映画『マチネの終わりに』の概要:芥川賞作家・平野啓一郎の同名ベストセラー小説を実写化した一作。世界的なクラシック・ギタリストの男性とパリでジャーナリストとして働く女性が運命的に出会い、翻弄されていく様を追う。
映画『マチネの終わりに』の作品情報
上映時間:123分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:西谷弘
キャスト:福山雅治、石田ゆり子、伊勢谷友介、桜井ユキ etc
映画『マチネの終わりに』の登場人物(キャスト)
- 蒔野聡史(福山雅治)
- 日本を基盤に活動するクラシック・ギタリスト。世界的デビューを果たしているが、突如活動を休止してしまう。洋子と出会い、運命に翻弄されながらも愛情を貫こうとする。
- 小峰洋子(石田ゆり子)
- 有名な音楽家の父親を持ち、パリでジャーナリストとして働く女性。偶然にも友人に招かれたコンサートで聡史と出会い、婚約者がいる身ながら惹かれ合ってしまう。
- 三谷早苗(桜井ユキ)
- 聡史の専属マネージャー。音楽活動以外でも聡史の人生が上手くいくように必死にサポートするものの、空回りしてしまい大きな後悔を抱えて生きる。
- 是永慶子(板谷由夏)
- 洋子が留学していた頃に出会った友人。レコード会社に勤め、聡史の作品を担当している。聡史と洋子が出会うきっかけを作った人物。
映画『マチネの終わりに』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『マチネの終わりに』のあらすじ【起】
留学時代の友人・慶子との待ち合わせ場所に到着した洋子。「慌てたら幸せが逃げていく」という洋子はどんな時も焦ることはない。その日はクラシック・ギタリスト蒔野聡史のコンサートである。初めて挨拶した洋子に対して「実は舞台の上からお誘いしてました」と体調が優れない中でも口達者に口説き文句を並べる聡史。過去に聡史のデビューコンサートを見ていた洋子は、父親と聡史の繋がりを話すのだった。食事会後も意気投合した二人。陽子は聡史に見送られ、タクシーに乗り込むのだった。
ビジネスパートナーである慶子に急遽ツアーをキャンセルしたいと申し出た聡史。着地点のない話し合いの最中、容子が住むパリで大規模なテロが起きているとニュースが報じる。慶子も聡史も洋子と連絡がつかずにいたが、聡史は何とか返事をもらいたい一心で連絡を続けるのだった。
記者である洋子はパリの惨状を伝えるべく現場に出ていた。本社に戻り聡史のメールを見て一息ついたとき、取材相手に会うという同僚に声をかけられた。取材素材を置いてから合流すると伝えエレベーターに乗った洋子。その矢先に新聞社の本社ロビーで大きなテロが起きるのだった。
映画『マチネの終わりに』のあらすじ【承】
ニューヨークで働く婚約者にも心の内を明かせずにいた洋子は、聡史に頼ってしまった。マドリードでの公演前に洋子に会いに向かった聡史は「結婚を止めに来た」と想いを伝えてしまう。少し強引な聡史の言葉に戸惑う洋子だが、「マドリード公演後まで返事を待ってほしい」と返事をする。マドリードのマチネ公演の席を用意すると聡史は約束しパリを離れるのだった。
コンサートには出向けなかった洋子はだが婚約者と話しをし、聡史を自宅に招いた。取材中に怪我をした同僚を介抱する洋子を目の当たりにして、聡史はギターを手に取り二人を癒そうとする。その晩、二人は互いの気持ちを確かめ合い、日本で再会する約束を交わすのだった。
洋子が日本に到着した日、バスターミナルに迎えに行く約束をした聡史だったが、師である祖父江が倒れたと聞き急いで病院に向かった。携帯をタクシーに忘れてしまい洋子に連絡が取れずにいたが、代わりにタクシー会社へ向かったマネージャーの三谷は二人のやり取りを見てしまい嫉妬に狂う。そして三谷は聡史に携帯を返さず、勝手に洋子へ別れのメッセージを送るのだった。
