この記事では、映画『殺さない彼と死なない彼女』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。
映画『殺さない彼と死なない彼女』の作品情報
出典:Amazonプライムビデオ
製作年 | 2019年 |
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上映時間 | 123分 |
ジャンル | ロマンス |
監督 | 小林啓一 |
キャスト | 間宮祥太朗 桜井日奈子 恒松祐里 |
製作国 | 日本 |
映画『殺さない彼と死なない彼女』の登場人物(キャスト)
- 小坂れい(間宮祥太朗)
- 高校でサッカーに青春をかけていたが、ケガが原因でサッカーができなくなり、さらに留年してしまう。毎日が退屈だと無気力に過ごしている。
- 鹿野なな(桜井日奈子)
- 小坂のクラスメート。リストカット癖があり「死にたい」が口癖。
- きゃぴ子(堀田真由)
- 奔放な母との母子家庭に育つ。誰と付き合っても長続きしない。自分がかわいいことを自覚している。
- 地味子(恒松祐里)
- きゃぴ子の親友で、八千代の姉。きゃぴ子を心配しながら見守っている。
- 撫子(箭内夢菜)
- 八千代が好きで、毎日告白することを日課にしている。その度にふられるが、あきらめない。
- 八千代(ゆうたろう)
- 撫子に毎日告白されるも「僕は君が好きではない」と、淡々と断り続ける。恋愛に興味がない。
映画『殺さない彼と死なない彼女』のネタバレ・あらすじ(起承転結)
映画『殺さない彼と死なない彼女』のあらすじ【起】
小坂れいは、高校でサッカーに打ち込む青年だったが、ケガのためサッカーを続けられなくなり、さらに、ケガが原因で留年した。
何事についても前向きな気持ちを完全に失い、無気力に高校生活を送る小坂だったが、ある日、教室の中で彼の目を引く行動をする女子に出会う。
教室内で退治された蜂の死骸を、ゴミ箱から拾う鹿野ななの行動が気になった小坂は、鹿野に、なぜ蜂の死骸を拾うのか尋ねた。
鹿野は、蜂の死骸を埋めに行くと答え「虫は嫌い。でも虫をゴミ扱いする奴はもっと嫌い」と涙を見せた。
鹿野にはリストカット癖があり「死にたい」が口癖だった。小坂は「殺すぞ」が口癖。
小坂が鹿野に「マジで死にたいなら、俺が殺してやるよ」と言うと、鹿野は「余計死にたくなる」と言いながら、少し嬉しそうだった。
堀田きゃぴ子は、恋多き女。どんな相手とも長続きしない理由について「ふられるのが嫌だから先にふるの」と親友の地味子に語った。
きゃぴ子の新しい恋人・イケメン君には他にも女がおり、きゃぴ子はその女から、イケメン君と別れろとの脅迫電話を受けた。
映画『殺さない彼と死なない彼女』のあらすじ【承】
地味子は、弟の八千代がスマホで見ていた動画が、地味子ときゃぴ子が通う高校の生徒を殺した犯人がアップしたものであると気付き、そんなものを観てはいけないと注意した。
しかし、きゃぴ子もその動画を見ており、永久保存版だと興奮していた。
地味子は、きゃぴ子と一緒に被害者の葬儀に出たときのことを思い出して欲しいと話した。
葬儀で、被害者の亡骸を見た人が「眠っているみたい」と言ったとき、その場にいた被害者の恋人が「起こせよ!」と怒鳴ったこと。
きゃぴ子は、動画を消した。
八千代は、同級生の撫子から毎日「好き」と告白され、その度に「僕は君を好きじゃない」と答えていたが、撫子は「私のことを好きにならないあなたが好き」と、告白をやめなかった。
鹿野は小坂の前でリストカットをしようとしていた。小坂が「いっそのこと屋上から飛び降りれば」と言うと、鹿野は本当に飛び降りようとし、小坂は慌てて止めに入った。
ある日、鹿野は小坂を花火に誘う。小学5年のときから大切にしていたという花火には火がつかず、小坂は新しい花火を買ってやると約束した。
映画『殺さない彼と死なない彼女』のあらすじ【転】
撫子は、八千代が観たいと言っていた映画のチケットを手に入れ、初めてデートに誘うことに成功した。
映画の後、2人で歩いていると、八千代の初恋の相手であるさっちゃんが偶然通りがかった。
さっちゃんは幼い子供を連れており、八千代と撫子の邪魔をしてはいけないと言って、早々に去って行った。
撫子を家まで送った八千代は「早く大人になりたかった。さっちゃんはあの時、もうお腹の中に子供がいたんだ。どんなに大変だったろう」と、胸の内を吐露した。
