この記事では、映画『太陽が知っている』の感想やレビューを紹介しています。数多くの映画を見てきた映画専門ライターによって、様々な視点で感想・レビューを執筆しておりますので、ぜひご覧ください。
映画『太陽が知っている』の作品情報
出典:(C)1969 SNC (Groupe M6)
製作年 | 1969年 |
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上映時間 | 120分 |
ジャンル | サスペンス |
監督 | ジャック・ドレー |
キャスト | アラン・ドロン ロミー・シュナイダー モーリス・ロネ ジェーン・バーキン |
製作国 | フランス イタリア |
映画『太陽が知っている』のあらすじ
南仏でヴァカンスを過ごすジャン=ポールと恋人のマリアンヌ。そこへ友人ハリーが娘のペネロープを連れて訪れる。売れない作家のジャン=ポールは、音楽業界の成功者ハリーへの劣等感と、彼とマリアンヌがかつて恋人だったことへの嫉妬で心がざわめいてゆく。そんなジャン=ポールを挑発するように、ハリーはマリアンヌに接近。一方、ペネロープは父への反感からジャン=ポールに好意を抱く…。
(出典:スターチャンネル)
映画『太陽が知っている』の感想・レビュー
「世紀の2枚目」を存分に堪能できる作品
本作の主演を務めたアラン・ドロンは2024年に亡くなりましたが、この映画を見ると「世紀の二枚目」と言われていたのも頷けます。ただひたすらに、カッコいい。ともかく何をしていても「絵になる」んですよね、オープニングでプールサイドに寝そべり、残り少ないドリンクを飲み干すシーンなどはまさにそれ。何気ない仕草が本当に魅力的に映る、生まれついてのスターだったんじゃないかと思います。
ドロンの恋人役は、ドロンの「最初の奥さん」になるはずだったロミー・シュナイダー。実は本作、お二人が婚約破棄をした後に製作されたのですが、ドロンが相手役にシュナイダーさんを指名したと言われています。
シュナイダーさんはドロンと別れたあと舞台演出家の方と結婚し、その影響もあって少し映画界から離れていたのですが、本作で銀幕にカムバック。劇中でシュナイダーさんがドロンに言う「あなたは愛されるために生まれてきたの。知らなかった?」というセリフは、何か得も言われぬリアルさ、生々しさを感じてしまいます。
「メガネっ子」で登場するジェーン・バーキンに萌え!
ドロンの恋人役であるロミー・シュナイダーさんの「恋敵」として登場するのが、当時まだ20歳そこそこのジェーン・バーキン。女優業だけでなくモデルや歌手としても活躍し、娘さんのシャルロット・ゲンズブールさんも著名な女優になり。なにより有名ブランド・エルメスのバッグ「バーキン」の名前の由来になったことでも有名な「凄い人」です。
本作のバーキンさんは、それはもう世界中の男たちが虜になるんじゃないかというくらい可愛いのですが、最初は丸くて大きなピンク色をした縁取りのサングラスをかけて登場します。そう、いわゆる「アラレちゃんメガネ」なんですよ!
本作が公開されたのは1969年ですが、日本で1970年代末から連載されて大人気になった漫画『翔んだカップル』では、「メガネをかけた地味な女の子が、メガネを外したら美人だった」という設定が当たり前のように使われていました。「メガネっ子」が「萌えの対象」になるのは、80年代になって『Dr.スランプ』でアラレちゃんが登場してからです。それより10年以上も早く、「とびきり可愛い子に丸メガネをかけて登場させる」という抜きんでたセンスに、ただただ脱帽です。
「明日がない」かのような、刹那的なラブシーン
本作の主人公は美しい恋人とプール付きのお屋敷に住んでいて、恐らくは夏の休暇を楽しんでいるのだと思われますが、主人公も恋人も、仕事に関する話は一切しないし、仕事をしている様子もない。ヒマさえあれば2人で抱き合っている様は一見「楽天的」に映るのですが、なぜかそこに刹那的な雰囲気が漂う。
これは映画の後半で、実は主人公が作家として失敗し自殺未遂まで起こした過去があることが判明し、刹那的雰囲気の「正体」がわかるのですが。何か、いま愛し合わなければ明日がないかのように快楽を求める主人公たちに、ゾクゾクしたものを感じました。
そんな主人公は最終的に家にやって来た友人を殺害してしまうのですが、恋人は主人公の犯行に気付きながらも、それを警察に言わないことを決めます。ラストで主人公と抱き合うシーンは、まさに「2人にはもう、明日がない」ことを現しているようにも思えます。
映画『太陽が知っている』の思い出コメント
本作を見たのはまだ1970年代後半、学校から中学校に上がる少し前でした。テレビの洋画劇場での観賞だったと思うのですが、主役2人の刹那的なラブシーンを見て、見てはいけない「大人の世界」を垣間見たような気がしていました。
とはいえ、アラン・ドロンが主演していた別の映画『ショック療法』などは、「これは大人が見る映画だから」と両親に言われ、テレビ放送を見せてもらえなかった覚えがあります。本作はそういう意味で「見せてもらえるギリギリのライン」だったかもしれません。そんな経験をするたびに、早く大人になりたい!と思い、垣間見た本作の主人公たちの描写に密かな憧れを抱いたものでした。(50代 男性)
今の若い方にはピンとこないかもしれませんが、1970年代に10代だった私のような世代の女性からすると、アラン・ドロンという人は本当に「特別な人」でした。私もテレビの洋画劇場で『太陽がいっぱい』を見てからドロン様の大ファンになり、当時買っていた映画雑誌の「ロードショー」でドロン様の特集などがあれば切り取って保存し、宝物にしていました。この『太陽が知っている』も、もちろん洋画劇場の放送スケジュールをチェックしてわくわくしながら観賞しました。当時はビデオもなかったですから、放映日には万難を排して観賞できるよう努力したものです。ドロン様の他に印象に残ったのはジェーン・バーキンさんが着ていたワンピースのミニスカートですね、当時海外でも日本でもミニスカートが大流行していたので。日本人と違い、モデルのように綺麗な外国の女性が着るとやっぱり様になるなぁと感じました。(60代 女性)
私がこの映画を見たのはジェーン・バーキンが出ていると知ったからで、そもそも私がバーキンさんの詳細を知ったのはその訃報を聞いた時でした。女優さんとして名前だけは聞いたことがあったのですけど、ブランドバッグのモデルになったのは亡くなった時のネットニュースなどで初めて知りました。それで凄い人なんだと改めて思い、バーキンさんが亡くなった翌年にドロンさんも亡くなったことで、お二人が出ているこの映画を見てみようと思いました。バーキンさんもドロンさんも本当に素敵で、当時大人気だったのが納得できる作品でした。(20代 女性)
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