映画『ことの次第』の概要:ある映画撮影チームがポルトガルでロケをしていた。白黒で、こだわった映画だったが資金繰りに困って撮影は中断してしまう。逃げ出したプロデユーサーを追って監督はロサンゼルスへと向かう。
映画『ことの次第』の作品情報
上映時間:127分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ヴィム・ヴェンダース
キャスト:イザベル・ヴェンガルテン、パトリック・ボーショー、サミュエル・フラー、アレン・ゴアウィッツ etc
映画『ことの次第』の登場人物(キャスト)
- フリッツ(パトリック・ボーショウ)
- 映画監督。ゴードンに依頼されて、白黒映画の監督をする。資金難で撮影は中止になり、逃げてしまったゴードンを追ってロサンゼルスに向かう。何者かに撃たれて死んでしまう。自身の映画論を持ち、周りにそれを語ることがよくある。
- アンナ(イザベル・ヴェンガルテン)
- 女優。フリッツの映画に参加する。いつも西部劇の本を読んでいる。ミステリアスな雰囲気を持っていて、美しい容姿とプロポーションを持ち合わせている。恋人のマークとの関係がマンネリ化していることに不満を持っている。
- マーク(ジョフリー・ケーリイ)
- アンナの恋人で俳優。アンナに、マンネリ化した関係を揶揄される。自分の演技の出来をいつも気にしている。
- デニス(ポール・ゲッティ3世)
- スクリプター。今回の撮影のロケ費用を自費で出している。フリッツに対して、映画をダメにしていると非難する。謎の多い男。
- ケイト(ヴィヴァ・オードレイ)
- スタッフの一人。娘達を連れて撮影に参加している。よくテープレコーダーに自分の声を録音している。
- ジョー(サミュエル・フラー)
- 映画の制作者。ロケでポルトガルにいたが、妻の死でロサンゼルスへと帰国。その後、ゴードンが組織の金に手を出したことをフリッツに伝える。
- ゴードン(アレン・ゴーウィッツ)
- 映画のプロデユーサー。組織にお金を借りる映画の資金を作る。しかし、出来が良くないと言われてお金をもらえなくなってしまい、借金をした組織から逃げ回っている。独自の映画論はあるが、今回の映画を大衆的な映画にしなかったことに後悔している。
映画『ことの次第』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ことの次第』のあらすじ【起】
ポルトガルで映画の撮影が行われている。その内容は、50年代に制作されたSF映画の再映画化である。撮影中、監督のフリッツは自身の撮影プランを語る。しかし、もうフィルムがないと制作者のジョーに断られてしまう。しょうがなくフリッツは、女優のアップを撮り始める。
フィルムも資金も底を尽きたとフリッツに言うジョー。フリッツは、なぜそのことを言わなかったのかとジョーに問う。ジョーは、仕方がなかったと答えるだけだった。
撮影後、スタッフや演者はそれぞれの時間を過ごしていた。そんな中、今まで撮影した分のフィルムを持ってロサンゼルスへと向かったプロデューサーのゴードンが、行方不明になってしまった。
スタッフの夕食の場では、映画の話をする者やゴードンへの不満を爆発させる者、愛を語り合う者などテーブルごとに様々な話題で盛り上がっている。そんな中、酔っ払ったフリッツは全員の前で、ゴードンは今金策をしているからその間に映画について考えようと言ってみんなをなだめようとする。
映画『ことの次第』のあらすじ【承】
スタッフのケイトがレコードに撮影現場での様子をテープに吹き込んでいる。女優のアンナは恋人のマークとベッドを共にしていた。アンナはマンネリ化した関係と、セックスだけの関係に嫌気がさしていた。スクリプターのデニスはラジオを聴きながら地球儀をいじり、何かをつぶやきながら外を眺めている。
フリッツが部屋で寝ていると、外から木の棒を投げ込まれる。ガラスの割れた音で起きたフリッツは外を見るが、そこには荒れ狂う海しかない。ジョーはずっと時報を聞いている。酒を浴びるように飲んでいたデニスは目を覚まし、睡眠まで邪魔するのかと呟く。
翌日、撮影は一旦中止となった。スタッフ達はそれぞれに時間を潰し始める。女優のジュリアは外でバイオリンを弾き始める。アンナはマークと海岸沿いに出て、マークに写真を撮られたりしている。デニスは外でタイプライターを打っている。
フリッツがジョーの部屋を訪れる。妻に不幸があったため、ジョーは一度撮影現場を離れることにする。お金が集まったら電話をくれと言って、ジョーは部屋を去って行く。
映画『ことの次第』のあらすじ【転】
ジョーは街でバーに寄り、強い酒を飲む。そのバーにアンナもやってきて、一人で席に着いて何かを書き始める。アンナの隣にスタッフのロバートがやってきて座る。ロバートは近くの床屋へ行っていたのだと言う。
ある建物を訪れたフリッツ。そこにはデニスがいた。デニスはフリッツに、初めからフリッツはこの映画をダメにしようとしたと言い出す。そんなことはないと反論するフリッツ。デニスはある画像をフリッツに見せる。これがゴードンの考えだとデニスは言う。
ケイトは自分の娘に、絵について語っている。光と陰が大事なのだとケイトは語る。フリッツとデニスはまだ話し込んでいた。ゴードンが去ってから心が苦しいとデニスは言う。
バーでスタッフ達がお酒を飲んでいる。そこへフリッツがやってきて、ゴードンを探すためにロサンゼルスへと向かうと伝える。そしてアンナに借りていた本を返し、バーを去って行く。
ケイトが恋人とベッドで愛し合う。娘達はその物音に気づき、セックスをしているのだと言って笑い合う。
映画『ことの次第』の結末・ラスト(ネタバレ)
ゴードンの会社を訪れたフリッツだが、そこにゴードンはいなかった。ゴードンの弁護士であり、フリッツの弁護士でもある男にゴードンの居場所を尋ねるフリッツだが、秘密は言えないと言って何も喋らない。
フリッツはデニスの恋人から、デニスがポルトガルのロケの費用を出したのだと聞く。ジョーのもとを訪れたフリッツ。ゴードンは組織のお金に手を出し、逃げ回っているのだとジョーは言う。
ゴードンの隠れているキャンピングカーへと乗り込んだフリッツ。ここに隠れていないと殺されてしまうとゴードンは言う。さらにゴードンはフリッツに、今更白黒の映画を作る奴がどこにいると文句を言う。しかし、フリッツを監督に選んだのも白黒映画に決めたのも自分だからしょうがないと付け加える。
ゴードンがラッシュを高利貸しに見せた時、彼らは白黒の映画に対して色がないことに驚き非難する。それでもバカなのは自分達で、アメリカの監督を使ってカラー映画にしていたら今頃億万長者だっただろうとゴードンは後悔する。その後、二人は映画論を白熱させる。
キャンピングカーを降りた二人。そして、何者かにゴードンが撃たれる。とっさにフリッツはカメラを取り出し、周りを撮影し始める。そして、フリッツも撃たれてしまう。
映画『ことの次第』の感想・評価・レビュー
人から何を言われても譲れないこだわりってありますよね。自分自身はそのこだわりに対して熱意を持っていますが、周りの人は意外とそのこだわりを鬱陶しいと冷ややかな目で見ているのかもしれません。
今作で描かれていたのは、作品へのこだわりが強すぎて資金難となってしまい、制作がストップしてしまう映画のお話。映画に人生をかける人たちの熱意や情熱をものすごく熱く描いていて、見ていて圧倒されました。
どんな状況でも「撮る」という彼らの姿勢が描かれたラストは鳥肌が立ちました。(女性 30代)
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