撫子は八千代に、未来のことを話そうと明るく提案した。さっちゃんたちを誘ってみんなでピクニックをしようと。
八千代は「君がいなかったら見るはずのない未来だ」と言った後、「僕は君が好きなんだ」と、ついに撫子に打ち明けた。
小坂と鹿野の絆は深まり、小坂は鹿野に、一緒の大学に進学しようと提案する。鹿野は、自分は頭が悪いから無理だと答えたが、小坂は「今日は無理でも明日は分からない。未来の話をしよう」と励ました。
その帰り道、小坂は「恋をしていますか?」と声をかけて来た男に突然刺され、絶命する。
映画『殺さない彼と死なない彼女』の結末・ラスト(ネタバレ)
鹿野は、小坂の母からの連絡で、小坂の死を知る。
鹿野は小坂の葬儀の最中に、突然大声で取り乱し、周囲を驚かせた。
参列者の中には、同じ高校の後輩であるきゃぴ子と地味子の姿もあった。
その夜、鹿野は小坂の夢を見た。
夢の中で、鹿野は自分が死ねば小坂に会えるか訊ねるが、自殺と他殺では、死後行く場所が違うと答える。
そして小坂は、自分の机の引き出しの中に、鹿野に渡したいものが入っていると伝えた。
鹿野は目覚めると、小坂に言われた通りに学校に行った後、小坂の家へ向かった。
小坂の部屋へ入った鹿野は、小坂の机の引き出しから、猫の小物と、自分宛ての手紙を見つけた。
小坂の葬儀の日は、鹿野の18歳の誕生日で、小坂は鹿野のために、誕生日プレゼントを用意していたのだった。
その夜、鹿野の夢の中に、再び小坂が現れ、いつまでも鹿野を見守っていると告げた。その言葉に支えられ、鹿野は大学に進学する。
ある日、鹿野はリストカットしそうになっている撫子の姿を見つける。鹿野はそれを止め、撫子はその日、八千代に初めての告白をした。
映画『殺さない彼と死なない彼女』の考察・解説(ネタバレ)
映画『殺さない彼と死なない彼女』で小坂はなぜ殺された?
映画『殺さない彼と死なない彼女』において、小坂が殺害された理由は彼の過去にあります。小坂は高校時代、いじめの標的となり、その経験から深い心の傷を負っていました。彼はその後も自分を責め続け、トラウマを抱えたまま生きてきたのです。
そんな中、かつての加害者の一人であるサイコキラー(映画内で名前は明かされません)が再び小坂の前に姿を現します。サイコキラーは自分のいじめの過去を隠すために、小坂を消そうと決意したのです。小坂が当時の出来事を周囲に話すことを恐れ、秘密を守るために彼の命を奪おうとしたのでした。
小坂は友人たちの支えもあり、少しずつ心を開いて自分自身を受け入れ始めていました。しかし、そんな矢先に過去の因縁に襲われ、非業の死を遂げてしまうのです。彼の死は、いじめがもたらす深い心の傷と、その後遺症の恐ろしさを如実に表しています。
この出来事は、物語全体を貫くテーマである「命の尊さ」と「過去の清算」について深く考えさせる重要な要素となっています。小坂の死を通して、いじめの残酷さとその影響の大きさが痛感させられるのです。
映画『殺さない彼と死なない彼女』で伏線回収されるその内容とは?
映画『殺さない彼と死なない彼女』では、物語の終盤で重要な伏線がいくつか回収されます。中でも特に注目すべきは、主人公のヤンキー君(ナナオ)と死にたがりの少女(サユリ)の関係性に関する伏線です。
物語の序盤から、サユリは繰り返し「死にたい」と口にしますが、その理由についてはすぐには明かされません。実は彼女には、家庭や学校での孤独な経験があり、そのために強い自己否定感を抱くようになっていたのです。しかしナナオとの出会いと交流を通じて、彼女は徐々に生きる意味を見出していきます。
物語の中盤、サユリがナナオに「死にたいと思った理由」を打ち明けるシーンがあります。ここで彼女の抱える深い心の闇が明らかになるのです。一方ナナオ自身も、過去の行いや自責の念に苛まれていました。サユリとの関わりの中で、彼は自分自身と向き合う機会を得ていきます。
最終的に、サユリが死を選ばなかったことで、二人の間に芽生えた愛情と絆の強さが示されます。これは命の尊さを物語る重要な伏線回収となっています。こうした伏線が丁寧に回収されることによって、物語全体が感動的な結末へと導かれていくのです。
映画『殺さない彼と死なない彼女』のリハーサルで、主演女優が監督から指示された演技がひどい?
