この記事では、映画『後宮の秘密』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『後宮の秘密』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『後宮の秘密』の作品情報
上映時間: 122分
ジャンル:歴史、サスペンス
監督:キム・デスン
キャスト:チョ・ヨジョン、キム・ドンウク、キム・ミンジュン、パク・チヨン etc
映画『後宮の秘密』の登場人物(キャスト)
- ファヨン / スヨン宮(チェ・ヨジョン)
- 王宮に仕える府院君、シン・イクチョルを父に持つ美しい娘。屋敷の下手人であるクォニュと密かに愛し合っていたが、王の後宮として強引に王宮へ召し上げられてしまう。
- ソンウォン大君(キム・ドンウク)
- 王の腹違いの弟。ファヨンに想いを寄せており、彼女目当てでシンの屋敷に出入りしていた。実の母である大妃の指示を忠実に守っているが、自分を利用して王座に居座る彼女に反発を始める。
- クォニュ / チュンヨン(キム・ミンジュン)
- シンの屋敷の下手人。クォニュとの仲を裂かれた上、シンの命によって去勢された。その恨みを晴らすため王宮に忍び込み、大妃の手下となって暗躍する。
- 大妃(パク・チヨン)
- ソンウォンの実母。不遇の時代を息子を守りながら生き抜き、いずれ自らが王座に就き権力を得るため悪事を企てる。
- クモク(チョ・ウンジ)
- ファヨンの侍女。ファヨンへの想いが届かず自暴自棄になったソンウォンに犯され、彼の後宮として権力を得る。
映画『後宮の秘密』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『後宮の秘密』のあらすじ【起】
ソンウォン大君(テグン)は、府院君(プウォングン)であるシン・イクチョル参判(チャムパン)の娘、ファヨンに想いを寄せており、彼女目当てにシンの屋敷を度々訪れていた。ソンウォンが王宮へ戻ると、彼の母である大妃は、勉強もせずシンの屋敷に入り浸る息子に向かって「王様と腹違いのお前は王室には疎ましい存在だ。余計な面倒は起こすな」と忠告した。翌日、大妃はソンフォンの兄である王へ「世継ぎもなく後宮も迎えないのは私の陰謀だと噂されています」と迫り、国中から彼の妃を募った。
王が見初めたのはファヨンであった。それを知ったソンウォンはシンの屋敷へ押しかけると、娘をくれる約束はどうしたと声を荒げた。その喧騒の裏では、ファヨンとその恋人である使用人、クォニュが山へ逃れていた。しかし、シンの遣わした兵達によって二人は引き離された。ファヨンはクォニュを殺さないことを条件に宮殿へ向かったが、彼女が去ってすぐ、クォニュはシンの命で去勢された。
5年後。ソンウォンは放浪の末、兄の体調が悪いと聞き王宮へ戻った。ファヨンの姿を見た彼は、贈り物のかんざしを彼女へ渡し再び王宮から去ろうとした。一方の大妃は、義理の息子である王へ接見を申し出たが、ファヨンから断られてしまった。その時、原因不明の病に侵されていた王は、遂に次の王を指示することなく息絶えた。

映画『後宮の秘密』のあらすじ【承】
大妃の兵を率いているユン・ジョンホは、大妃から「見事な働きだ」と声を掛けられた。彼は王子と王妃がまだ生きていること、王妃の父も功労者で人望が厚いことを懸念していたが、大妃は彼の心配をよそに、府院君と左議政(チャウィジョン)さえ消えればファヨンも長くは耐えられないと踏んでいた。
王を失ったファヨンは、世継ぎの決定権を持つ大妃を警戒していた。そこへ彼女の臣下が駆け付け、水刺間(スラッカン)の日誌から王の容態が急変した前後の記述が抜けていると報告した。さらに、日誌を記した女官も姿を消しているという。臣下はファヨンの身を案じ、日誌を書いた女を見つけ王が毒殺されたこと証明しなさいとアドバイスした。同じ頃、ユン・ジョンホは会議中のシン参判と左議政を謀反の罪で投獄した。間もなくして、大妃はソンウォンに王座を継がせた。
