この記事では、映画『蜘蛛の巣を払う女』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『蜘蛛の巣を払う女』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『蜘蛛の巣を払う女』の作品情報
上映時間:115分
ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
監督:フェデ・アルバレス
キャスト:クレア・フォイ、スヴェリル・グドナソン、レイキース・スタンフィールド、シルヴィア・フークス etc
映画『蜘蛛の巣を払う女』の登場人物(キャスト)
- リスベット・サランドル(クレア・フォイ)
- 天才的な才能を持つハッカー。父親はロシアの犯罪組織の黒幕。少女期に父からの虐待から逃れようと実家から逃走。背中に大きなドラゴンのタトゥーを入れている。
- カミラ・サランドル(シルヴィア・フークス)
- リスベットの双子の妹。リスベットが屋敷から逃げた後、父親からひどい虐待を受けて育った。父の死後は犯罪組織の名前を“スパイダーズ”と変え、ボスとなる。
- ミカエル・ブルムクヴィスト(スヴェリン・グドナソン)
- “ミレニアム誌”の記者。過去、リスベットと共に難事件を解決した。その記事は高い注目を浴びて一躍有名人となったが、リスベットの過去を暴くものでもあり、苦悩することとなった。
- エドウィン・ニーダム(ラキース・スタンフィールド)
- 元・伝説のハッカー。今はNSAで特別職員のポストに就いている。バルデルが組み上げたファイアーフォールというプログラムを管理していたが、リスベットに奪われ、スウェーデンまで奪還しにくる。元・特殊部隊員でもある。
- アウグスト・バルデル(クリストファー・コンベリー)
- ファイアーフォールを作ったバルデルの息子。幼いながら天才であり、チェスの腕前はリスベット以上。ファイアーフォールのプログラムを構築する際、彼の考え方が基盤となっている。
映画『蜘蛛の巣を払う女』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『蜘蛛の巣を払う女』のあらすじ【起】
リスベット・サランドルの父親はロシアの犯罪組織の黒幕だったが、ひどいサディストでもあった。リスベットにはカミラという双子に妹がいた。父からの虐待から二人で逃げよう考えたリスベットだったが、カミラは父親を怖がり従順に彼に従ってしまった。リスベットは自宅のテラスから飛び降りると雪の中を一人で逃げていった。
それから時が立ち、成人したリスベットは難事件解決に手を貸すほどの天才ハッカーになっていた。それとは別に、彼女は個人的に夜な夜な父親のような傲慢な男たちを懲らしめてもいた。ある日、彼女のところに仕事が舞い込む。暗号考案者フランス・バルデルという男が、自分が作り上げたファイアーフォールを盗んでほしいと依頼してきた。
ファイアーフォールは個人のPCから世界中の核兵器に簡単にアクセスでき、どこからでも核を発射できるというとんでもないプログラムだった。それはバルデルの手を離れ、今はNSAのエドウィン・ニーダムという男が管理していた。
ニーダムのコンピュータに不正アクセスしたリスベットはファイアーフォールを奪取。それに気がついたニーダムは転送先がスウェーデンのストックホルムであることを突き止め、大急ぎで回収に向かった。
ファイアーフォールを手に入れたものの、プログラムは特殊なパスワードでロックされて開くことはできなかった。その夜、リスベットの家に何者かが侵入しPCを奪うと家を爆破。なんとか危機を脱したリスベットは、やってきた警察の追跡を振り切って逃走していった。

映画『蜘蛛の巣を払う女』のあらすじ【承】
待ち合わせ場所に来なかったことから、リスベットがファイアーフォールを盗んだと思ったバルデルはスウェーデンの公安警察に駆け込んだ。副局長のグラーネは早急に対処することを約束した。
“ミレニアム誌”の記者ミカエル・ブルムクヴィストは、かつてリスベットと共に難事件を解決した人物だった。だが、リスベットが去った後、これといって有名になるような記事は書けていなかった。そんな彼の前に三年ぶりにリスベットが現れる。彼女は今の状況を説明し、自宅のセキュリティに残っていた画像を渡した。その画像には自分を襲い、PCを奪った仮面の男の姿が写っていた。ミカエルに捜索をお願いしたリスベットは早々に彼の前から姿を消した。
ニーダムはスウェーデンにやってきたが、彼の素性を知るグラーネからおかしな行動はしないようにと釘を刺される。仲間のハッカーの所にやってきたリスベットはバルデルが公安警察に行ったことを知らされる。ファイアーフォールを開けるのはバルデルしかいない。マスクの男が次に狙うのはバルデルだと察知したリスベットは彼を監視することにした。