映画『殺さない彼と死なない彼女』の撮影現場で、主演の桜井日奈子さんが過酷なリハーサルを強いられたというエピソードが話題となりました。彼女は演じるサユリの心情を理解するために、なんと5時間もゴミ箱を漁り続ける演技を求められたのです。一見すると理不尽とも思えるこの指示は、役柄の孤独感や絶望感を女優自身に追体験させるための監督の意図があったのでしょう。
こうした過酷なリハーサルは、映画業界では珍しいことではありません。役者が役柄により深く入り込めるよう、あえて厳しい状況に置くことがあるのです。「メソッド演技」と呼ばれるこの手法は、役者が役の感情や心理状態を実体験から理解することを目的としています。
桜井さんにとっても、この経験は辛いものだったかもしれません。しかし役作りのための一環として、監督の意図を理解していたのではないでしょうか。サユリの孤独や絶望感を女優自身の体験から引き出すことで、よりリアリティのある演技を引き出そうとしたのです。
こうした厳しいリハーサルを経ることで、役者の演技は説得力を増し、作品の完成度を高めることにつながります。観客により深く感情移入してもらうためには、時に過酷な役作りも必要とされるのです。桜井さんの努力と忍耐が、本作の高い評価につながったと言えるでしょう。
映画『殺さない彼と死なない彼女』でサイコキラーの犯行をネタバレ!
映画『殺さない彼と死なない彼女』では、サイコキラーと呼ばれる人物の犯行が重要な位置を占めています。このサイコキラーこそ、小坂を殺害した張本人なのです。彼の行動には明確な目的がありました。実は彼は高校時代、小坂をいじめていた加害者の一人だったのです。その過去を知られることを恐れ、小坂を消すことで自分の秘密を守ろうとしたのでした。
犯人は周到に計画を立て、まずは小坂に接近します。そして彼の周辺に不穏な影を落としていきます。そして物語のクライマックスで、ついに小坂を殺害しようと試みるのです。その際、犯人は自らの動機を語り、小坂との因縁に言及します。
ここで明らかになるのは、いじめという過去の行為が、加害者である犯人自身をも深く傷つけていたということです。犯人は小坂を殺すことで過去を葬り去ろうとしましたが、その行為自体がさらなる罪へと彼を導くのです。
この物語は、過去の行いが人々に長く影を落とし続け、最終的には自分自身にも跳ね返ってくることを示唆しています。サイコキラーの犯行は、緊迫感を生み出すとともに、物語の核心に迫る重要な要素となっているのです。
映画『殺さない彼と死なない彼女』は実話をもとにしている?
映画『殺さない彼と死なない彼女』は、実際の出来事に基づいた作品ではありません。原作となっているのは、世紀末氏による同名のコミックです。このコミックは複数の短編エピソードを収録した作品で、それぞれ異なる登場人物と物語が描かれています。映画ではこれらのエピソードを巧みに組み合わせ、一本の作品として再構成しているのです。
ただし実話ではないとはいえ、作品が扱うテーマは私たちの現実社会に根ざしたものばかりです。いじめや孤独、自己否定感、そして人との絆による再生など、誰もが経験し得る普遍的な問題が取り上げられています。だからこそ登場人物たちの感情や行動に、多くの観客が共感を覚えるのでしょう。まるで実話のように感じられるのは、そうした現実との接点があるからに他なりません。
本作は原作の持つ世界観とキャラクターを忠実に再現しつつ、映画ならではの表現方法や演出を盛り込むことで、観る者の心を深く揺さぶる作品となっています。フィクションでありながら、そこに描かれる人間ドラマは普遍的な真実を物語っているのです。
この映画は私たち自身の日常にも通じる教訓を与えてくれます。現実にはない物語でありながら、登場人物たちの成長と再生の過程は、観客に勇気と希望を与えずにはいられないでしょう。
映画『殺さない彼と死なない彼女』における3つの話の時系列は?
