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映画『ブリムストーン』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ブリムストーン』の概要:小さな村にて年の離れた夫と長男、幼い娘と幸せに暮らしていたヒロイン。ある日、その村に新任の牧師がやって来る。そのせいで、ヒロインとその家族に悲劇が訪れるのだった。時代と信仰に翻弄されながらも、強く生き抜いた女性の年代記。

映画『ブリムストーン』の作品情報

ブリムストーン

製作年:2016年
上映時間:148分
ジャンル:サスペンス、ホラー、西部劇
監督:マルティン・コールホーヴェン
キャスト:ガイ・ピアース、ダコタ・ファニング、エミリア・ジョーンズ、カリス・ファン・ハウテン etc

映画『ブリムストーン』の登場人物(キャスト)

牧師(ガイ・ピアース)
新たに赴任して来る。顔の左側に大きな傷があり、首に深い傷跡が残っている。抑揚のない話し方をし、冷徹な雰囲気を醸し不気味。実はジョアナの実の父親で、娘を妻に迎え子供を産ませようと執着している。娘を手に入れるためなら人殺しも厭わない。
リズ(ダコタ・ファニング)
色白で金髪の美しい女性。歳の離れた優しい夫とやや反抗的な長男、幼い娘と暮らしている。助産師として村には欠かせない存在。動揺をあまり表に出さない。言葉を話すことができないため、手話で会話をする。実はリズに成りすましたジョアナ。
ジョアナ(エミリア・ジョーンズ)
栗色の茶髪で色白の可愛らしい少女。荒野で行き倒れているのをアジア人に救出され、娼館に売られる。実の父親である牧師に凌辱され、家から逃亡し娼婦となる。
アン(カリス・ファン・ハウテン)
ジョアナの母親で牧師の妻。貞淑な妻でありながら、夫の言いなりになっている。娘を守ろうとするも、守り切れず自ら首を吊ってしまう。黒髪の美しい女性。

映画『ブリムストーン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ブリムストーン』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ブリムストーン』のあらすじ【起】

第1章 啓示・黙示録

小さな田舎の村にて年の離れた夫と少々反抗的な長男、幼い娘とおおむね幸せに暮らしていたリズ。彼女はある事情から言葉を話すことができないが、村では助産師として欠かせない存在だった。
そんなある日、村の教会に新しく牧師が赴任して来る。彼には顔の左側と首元に大きな傷痕があり、その傷も相まって冷徹さと不気味さを滲ませていた。

ミサが終了後、村の妊婦が急に産気付いたため、急遽教会内で出産を行ったリズ。だが、赤ん坊の頭が大き過ぎて生まれることができず、母親の命か赤ん坊の命か、どちらかを選択しなければならなかった。リズは仕方なく赤ん坊の命を犠牲にして母親を助けた。

しかしその後、妊婦の夫が子供を殺されたとリズを恨み、夜中に家へ来て銃を発砲する始末。このままでは危ないと感じた時、牧師が現れ夫を宥めてくれるのだった。
リズの夫は牧師を家に入れ礼を告げたが、リズは一切、牧師の前に姿を現すことなく徹底して彼を嫌っている。牧師が去った後、夫に引っ越したいと希望を述べたリズ。優しい夫は妻の要望を聞き入れてくれるのであった。

だが、翌日。飼っていた羊が全て殺されているという事態が発生。夫は長男と文句を言いに出かけ、リズは娘に聖歌を唄わせながら、羊の始末をしようと小屋へ。しかし、不意を突かれ閉じ込められてしまう。牧師の仕業だった。彼女は娘が牧師に連れて行かれるのを目にし、必死に外へ出ようとしたが、足を滑らせ梯子から転落してしまう。
夫が帰宅したことで、意識を取り戻したリズは娘を探し回ったが、無事に帰宅。一安心するのである。

しかしその夜、リズは夫が寝入った頃、密かに教会へ向かい牧師を殺そうとしたが、姿が見えない。急いで帰宅すると小屋で牧師に襲われた夫が死にかけている。リズは夫と涙ながらに今生の別れをし、そこへやって来た長男がとどめを刺した。
外へ出ると家に火がかけられている。牧師が火をかけたのだ。リズは2人の子供と共に、夫の祖父の家へと逃走した。