バルデルは幼い息子アウグストを連れていた。アウグストはサンフランシスコの母親の元に行きたがっていた。
ミカエルはマスクの男に蜘蛛の刺青があるのを発見。それを調べるとミロシュという男に辿り着く。ミロシュに写真を見せると、マスクの男は“スパイダーズ”と呼ばれる組織の一員“毒殺者”だと説明される。そのことをリスベットに報告するが、彼女もスパイダーズについては知らなかった。
ニーダムはリスベットを追いかけたが、彼女はことごとく彼を欺いた。そうこうしているうちにバルデルの所に“毒殺者”が現れる。それに気がついたリスベットはバルデルを逃がそうと彼の元へと駆けつけたが、“毒殺者”によってバルデルは殺され、アウグストが連れ去られてしまった。
リスベットは警察車両を奪うと彼らの後を追いかけ、“毒殺者”の車のスマートシステムをハッキングし、彼らを足止めすることに成功。吊橋のところで追いついたリスベットはアウグストを助け出し、橋を動かして“毒殺者”を橋に閉じ込めた。その場を去る直前、橋の向こう側に赤い服を着たカミラの姿を見たリスベットは凍りつく。
映画『蜘蛛の巣を払う女』のあらすじ【転】
ニュースでリスベットに殺人と誘拐の容疑がかけられたと報道される。事件を嗅ぎまわっていることがバレたニーダムはアメリカに強制送還されることとなり空港へと連れて行かれた。
アウグストは天才でファイアーフォールのシステムは彼の考え方で構築されていた。アウグストはリスベットにファイアーフォールのパスワードを教える。隠れ家にやってきたミカエルはスパイダーズについて得た情報を説明した。スパイダーズはかつてリスベットの父の組織の別名で、今はカミラが指揮を執っているのだと。
アウグストを国外に逃がそうと考えたリスベットはニーダムを利用しようと考える。空港に監禁されているニーダムを、持ち前のハッキングテクニックで解放したリスベット。ファイアーフォールは奪還後に破壊することと、アウグストの国外脱出の手助けをするという取引を持ちかけられたニーダム。警察に追われたニーダムはそれをしぶしぶ了承。救出された彼はリスベットの仲間のハッカーの所へと運ばれていった。
携帯電話でアウグストの居場所を突き止めたカミラたちはリスベットの隠れ家へと乗り込んできた。久しぶりに姉妹が顔を合わせたが、カミラは、今度は姉さんが苦しむ番だと言ってアウグストを拉致。リスベットはミカエルを連れてその場を逃げた。
カミラが自分たちの実家に戻ったことに気がついたリスベットは、アウグストとファイアーフォールを取り戻すべく、屋敷へと向かって行った。
映画『蜘蛛の巣を払う女』の結末・ラスト(ネタバレ)
グラーネに現状を報告に行ったミカエル。彼女は早急な対応をしてくれたが、屋敷へと向かう途中、ミカエルはカミラからファイアーフォールを買う“客”がグラーネだと気がつく。彼女は、あれほど危険なプログラムはアメリカも個人も手にするべきではないと語った。
屋敷に乗り込んだリスベットだったが、カミラの罠にハマり捕まってしまう。だんまりを決め込むアウグストにリスベットは、私を信じてと言ってパスワードを言わせた。ファイアーフォールが起動し、現れたグラーネはそれを買おうとしたが、カミラの裏切りによって殺されてしまった。
リスベットと対峙したカミラは、リスベットがいなくなったあと16年間もの間、父親から虐待を受けたことを告白。リスベットが一人で逃げたことを恨んでいた。
リスベットは忍び込んだ時、屋敷のシステムに侵入していた。それにより、屋敷の内部は3Dモデリングで仲間のハッカーのPCに転送されており、屋敷内の人間の行動もモニターされていた。そのデータを使ってニーダムはスナイパーライフルでスパイダーズたちを撃ち殺していく。
状況に気がついたカミラと“毒殺者”はそれぞれ屋敷から逃走を図る。ミカエルはアウグストを救出。それを確認したリスベットはカミラを追いかけていった。カミラは車で逃走したが、突如、森から現れた“毒殺者”と衝突して負傷。
森の中に逃げていくカミラを発見したリスベットは崖に彼女を追い詰める。カミラは、なぜ16年の間、私を助けに来てくれなかったのかと問いかけてきた。リスベットは、怖かった、あなたは私でなく父親を選んだと泣きながら返事をした。それを聞いたカミラはファイアーフォールの入ったPCを投げ捨て、自ら崖の下へと飛び降りていった。
PC内のファイアーフォールは破壊され、世界から核の脅威は去った。アウグストはニーダムと共にアメリカに渡り、母親の元へと帰された。ミカエルは今回のことを“蜘蛛の巣を払う女”というタイトルで記事にするが、以前のようにリスベットの過去を書くことに悩み、最終的にその記事を破棄した。リスベットは過去を葬るように実家に火を放つと、バイクに跨りその場を去って行った。
