悪魔を見た
この映画を一言で表すと?
復讐の果てに残るのは快楽か、虚無か――極限のバイオレンスサスペンス。
どんな話?
婚約者を殺された男が、犯人を“捕まえては逃がす”という拷問の連鎖を繰り返す、復讐劇。やがてその復讐が自らの人格を蝕んでいく様を描く衝撃作です。
ここがおすすめ!
『哭声』と同じく、人間の“狂気”と“正義”がどこで反転するかを問いかける作品。暴力表現は非常に強烈ですが、韓国映画の持つ社会性と人間の深淵が詰まった名作です。
ヘレディタリー/継承
この映画を一言で表すと?
家族の中に忍び寄る「呪い」、絶望と恐怖の静かな連鎖。
どんな話?
家族を次々に失う主人公が、やがて自分たちの家系に隠された“呪われた血筋”に気づき始めるホラー作品。母娘の確執と喪失が複雑に絡み合います。
ここがおすすめ!
『哭声』のように、超常的な現象と家族の崩壊がじわじわ進行していく構成が秀逸。演出が巧みで、観るたびに解釈が変わるタイプの映画。圧巻のラストは言葉を失います。
カメラを止めるな!
この映画を一言で表すと?
低予算映画に見せかけた“仕掛けだらけ”の構成が衝撃のコメディ・サスペンス。
どんな話?
ゾンビ映画を撮影中のクルーに本物のゾンビが襲いかかる……というB級映画に見せかけた、実は“映画作りの舞台裏”を描いたメタ構造のコメディ作品。予想外の展開に誰もが驚かされます。
ここがおすすめ!
テイストは全く違いますが、『哭声』と同じく“最初の印象を信じてはいけない”映画。物語の裏に隠された仕掛けに気づく瞬間の衝撃と快感は、一度は体験すべき映画的トリックです。
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