ソンウォンは大妃の言う通り妃を迎え入れたが、男児を設けるため、主治医に指示されつつ母や臣下に見守られる中で行う性交に不安や恐怖、焦燥感を感じていた。一方のファヨンは侍女のクモクから、大妃殿(テビジョン)の下に地下牢があると聞くと、そこに捕らわれていた女官から真相を聞き出した。王はその日、大妃殿で大妃が用意した昼食を食べたと言う。全てを知ったファヨンは、さらに、宦官の中にクォニュの姿を見つけ狼狽した。ファヨンは人目を盗んで彼に助けを求めたが、クォニュは「自分はユン・ジョンホの手下だ」と告白し、彼女を突き放した。
映画『後宮の秘密』のあらすじ【転】
大妃は、ソンフォンを政治に関わらせることなく自らが王座を占拠していた。自分が飾りになっていることに気付いたソンウォンは大妃に反発するが、彼女は「ファヨンにだけは手を出すな」と息子を牽制した。権限が無いことへ憤慨したソンウォンは、自分の腫瘍を言い当てたチュンヨンと名乗る宦官を、大妃の許可無く王命を伝達する承伝色(スンジョンセク)に任命した。
ソンウォンはシンが処刑されると知り、ファヨンを悲しませないため刑の中止をクォニュへ伝えたが、大妃の息がかかった彼はシンの首が刎ねられる瞬間を見届け王宮へ戻った。父の死を知ったファヨンは泣き崩れ、復讐して気は済んだかとクォニュを責めた。
ファヨンへの想いが実らず自暴自棄になったソンウォンは、彼女の代わりにクモクを抱いた。一夜限りの寵愛ではあったが、後宮としての権力を手に入れたクモクは気を大きくし、ソンウォンがファヨンへ贈ったかんざしを彼女から奪い取った。それを知ったソンウォンは怒り、ファヨンの元を訪れた。そこで、スヨン宮にいたチュンヨンこそシンの屋敷の使用人クォニュだと気付き、ソンウォンは「甥は本当に兄上の子ですか」とファヨンへ詰め寄った。彼女は静かに「真の王になった時、改めてお越しください」と言い、ソンウォンを追い返した。
一方、大妃の臣下達はスヨン宮廃止の決断を大妃へ迫っていたが、彼女は廃止ではなく不慮の事故なら問題ないと進言、ユン・ジョンホは秘密裏にクォニュへ砒素を渡した。
映画『後宮の秘密』の結末・ラスト(ネタバレ)
連日の投薬に嫌気がさしたソンウォンは、主治医が持ってきた薬をクォニュが飲むよう命じた。彼はたじろいだが薬を飲み干し、そのまま吐血して倒れ込んだ。驚いたソンウォンが調剤師に真相を問い質すと、彼はユン・ジョンホの命で砒素を調合したと告白した。
一方クモクは大妃へ、王子は先王の子ではなくクォニュの子であると密告していた。怒り狂った大妃はクモクを捕らえ処刑し、ファヨンも地下牢へ閉じ込めようとした。そこへソンウォンの命を受けた兵達が現れ大妃を捕らえようとしたが、彼女は直接ソンウォンへ弁解に向かった。
王座に座り母を待ち受けていたソンウォンは、彼女に先王毒殺の真相を咎めた。大妃はスヨン宮の仕業とシラを切ったが、遂に先王に砒素を飲ませたと告白した。そこへソンウォンの兵に捕らえられたユン・ジョンホと、一命を取り留めた瀕死のクォニュが連れて来られた。クォニュは大妃とユン・ジョンホに言われ砒素を盛ったと告白し、ソンウォンは母の手下を全員処刑するよう命じた。
息も絶え絶えのクォニュは、「俺達の子を守ってくれ」とファヨンへ頼んだ。しかし、彼女は「王子は誰の子でもない、私の子よ」と言って彼の前から去った。そして、クォニュは処刑場へ向かうまでに体に残った砒素の毒で死亡した。
ファヨンは、真の王となったソンフォンの元へ赴いた。二人は遂に体を重ねたが、ファヨンは悦に入る無防備なソンウォンの首にかんざしを突き立て彼を殺害した。地下牢に幽閉されていた大妃はソンウォン逝去の報せを聞くと、内侍監の持つ刀を奪い覚悟を決めた。
次期王の座に就いたのはファヨンの息子だった。幼い王子は王座へ駆け寄り、ファヨンはその姿を見守った。
映画『後宮の秘密』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
