『ランボー』の監督を務めたテッド・コッチェフ監督が1971年に発表した異色の西部劇。破滅の道を歩む男の姿を描く。マーティン・スコセッシが「すさまじい程に不快な映画」と評したという逸話がある。
映画『荒野の千鳥足』 作品情報
- 製作年:1971年
- 上映時間:109分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:テッド・コッチェフ
- キャスト:ドナルド・プレザンス、ゲイリー・ボンド、チップス・ラファティ、シルビア・ケイ、ジャック・トンプソン etc…
映画『荒野の千鳥足』 評価
- 点数:40点/100点
- オススメ度:★★☆☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★☆☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『荒野の千鳥足』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『荒野の千鳥足』のあらすじを紹介します。
オーストラリアの田舎町の小学校に赴任した教師ジョンは、クリスマス休暇を使い、シドニーに住む恋人の元へ向かう途中、ブンダンバヤという奇妙な街で一泊することになった。
ブンダンバヤの住民に手厚くもてなされ、山のようにビールを飲み、ギャンブルをする。これまでに経験のない荒廃した世界に魅了されるうちに、少しずつ精神が蝕まれていく。
ビールを飲む、ビールを飲む、ひたすらビールを飲むジョン。
翌日も住民たちにビールを飲まされ、ビリヤードに誘われ、若い主婦に誘われ。いつの間にか恋人のことを忘れてしまったジョンはブンダンバヤにとどまり、数日前からは考えられないほど堕落した生活を送るようになる。
映画『荒野の千鳥足』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『荒野の千鳥足』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
アメリカン・ニューシネマな映画
まず、『ランボー』について触れざるを得ませんね。テッド・コッチェフの代表作にして、アメリカを代表するシリーズです。
『ランボー』は、アクションに閉塞感と絶望感を塗ったくった映画です。主演したシルヴェスター・スタローンの代表作『ロッキー』がぶっ壊したアメリカン・ニューシネマの香りがプンプンする映画でしたね。1作目のランボーは筋肉バカ映画じゃないんですよ。知ってました?
で、本作。『ランボー』のアメリカン・ニューシネマ感はテッド・コッチェフが持ち込んだものであるというのがよく分かりました。本作は典型的なアメリカン・ニューシネマです。
しかし、様々なアメリカン・ニューシネマの中でも最も不快な映画の一つだと言えるでしょう。とにかく、ジョンのビールの飲み方が汚い。「浴びるように飲む」とはこのことですね。とにかく下品です。
さらに、ブンダンバヤの住民たちの文明から取り残されている感じ。堕落を体現した人々の暮らしと趣味。吐きそうになるとは言いませんけど、見てられない。
でも、ジョンはブンダンバヤに魅了され、恋人や仕事のことなど忘れてしまいます。
教師はお固い仕事の代表格でしょう。ベテラン教師が堕落に溺れるのは、堕落そのものが魅力的だからです。本能のまま生きることがどれだけ快感なことか!
本作がなぜ不快なのか。人間の本質が見え隠れするからです。映画って素晴らしいですよ。こんな表現ができるんだから。
仲間と酒を飲み、ワイワイ盛りあがって楽しい雰囲気になっているともうどうにでもなれ!と全てを投げ出してしまう瞬間ってありますよね。大抵の人は酔いが覚めた時に、やらかしてしまったと現実を受け止めて戻ってくるのでしょうが、酔いが覚める前にまた次のビールを…と飲み続けているとジョンのように破滅の道へと突き進んでいってしまうかも知れません。
ジョンがこんなことになってしまった野は、根が真面目な性格だったからでしょう。普段から少しリラックスして自分を労わっていてあげたら、破滅の道へは進まずに済んだと思うんです。
不快という表現がぴったりな今作ですが、もしかしたら自分も…という危機感を持たせてくれました。(女性 30代)
映画『荒野の千鳥足』 まとめ
本作を見ていると、人間も動物だということがよく分かります。
「私は現代人だからこんなことにはならない」なんて考えは酒の前では通用しません。
誰だって、酔いつぶれることはあるでしょう。普段は真面目でいい人だと思われている人でも、酒を飲むと我を忘れてしまう。
ずーっと飲まされ続けたら?本能をくすぐるギャンブルや狩りに参加させられ、堕落を叩きこまれたら?ジョンの用になってもおかしくはありません。
今だって、日本のどこかで北九州一家殺害事件のような事件が起きているかもしれない。人間はいつどうなるかわかりません。
まあ、本作を見た後だから大げさに表現しているだけで、かなりのレアケースではありますけどね。映画を見た後の妄想は膨らみすぎてしまって困ります。
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