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映画『古都(2016)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『古都(2016)』の概要:古くから付き合いがある職人が廃業する中、佐田千重子は夫の竜助と共に先祖代々続く佐田呉服店を守っていた。しかし、娘の舞は実家を継ぐかどうか決めておらず、やりたいことも見つからないまま就職活動を行っていた。

映画『古都』の作品情報

古都

製作年:2016年
上映時間:117分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:Yuki Saito
キャスト:松雪泰子、橋本愛、成海璃子、蒼れいな etc

映画『古都』の登場人物(キャスト)

佐田千重子(大人:松雪泰子 / 若年期:蒼れいな)
夫の竜助と共に先祖代々続く佐田呉服店を守っている。お淑やかな女性。両親とは血が繋がっていない。
中田苗子(大人:松雪泰子 / 若年期:蒼あんな)
千重子の双子の妹。夫と共に北山杉の里で林業を営んでいる。明るい女性。千重子から貰った帯を大切にしている。
佐田舞(橋本愛)
千重子の娘。就職活動中。佐田呉服店を継ぐかどうか迷っており、やりたいことも見つかっていない。
中田結衣(成海璃子)
苗子の娘。絵画を勉強するためにパリに留学中。気が強い性格。描きたいものが見つからず、悩みを抱えている。

映画『古都』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『古都(2016)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『古都』のあらすじ【起】

佐田千重子は夫の竜助と共に先祖代々続く佐田呉服店を守ってきた。しかし、時代は流れつつあり、古くから付き合いのある職人達が次々と廃業していた。竜助夫妻は西陣の方を歩いていても、織機の音が聞こえないことに寂しさを感じていた。

中田苗子は夫と共に北山杉の里で林業を営んでいた。娘の結衣は絵画を勉強するため、パリに留学していた。一方、千重子の娘の舞は就職活動をしていた。周囲からは当たり前のように将来家を継ぐのだと思われていた。だが、舞はあまり家を継ぐことに乗り気ではなかった。

竜助夫妻は不動産会社から町家を売ってマンションにしないかと話を持ちかけられていた。しかし、竜助夫妻はそれを断り続けていた。外国人観光客相手の町家ツアーを行ったりして、なんとか経営を維持していた。竜助夫妻は舞が他の会社に就職して様々なことを学んだ後、家を継ぐことを望んでいた。それまで、町家と店を守るつもりだった。

千重子は舞を連れて養母の墓参りに訪れた。その時、家を継ぐべきかどうか、自分が何をしたいのか悩んだ時期があったことを打ち明けた。千重子は両親の実の子供ではなかった。自分のやりたいことなど考えたことがなく、当たり前のように家を継ぎ両親が望む人と結婚するのだと思っていた。若い頃、竜助はそんな千重子の思いを聞き、「自分がない、千重子はどう生きたいのか」と尋ねた。千重子は竜助の言葉に衝撃を受けた。

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映画『古都』のあらすじ【承】

舞は面接を受けるが、「この会社で成し遂げたいことはありますか」と聞かれ上手く答えることができなかった。千重子は昔からの知り合いの商社の重役に会い、舞の就職を手助けしてもらうために贈り物を持って行った。そして、竜助の父の水木に口利きを頼んだ。

結衣はどう表現すれば良いのか、何を描けば良いのか悩んでいた。教授は結衣の絵を見て、自分自身ともっと対話した方が良いとアドバイスした。答えは結衣の中にしかないのだ。結衣は友達に相談した。すると、日本にいたときは何を思いながら描いていたのか質問される。結衣は考えるが、答えることができなかった。

舞は書道の先生からパリで開く個展への同行を頼まれる。だが、すぐに承諾することはできなかった。そんなある日、舞は会社から内定を貰うが、母が口利きをしたお蔭だと知ってしまう。舞は内定を辞退した。千重子は舞の勝手な行いに腹を立て、口論になった。舞は母を責め、家を飛び出して祖父の元に逃げ込んだ。祖父は無理に家を継ぐ必要はないと舞を慰めた。その頃、千重子は仏壇の前に座り、義母のことを思い出していた。義母はまだ若い千重子に、跡を継がなくても良いと言葉をかけていた。