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映画『ブリムストーン』のあらすじ【承】

第2章 脱出・出エジプト

満身創痍となった少女が荒野にて、生き倒れているのを発見したアジア人家族。少女はジョアナと名乗ったが、到着した町の娼館に売り渡してしまう。店の娼婦たちは新入りの少女を歓迎し可愛がった。

そんなある日、酒場の給仕として働くジョアナに目をつけた男が、彼女との一晩を店の主人に頼む。だが、少女にはまだ早いと娼婦の1人が庇ってくれたが、男は諦めずジョアナの目の前で娼婦を犯すという悪趣味な提案をするのである。

店の主人も了承済みで、事に及んだ男は酷く暴力的だった。娼婦を痛めつけることでジョアナを苛んだため、彼女は男の銃を奪い引き金を引いた。だが、銃に弾は込められておらず、男は笑いながらジョアナに乱暴しようとするのだ。娼婦は彼女を守るために隠し持っていた銃で男を射殺してしまうのだった。
ジョアナを守った娼婦は、客を殺害した罪で処刑されてしまった。少女は店の主人に慰められ、娼婦として生きることを決心するのである。

数年後、美しい女性に成長したジョアナは、立派な娼婦となっていた。彼女はエリザベス、愛称リズという娼婦と仲良しだったがある夜、リズは言うことを聞かない客に憤り、危害を加えてしまう。店の主人は報復を叫ぶ客を宥めるため、リズの舌を切り取ってしまうのであった。

以降、リズとは手話で会話するようになったジョアナ。リズは結婚して店から逃げ出そうと考え、ジョアナと共に仲介人の元へ。相手は小さな村に住み、妻を亡くした男やもめで優しそうな男性だった。

リズが荷造りを進めていたある日、大金を提示し店を貸し切りにした客が現れる。ジョアナはその客を遠目に見て息を飲んだ。彼女はレースで目隠しをして客の前に出たが、男は彼女の首の後ろにある2つの黒子を確認し、ジョアナを選んだ。

彼はジョアナをずっと探していたらしく、娼婦は罪深いと言いベルトで折檻しようとする。そして、互いに罪を救済し合おうと言うが、ジョアナは激しく抵抗。そこへ、リズが現れ男の顔にナイフで攻撃。彼女は反撃され亡くなってしまう。ジョアナはリズのナイフで男の首を切りつけ報復するのであった。
その後、リズの遺体と共に店へ火をかけて逃亡。男から奪った金で医師の元を訪れ、自らの舌を切り取った。そして、リズに成りすまし男やもめの元へ嫁ぐのである。

映画『ブリムストーン』のあらすじ【転】

第3章 起源・創世記

牧師であるジョアナの父は、非常に厳格な男で聖書の教えを穿った見方で捉えており、更にそれに対して妄信的だった。男は女より偉く神のような存在だと考え、妻アンに対しても亭主関白な面を見せる。それは娘のジョアナに対しても同様だった。

雨が降る夜、ジョアナは月経を迎え1人、トイレで慄いていた。すると、家から両親が出て来て教会へ。父は妻の至らない面を責め鞭打ちにて罰しているのである。
翌日、アンから月経の意味を聞かされたジョアナ。それを知った父は娘を入浴させ、一人前の女だと認めるのだった。

そんなある日、ジョアナは父親の入浴の世話に呼ばれ、アンの代わりに妻の義務を果たせと言われる。アンはそれに抵抗を示したが、牧師は妻の言い分に聞く耳を持たず、自分が聞くのは神の声だけだと豪語。
更にその夜、アンは妻の務めを果たそうと夫にしなだれかかったが、夫はそれを拒絶。それもまた神の意志だと言うのである。

夫が実の娘の貞操を狙っていると察したアンは、夫がやろうとしていることは罪だと責めた。しかし、彼は処女である娘が貞操を保ち止むを得ない場合は、関係を持っても許されると言う。そして、処女を奪った上で結婚することも罪ではないとも。
アンはその言葉に愕然とし、夫を罵る言葉を口にしてしまう。すると、牧師はお仕置きだと言って、妻をベルトで殴り続けるのであった。