映画『マチネの終わりに』のあらすじ【転】
新しく調達した携帯で「長崎で落ち合おう」と洋子に連絡する聡史だが、一方的に別れを告げられたと思っている容子は当然拒絶し続ける。すれ違う二人は再会することなく、歳月が流れるのだった。
祖父江が亡くなった。葬儀に参加した聡史は幼い娘を抱き、三谷と並んでいる。二人は結婚し、新たな人生を共に歩み始めたのである。祖父江の一番弟子としてトリビュートアルバムに参加して欲しいと慶子から提案を受けた聡史だが、音楽と離れている時間が長く乗り気にはなれなかった。さらに、洋子は婚約者と結婚しニューヨークに居ると知らされ心揺らぐのだった。
洋子は華やかな世界に身を置く夫を懸命に支えていた。一人息子も授かり順風満帆に思えたが、その表情は浮かない。婚前に一度裏切ってしまったことで夫は堂々と浮気を繰り返すのである。耐えかねた洋子は離婚手続きを始め、人生の再構築を目指すのだった。一方で聡史は洋子のことを思い返し、「幸せの硬貨」と名付けた新曲の制作を始めた。
映画『マチネの終わりに』の結末・ラスト(ネタバレ)
妻としてではなく、マネージャーとしてデビュー公演を行ったホールで再起公演を行ってほしいと願っていた三谷。会場を押さえに交渉するためニューヨークに出向いた三谷は洋子に会いに行った。そして洋子と聡史を離れ離れにしたのは自分が原因だと告げるためである。「聡史が人生の全て」と言い切る三谷は、聡史の再起公演を見に来て欲しいと洋子に伝え、その場を去るのだった。
離婚調停も順調に進み夫が息子と過ごす予定の日、一人になった部屋で洋子は三谷から渡された祖父江のトリビュートアルバムを手に取った。聡史が紡いだ言葉に触れ、感情を抑えきれなくなった洋子は会場へと駆けるのだった。
会場で洋子の姿を見つけた聡史は「幸せの硬貨」を披露した。アンコールで「公演後、セントラルパークの池のあたりを散歩するつもりだ」と語る聡史。もちろんそれは洋子へのメッセージである。マチネの終わりに再会した二人。高ぶった感情を抑えながら、微笑み合うのだった。
映画『マチネの終わりに』の感想・評価・レビュー
「運命の出会い」なんて打ち出しの物語はあまり好まない。ただ、この二人の出会った瞬間はまさに「運命」だったように思う。距離を厭わず心を通わせていく二人、偶然にも弱みを誰にも見せられないことが共有項だった。40代という人生の佳境に差し掛かり、捨てがたいものも気づき上げているはずの2人がすれ違いながら目線を合わせる様はとても艶やかである。年齢を重ねても美しくいる主演のふたりだからこそ持つ画ではあるが、時にはロマンチックな感情に浸るのもいいだろう。(MIHOシネマ編集部)
クラシックギターの優しい音楽が映画全体の雰囲気を作りだしています。「過去は変えられないが、未来は変えられる」とよく聞きますが、この作品では、出来事によって過去の出来事の意味も大きく変わる可能性があるという一つのメッセージを伝えています。
最後は余韻を残したまま観客に未来を委ねる終わり方です。原作を読んだときに大人の素敵な恋愛物語だなと思ったのを記憶していましたが、映画では設定や台詞に無理を感じるところがあり賛否両論あると思います。観た後に原作を読み直したい気持ちになりました。(女性 40代)
福山雅治と石田ゆり子のふたりの存在感が大きく、ぐいぐい物語に惹き付けて離さない。福山雅治はこの映画の為にクラシックギターを練習し、吹き替えなしで演じたというところも好感が持てる。お陰でシーンのリアル感が増したら良かったのだが、撮影の仕方が悪かったのかあまりリアリティは増していないのが残念だ。
ふたりが演じるキャラクターは非常に良かったが、悪役があまりに不快で視聴が辛いほど。それが原作再現した結果なのかもしれないが、もう少し何とかならなかったのか。(男性 30代)
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