映画『蜘蛛の巣を払う女』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
有名なシリーズの最新作だが、リスベット役が変わったのは大きかったと思う。年齢的に難しいのは分かるがノオミ・ラパスのイメージが強すぎたため、クレア・フォイでは少し弱い印象。作品自体は後半になるにつれてスケールダウンする感じ。カミラとの関係もあっさりと終わってしまい物足りない。このシリーズは繊細で強烈な心理描写が持ち味だと思っているのだが、今回はそれがあまり感じられなかった。悪い方にアメリカナイズされてしまった感じ。(MIHOシネマ編集部)
本作は、天才ハッカーのリスベットが自身の過去や犯罪組織の陰謀と対峙する姿を描いたヒューマンドラマサスペンス作品。
また、『ドラゴンタトゥーの女』のキャストを変えた続編となっている。
バイクや車を駆使したアクションシーンが多く、スリル満点でエンタメ性の高さを感じた。
彼女が必死に戦う姿やその強さだけでなく、ヘアスタイルやファッションといったビジュアルも非常に個性的で惹かれた。
そして、極寒の地ストックホルムの寒々しい雰囲気もとても好みだった。(女性 20代)
大ヒットした『ドラゴン・タトゥーの女』。ノオミ・ラパスがリズベットを演じるミレニアムシリーズもありますがそれとは違い、今作はデヴィッド・フィンチャー監督の『ドラゴン・タトゥーの女』の続編をリズベットもミカエルも役者を変えて作った作品のようです。
物語の舞台は前作から3年後。リズベットもミカエルも別の役者が演じていて、そもそも監督が違うので続編という印象はかなり薄いです。作品の世界観に入り込みたいのなら別物として考えるか、ミレニアムシリーズを鑑賞することをオススメします。
リズベットの妹が登場しますが、彼女もかなりの異端児ですごい姉妹だなあと感心してしまいました。(女性 30代)
前作までと比べてアクション色が強くなり、リスベットがまるでスパイヒロインのように描かれているのが印象的でした。ハッカーとしての彼女の頭脳戦が減った分、感情面や過去との対峙に重きが置かれていた感じ。特に双子の妹・カミラとの再会と対決は悲しく、救われない姉妹の物語として切なさが残ります。新たなリスベット像としては悪くないと思いました。(30代 男性)
リスベットの過去を掘り下げる展開に心を揺さぶられました。虐待のトラウマ、父への憎しみ、そして妹とのすれ違いが絡み合い、単なる復讐劇に終わらない深みがありました。ラストでカミラが自ら命を絶つシーンには息を呑みました。前作と雰囲気は変わりましたが、リスベットというキャラの核心に迫る物語としては成功していると思います。(40代 女性)
アクション満載でテンポが早く、エンタメ映画として楽しめました。ただ、原作や過去作に比べると社会派的な深さはやや薄まり、リスベットの内面描写も控えめだった印象です。とはいえ、クレア・フォイの演技には説得力があり、孤独と怒りを内包するキャラクター像はしっかり表現されていました。シリーズとしての方向転換を感じた一作。(20代 男性)
これまでのリスベット像とは異なり、今回はヒーロー寄りの立ち回りが多く、まるでジェイソン・ボーンを見ているかのようでした。妹・カミラとの再会シーンは息を呑むほど緊迫感があり、そこからの結末がまた衝撃的。彼女の“蜘蛛の巣”から抜け出すというテーマが、タイトルにも込められていて深いなと感じました。(50代 男性)
女性の孤独と再生の物語として観ると非常に刺さりました。過去に囚われながらも、自分の正義を貫こうとするリスベットの姿が強く、美しかった。妹との因縁、親からの呪縛、それを“払う”ために命がけで闘う姿は涙を誘います。アクションが多くて多少リアリティは欠けるけど、それを超える感情のカタルシスがありました。(30代 女性)
正直、原作ファンとしてはやや別物に感じました。とはいえ、映像のクオリティは高く、北欧らしい空気感は損なわれていなかったと思います。クレア・フォイのリスベットは凛としていて新鮮だったし、妹カミラの存在が全編に緊張感を与えていました。シリーズを知らなくてもスリラーとして楽しめる作りになっています。(40代 男性)
サスペンスとアクションが融合した見応えある作品でした。個人的には、リスベットが過去のトラウマと向き合う過程に強く共感。彼女が他者を救おうとしながらも自分自身は救えない姿に、ヒーローとしての限界と人間らしさを感じました。最後の妹との対決はもっと感情を深掘りしてほしかったけど、全体的には満足です。(20代 女性)
映画『蜘蛛の巣を払う女』を見た人におすすめの映画5選
ドラゴン・タトゥーの女
この映画を一言で表すと?
