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映画『喰女 クイメ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『喰女 クイメ』の概要:2014年製作の日本映画。日本三大怪談である「四谷怪談」をモチーフにしたホラーサスペンス作品で、俳優の男女を通して芝居と現実世界で起こることが交差していく不思議なタッチで描かれている。

映画『喰女 クイメ』の作品情報

喰女 クイメ

製作年:2013年
上映時間:94分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:三池崇史
キャスト:市川海老蔵、柴咲コウ、中西美帆、マイコ etc

映画『喰女 クイメ』の登場人物(キャスト)

後藤美雪(柴咲コウ)
舞台役者で看板女優。岩をやることになり、恋人の浩介をキャスティングに推挙した。浮気をする浩介を放っておきながら、次第に精神的におかしくなっていく。
長谷川浩介(市川海老蔵)
舞台俳優で美雪により伊右衛門の役を手にする。優柔不断で女性に弱い性格で、献身的な美雪を鬱陶しく思うようになっていく。

映画『喰女 クイメ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『喰女 クイメ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『喰女 クイメ』のあらすじ【起】

後藤美雪は有名で売れっ子舞台女優である。
彼女は自らが企画した「真四谷怪談」で岩役に決まり、私生活でも恋人関係にあった俳優の長谷川浩介を相手役の伊右衛門役に強く推薦した。
美雪の後押しも手伝ってか、見事浩介が伊右衛門役に抜擢される。
他のキャストも決まり、いよいよ稽古が始まろうとしていた。

美雪の付き人として陰で気働きする女性は、加代子と言った。
彼女は足が悪く付き人として働いてはいるが、実は女優に憧れている。
美雪の岩役の台詞も頭に入れ、代役をすることも可能なほど練習をしていた。
また梅役にキャスティングされた若手女優の莉緒もまた、美雪の座を自分のものにしようと躍起になっている。

浩介は、私生活でも美雪と最近上手くいっていない。
だが今回の舞台で共演することもあり、2人はお互いの関係をより良好なものにしようと前向きな姿勢で取り組み始めた。
だが元来優柔不断で女癖の悪い浩介が、この舞台を通じて現実と物語の交差する世界に入っていってしまうことになるとは誰も知らない。

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映画『喰女 クイメ』のあらすじ【承】

今回の真四谷怪談の物語の内容はこうである。
岩と愛し合っている伊右衛門は、2人の関係に反対した岩の父を殺害し結ばれた。
その後2人は子供を授かるが、浩介は産後体調を崩している岩を次第に鬱陶しく思うようになっていく。

しかも調度その頃、伊藤に呼ばれた伊右衛門は孫娘の梅と結婚しないかと誘われ出世をほのめかされた。
梅の乳母は岩に毒を与えると、彼女の顔は次第に崩れ見るに堪えない姿になってしまう。
伊右衛門は、元々知り合いだった盲目の按摩師が岩に気があることを知っていた。

そのため按摩師に岩との関係をわざと許し、彼が岩を襲ったところで2人の密通をわざと勘ぐる芝居を打つ。
そして2人を切り捨て流した。
無事に梅と結婚した伊右衛門だったが、夜な夜な岩の亡霊に苦しめられるという物語である。

この物語はただのフィクションのはずだったのだ。
しかし稽古に夢中になる2人は、現実にも同じようなことに遭遇し始める。
女優の莉緒が浩介を誘惑し始めたのである。

映画『喰女 クイメ』のあらすじ【転】

そんな彼女は浩介に「アメリカに行かないか」と誘う。
しかし浩介の浮気に気がつき始めた美雪。
だが彼女は浩介を責めることはせず、ひたすら彼との赤ちゃんが欲しいと妊娠を切望する。

そんな献身的な美雪を鬱陶しく思うようになっていった浩介だったが、美雪はそれを自分に子供が出来ないからだと思い込む。
そして毎日妊娠検査薬を見ては陰性の結果に落ち込み、次第にそれは狂気と化していった。

ある日浩介が莉緒と伊豆旅行に出かけ帰宅しなかった日、美雪は自分の性器を傷つけるほど精神に異常をきたしていた。
ナイフなど鋭利な物で自分の陰部を刺し、居もしない浩介との赤ん坊を引っ張りだそうとしたのだった。
翌朝帰宅した浩介はその状態に驚き病院に行こうと言うが、彼女は拒否する。
そして浩介は美雪を殺害し、死体を隠した。

映画『喰女 クイメ』の結末・ラスト(ネタバレ)

中々美雪が稽古に来ないため、代役として加代子が務めることになる。
何も知らない振りをした浩介は、そのまま稽古に没頭した。
そしてスタッフを魅了するほど、居に打ち込んでいる。

だがこの状況が一変した。
それはある夜のことである。
交差点で頭が無い状態で死んでいる男の姿が発見された。
その男は浩介だったのだ。
捜査に来た刑事達は周辺に彼の頭部が落ちていないかくまなく捜査するが、不思議なことにどこにも見当たらない。

後日の楽屋。
メイクをしながら座っているのは美雪だ。
芝居仲間と笑顔で軽口を叩く姿がそこにあった。
浩介が来ず慌てふためくスタッフをよそに「何としても幕を開けてね」と笑顔で言う彼女は、足下にある何かをメイク台の下に蹴って押し込んだ。
その何かこそ、現場から消えた浩介の頭部だったのだ。

