映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』の概要:フェイクドキュメンタリーシリーズ「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」の劇場版。呪われた廃村に向かった取材班が、呪いを解くために過去の因縁と対決する。監督は、カメラマン役としても出演している白石晃士。
映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』の作品情報
上映時間:80分
ジャンル:ホラー
監督:白石晃士
キャスト:大迫茂生、久保山智夏、白石晃士、宇賀神明広 etc
映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』の登場人物(キャスト)
- 工藤仁(大迫茂生)
- あらゆる怪奇現象を追及する「コワすぎ!」シリーズのディレクター。粗暴な性格でカッとなりやすく、口も悪い。幼い頃、目の前で両親を殺されたが、頬に傷があるという特徴にも関わらず犯人は捕まっていない。取材中に手に入れた呪いの髪の毛を、武器として持ち歩いている。道玄から忠告を受けるが、タタリ村への取材を強行する。
- 市川美穂(久保山智夏)
- 「コワすぎ!」シリーズのアシスタント。芯が強く、しっかりした女性。ディレクターの工藤から暴力を振るわれることもあるが、臆せず言い返す。
- 田代正嗣(白石晃士)
- 「コワすぎ!」シリーズのカメラマンの男性。何があってもカメラを手放さず、記録し続ける。映像に映ることは少ない。
- 宇龍院道玄(宇賀神明広)
- 浄霊師の男性。口が悪い。番組に協力した過去があり、ゲスト兼協力者としてとして呼ばれた。工藤が呪いの髪の毛を持ち歩いている事を嫌がっている。不吉な予感を感じながらも、撮影に同行する。
- 小明
- 落ち目のアイドル兼コラムニスト。バラエティのノリで良いと言われ、ゲストとして出演することになった。
- 斎藤雅彦(金子二郎)
- 有名な章を受賞した物理学者。科学の視点からの意見を求められ、ゲストに呼ばれる。すべては科学で解明できると思っており、人を小ばかにしたような態度を取る。
- 金子勝(金子鈴幸)
- 「コワすぎ!」シリーズファンの青年。入ると発狂して消える、死んでしまうと噂の廃村“タタリ村”に彼女と入り込んで恐ろしい目に遭う。撮影していた映像を投稿し、取材班に相談を持ちかける。それがきっかけで、タタリ村への取材が決まる。
- コワすぎ!取材班<工藤仁(大迫茂生)、市川美穂(久保山智夏)、田代正嗣(白石晃士)>
- あらゆる怪奇現象を取材し、追及するホラードキュメントDVD「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズのスタッフ。ディレクター工藤、AD市川が取材を行い、カメラマン田代がそれを記録している。
映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』のあらすじ【起】
「コワすぎ!」取材班が、3人のゲストと共に撮影場所へ向かっていた。
浄霊師の道玄は不吉な予感を感じていた。
3日前。
スタッフルームに小明、物理学者の斉藤、浄霊師の道玄が呼び出され、投稿映像を見せられていた。
入ると発狂して消えてしまうと噂の廃村“タタリ村”がある。
そこに金子勝という青年が彼女を連れて、探索に向かった。
タタリ村の中で彼女はおかしくなり、近くのダムに身を投げた。
彼女の周りには、白い手のようなものが映りこんでいた。
相談依頼を受けた取材班は、金子の元に取材に向かうが自殺未遂してしまう。
金子は精神を病んでいたこともわかって入院するが、病院から脱走して行方不明になった。
怪談師の吉田経人に取材した取材班。
タタリ村はかつて“ものむら”と呼ばれていた、実在する村だった。
ものむらには、呪術者一族が住んでいて、芸能文化も栄えていた。
戦時中、ものむらの呪術師は軍と手を組み、地下に軍事設備を作っていた。
だが敗戦後、すべての証拠は消され、ものむらの一部はダムの底に沈んだ。