更に牧師は妻に二度と汚い言葉を使わないよう、特注の口輪を嵌めてしまう。ジョアナが母のようにはなりたくないと呟くと母は突然、席を外し説教の最中に自ら首を吊ってしまうのだった。

そして翌日、父親は全ての準備が整ったと言い、実の娘と結婚し子供を作ろうとする。抵抗すると容赦なく、鞭を打たれた。そうして、父親は娘を凌辱。ジョアナは夜が明ける前に家から逃げ出すのであった。

映画『ブリムストーン』の結末・ラスト(ネタバレ)

第4章 報復・審判

夫の実家を目指し、雪がそぼ降る山を馬車で進んでいたリズ親子。長男は反抗的な態度を改め、義母と妹を守り続けていた。
静寂な野山に男の歌声が響く。リズもといジョアナの実の父親、牧師である。彼女は子供達を守るため、銃を手に木陰に隠れて父を待った。だが、待ち伏せは失敗に終わる。

吹雪で視界が悪い中、静かに馬車を進ませていた親子だったが、何かを乗り越え馬が嘶いてしまう。長男は急停止させ、何を踏んだか確認に向かったが、牧師が放った銃弾で命を奪われる。ジョアナは息子の亡骸を抱き、泣きながら天を仰ぐのであった。

日が暮れる頃、ようやく夫の実家へ到着。祖父は孫の死を酷く悲しみ涙に暮れた。その姿を目にしたジョアナは父と対峙するべく、猟銃を手に家の前で見張りをした。
すると、深夜になって牧師が現れる。父はジョアナを見限り、彼女の幼い娘を次の妻にすると言う。彼女は咄嗟に家の中へ戻り、愛娘の無事を確認したが、祖父はすでに命を奪われ息絶えていた。

ジョアナは娘を連れて家の裏手の窓から脱出しようとしたが、父親に捕まってしまう。拘束され目の前で幼い娘が折檻される。下手をすれば娘の命すら危ない。ジョアナは肩の関節を外し拘束から逃れ、ランプを牧師に向かって投げつける。
父親は火だるまになりながらも尚、立ち尽くしたまま娘への情欲を言い募った。ジョアナは男を銃殺し、傷だらけの娘を抱き締めるのであった。

春、祖父が行っていた材木問屋を引き継ぎ、生計を立てていたジョアナ元に出産の折、子供を失った男が訪れる。彼は村を出た後、別の町で保安官としてやり直し、リズの手配書を発見。彼女を捕まえに来たと言う。
あの日の夜、エリザベスは店の主人を殺害し、結婚しようとしていた。彼女はその足で父親に折檻されていたジョアナの部屋へとやって来たのだ。
ジョアナはリズとして抵抗することなく拘束され、筏に乗せられる。そして、愛娘を見つめ川へと身を投じるのであった。

映画『ブリムストーン』の感想・評価・レビュー

名作『狩人の夜』を彷彿とさせる本作品ではあるが、実質、内容は非常にバイオレンスで真に迫っている。設定はほぼ同じような印象を受けるものの、実際に観てみると全くの別物である。

リズ役のダコタ・ファニングが娼婦に落ちながらも狂信的な父親と対決する強い女性を演じ、父であり牧師役の大物俳優ガイ・ピアースが不気味さと深みを与えており、信仰とは何かを考えさせられる作品。(MIHOシネマ編集部)


暴力や差別が露骨に描写されていて、重い内容で終始胸が締め付けられます。牧師は聖職者としてはあるまじき人間で、彼の愛は常人にはとても理解できません。それに加え、非常にタフネス。やられても倒しても追いかけてくる牧師からは狂気しか感じられず、リズ同様観ているこちらも彼の姿に嫌悪し辟易してしまいます。ラストも救いがなく、ここまでげんなりさせられる映画も珍しいです。神よどうか向こうで彼に永遠の罰を…(男性 20代)

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