『殺さない彼と死なない彼女』という映画は、3つの異なるストーリーで構成されています。これらの物語は、それぞれ別の登場人物を中心に展開しますが、時系列的には部分的に重なり合いながら、最終的に一つの大きな物語へと収斂していきます。
まず最初に登場するのは、「サイコキラーと小坂」の物語です。高校時代にいじめの標的となっていた小坂が、過去の因縁に再び直面することになります。彼は当時の加害者の一人と再会し、最終的にその手にかかって命を落としてしまうのです。この悲劇的な出来事が、他の2つの物語の背景として大きな影を落としていきます。
次に描かれるのが、「殺さない彼と死なない彼女」の物語です。ヤンキー風の青年・ナナオと、死にたがりの少女・サユリという対照的な二人が中心となるエピソードです。常に死にたいと口にするサユリでしたが、ナナオとの交流を通じて少しずつ生きる希望を見出していきます。この物語は、映画全体の中で最も感情的な部分を担っていると言えるでしょう。
そして最後に、「サイコキラーの犯行」に関するエピソードが描かれます。サイコキラーが小坂を殺害しようと企てる場面であり、物語はここでクライマックスを迎えます。3つの物語が交錯し、登場人物たちが複雑に絡み合いながら、一つの結末へと突き進んでいくのです。
最終的にこれらのエピソードは、同じ時間軸上で展開していることが明らかになります。登場人物たちの関係性が徐々に明らかになっていく中で、物語全体が一つに統合されていくのです。3つの物語は巧みに組み合わされ、一つの大きな物語を紡ぎ出しているのです。
映画『殺さない彼と死なない彼女』のタイトルの意味は?
『殺さない彼と死なない彼女』というタイトルには、深い意味が込められています。まず「殺さない彼」とは、主人公のナナオを指しています。見た目はヤンキー風ですが、彼は非常に優しい性格の持ち主で、どんな状況でも人を傷つけることを避けようとします。特に、死にたがりの少女・サユリに対しては、自分の命をかけてでも彼女を守ろうとするのです。
一方「死なない彼女」とは、サユリのことを指しています。物語の序盤から、彼女は繰り返し「死にたい」と口にします。しかしナナオとの出会いと交流を通じて、彼女は徐々に生きる意味を見出していくのです。ナナオの優しさと真っ直ぐな想いに触れることで、「死にたい」という思いを少しずつ変えていき、最終的には「死なない」ことを選択するのです。
このタイトルは、二人の関係性を象徴的に表現しています。ナナオが、どんなに辛い状況でも人を「殺さない」ように、サユリもまた、自分自身を「死なせない」ように変化していくのです。二人の成長と変容を描いたこの物語は、互いに支え合いながら、命の尊さを見出していく過程を示しているのです。
つまりこのタイトルには、他者と手を取り合いながら生きていくことの大切さが込められていると言えるでしょう。一人では抱えきれない苦しみも、誰かと分かち合うことで乗り越えていけるのだと、この映画は私たちに語りかけているのです。
映画『殺さない彼と死なない彼女』に気まずいシーンはある?
映画『殺さない彼と死なない彼女』には、観る者に強い不安や緊張を与える、気まずいシーンがいくつか存在します。特に印象的なのは、サイコキラーが小坂を追い詰める場面です。過去のいじめの事実を暴露しようと、サイコキラーが小坂に迫ります。恐怖に怯える小坂は、その脅威に立ち向かうことができません。この場面では、小坂の無力感が強調され、観る者にも居心地の悪さを感じさせるのです。
また、ナナオとサユリの関係においても、気まずさを感じさせるシーンがあります。サユリが「死にたい」と繰り返し訴える中、ナナオは戸惑いながらも必死で彼女を支えようとします。しかしサユリの自暴自棄な言動に、ナナオも簡単には応じられません。そんなサユリを止めようとするナナオの姿は、見ている者に強い緊張感を与えずにはいられないのです。
さらに、ナナオの友人たちがサユリの「死にたい」という言葉を軽く受け流すシーンも、観る者を不快にさせます。彼らにはサユリの本当の気持ちが理解できておらず、そのギャップが彼女の孤独感を浮き彫りにしているのです。このシーンもまた、観客に強い気まずさを感じさせる瞬間だと言えるでしょう。
これらの気まずいシーンは、登場人物たちが抱える心の葛藤や不安を、リアルに描き出すことで生まれています。観る者は、彼らの感情に深く共感することになるのです。だからこそ、これらのシーンは観客の心に強く印象づけられ、作品全体の印象を深めることにつながっているのです。
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