タタリ村は、ものむらの一部の可能性があるらしい。
![](https://mihocinema.com/wp-content/uploads/2023/08/kowasugi-movie-160x90.jpg)
映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』のあらすじ【承】
取材班とゲストたちはタタリ村に向かう。
電力会社の敷地内と知った斉藤は嫌がるが、お金の話を出され同行することになる。
山を登り、タタリ村に入った取材班とゲストたちは、動物の無残な亡骸が飾られていることに愕然とする。
道玄は危険だと忠告するが、工藤は聞く耳を持たない。
やがて道玄が霊を呼び出し、斉藤は持参した機械で測定を始める。
そして小明の背後に白い手が出てきて、様子がおかしくなる。
工藤は呪いの髪の毛で小明を殴り、正気に戻すが、その髪の毛は工藤の手のひらに吸い込まれてしまった。
道玄もおかしくなり、突然逃げ出す。
工藤と田代と斉藤は、道玄を探しに向かう。
市川と小明はその場に残るが、小明の具合が悪くなって山を降りることに。
市川が回していたカメラには小明の顔が歪む様子が映っていた。
道玄の生首に襲われた工藤たちは、大きな地響きと巨人の姿を見て、急いで山を降りる。
そして市川たちと工藤たちは合流するが、斉藤と小明も豹変して、忽然と姿を消してしまった。
映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』のあらすじ【転】
スタッフルームに戻った取材班。
市川の腕には、小明に掴まれた時にできたアザがあった。
元防衛省幹部から、ものむらと旧日本軍の話を聞きだす取材班。
ものむらでは、呪術師の協力の元で鬼神兵と呼ばれる霊体兵器を作っていた。
人間の女性に呪術をかけ、人間の魂を食べさせて巨大化するというものだった。
敗戦と同時に、証拠と関係者は消されたが、生き残った人物が存在するという。
そして取材班は、生き残りの老人が住む屋敷に向かった。
敗戦前、密かに鬼神兵の細胞を持ち出した科学者たちがいたという老人。
やがて、“先生”と名乗る科学者の息子が混沌の世界を望み、黄泉の国の神となるため、“夕子”という鬼神兵を作り出した。
老人は、工藤の両親も鬼神兵を作ろうとしていたと教える。
生まれた子供の工藤が男の子だったため、鬼神兵にできなかったが、先生を手伝うことが運命だと笑う老人。
工藤は、運命に逆らえという声が聞こえていると言い、老人を殴る。
老人は、工藤と市川には呪いがかかっていると言う。
工藤の体内に入った髪の毛、市川の腕のアザは呪いの印だった。
映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』の結末・ラスト(ネタバレ)
急いでタタリ村に向かった取材班の前に、先生が現れる。
人間ではない先生を殺せば助かると考えた工藤は、行動に移す。
しかし呪いは解けなかった。
市川は突然、先生の遺体にナイフを突き立てる。
すると先生の遺体を通じて異空間に投げ出されてしまう。
工藤は頬に傷を負い、市川は先生に殺されてしまった。
異空間から山道に投げ出された工藤と田代。
工藤は市川のナイフを手にしていた。
そして目の前には、工藤の両親と幼い日の工藤がいた。
研究をやめないという両親を殺してしまった工藤。
父親は最期に、「運命に逆らえ」という言葉を残した。
市川に導かれ、再び異空間を通って現代に戻った工藤と田代。
目の前には鬼神兵がいた。
呪いを押さえきれなくなった工藤は、怪物と化して鬼神兵と戦い消えてしまった。
その後、1人残されたカメラマンの田代。
カメラに向かって、市川と工藤の捜索の報告をしていた田代の目の前に、工藤と市川が助けを求めてきた。
新宿上空には、謎の物体が出現していたが、正体は明らかになっていなかった。
映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』の感想・評価・レビュー
