映画『コワイ女』の概要:コワイ女による恐怖体験をオムニバス形式に描いたホラー映画。トラウマ必須の悪霊女が登場する『カタカタ』。異形の女にストーカーされる恐怖『鋼-はがね-』。優しかった母親の変貌ぶりが恐ろしい『うけつぐもの』。幽霊から人間まで、コワイ女が勢揃い。
映画『コワイ女』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:ホラー
監督:雨宮慶太、鈴木卓爾、豊島圭介
キャスト:中越典子、小林裕子、豊原功補、柄本佑 etc
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映画『コワイ女』の登場人物(キャスト)
- 吉沢加奈子(中越典子)
- 1話『カタカタ』の主人公。恋人・晃とは婚約を控えている。マンションの前で不思議な少女と出会い、怖い女(カタカタ)に追い詰められていく。
- 田崎晃(豊原功補)
- 加奈子の恋人。バツイチで、元妻から何度も連絡が来ることを気にしている。
- カタカタ(小林裕子)
- 長い黒髪と赤い服が印象的な女性。恐ろしい動きと表情を見せながら、ストーカーのように加奈子を襲う。歩くスピードがとても速い。
- 関口幹夫(柄本佑)
- 2話『鋼-はがね-』の主人公。自動車整備工場で働く19歳の真面目な青年。鋼に気に入られたことで、日常を壊される。
- 高橋鉄(香川照之)
- 関口が働く自動車整備工場の社長。妹の鋼と部下の関口をくっつけようと画策する。
- 高橋鋼(菜葉菜)
- 上半身をズダ袋で覆った女の子。ズダ袋の中身がどうなっているのかは不明。美脚の持ち主。
- 道男(須賀健太)
- 3話『うけつぐもの』の主人公。小学生の少年で、両親の離婚を機に母親の実家へ引っ越す。母親のことを健気に愛している。
- 菱川冴子(目黒真希)
- 道夫の母親。幼い時に兄を亡くしている。息子想いの優しい性格だが、蔵で掛け軸を見つけたことをきっかけに性格が豹変する。
- 菱川敏江(左時枝)
- 道夫の祖母で冴子の母親。実家に戻った冴子と道夫を異様に心配している。
映画『コワイ女』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『コワイ女』のあらすじ【起】
『カタカタ』
歩道の道路沿いにポツリと置かれた花瓶。そこに挿入された花は既に枯れており、悲しい雰囲気を漂わせていた。しかし、一台の車が通りすぎた際に花瓶は倒されてしまう。その車には加奈子とその恋人・晃が乗っていた。
加奈子は晃との婚約を控えており、別れ際に彼からプレゼントをもらう。それは真珠が付いたシルバーイヤリングだった。加奈子と結婚する予定の晃だが、最近元妻から頻繁に連絡が来るようになり、困り果てていた。
晃の車から降りた加奈子が、マンションの前を通ると、「カタカタ」という不気味な音が鳴り響いた。その直後、先程晃にもらったはずのイヤリングが空から降ってきて、加奈子は呆然とする。イヤリングは醜いサビで覆われており、しばらく見つめた後、加奈子の頭に何かがぶつかり、彼女は意識を失う。
目覚めた加奈子は、1人の少女と出会い、再び「カタカタ」という音を聞く。少女はその場からいなくなり、加奈子は突然頭に痛みを感じる。帰宅した加奈子は友人と電話しながら頭の傷を治療していた。その傷は先程気を失った際に出来た傷だった。
ソファでリラックスしようとしていた加奈子だったが、不気味な女の声を聞き、「誰?」と叫ぶ。その時、携帯が鳴り、晃から電話が来ていることに気が付く。晃が切羽詰まった声で、「元妻に刺された、お前は家から出るな」と加奈子に言うと、音声にノイズが走り、電話が切れてしまう。
その後、加奈子は風呂場からお湯が流れていることに気が付き、止めに行く。洗面所から廊下に移動すると、赤い服を身に纏った不気味な女(以下 カタカタ)と目が合い、加奈子は恐怖する。長い髪で片目を隠したカタカタは、憎悪の表情を加奈子に向け、手には包丁を持っていた。
カタカタは不気味な音を鳴らしながら、加奈子にじわじわと近付く。恐怖した加奈子はカタカタに花瓶を投げつけると、マンションから逃げ出す。
