映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』の概要:3Dストップモーションの長編アニメ。月の帝である祖父に片目を奪われた少年が、強大な存在である祖父へと対抗するべく、三種の武具を探す旅へと出発。その過程で自らの出生や両親の出会いを知る。日本をテーマに家族の愛を描いたファンタジー。
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:ファンタジー、アドベンチャー、アニメ
監督:トラヴィス・ナイト
キャスト:アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、レイフ・ファインズ、ルーニー・マーラ etc
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』の登場人物(キャスト)
- クボ(アート・パーキンソン)
- 月の帝の孫で10歳の少年。2歳の頃、祖父に左目を奪われる。三味線を奏でることで紙や木の葉などを操ったり、音を衝撃波にしたりする特殊能力を持っている。母親を献身的に介助するなど、心優しく勇敢で利発。非常に賢く語り部の才能がある。
- サル(シャーリーズ・セロン)
- 元はクボのお守り。手の平サイズの木彫りのサルだったが、母親の依り代となり実体化する。クボを守ることを第一信条としており、厳しいながらも成長を見守っている。
- クワガタ(マシュー・マコノヒー)
- 北の辺境の地にて、記憶を失いクワガタの姿として生き延びていた。実はクボの父親ハンゾウで優しく勇猛な武士。武術の腕は立つものの、調子が良い。
- 闇の姉妹(ルーニー・マーラ)
- 月の帝の娘達で暗殺者。クボの母親の妹で、一番の能力者であった姉に対し、強い劣等感を抱きつつも敬愛している。常に仮面を被り空中飛行をするなど、各々に特殊能力を持っており父親の命令にてクボを襲う。
- 月の帝(レイフ・ファインズ)
- 自らの家族から感情を奪い、暗殺者に育て上げ世界を支配している。クボの目を奪おうと狙っているが、実は孫の目に他人の優しさを見せたくないあまりに視力や感情を奪って支配しようとしており、それが幸せだと考えている。
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のあらすじ【起】
前代未聞の嵐の夜、一人の母親が片目を失った我が子を胸にある島へと流れ着く。
それから8年後、幼子クボは10歳の少年に成長。母親には三味線を奏でることで紙などを操る特殊能力があり、息子にも受け継がれていた。母親は息子にクワガタの紋が入った着物を着用させ、お守りとしてサルの木彫りを必ず持ち歩くよう言い、夜は出歩かないよう徹底させているのだった。
夜になると月が出る。月には世界を支配する月の帝がおり、クボに残された右目を今も尚、虎視眈々と狙っている。故に、母親は大事な息子を守るために身を隠して生き延びているのだった。
そんなある日、村の祭りで亡くなった家族を送る灯篭流しの話を聞いたクボ。少年は母親が語る今は亡き父親ハンゾウに思慕を込め折り紙で灯篭を作った。いつもなら、夕暮れの鐘が鳴ったらすぐに帰宅するクボだったが、言いつけを破って帰るのが遅れてしまう。灯篭を流し終えた村人達の姿はすでになく、辺りには夕闇が迫っていた。そこへ、クボの前に暗雲がたちこめ仮面を被った女が現れる。月の帝が差し向けた暗殺者、闇の姉妹だった。
クボは村へと助けを求めて逃走したが、とうとう追い詰められてしまう。しかし、そこへ正気を取り戻した母親が現れ、闇の姉妹と対峙。母親は三種の武具を探せと叫び、自らを犠牲にしてクボを空の彼方へと吹き飛ばすのだった。
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のあらすじ【承】
飛ばされた衝撃で意識を失っていたクボだったが、言葉を話すサルに揺り起こされ覚醒する。そこは最果ての地と呼ばれる北にある雪国で、三種の武具の一つである折れずの刀があると言われていた。