実は浩介が美雪を殺したのでは無く、実際には美雪が彼を殺害していたのである。
恨みが募った彼女が殺したのか、恨んだのか。
岩と美雪が現実で交差する結果となった。

映画『喰女 クイメ』の感想・評価・レビュー

怖かった。精神バランスを崩した人間が一番怖い。
時々ハッとするほど綺麗な色合いの映像が入ってきて美しい。
海老蔵も柴咲コウも綺麗。綺麗な顔立ちなだけに迫真の演技が怖かった。柴咲コウの堕胎のシーンは観ていてこっちまで痛くなるような気がした。
「四谷怪談」を絡めた内容が面白く、実際に「真四谷怪談」の舞台を観たくなった。

少し海老蔵の台詞が聞き取れない箇所があって残念。(女性 40代)


市川海老蔵の舞台といっても過言では無い怪談映画である。舞台俳優という設定であるが、普段の歌舞伎を演じている所に近しいものがある為か、映画というよりもドキュメンタリーのように見てしまった。舞台上で起こっているものなのか現実で起こっている事なのか所々分からなくなってしまう部分があり、若干退屈に思えてしまう感も否めない。ただ、オチとしてはなかなか怪談らしいゾッと鳥肌が立つ内容だったので良い落とし方だと感じた。(男性 30代)


四谷怪談をベースにした物語は沢山あるが、新しいアプローチに挑戦しておりそこは悪くない。いわゆるJホラー的な演出ではなく、恐怖の起点をあくまでも人間に置いた点も挑戦的だし好感が持てる。どこかホラー映画時代のブライアン・デ・パルマを思わせる。がそれでこのくらいなら、定番のJホラーの流れでも最終的な評価は同じだったような気がしてならない。たくさんの工夫と丁寧な演出など文句をつける点はないが、労力がそこに取られすぎたのではないだろうか。(男性 30代)


三池崇史のホラー映画はこうなるのかと感動した今作。とにかく怖かったです。海外のホラー映画は好きですが、ジャパニーズホラーは独特の雰囲気があって苦手です。その中でも今作は特に怖かったです。柴咲コウと市川海老蔵、この2人のカップルが物語の鍵を握ります。
最後はまさかの展開に思わず「えっ?」と声が漏れてしまいました。最後の最後までしっかり怖がらせてくれる三池崇史監督。得意なのは暴力的な作品だけでは無いのだなと感じました。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    三池崇史監督というと極端にふざけたコメディ映画、もしくは非情に暴力性の高い映画をとる監督というイメージが強い。実際、海外では 1999年のホラー映画「オーディション」が高い評価を得ていて、ホラーとバイオレンスというイメージが強い監督である。本作は久々の三池崇史監督のホラー映画なわけだが、主演に市川海老蔵を迎え、劇中劇として怪談風の舞台を設定することで設定は現代の和風怪奇テイストホラーに仕立て上げている。和風怪奇テイストといえば、2006年の「インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ〜」が思い出される。「インプリント」の場合は、脚本に天願大介を迎えたことで骨太な映画を作ることに成功し、映像面でも三池節とも言える残虐な拷問など、目を背けたくなるような内容がてんこ盛りであった。この和風怪奇テイストこそ、これからの三池崇史が描こうとしている新たな境地なのかもしれない。

  2. 匿名 より:

    三池監督作品全般に言えることであるが、一本の映画の中で以上に手の込んだ部分と手を抜いた部分が共存しているという特徴がある。それこそが三池監督作品らしい愛嬌の部分でもあるのだが、本作でもその演出は見て取れる。柴咲コウ演じる美雪が自傷するシーンでは、その直前にナイフやフォークを煮沸消毒するというシーンが挟まれることで、この直後に起こる事件の不穏さを観客の心のなかで無意識に増大させることに成功している。

    これに対して、海老蔵演じる浩介が死亡するシーンはあまりにもあっさりとしている。遺体の描き方などはB級映画のそれである。ここらあたりの描写は、三池映画リテラシーがある人とない人で大きく印象が変わる部分である。もちろん、リテラシーがあってもどうしても好きになれないという観客も一定数いるであろうことは容易に想像できることではあるが。

  3. 匿名 より:

    本編の最後にある描写についてであるが、直接何かを見せるというよりも、あるものを隔てて禍々しいものを写すという演出が取られている。そのため、観るものの想像をかきたてる恐ろしい描写となっている。ぜひ、本編を見て確認していただきたい。

  4. 匿名 より:

    映画で描かれる浩介の日常と劇中劇で描かれる世界が収斂していくという構成になっているが、これはどちらかと言えばこれまでのJホラーにありがちな構成ではないため、既存のJホラーの系譜を求めて鑑賞すると肩透かしを食らうかもしれない。

    三池監督ならではの痛々しい残虐描写もさることながら、白を基調として全体的に明るさを落とした絵作りが特徴の本作は、その画面から漂ってくる不穏な雰囲気それ自体も大きな魅力である。

    また、舞台のシーンでは赤色を効果的に使っているというのも対比的で非常に興味深い。ホラー映画といっても非常に奥が深い。単に禍々しいものが画面に出ていれば怖くなる、などという単純なものでは決してないのだ。