映画『コワイ女』のあらすじ【承】
勢いよくマンションから飛び出した加奈子だったが、外でもカタカタに追われ、パニック状態になりながらも、なんとか交番に辿り着く。そこで、晃に電話をかけるものの、何度も同じ言葉を繰り返す彼の異常さに恐怖し、携帯を壊してしまう。加奈子が交番内の天井を見上げると、カタカタが不気味な笑みを浮かべて加奈子を見下ろしていた。
加奈子は交番から逃げ出し、十字路に到着すると、「誰か助けて」と叫び、パニック状態で辺りを見渡した。加奈子は再び走り出し、路地に入ると、陰気な雰囲気を醸し出す集団と出くわす。彼らの視線の先には血に塗れた白い手があった。
その手を見ていた時、突然加奈子は少女に手を掴まれる。その少女は加奈子が気を失った際に見かけた少女だった。少女が指さす先を見て、加奈子はマンション前の花瓶の存在を思い出す。かつて、その花瓶には綺麗な花が立てられており、周りにもおもちゃやジュースが供えられていた。そして、加奈子はある女性の存在を思い出す。それは、花瓶をいつもマンションの上階から眺めている不気味な女性だった。
「カタカタ」と再び音が鳴り、カタカタが加奈子を追いかける。加奈子は、少女の導きでマンションの階段を上っていく。偶然入ったフロアには、喪服の女性達がおり、全員陰鬱そうな雰囲気を醸し出していた。1人の女性に導かれ、加奈子はそのフロアの外廊下へ向かう。カタカタが喪服の女性達の隣を通ると、彼女達は苦しい声をあげながら消滅していった。外廊下でカタカタに追われる加奈子は全力で走り、灯りの点いた部屋へ逃げ込む。
加奈子が辿り着いた部屋は、白い半透明な布と赤い紐が飾られ、ぬいぐるみがあちこちに吊るされている奇妙な部屋だった。壁には母子の写真が貼られ、母親の顔だけが切り取られていた。鍵をかけたはずの部屋にカタカタが侵入し、不気味な動きを繰り返しながら加奈子に迫る。部屋の窓際まで追い詰められた加奈子がカーテンを開けると、白い空間に投げ出され、彼女は病院のベッドで目を覚ます。
加奈子が病院に運ばれたのは、飛び降り自殺の巻き沿いをくらい、その自殺者と体が癒着してしまったためだった。カタカタに襲われたのも全ては夢だったと加奈子は考える。晃の元妻が頻繁に連絡してきたのは、元妻の方も再婚が決まったという報告をしたかったからで、晃は刺されてなどいなかった。マンションの前に置かれていた花瓶は、少女が亡くなった際のもので、加奈子は花瓶の前で手を合わせ、自身を助けてくれた少女に感謝の念を送る。
マンションの上階から花瓶を見つめていた女性は少女の母親で、加奈子は母親の気持ちを知るために、マンションの同じ場所から花瓶を見つめる。すると、母子の霊が加奈子の前に姿を現し、「逃げて」と加奈子に伝える。状況を把握できないまま、加奈子はカタカタと再会し、身動きを封じられる。時間は夜に変わり、マンション下には意識を失う前の加奈子の姿があった。抵抗も空しく、加奈子はマンションから落とされ、自分自身とぶつかってしまうのだった。
映画『コワイ女』のあらすじ【転】
『鋼-はがね-』
夜中に道を歩いていた関口は、奇妙なズダ袋姿の人間が歩いているところを目撃する。理不尽なことに、何故か関口はその人物から体当たりを食らう。翌日、勤め先の自動車整備工場で、社長の高橋と会話した関口は、突然高橋に「妹とデートしてくれ」と頼まれてしまう。写真に写る妹はとても可愛らしく、関口は内心ニヤリと喜んでいた。
その次の日、デートに心躍らせる関口は、借りた車で高橋宅を訪ねる。しかし、そこにいたのは、例のズダ袋を被った人間だった。ズダ袋の正体は高橋の妹・鋼(はがね)で、高橋はその異様なルックスを見て内心動揺していた。鋼は上半身こそズダ袋だが、下半身は普通の人間で、スラリと伸びた美脚を見せつけていた。
鋼とのデートは散々なもので、川に飛び込ませられたり、顔を足で蹴られたりと、バイオレンスそのものだった。鋼の美脚に魅せられていた関口は、自室で彼女と体を重ねることを決意するが、途中でズダ袋の紐を解いたことで彼女を怒らせてしまう。しかし、鋼は関口を気に入り、彼に付きまとい始める。高橋も関口にしつこく「妹を頼む」と言うようになり、関口は追い込まれていく。