いつものメンツ(工藤・市川・田代)が大暴れ、といっても、暴れているのは工藤さんが9割を占めていますがね。工藤さんの物理攻撃がいつもより強化されていて、ほぼリンチみたいになっていて、最高だなと感じました。一番コワいのは工藤さんだと言えるでしょう。
『コワすぎ!』シリーズは、いつもやり過ぎな演出で楽しませてくれますが、まさか異空間に行ってしまうなんて思いもしませんでした。最後には工藤さんの両親も出て来て、ボコボコにされますし、こんなにアグレッシブな心霊モキュメンタリーは他にないでしょう。観ていると「面白すぎ!」と言いたくなります。(女性 20代)
シリーズ作品だということを知らずに鑑賞してしまったので、正直よく分からない部分もありましたが全体的に「怖すぎ」と感じることはなく、この撮影クルーはかなりイカれてるなと感じました。怖いというよりもよく分からない不可解な出来事が次々と起こるので話の展開について行くのが精一杯でしたが、工藤が1人でずっと騒いでいるのがよく分からずそれが1番怖かったです。
とても気になる作品なのでシリーズの他の作品も鑑賞してみたいと思います。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
DVDシリーズ作品として、これまで5作品が公開された、「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズ。
これまでの作品を見ていれば楽しめるが、この映画作品だけだと意味がわからないシーンも多い。
工藤が持っている呪術道具は、ファイル1で手に入れた呪術道具を、工藤が勝手に使ってしまっているなどという経緯がある。
幼い頃に目の前で両親を殺害され、頬に傷のある特徴的な犯人だったのに逮捕されていないという過去がある工藤だが、その話題がDVD作品の中で登場している。
そしてその犯人は、実は未来からやってきた工藤本人だったという事実が、この作品で明らかになる。
だが、それらDVD作品を見ていなければ意味がわからないので、親切な設定とは言えない。
そして、鬼神兵というネーミングも「風の谷のナウシカ」から取ったような名前なので、ツッコミどころになっている。
異世界へ入っていった時の合成映像、その後の工藤の手から出てくる、呪術道具の髪の毛の成れの果ては、あまりにも作り物すぎて稚拙な印象を与えている。
”タタリ村”での、一旦放置されたカメラに映っていた、小明の顔がゆっくりと歪んでいくシーンは、上手く作られていて気持ち悪さを感じる。
そして、宇龍院の首だけが飛んで追いかけてくるという設定にも、気持ち悪さと恐さを感じる。
実際に存在するタレントの小明がそのままの名前で出演したり、モザイク等も上手く使っていて、現実感のあるモキュメンタリー作品だと言える。
ディレクター工藤の適当で暴力的な性格は、一見すると嫌なものだが、困ると他力本願になる性格は見ていて笑いを誘う部分も多い。
工藤と、物理学者の斉藤との関係性が、まるでジャイアンとスネオになるのは笑える。
ラスト10分で、いきなりゴジラやウルトラマンのように、巨大生物の戦いに展開するのは突然すぎて、展開がよくわからなくなる。
工藤と市川が異空間から戻ってこないまま終わるというラストは消化不良だ。
白石晃士監督のモキュメンタリー作品で、DVDシリーズから映画化になったのがこの「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」。
作中でもDVDの売れ行きの話をしたり、映画の話をするなど、現実とリンクしながら進む作品で面白いものがある。
監督がカメラマン田代役をしており、低予算映画ならではの設定が興味深い。
映画「デスノート」「デスノート the Last name」などの監督、金子修介監督の弟で脚本家の金子二郎を物理学者の斉藤役に、監督の息子の金子鈴幸を投稿者の若者役にキャスティングするなど、監督自身やスタッフの人脈を駆使した部分も垣間見える。
雑な合成シーンが目に付くが、キャラクターの印象が濃くてツボにはまると楽しい作品だ。
DVDシリーズのファイル1~4、そして劇場版序章を見ておくと、工藤ディレクターの暴走シーンに、笑いが止まらなくなってしまう。