映画『古都』のあらすじ【転】

苗子は結衣に会うため、パリを訪れた。結衣の部屋を軽く片づけていると、切られた絵があった。苗子は何も言わず、その絵をそっと伏せた。そして、結衣と一緒に買い物に出かけ、食事を作った。

舞は京都から出たことがなかったため、パリに行くことを躊躇していた。いとこに相談すると、両親に話すことを勧められる。竜助はその話を知り、行くことを勧めた。竜助も若い頃、大問屋の跡継ぎから逃げるためにアメリカに留学していた。外に行かなければ、自分に何ができるか何がしたいのか見えてこないものがあった。竜助は舞の背中を押した後、心配する千重子を説得した。

苗子は結衣が通う学校に足を運んだ。その時、結衣は友達に会い、作品を出していないのはマズイと忠告を受ける。そして、教授が心配していたと教えられる。言葉は分からなかったが、苗子は不穏な空気を感じて結衣を心配した。結衣は泣きながら絵を描けない苦しい胸の内を話した。苗子は抱き締めて慰めながら、絵を描き始めたときのことを思い出すようアドバイスした。

映画『古都』の結末・ラスト(ネタバレ)

若い頃、千重子はひょんなことから生き別れになった双子の妹の苗子と再会した。義父母が苗子を引き取っても良いと言っていたため話を持ちかけるが、千重子が幸せに暮らしているのが分かっただけで十分だと言って断られてしまう。千重子は北山杉の模様が織り込まれた帯を苗子にプレゼントした。それが2人が会った最後の日だった。苗子は帯を見ながらそのことを結衣に話した。千重子も舞に同じ話をしており、北山杉の模様が織り込まれた帯を託した。

舞は先生に同行し、パリを訪れた。先生が書道を観客に披露した後、舞は北山杉の模様が織り込まれた帯を着けて日本舞踊を披露した。一方、結衣は北山杉の風景を絵に描き、友人達から称賛される。千重子は知り合いの商社の重役と水木に会い、内定を辞退したことを謝罪した。そして、舞の思うようにさせるために、内定を取り消してもらうよう頼んだ。千重子はそのことを竜助に報告しようとするが、竜助は全てを理解していた。千重子は優しく見守りながら助けてくれる竜助に感謝した。

舞は教会を訪れ、結衣に出会った。

映画『古都』の感想・評価・レビュー

京都の美しさと、パリの洗礼された雰囲気を感じることができる作品だった。松雪泰子が千重子と苗子の2人を演じ分けているのがとにかく驚かされた。見た目や化粧が凄く違っているわけではないのだが、きちんと千重子と苗子が存在しているように感じられた。千重子と苗子の物語というよりかは、親子関係に重点を置いた作品だった。喧嘩しながらも絆を感じられる親子関係が素敵だった。物語のラストで舞と結衣が出会った後どうなるのか見たいなと思った。(MIHOシネマ編集部)


京都の街並み、山の風景、パリの街並み、どこを切り取っても落ち着いていておしゃれな作品だった。職人達が苦戦している姿を見て、時代の流れに寂しさを感じた。その中で、未来に向かって必死に羽ばたこうとしている佐田舞と、伝統を守るために奮闘している佐田千重子の親子の姿がとても印象的だった。自分が何をしたいのか知るために外に出て行くことも、伝統を守るために頑張り続けることも、どちらも大変で容易ではないのだなと感じた。(女性 30代)


京都とパリ、一見全く共通点の無い場所のように感じますが、この作品を鑑賞するとどちらも風情があり、うつくしく芸術的な雰囲気を感じることが出来て、共通する素敵な空気感を感じました。
千重子と苗子、舞と結衣。姉妹とその娘たちの繋がりを描いた今作は、家業を継ぐか、自分の本当にやりたいことは何なのかを見つけられずにいる焦りや不安をとても繊細に描いていて、そこからどうやって「自分らしさ」を見つけていくのかが力強く表現されていました。誰しもが感じたことのある気持ちを描いているので、物凄く共感できる作品だと思います。(女性 30代)

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