欲望が渦巻く宮中を生々しく描いた歴史サスペンス。性描写や残虐描写のリアルさだけでなく、登場人物達がそれぞれ腹の中に抱えている思惑が見え隠れする描写が恐ろしい。
この映画の舞台は朝鮮の王宮だが、現実世界でも同じような探り合いは起きている。と言うより、実際の社会で起きている権力争いや陰謀をかつての世界線で描いているという印象を受けた。ラストシーンで映し出されるファヨンの眼差しにはゾクゾクさせられた。(MIHOシネマ編集部)
チョ・ヨジョン目当てで鑑賞しました。彼女といえば『パラサイト』での美しいけどちょっと天然で可愛らしい奥様の印象でしたが、今作で彼女が演じた王妃は強さと脆さを併せ持ったような儚い女性と言った雰囲気で、物凄く魅力的でした。
人間の強欲さを感じましたが、それ以上に愛する者のために強くいられる女性のかっこ良さも感じました。
韓国映画の独特な雰囲気はありますが、とても面白いのでオススメしたい作品です。(女性 30代)
宮廷の華やかさと血のにおいが混ざり合う後宮の世界が、一瞬たりとも目が離せない緊張感で描かれていて圧倒されました。ヒロインのウンギョが孤独な復讐の炎を抱えながら、王の愛を得るために策略を巡らせる姿は、美しくも恐ろしく、見事な演技でした。特にラストでウンギョが真実を知り、冷徹な決断を下す瞬間は、この映画の全てが収束するような痛みを伴う衝撃でした。(20代 男性)
色とりどりの衣装や宮廷装飾の美しさが目を引くだけでなく、女性たちの激しい権力闘争が息苦しい息づかいで伝わってきました。ウンギョの純粋な愛が、やがて復讐へと変わる様は胸が締めつけられるようでした。王とウンギョの間に芽生えた本物の愛情を感じつつも、周囲の陰謀がそれを壊していく描写がとても切なかったです。(30代 女性)
韓国時代劇の中でも、ここまで官能的かつ陰惨な作品は珍しいと感じました。王妃との対決、皇帝の愛情と臣下たちの裏切り。夜毎繰り広げられる陰謀と愛欲の渦中で、ウンギョが最後に見せる強さと覚悟には脱帽です。ただの純愛物語ではなく、自分を取り戻すための血の復讐劇としても高く評価したい作品でした。(40代 男性)
ムン・ソリ演じる王妃が醸し出す圧倒的な存在感に引き込まれました。若く鮮やかに宮廷に舞い降りたウンギョが、一瞬でその世界の支配力を知り、戦う様子はまるで現代の権力社会を映し出す鏡のようでした。ラスト、ウンギョが復讐を果たし、清算を迎えるあの瞬間は清々しさと悲しさが奇妙に混ざり合っていて、深く印象に残ります。(50代 女性)
宮廷の美しさとは裏腹に、女性たちの間に渦巻く嫉妬と憎悪がまるで生き物のように動きまわる濃密な人間ドラマでした。ウンギョが自分を守るために知恵と覚悟を使い分けていく様は圧巻。あの刺客との対峙シーンも美しく恐ろしく、韓国映画らしい情念の深さを感じました。主演の姿に見惚れてしまいました。(30代 男性)
後宮という閉塞した空間で、女性たちがどんな武器を使い、生き抜いていくのかが凝縮された物語でした。ウンギョが王の側室として迎えられてからのジレンマと、王妃を相手にした駆け引きは、観ていて息をするのを忘れるほど。最終的に自らの復讐を果たす姿は、美しさと怖さが同居し、ゾクゾクしました。(20代 女性)
映像の美しさもさることながら、音楽や効果音を使った演出が非常に秀逸でした。特に夜の宮廷で繰り広げられる陰謀のシーンは、静けさの中に漂う狂気が際立ち、忘れがたいインパクトがありました。ウンギョの目が覚めたかのような「復讐の時だ」という瞬間には思わず息を呑みました。(40代 女性)
女性監督視点かと思うほど、ウンギョの心理描写が繊細且つ深かったです。初めはただ純真だった彼女が、王に愛され、そして裏切りの渦中で真の強さを手に入れるまでの過程が綿密に描かれていて、心を揺さぶられました。ラストの逃亡ではなく選ぶ復讐には、彼女の自立と決意が表れていてカタルシスがありました。(30代 男性)
映画『後宮の秘密』を見た人におすすめの映画5選
オールド・ボーイ
この映画を一言で表すと?