関口はそんな兄妹から逃げるために、夜中に家を出るが、鋼に見つかってしまう。鋼と攻防を繰り返す内に、彼女に情が移った関口は、最終的に彼女と体を重ね合う。しかし、鋼は愛する関口をズダ袋の中へ誘導し、そのまま食してしまう。というのも、鋼の口はズダ袋内の腹部に存在し、不幸なことに関口はズダ袋に入ったことで飲み込まれてしまったのだ。
鋼は関口を失ったことを悲しみ、高橋も残念そうな表情を見せた。しかし、時間が経つと、鋼は何事もなかったかのように立ち直り、いつもの日常に戻る。ミシンが得意な彼女は、青いスカートを自分で制作して着ると、楽しそうな声をあげながら外で踊るのだった。
映画『コワイ女』の結末・ラスト(ネタバレ)
『うけつぐもの』
小学生の道夫は、両親の離婚をきっかけに、母親と共に祖母の家へ引っ越し、新たな生活を始めていた。ある晩、庭で男の子を見かけ、それが仏壇の間に飾られている写真の少年だと気づいた道夫は、母・冴子に少年の存在を聞く。その少年は冴子の兄、つまり道夫の伯父にあたる人物だった。伯父・正彦は7歳の時に行方不明になり、そのまま消息がつかないままだった。
翌日、冴子は家族写真を眺めていると、道夫の姿が見えないことに気が付き、兄・正彦が消息を絶った蔵に足を運ぶ。冴子はその蔵で、ある掛け軸を見つけてしまう。その翌朝、冴子は普段吸わない煙草を何本も吸い、家を出ていった。母の変貌ぶりを見た道夫は、恐怖に似た感情を抱く。その晩、道夫はトイレに行くために母を呼んだが、冴子は部屋におらず、蔵の中で座り、掛け軸を眺めていた。
それから冴子の行動は増々おかしくなり、その異変に気づいた祖母・敏江は、孫を守るために冴子の元夫へ電話をかけるが、冴子に阻止されてしまう。冴子は嫌がる道夫を蔵に無理矢理閉じ込め、道夫はそこで伯父・正彦が祖母・敏江に殺されていたことを知る。敏江が恐れていたのは、娘・冴子が自分の二の舞になり、道夫を殺してしまうことだった。
ついに冴子の精神は崩壊し、道夫を殺害することで頭がいっぱいになる。道夫はそんな母から逃げようとするが、一瞬だけ本来の姿を見せた母に同情し、母に身を任せてしまう。翌朝、冴子と道夫は蔵にいた。冴子は愛しい息子を抱きながら優しい子守歌を歌っていたが、息子・道夫は既に息を引き取っていた。冴子が見つめている掛け軸には、亡くなった息子を抱く母親の姿が描かれていた。
映画『コワイ女』の感想・評価・レビュー
『コワイ女』というタイトル通り、化け物から生きている人間まで様々な恐ろしい女性が登場。『カタカタ』はホラーテイストが濃く、視覚的なインパクトに満ちており、カタカタの不気味すぎる姿がトラウマを与える。一方、少し恋愛テイスト(?)も入っている『鋼-はがね-』は、ギャグとホラーが隣り合わせで混在しており、怖くも楽しい気分にさせてくれる。最後の1話『うけつぐもの』は、母から子へ受け継がれる屈折した愛情の連鎖を描いており、愛するが故に息子を殺害する母親の姿が、切なく描かれている。(MIHOシネマ編集部)
「カタカタ」は赤服の女性に追い回される、いかにもなホラー。追われる理由も分からない、トラウマ連続のパニックホラーです。「鋼」は謎の恋愛要素が含まれた、ホラーコメディです。無駄にきれいな足に目が行ってしまいますし、すぐ転んでしまう鋼のドジ加減にも愛嬌を感じます。ビジュアルは十分怖いですが…とても魅力的な物語だと思います。「うけつぐもの」は母親がおかしくなる様子を、息子と一緒になって怯える物語です。子供目線で母親がおかしくなる演出は、別の意味で怖いです。(男性 20代)
違うテイストの「コワイ女」をオムニバス形式で描いた今作。どれも、面白いストーリーでとてもよく出来た展開でしたが、私が一番好きだったのは「鋼」です。香川照之の表情がストーリーに不気味さをプラスしていて、ずだ袋の中の鋼の奇妙な身体の正体が分かった時にゾッとしました。
3つのストーリーしか見られなかったのが惜しいほど、私好みの作品だったのでもっと色々なシチュエーションで「コワイ女」たちを見てみたいなと思いました。(女性 30代)
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