言葉を話すサルの存在に驚愕したクボは、彼女がいつも持たされていたお守りの木彫りのサルであること、更に息子を守るために母親が今わの際に最後の力を振り絞り、命を吹き込んだことを知る。母親の形見は別れる際、手に絡まった1本の髪の毛だけ。サルはその髪の毛を大事にするよう言い、クボの手首に巻いてくれるのだった。
一晩明けて翌朝、クボが寝ている間に折り紙の武士が出来上がっている。折り紙の武士ハンゾウはどうやら、武具の在り処を示しているらしく1人と1匹は早速、導きに従って移動を開始。
道も半ばに差し掛かった頃、クボがある者に攫われてしまう。慌てたサルだったが、2人の前に現れたのはクワガタの姿をした1人の武士だった。彼は一切の記憶を失い、数年前からこの地でたった1人、生き延びてきたらしい。持ち物や武力を鑑みるに恐らく、クワガタはどこか名のある家の武将だったのだろうと思われた。
腕の立つクワガタを旅の仲間に加え、更に道を進むと洞窟の奥深くに辿り着いた。そこにある巨大な骨の手に刺さった刀を抜くと、巨大ながしゃ髑髏が現れる。ハンゾウががしゃ髑髏の頭部を指し示したため、そこに折れずの刀があると思われた。しかし、頭頂部には多くの刀が刺さっている。どうにか刀を見つけ出すことに成功し、がしゃ髑髏の動きを止めた。
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のあらすじ【転】
戦いの間、クワガタが飛べることが分かり3人は洞窟から脱出。湖の畔へと辿り着く。ここでサルとクワガタが湖を渡る方法で口論になってしまい、蚊帳の外に置かれてしまうクボ。手持ち無沙汰に三味線を奏でていると、紙ばかりではなく木の葉も反応することに気付き、立派な船を作り上げる。一行は船に乗り込み、湖を渡ることにした。
日が暮れる頃、サルが岸へ向かい身を隠そうと提案する。しかしその時、湖の底に淡い光を発見したクボ。2つ目の武具、開かずの鎧に違いない。だが、母親の話では、鎧は目玉の怪物が守っているはずだ。目玉の怪物は鎧を奪う者に精神攻撃をしてくるため、腕の立つクワガタが取りに向かった。
日が沈むにつれ、辺りには夕闇が迫る。天候が悪化し湖も荒れだした。夜になれば、闇の姉妹が行動を再開する。だが、いくら待ってもクワガタは戻らず。業を煮やしたサルが岸へ向かおうと叫んだ時、クボが湖へ飛び込んでしまう。慌てたサルも飛び込もうとしたが、闇の姉妹が姿を現しサルを足止めしてしまう。
水底へ向かったクボは淡く光る鎧を発見し装着したが、目玉の怪物に精神攻撃を食らってしまう。船上では闇の姉妹とサルが激しい攻防を展開。
目玉の攻撃を食らい、サルが母親であることを察したクボだったが、意識を失いあわや喰われそうになる。だが、そこへクワガタが救助に入り助かるのだった。
一行は鎧を入手し、岸辺の洞窟へ身を隠した。サルの魂が母親のものであることを知ったクボは、彼女から事の経緯を聞き出すことにする。
三種の武具を集めているハンゾウに脅威を覚えた月の帝は、武士の暗殺を3人の娘に命令した。長女であった母親は、妹の闇の姉妹より先にハンゾウの元へ到着し襲い掛かったが、ハンゾウは彼女に一目惚れし戦うどころか口説き落としてしまう。母親は父親の命令に逆らってハンゾウの元へ向かい、そうしてクボを出産。
このことに怒り狂った月の帝はハンゾウの城へ攻め入ったが、武士は持てる力でもって抵抗し密かに妻と子供を逃がしたのだった。
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』の結末・ラスト(ネタバレ)
その日の夜、クボの夢の中に視力を失った不思議な老父が現れる。彼はハンゾウの城に最後の武具である割れずの兜があることを示唆。クボはこれが罠だとは知らずに、老父の導きに従って父親の城を目指した。
数日後、荒れ果てた城へ到着。まんまと罠に嵌ってしまい窮地に陥ってしまう一行。
闇の姉妹はほくそ笑み、クワガタが記憶を奪われたハンゾウであることを明かす。衝撃を受けたクボだったが、クワガタは姉妹の攻撃により家屋へと投げ出され、クボは残された右目を奪われそうになる。だが、彼はどうにか抵抗し拘束から逃れることに成功。