衝撃のラストが脳裏に焼きつく、復讐と愛の究極系サスペンス。
どんな話?
15年間監禁された男が、突如解放されたのち、自分を閉じ込めた相手を探して復讐に挑むミステリー。彼の行動の裏には、想像を絶する因縁と秘密が隠されていた…。
ここがおすすめ!
『後宮の秘密』のように、欲望・愛・復讐が交錯する物語を求める人にぴったり。ストーリーの緻密さと、ラストで明かされる衝撃の真相は圧巻。ダークで美しく、余韻が残る一作です。
ファン・ジニ 映画版
この映画を一言で表すと?
朝鮮王朝を舞台にした、愛と芸と誇りを貫く女性の生き様。
どんな話?
名妓ファン・ジニが身分制度や恋、芸の極みの中で揺れ動きながらも、女性としての誇りを失わず生き抜いていく姿を描いた歴史ロマンス。実在の人物に基づく感動作。
ここがおすすめ!
『後宮の秘密』と同様、強く美しく生きる女性が主人公。宮廷や妓楼の美術、衣装も華やかで、映像美に浸りながらドラマティックな展開が楽しめます。キム・ヘスの演技が光ります。
女帝 エンペラー
この映画を一言で表すと?
権力と愛欲の頂点に君臨した、女性の壮絶な人生絵巻。
どんな話?
中国・唐の時代、後の則天武后が皇后から女帝に上り詰めるまでの波乱に満ちた人生を、政治闘争や宮廷の陰謀を交えて描いた歴史スペクタクル。
ここがおすすめ!
『後宮の秘密』と同じく、女性が男社会で権力を得るまでの駆け引きが主軸。衣装やセットも豪華で、見る者を宮廷の世界へ没入させてくれます。歴史ドラマと人間模様をじっくり味わいたい人におすすめ。
宮廷女官チャングムの誓い(劇場編集版)
この映画を一言で表すと?
不屈の精神で道を切り開いた、一人の女性の成長物語。
どんな話?
身分の壁を越えて、医女として王の側近となったチャングムが、さまざまな試練を乗り越えながらも正義と誠意を貫き、朝廷内外で活躍していく姿を描いた大河的ストーリー。
ここがおすすめ!
陰謀渦巻く宮廷の中でのサバイバルという点で『後宮の秘密』と共通。こちらはやや健全で前向きな物語ですが、女性の生き様と芯の強さを描いており、感情移入しやすいです。
愛の囚人(The Treacherous)
この映画を一言で表すと?
官能と裏切りにまみれた、美しき暴君の宮廷絵巻。
どんな話?
朝鮮王朝の暴君・燕山君と、彼を取り巻く1000人の美女たち。権力のために忠義を装う者、愛を武器にする者、欲望に堕ちる者…混沌とした宮廷の中で繰り広げられる裏切りと愛欲のドラマ。
ここがおすすめ!
『後宮の秘密』に匹敵するほどの官能描写と、策略が入り乱れる展開が魅力。耽美で刺激的な映像表現と心理戦を堪能できる一作です。美と狂気が同居する物語を好む方にぜひ。
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