「謎の失踪事件と天才ハッカーが交差する、衝撃の北欧ミステリー」
どんな話?
40年前に失踪した少女の謎を追うジャーナリストと、その調査に協力する天才ハッカー・リスベット。冷たく閉ざされた家族の闇を暴きながら、2人は命を懸けた真実に迫っていく。リスベットのルーツを知る第一作。
ここがおすすめ!
『蜘蛛の巣を払う女』のリスベットが登場するシリーズ原点。重厚な人間ドラマと緻密なサスペンスが融合した傑作で、リスベットというキャラクターの本質に触れられます。作品の空気感や世界観に深く浸れる一作です。
ハンナ
この映画を一言で表すと?
「少女の身体に宿る殺しの才能──サバイバルと真実を巡る逃走劇」
どんな話?
極寒の地で育てられた少女ハンナは、父の手によって戦うための能力を叩き込まれていた。ある日、CIAに命を狙われる身となった彼女は、母の死の真相と自身の出生の秘密を探りながら逃走する。
ここがおすすめ!
リスベットのような強く孤独な女性主人公を描いたアクションスリラー。ハンナの冷静な戦闘力と揺れる少女としての心情の対比が美しく、映像や音楽もスタイリッシュ。『蜘蛛の巣を払う女』が好きなら必見です。
アトミック・ブロンド
この映画を一言で表すと?
「冷戦下ベルリンで、最強スパイがすべてを敵に回して戦う!」
どんな話?
1989年のベルリン。MI6の女スパイ・ロレーンは、東西の情報戦に巻き込まれながら、裏切りと暴力の渦中でミッションに挑む。スタイリッシュな映像とスピーディーな展開が魅力のスパイスリラー。
ここがおすすめ!
リスベットのように冷酷で有能な女性が主役の本作は、『蜘蛛の巣を払う女』のファンにも刺さること間違いなし。シャーリーズ・セロンの肉体を張ったアクションが圧巻で、映像も美麗。美と暴力が融合した傑作。
ゴーン・ガール
この映画を一言で表すと?
「消えた妻の正体は? 衝撃の真実が暴かれる心理サスペンス」
どんな話?
結婚5周年の日、妻エイミーが突然失踪。夫ニックは犯人として疑われ、メディアに追われる日々に。だが、彼女の失踪には想像を絶する真実が隠されていた──という一筋縄ではいかない夫婦のサスペンス。
ここがおすすめ!
複雑でダークな女性像を描く点で『蜘蛛の巣を払う女』と通じるものがあります。女性の内面と暴力性、支配と反撃の関係がテーマで、観終わったあとも強烈な印象が残ります。脚本と演出の巧みさも見逃せません。
リービング・ラスベガス
この映画を一言で表すと?
「壊れた男女が交差する、儚くも美しい破滅と救いの物語」
どんな話?
酒で命を絶つことを決めた脚本家と、孤独な娼婦。ラスベガスの夜に出会った二人は、それぞれの痛みと向き合いながら、短くも深い時間を共有していく。命の終わりと人間の希望を描くラブストーリー。
ここがおすすめ!
リスベットのように傷を抱えた女性の物語に心を動かされた方におすすめ。社会のはみ出し者同士の淡く切ない関係性が深く胸に刺さります。派手さよりも感情のリアルさを求める人向けの静かな名作です。
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