その隙を突いて、サルが姉妹へと攻撃を加えた。しかし、サルは湖での攻防で負傷しており、本来の力を発揮できずに追い詰められてしまう。そこへ、記憶を取り戻したクワガタが戻り、奇しくも親子3人が揃う。しかし、サルはすでに虫の息で、クボのことを夫へ頼もうとするが、彼は背後から姉妹に刺され命を落としてしまうのだった。サルは息子を逃がし村へ戻れと言う。クボは最後に三味線を手にし、力いっぱいにバチを振り下ろした。
朝、城の庭にたった1人で座り込んでいたクボ。全てを奪われ涙を零したクボは、三味線の微かな音色に折り紙のハンゾウが反応するのを目にする。ハンゾウは文献を指し、割れずの兜の在り処を知らせた。クボは弓の弦を父の形見として手首に巻き、旗を身に纏って村へと飛んで帰る。
始まりの村に鐘として使われていたのが、割れずの兜だった。それを身に着けたクボの前にとうとう月の帝が姿を現す。老父は孫に甘言を説き共に来いと言うが、両親を殺されたクボは怒りに身を任せ、祖父に抵抗。月の帝は怪物に変身して襲い掛かって来た。
だが、10歳の少年が怪物に勝てるはずもなく、村の墓場まで投げ飛ばされてしまう。彼はそこでふと、手首に巻いた髪の毛と弦に目を留める。クボは祖父に恨みの念を抱いていたが、復讐は何も残さないことを知る。彼は三味線の弦として両親の形見を張り、最後に自分の髪の毛を3本目の弦とした。
クボは全てを奪われても自分には幸せだった記憶があり、それは誰にも奪われないと言う。彼は三味線を鳴らし、自分と村人達の先祖の霊や記憶を集め祖父への攻撃とした。
すると、月の帝は記憶の洪水を浴び、自らの記憶を全て失ってしまう。クボと村人たちは、好々爺となった月の帝にとても優しい人物だったと吹き込み、彼の命を助けることにした。
そうして、村に平和が訪れたある日。クボは2つの灯篭に祈りを捧げる。すると、そこへ両親が姿を現し、息子へと愛情深くも慈しみの目を向けてくれるのであった。
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』の感想・評価・レビュー
3Dストップモーションによる長編アニメーションで、米国の監督が日本文化に感銘を受け資料を読み漁り制作した親子の絆の物語。海外の監督が日本をテーマに描いた際、日本人が見ると現実とは程遠い演出がされていたりするが、このアニメは多少中華風ではあるものの、過剰な演出やうがった表現はなく日本文化がしっかりと描かれている。
制作には多くの日本人も参加しており、エンディングの終盤ではがしゃ髑髏と戦うシーンの制作場面が収録されている。折り紙を使ったクボの特殊能力など見どころは満載で、緻密な作業によりキャラの表情や心情が一目で分かる。物語とともに演出も素晴らしい作品。(MIHOシネマ編集部)
外国人の描く「日本」って私たち日本人からすると微妙に違っていて違和感を物凄く感じませんか?今作も日本の昔話をテーマにした作品ですが、日本の要素は至る所に散りばめられているものの、その解釈の仕方に違和感を感じてしまいあまり楽しむことが出来ませんでした。
父親の名前はハンゾウ。相棒の名前はサル。探し求めるのは三種の神器。主人公クボの武器は三味線。敵は「月」の帝ととにかく日本をギュッと詰め込んだ作品です。この設定に違和感を感じない方はストップモーションアニメとしてしっかり楽しめるでしょう。(女性 30代)
物凄く手間隙かけて制作されたことが窺える、ストップモーションアニメです。ほんの数秒を撮影するのに、膨大な時間を費やしているようです。圧倒的な映像美に恍としてしまいます。三味線の魔法に始まり折り紙、水墨画と純和風な趣が目一杯感じられ、胸がじわりと熱くなりました。日本には、世界に誇れる素晴らしいものが数多く存在することを再確認できました。この作品を通して、日本の魅力が未来永劫継承されていくといいなと思います。エンディングの制作映像も必見です。(女性 30代)
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